第17話 2人の行方⑥
レアルがフィルドを倒してから数十分....
レイス「....頭が痛え..........」
元々魔力が少なかったのが功を奏したのか、レイスは真っ先に眼を覚ました。
霧はもう完全に晴れており、鬱蒼とした木々の葉の間から、陽光が差し込んでいた。
レイス「....なんだ、この焦げ臭い匂いは..........?」
レイスが辺りを見渡すと、そこには2つの人の体があった。
片方は見るもおぞましいまでに変貌した焼死体であり、
もう片方は表面だけがこんがりと焼けている、瀕死だった。
レイス「....なんか、無茶しやがったのか。随分と度胸があるよな...この嬢ちゃんは。」
レイスは呆れか感心か分からないような声色で呟いた。
レイス「ほんと、魔力式の火傷直しを持って来といてよかった。」
そう言って、レイスはスプレーのようなものを取り出す。そして、それを軽く振ってから、レアルに吹きかけた。 水滴が、焼焦げた体に吸い込まれるように消え、それと同時に火傷跡が治癒されていく。
見る見るうちに、それは普段のレアルと代り映えのない姿となった。
レイス「ふう、とりあえず嬢ちゃんを宿屋に運んでおくか...」
フィス「...それよりも先にシルファだ...」
フィスがふらつきながら立ち上がる。顔には先ほどの激闘を彷彿とさせる傷跡がいくつかあった。
レイス「いやいや、いくらなんでも気絶してる嬢ちゃんやエフィラを運ばずに行動するのはまずいだろ」
フィスは普段とは対照的に、とてつもなく焦っていた。
フィス「こっちの急用度合いはそれの比じゃない!あいつが倒れたってことは、今のシルファは魔力が減り続けてるってことなんだ!」
レイスはやっと起こっていた状況を知覚する。
レイス「そうか...!それはまずい...!スカイガーネットはさっきエフィラの雷突であの石と一緒にぶっ壊れちまっただろうし...」
フィス「いや、俺のスカイガーネットがまだ残ってる!」
そういって、フィスはポケットから赤い石を取り出して、魔力を込める。すると、石は空中へ舞い上がり、村のさらに奥の方へ飛んで行った。そして、数少ない魔力の大部分を消費したフィスは、ふらついて地面に倒れた。
フィス「お前が....シルファを開放してくれ...!」
フィスはそういうと、再び倒れこんでしまった。
レイス「....色んな意味で、持っててくれよ!」
レイスは赤い石を追って走り出した。
赤い石は村の奥の方へどんどん突き進む。
そしてそれを追うレイスもどんどん突き進む。気づけば、村の一番奥にあった教会の横を通り過ぎ、赤い石は巨大な木々に造られた森の方へと入っていった。
レイス「くそ...こんな遠くに監禁しやがって!」
森の中を進んでいくと、そこにはちょっとした遺跡のようなものがあった。
表面は石でできており、ところどころをツタが這いまわったり、苔が取り繕っていたりで、あまり人の手を感じなかった。
レイス「ったく、どこまでも趣味の悪い奴だ!」
レイスは迷うことなく、赤い石を追って寺院の中に入っていった。
薄闇の中に、鉄の人形や本物の銃のような模型など、魔力で駆動すると思わしき仕掛けの数々があるが、どれも主人無くして開口せずといった様子で、敵対してくる気配はない。しかし、それらとは別に、奥から話声のようなものが聞こえてくる。
レイス「せめてこれだけは構えておくか...」
レイスはカバンから、ペットボトルほどの大きさの棒を取り出した。それは、持っている者の魔力を吸収して瞬間的に威力の高い打撃ができるという、使い捨ての魔道具だった。
レイス「正直俺が持って持っててもあんまり意味はないがな...」
レイスはその棒を両手で構えながら奥へと慎重に進む。話し声は徐々に大きくなっていく。
レイスは、話声がする手前で、勢いよく走り出した。そしてそのまま空間に出ると、そこには牢屋に囚われた妖精が数十人いた。
レイス「...まじかよ。あいつはこんなに要請を捕まえてたのか...?」
妖精A「あ、あなたもあいつの仲間ですか...!?」
妖精の1人が震えるような声で言う。
レイス「んなばかな。俺はあいつを倒したやつの仲間だよ。シルファって妖精を探しに来たんだが、ついでだ。あんたらも助けてやる。」
妖精A「あ、ありがとうございます!.......ただ、」
妖精は苦い顔をしながら、歯切れ悪く言った。
妖精「おそらくあなたが言ってるのは、あの妖精なのでしょうか...?」
そこには一人、倒れこんでいる妖精がいた。間違いないだろう。シルファだ。
横には数人がかりでシルファに魔力を注ぎ込んでいる妖精がいる。
妖精A「申し訳ありません...あの人間の魔力が切れてから、急に体調を崩しだして...私たちも魔力を注いでいるのですが、どうやら体に合わないようで.....」
レイスは焦りながら言った。
レイス「それはまずい...!今こいつで解放してやる!」
レイスは棒で牢屋の鉄格子を思いっきり棒で殴る。しかし、カーン、という小気味いい音と共に、棒がはじけ飛び、レイスの後ろに棒の先端が転がっていく。
レイス「折れたああああ!!!! ってか、....まずい。俺の魔力じゃ割れねえのかよ....!」
妖精A「任せてください!それなら、私たちの魔力を一瞬あなたに注ぎ込みます!」
シルファについている妖精以外の妖精がレイスの方を向き、一斉に魔力を注ぎ込む。
レイス「折れてるとこれの効果は半分程度にまで落ちちまう...!ただ、ここまで魔力がみなぎってくるなら...!」
レイスは再び、思いっきり棒で鉄格子を殴った。今度は音は鳴らない。その代わりい、鉄格子がきれいに切断された。レイスはそのまま鉄格子を切り刻んで、一気に妖精たちを解放した。
レイス「よし...!とりあえずこれで!」
妖精A「急いでください!この方は、このままじゃ長く持たない!」
そして、レイスと妖精たちは村までたどり着いたのだった。
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レアルがベッドで少し話した後、再び眠った。
エフィラもまだ、ベッドで眠っている。
その直後、宿屋の部屋を訪ねてくる姿があった。先ほどレイスが少し会話した妖精だった。
レイス「お、あんたはさっきの。」
妖精A「その節は本当にありがとうございました。あの、お礼とかってどうすればよろしいでしょうか...?」
レイス「だってさ、フィス。あいつを倒したのは嬢ちゃんなんだ。無理にまた起こすわけにもいかないし、ここはお前が決めとけよ。」
フィス「うーむ...金をとるのもなんか違う気がするし....あ、そうだ。ちょうどいいのが一個あった。
妖精さん、今からちょっとだけ僕の家に来てくれないか?」
妖精A「分かりました。ところでいったい何を...?」
フィス「ちょっと資料を書いてほしくてね.....」
・・・・・・・
To be continued




