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第21話 新しい仲間④

スタッドは、固体から解除されたワイヤーを崖に取り付けてバランスを取った。

その上では、レアルが次に放つ魔法を思案している。

お互いが睨み合いながら、次の一手を読み合う。





....先に痺れを切らしたのは、スタッドの方だった。


スタッド「再現風旋刀(リプロエアロスラスター)!」


スタッドは手に風を纏わせ、再び小さな手刀を纏った。


そして、レアルのワイヤーの方向に思いっきり手を振り降ろし、手刀をレアル目掛けて発射する。


スタッド「そのワイヤーなら、避けられないわよね!!」



風の刃が、レアル目掛けて飛んでくる。

もう数秒もすれば、レアルの風持線(ウインドワイヤー)は断ち切られてしまうだろう。


レアル「ちょっと賭けだけど...冷凍(フリーズ)水射砲(アクアシュート)で重ね掛け...!


結晶氷(クリスタルアイス)!」


レアルは自身のワイヤーの周りを一気に凍り付かせた。

通常の冷凍(フリーズ)ではなく重ね掛けだからこそできた芸当と言えるだろう。


そして、ある程度凍りついたところに、風の刃がぶつかる。


しかし、頑丈な氷を、それなりの距離を移動して脆くなった風の刃では破壊することはできない。少しヒビこそ入ったが、まだまだワイヤーは持ちそうだ。


レアル「下級呪文とは言っても、ずっと3種類発動し続けたら魔力が持たない...」


レアルはワイヤーの周りの氷を解除し、再び様子見に移った。


しかし、再び自分の下を見ると、スタッドの姿がない。ワイヤーを凍らせることに集中しすぎていたからか、すっかり本体のことを失念していた。


レアルを大きな影が飲み込んだ。手に一瞬人影が映る。

上を見ると、手に風を纏わせ、今も振り下ろさんとする

スタッドがそこにはいた。


レアル「火炎砲撃(ブレイズキャノン)!」


 レアルは素早く自分の真上に火球を飛ばす。

ただ、しっかり構えていないため、ドンピシャで放つことはできなかった。

 スタッドは身をよじって避け、そのまま飛び込んでくる。


スタッド「再現風旋刀(リプロエアロスラスター)!」



レアル(落ちる速度が早すぎて登録(ブックマーク)じゃ位置を合わせられない!せめて少しでも時間が作れれば...)


レアル「火炎陣(フレアサークル)・改!」


レアルの上下左右に炎の壁が現れる。


スタッド「炎の壁くらい...!」


スタッドは手刀を振り下ろす。手から風の刃が発射され、

レアルの上の炎の壁が切り裂かれた。

そして、その反動でスタッドは少しだけ上に吹き飛ぶ。







そして、炎の裂け目からスタッドは見たのは、呪文を構え終わったレアルの姿だった。


レアル「火炎陣(フレアサークル)・改と火炎(ブレイズ)で...“”火炎砲撃弾(ブレイズ・ブラスター)!」


レアルが以前放った“超炎砲撃弾(グランブレイズ・ブラスター)”ほどではないが、かなり大きな炎が、スタッドに飛んでくる。


スタッド「え!?いつの間に構えて....」


レアル「今度は外さない...!」


スタッド「でも攻撃魔法なら、打ち消せる!再現火炎砲撃弾(リプロブレイズ・ブラスター)!」


スタッドは手をレアルの方に向けて唱える。


しかし、炎が一瞬出たかと思えば、すぐに消えた。


スタッド「まずい、魔力...が.....」


スタッドが意識を失った。

そのまま炎に落ちようとした時、レアルの方の炎も消えた。


と、同時にフィスが上から降りてくる。


フィス「お疲れ、結構激戦だったね」


フィスはレアルに向けてそういうと、今度は落ちていくスタッドの方を見た。


フィス「転移(ディザーブ)


スタッドが地面に叩きつけられる直前、勢いがなくなってそのままゆっくりとレアルたちの高さまで上昇してくる。


フィス「そういえば、何気に初めて気絶せずに敵を倒したのかな?」


レアルは言われて初めてそれに気づく。


レアル「あ、確かに。結構魔力はギリギリだけど、まだ普通に元気ですね。」


フィス「多分以前の君なら気絶してたんだろうけど、ここ数日間で目に見えて魔力が伸びてるみたいだね。」


フィスは感心するように言った。


それとほぼ同時に、スタッドの身体がレアル達の高さまで上昇してくる。


フィス「それはそうと、君は彼女を仲間に迎え入れるのかい?」


レアルは険しい表情で言う。


レアル「いえ...正直、魔法の再現は凄かったけど、戦術とか知恵とかがあんまり感じられなくて...」


フィスは笑顔で返す。


フィス「戦闘は1人でやるとは限らない。彼女が戦術を立てるのが苦手なら、君が司令塔になればいいんだ。」


レアル「え?」


フィス「再現魔法(リプロマジック)の使い方は、何も相手の技を相殺するだけじゃない。例えば、君1人じゃ打てない魔法でも、協力すれば打てたりしてね。」


レアル「超炎砲撃弾(グランブレイズ・ブラスター)....ですか?」


レアルはフィルドとの戦いで発動させた、太陽のような炎を出す上級呪文を思い出した。


フィス「そうそう、それに、連携だって案外上手くいくかもしれないよ?あの子素直だろうし。」


レアル「....本人次第、ですかね。」


レアルはまだ納得しきれていない部分もあったが、取り敢えずはフィスの提案に乗ってみることにした。



それから数時間後



スタッド「うーん....レアルが炎の魔法で....」


スタッドがベッドで目を覚ました。


レアル「あ、起きた?」


横のソファーに寝転がっていたレアルが尋ねる。


スタッド「ん、レアル?....あ、結局、私は勝てなかったな....」


スタッドが少し寂しそうに言った。


レアル「そりゃ、実践経験の差があるしね。」


レアルが体勢を変えてソファーに座りながら言った。


スタッド「でも、できるなら私、魔導士になってみたい!」


スタッドはいつもよりは落ち着いているが、それでもそこそこ元気だ。


レアル「それなんだけどさ...」


レアルが少し気まずそうに言う。


スタッド「ん?どうしたの?」


スタッドはまだ何かを察している様子ではない。


レアル「2つ、約束してくれるなら、私から師匠に掛け合ってみるよ。」


スタッド「本当!?....ちなみに条件って?」


スタッドは一瞬テンションが最高潮に達したが、またすぐ落ち着く。



レアル「状況を見ながら、私の指示を聞くこと。


 絶対に自分から死ににいくようなことをしないこと。


 その2つが条件。」




スタッドは神妙な顔で少し考えた後、


スタッド「分かった。その2つは守る。」


レアル「絶対ね?絶対。」


レアルは強い口調で復唱する。


スタッド「うん。絶対守るから。」


スタッドは真面目な顔で言った。


レアル「......」


レアルは無言で席を立ち、部屋を出ていった。

部屋にはドアを開ける“ガチャ”という音だけが響く。






その数日後、2人の分の資料が審査委員会に届いた。


推薦:魔導士フィス


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