第28話 魔導士試験、開幕②
例によってまた投稿が開きました。
死なない限りはマイペースに更新予定なので、忘れた頃に見に来てくれたら。
あとなろうのUI変わった?
「あー...あー....えー、魔導士試験参加の皆さんへご連絡です。全員が揃ったので、只今より試験の説明を行います。」
会場の声が止んだ。
恐らく魔法で拡声しているのだろう。声が耳にはっきりと伝わる。
奥の方の壇上に、スーツを着込んだ男が歩いてくる。
???「どうも、今回この試験を運営するモガミと申します。」
その声は、”細々とした声“と言う表現が似合うような弱々しい声だった。表情にもどこか覇気がない。
会場の、それもモガミがいる壇上付近の魔導士見習い達がヒソヒソと話し始めた。
レアル(.........あ、そういえば)
レアルはふとスタッドの方を見た。彼女にしては珍しく静かだったからだ。
スタッドは寝かけていた。と言うか立ったまま寝ていた。
レアル(自由にも程があるわね.....まあ、ルール説明とかになったら起こそ...)
レアルが再び壇上のモガミに視線を戻すと、モガミは急に下を向いて咳き込み始めた。
そして、咳き込むのをやめ、モガミが顔を上げると、
手を、話をしていた魔導士見習いたちの少し上の方に向けた。
遠くからでは表情がよく読み取れないが、
何か様子がおかしい。
瞬間、何かが破裂した。いや、正確には破裂したのと同等の衝撃波が走った。
レアル(何!?)
レアルは思わず腕で目を覆った。そして、次に腕を外した時、目の前に広がっていたのは、
気絶した数名の見習いと、何が起こったかを理解できていない魔道士見習いだった。
殺伐とした空気の中、モガミが言い放った。
モガミ「よかったなぁ.....この程度で済んでよぉ....」
その声は、先ほどまでの弱々しい声とはまるで異なる。
喉元に剣でも突き立てられたかのような、
圧力を感じるさせる声だった。
モガミ「さあてぇ、もうルールをここで説明すんのも面倒だしなぁ....実際に、”行ってもらうかぁ“」
モガミ「気絶してる奴らはなぁ.....脱落ペナルティーって事で済ませといてやんよぉ...」
会場の空気がより一層重くなったのを感じる。
モガミは腕を段々と上に上げ始める。
それに呼応するように、床がゆっくりと光を放ち始めた。
レアル(あ、これ本当に始まっちゃうやつだ。)
レアルはスタッドの方へ駆ける。
レアル「スタッド!起きて!もう始まるから!」
スタッドの肩を懸命に揺らして呼びかける。
スタッド「......リュ...ゼ...」
レアル「....え?」
モガミが右手を顔の横に上げ、指を鳴らす。
床全体が、巨大な魔法陣に変化した。
レアル「あ....」
目の前が光に包まれる。登録を使う時に似たような感覚だ。
目を開けると、そこは森の中で、レアルは目の前のフードの肩を持っていた。
レアル「あ、よかったよかった。そろそろ起きなさいよ、スタッド」
静寂に包まれる中、レアルは引き続き肩を揺らす。
フード「え、あの...」
レアル「いいからさっさと起き.....あれ?」
レアルは、肩から手を離した拍子に、フードが手に持っていた扇子とティーカップに目が行く。
レアル「あれ....?」
その時、声が聞こえた。
モガミ「よぉ....早速だがなぁ...お前らは入れ替えた上でこの森に転移させてやったぜ.....」
モガミ「この試験のルールは簡単だ....この森の魔導士見習いが残り5ペアになるまで殺し合ってもらうぜぇ....」
そこまで言った所で、咳き込む声が聞こえた。
モガミ「ええ、はい。一応この森には回復魔法がかかっているので。殺し合っても死ぬことはありませんよ。
精々気絶で済みます。」
モガミの声が、再び最初の弱々しい声に戻る。
モガミ「それで、ええと、あなたの近くにいるもう1人がペアです。
今現在、この森には16ペアがいます。そこから最後の5ペアに残れれば、試験は合格です。
ここでは、魔法の使用は自由ですし、フードを取っていただいても構いません。
では、試験は今より開始とします。」
声が止んだ。そこには、凍りついた空気のみが流れる。
レアル「あの....その....」
フード「お気になさらず。わたくしこそ、先程は申し訳ございませんでしたわ。」
レアル「いえいえ...こちらこそ本当にすいませんでした」
フードの女は、扇子をフードの下にしまって、フードとバイザーを脱ぎ捨てた。
銀髪に黒い飾りレースのついた帽子を被り、ゴシック調のワンピースを身に纏っている、見るからに育ちのいいお嬢様だった。
そして手には、先ほどからずっとティーカップを持ち続けている。
フード「せっかくペアになれたのですから、お互い自己紹介でもどうでしょう?」
レアル「あ、分かりました....」
レアルもフードとバイザーを外した。
レアル「ええと....」
正直レアルはしっかりと気まずかった。スタッドの件もだし、今さっきの件もだし。
フード「では、わたくしから名乗らせていただいてもよろしいでしょうか?」
レアル「お願いします。」
ノアー「わたくしは “ノアー・ノアール”
白魔術を主としておりますが、黒魔術も
軽くなら扱えますわ。」
レアル「なるほど....(心強い味方だ...)」
レアル「私は “レアル・スプリング”
黒魔術を少しだけ使える感じです。」
ノアー「よろしくお願いしますわ、レアルさん」
レアル「こちらこそ、よろしくお願いします。」
自己紹介が終わると、ノアーがレアルを見て言った。
ノアー「レアルさん、少々お待ち頂いてもよろしくて?」
レアル「...?どうぞ?」
ノアー「有難うございますわ」
ノアーの少し横の地面に銀色の魔法陣が出現し、そこからアンティーク風なソファーが飛び出した。
レアル「うわ!?」
ノアーはそこに腰掛けた。
ノアー「レアルさんもお掛けになられる?」
ノアーはティーカップを片手に、ソファーに乗って浮遊している。
レアル「あ、大丈夫です」




