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コンビニの傍らで煙草を吹かすことについて

作者: TATSUYAKEM

コンビニの傍らで煙草をふかすことについて


 目を閉じると、救いのような暖かさを感じた。冬の昼間に射す白い陽光は、近所のコンビ

ニの忙しい駐車場の傍らで煙草を吹かす僕にとっての最高の慰めだった。そこは心地よい

居場所であり、食べ物や飲み物まで揃っていた。

 

 「今日は何杯飲んだの?」と僕は尋ねてみた。副流煙をそちらに流さないように、いつ

も少し離れて駐車場のブロックにしゃがんでいた。

 「2杯・・・」・・・「三杯だったかな?・・コーヒー飲む?」

 もう高齢者になってしまった彼女は、小柄で茶髪の髪にニットの帽子をかむっている。

 「明日は若者の成人式だよ・・」と僕はいってみる。


 彼女あけみさんは、老人ホームから生きて出てきた女だ。昔は・・・いや今でも美しい女性だが、

半面、とても激しい怒りと悲しみを爆発させるようなところがあった。彼女の娘さんが成人式のとき、

着物のことで言い争って、「お母さん嫌い!!!」といわれたことを、今日は思い出してぐちぐちいっている。

「うん。。うん。そうなんだ・・・」最近何故か、彼女が愚痴をこぼし、人の悪口を言うのを待ち望んでいる

自分がいることに気づいた。それは汚いことなんかじゃない。彼女が世の中から受けたしうちに比べれば・・

と僕は思う。


 ふと一台のBMWがぼくらのところへバックで駐車してきた。品川ナンバー777の白。化粧の濃いピンクの服を着た中年

の女が、しゃがみ込む僕らの前から店のドアまでゆっくりと歩いていった。お金持ちを捕まえたんだな・・・

と思う。エンジンをかけたままで、目の前の排気ガスがタバコの煙より悪い。


 「だれも排気ガスのことなんて言わないんだよ」


・・・・・・・・・・・・


 彼女が生涯のうち、ひとに「ぶっころすぞ!」と怒鳴ったのは3回だった。多いだろうか、少ないだろうか。

娘がいじめにあっているのを知って学校の教室で。。キャバレー勤めで同僚の女たちにひそひそと悪口を言われて。

娘の生物学的な父親が浮気したとき。


 そして、無学なあけみさんは、僕の勧めで一遍の詩を書いた


 あの人と 出会って 苦労の始まり

 子供は託児所 わたしはキャバレー


 一緒になろって言ったのに わたしは捨てられ これから生きる道


 やらなくちゃ女だから 泣いてちゃいけない この子のために

 人生生きて 頑張らなくちゃ


 酷いひとです あのひとは ママの肩もち わたしは潰された

 人生一度の ほんとの恋でした あんなに愛した人なのに


 今はボケても頑張ろうと しているあのひと

 私のことなど 忘れてしまって 哀しいあんた・・・・


 ・・・・・

 「そこにいる鳥、ちょこちょこしてる、あんな野鳥がここにもいるんだ」


 「セキレイっていうんだよ・・・」


 白と黒のちいさなちいさなセキレイはちょこちょこっと、日の当たる道をかけっていく。


 「はやいねー」と二人が少しはしゃいでいると,

777の女が歩いてきて車のドアをバタンとと閉め

走りだして行った。どんな日常が待っているのかな・・・


 「もう一杯!!!!」とあけみさんは何かに祈るよう言った。

 「飲みすぎだよ・・」

   僕はあきれた顔で呟いた.

厳しい冬はこれからなんじゃないたな・・・・・。

   

  おわり 読んでくれてありがとう!!

  

 

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