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第2話 2日目① Re write(実質第1話)

...今日も昨日に引き続きまばゆいほどの快晴だ。

カーテンを開けた寝起きのレアルの顔面に、陽光は容赦なく降り注いだ。


レアル「まぶし...眠い私学校休みたい....」


そんなことをぼやきながら、ハンガーにかかっていた茶色いブレザーの制服に着替え、トースターに食パンを突っ込んでコーヒーを淹れた。


レアル「危ない...あと5分くらい寝てたら遅刻だった....」


ベルの音が鳴り、食パンがトースターから勢いよく吐き出される。


レアルはトースターにそのままかぶりついた。


レアル「明日はハムが乗せれるくらいには早起きしよ..」


レアルはまだ冷え切っていないコーヒーを喉に流し込み、コップを机に置いた。


レアルはソファーの上に乱雑に置かれていたトートバッグを手に取り、家を飛び出していった。


町では早朝にも関わらず、昨日の号外の話をすべく出てきた人によってごった返していた。


しかし、魔法学校への通路の途中にある商店街でもそれは例外ではなく、店は朝早い時間からどこも開店していた。


レアル「ああもう!こんな日に限って人多すぎるって!

風持線(ウインドワイヤー)!」


レアルは手からワイヤーを出し、商店街の天井付近に固定した。


レアル「火炎砲撃(ブレイズ・キャノン)!」


レアルは自分の真下に大きな炎の球を出す。そしてそのまま大きくジャンプする。


炎の球の上昇気流を用いて、レアルは商店街の天井まで飛び上がった。


レアルはそのまま商店街の天井を走る。


そこに、もう1人同じことをしている者がいた。


レアル「スタッド!あんたも遅刻ギリギリ?」


褐色肌で赤髪の女性が返す。


スタッド「そういうあんたこそ、随分派手な登校ね!」


レアル「同じことやってるあんたに言われる筋合いはないわよ!」


スタッドはレアルの魔法学校での友人で、風属性の魔法を得意としていた。


2人は雑談もそこそこに商店街を抜け、巨大な湖を跨ぐ橋に辿り着いた。


当然ながら遅刻ギリギリと言うのもあってか、学生の姿はまるで見当たらない。

2人がそこを駆け抜けると、白樺でできた5m程はある巨大な門にたどり着いた。


門の前には赤渕の眼鏡を掛けた、銀髪の50代くらいの先生が立っている。


先生「レアルさん、スタッドさん、おはよう。今日も遅刻30秒前よ。これでレアルさんは今月13回目、スタッドさんは今月22回目だわ。」


やや高圧的に話す女性は、白樺の門の上の方を指差す。そこには針が今にも上端に差し掛かろうとしている時計があった。


レアル「まあ、セーフはセーフなので」


2人は眩いほどの笑顔で返す。


レアル「それでは、私たちはここらへんで。」


スタッド「お勤めご苦労様です!」


2人は先ほどまでの風のような勢いに戻り、門を潜り抜けた。


先生「はあ...元気でいいわね。まあ、あの子たちくらい自由な方がいいのかもしれないわね...」


レアルとスタッドは校舎につくと、急いで靴を履き替えて、廊下を滑るようにして自分の教室まで向かった。

そして、勢いよくドアをスライドし、教室に駆け込んだ。

どうやら、まだ教師は教室に入ってきていないらしい。


2人は勢いよく席に着いた。


それから数拍置いて、教室の前側のドアがガタンと音を立てて開き、担任の教師が教室に入ってきた。


教師「はい、とりあえず今日の時程だけ確認するぞー。」


教師「一時間目は炎系の魔法の実践訓練。二時間目は文学。三時間目と四時間目は特別講師の方を招いて、補助魔法の特別訓練を行う。以上だ。」


そういうと教師は気怠そうに廊下へ出て行った。


レアル「うわ...今日補助魔法のやつあるじゃん...こっそり帰ろっかな..」


後ろの席に座る、眼鏡に黒髪のいかにも根暗そうなな男が返す。


ソクナ「いやいや、補助魔法無くして魔術は成り立ちませんし、しっかりやるべきですって!」


レアル「そうはいってもさ..めんどいじゃん。補助魔法なんて。攻撃魔法で全部倒しちゃえばよくない?」


スタッド「それに関しては賛成。そもそも私とレアルは黒魔道士志望だし、白魔道士志望のあなたとは違うのよ。」


ソクナ「そんなんじゃいざという時に自分の身だって守れないですよ。」


スタッド「はあ、これだから話が通じないのは...」


レアル「まあ、私たちが気にする必要ないわよ。戦闘で重要なのは補助よりも攻撃。回復ができたところで、敵を倒せなきゃ意味がないって。」


そんな他愛もない会話をしながら、レアルは外に出る用意をする。


外の運動場に着くと、藁でできた人形が大量に置かれていた。


教師「それでは、今から炎魔法の実践訓練を始める。まず、魔法の習得度合いに応じて内容を決定するため、その藁人形に向かって魔法を発動してみろ!」


30人ほどが2列に並び、藁人形に向かって各々の魔法を発動する。


「ファイア!」「フレイム!」などと、簡単な下級呪文を唱える者もいれば、

「わが身に宿りし豪炎の精霊よ...{略}」などと長々と詠唱をして上級呪文を唱える者もいる。


そのうちにまず、ソクナの番がやってきた。


「ねえ、彼って炎魔法使えるのかしら...」「いやいや、あいつ補助魔法しか使えねえよ。黒魔術の魔力が0なんだってさ!」

などと、生徒たちは割としっかり陰口を叩いている。

教師も、こりゃダメかな。という顔をしていた。


ソクナ「ミラージュフィスト!」彼がそう唱えると彼の前に鏡のようにもただのアクリル板のようにも見える、B5のノート程の不思議な板が出現した。


彼はそれを両手で持ちあげ、ちょうど太陽と藁人形との間となる場所に掲げた。

すると、藁人形からうっすらと煙が上がった。

生徒たちは、「まじかよ、あいつ、本当に補助魔法で火をつけやがったぜ..」などと、困惑の声が上がっていた。


しかし、


ソクナ「...もう.....限界だ!」板のようなものが砕け、薄い紫の光を纏った粒子となって霧散すると同時に、ソクナは膝から崩れ落ちる。


藁人形から微かに上がっていた煙も、もう消えていた。


「やっぱりあいつはダメだな」「まあ、そんなもんよ」といった声が耳に入る。


レアル「なかなか面白くない?あれ。」


スタッド「そう?結局のところ、ただの補助魔法のゴリ押しじゃん。」


そう雑談していると、ついにレアルの番が来た。


レアルは所定の位置に立つと、静かに藁人形を指差した。


レアル「火炎砲撃(ブレイズ・キャノン)!」

そして、指先から、巨大な炎の球が勢いよく藁人形に飛んでいく。


運動場が静まり返る中、藁人形に炎の球がぶつかり、爆発して灰になる音だけが聞こえる。


そして、炎が消えると同時に周りから称賛が起こった。


「すげえ、俺らと同じ年で、もうここまでの魔力を操作してる...」「ああいう子が本当の魔術師になるんだ...」などと、会場では感嘆の声が上がっていた。


結局、レアルは一番上のコースに入って、その後も何度か藁人形を燃やしながら、一時間目が終了した。


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