第12話 2人の行方①
銀色の魔法陣の先は、いつも通り、フィスの家の客室だった。
レアル「んじゃ、とりあえずシルファさんに挨拶でもしよ」
レアルは部屋から廊下に出る。
レアル「...?なにこれ」
そこには、見たこともない赤色の魔方陣があった。
レアル「師匠〜?シルファさん〜?」
反応はない。
レアル「仕方ない、とりあえず師匠の部屋にでも行ってみようかな」
レアルはフィスの部屋に向かって歩き出す。そこには、突き破られたような跡のある扉が開け放されていた。
部屋の中を軽く覗くと、棚のガラス戸が開きっぱなしになっている。
レアル「なんで....流石に私1人じゃまずいかも...!」
レアルは急いで外に向かって走る。
玄関を素早く開けると、奥に居眠りしているレイスがいるのが見える。
レアル「レイスさん!起きて!」
レイス「ん....?フィスのとこの弟子の嬢ちゃんじゃねえか...なんか頼まれたのか....?」
レイスはぼーっとしながら返す。
レアル「師匠もシルファさんも、家にいないんですよ!」
レイス「ん.....何......?......それは本当か?」
レイスは眠そうに言う。
レアル「本当なんです!誰もいなくて、なんか赤い魔方陣しかないんです!」
レイス「ちょっと待て、一旦これを使ってみるか」
レイスは屋台の裏側にある棚から赤い宝石を取り出す。
レイス「”スカイガーネット“指定した相手の魔力を辿る魔道具だ。」
レアル「じゃあそれで師匠の魔力を!」
レイス「まあ待て、これの発動に必要なのは、対象の魔力だ。」
レアル「え...どうすれば良いんですか?」
レイス「一旦フィスの家に行くぞ。後エフィラも依頼が終わって寝てるだろうから、叩き起こして連れて行くか。」
レイスは普段の調子に似合わない程冷静だった。
レアル「分かりました!とりあえず私は師匠の家に行って何かないか探してきます!」
レイス「俺はエフィラのやつを叩き起こしてから行く。だから先走って魔方陣に入るんじゃねえぞ!」
レイスは床に置いていたトートバッグを手に取る。
レイス「使えそうなやつだけでも持っていっておくか!」
レイスは戸棚を開け、10個ほど魔道具を積み込んだ。
レアルはフィスの家に向かって走り出す。
レアル「とりあえず、師匠の部屋なら何かしらあるかも。」
レアルはフィスの部屋に入る。
古めかしいランプで灯りをとっており、まるで熟練の魔法使いの部屋かのような雰囲気が漂う、木で造られた部屋だった。
レアル「ペン....これとかどうだろう!」
レアルは机の上に置かれていたペンを手に取る。
その時、レアルは部屋の後ろから急に何かの気配を感じた。
レアル「何!?」
レアルは急いで振り向く。そこには、フィスの姿をした黒い影のような物がいた。そして黒い影は、レアルに向かって炎の呪文を打ち出してきた。
レアル「地殻砲撃!」
レアルの目の前に岩石球が出現する。しかし、部屋の大きさの都合で、あまり大きな岩石球を召喚できなかった。
レアル「こっちも何かカウンターしないと!」
岩石球が砕け散る。どうやら炎の呪文の連発が、岩石球を貫通したようだ。
レアル「まずい!水射砲!」
レアルの手からサッカーボールほどの水の球が発射さpれる。
影は手から火炎放射器のように炎を出した。
水の球はそれを突き抜け、影にぶつかった。
影は少しよろめくが、再び手を前に出して構える。
影はフィスのような声で呪文を唱える。
影「煉獄紫炎」
レアル「普通の魔法じゃない...!?」
影の周りに紫色の炎が大量に飛び交う。
そして、それら一つ一つがレアルに向かって火炎放射を行う。
レアル「火炎陣・改!!」
レアルの周りに炎の壁が出来上がる。
レアル「同系統の魔法なら..!」
しかし、火炎放射は炎の壁を突き抜け、レアルを襲った。
レアル「熱いっ!!」
レアルはとびのいた拍子に机に背中から激突する。
そして、炎の壁も霧散してしまった。
レアル「まずい...!」
影はゆっくりとレアルに近づいて来る。
影「煉獄紫炎」
影の周りに、再び紫色の炎が飛び交う。
そして、レアルを直接炙った。
レイス「起きたか。よかったな。俺たちが来てて。」
レアルは目を覚ました。エフィラとレイスがそこにいた。
レアル「影は....?」
レイス「ああ、警備傀儡のことか。そこに転がってるぞ。」
レアルはエフィラの横を見た。そこには、焼き殺されたようなフィスの姿をした影がいた。
レアル「どうやって...?」
エフィラ「影の処理は簡単よ。総じて雷や風に弱いから、その辺の呪文をぶつければいいのよ。」
レアル「へえ....」
レイス「ったく、フィスのやつ自分の弟子にすら警備を解いてないのかよ」
レイスが悪態をつきつつ言った。
エフィラ「まあ、そのおかげで丁度いい魔力が出来たわけだから、これでフィスの場所を辿りましょ。」
レイスはスカイガーネットを取り出した。
そして、影の上からそれを落とす。
スカイガーネットは影にぶつかった後、宙に浮く。
その後、玄関の方へまっすぐ飛んでいく。
レイス「よし、早速追うぞ!」
3人は宝石を追うように走り出した。
宝石は玄関の前で曲がり、その近くにあった廊下を通る。
そして、赤い魔方陣に吸い込まれるように入っていった。
レイス「やっぱりか。」
エフィラ「それじゃあ、早速行きましょうか。レアルちゃんはどうする?」
レアル「え?」
当然ながら、レアルは自分もついて行くつもりだったため、レアルは困惑した。
レアル「どう言う意味ですか?」
エフィラ「さっきもそうだけど、あんな感じのばっかりだとメンタルとか大丈夫かなって。」
エフィラ「まあ、きついこと言うけど、ある程度は守れるけど、それ以上は自己責任で守ってもらわないと困るわよ。」
レイス「まあ、それはそうだな。さっきはたまたま俺たちが後から聞いたからよかったが、こっから先はあんなのがゴロゴロと出て来る可能性もある。」
レイス「そこに行く覚悟はあるのかってことだ。」
レアル「...それでも、私は行きたいです。」
レアル「流石に、何もしないってのは嫌ですよ。それなりにお世話になってる人たちですし。」
レイス「だ、そうだがエフィラ、お前はいいのか?」
エフィラ「私は構わないわよ。と言うかあんたこそ大丈夫?」
レイス「おうよ!こんな所で死んじゃ、魔道具師の名が泣くぜ!」
エフィラ「それじゃ、魔法陣に入るわよ。」
2人「はい!・おう!」
3人は順番に魔法陣の中へ入っていった。




