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懐かしい声

次なる大攻勢は3日後に来た。

俺達は以前以上の仲間意識が生まれ、これに備えていた。今回は作戦として、高台を用意し、そこに弓兵を配置した。これでかなり守りやすくなるし、敵の発見も早くなる。俺がウィンドで飛んだのを見て、弓兵たちはこれを思いついたらしい。

「敵襲撃!オークアーチャーの大部隊だ!」

奴らめ、考えたな。

弓兵同士の戦闘が始まる。お互いそんなに当たるものではない。

「スイ、味方の矢にアクセルかけられないか?」

「そんなの無理だよ。」

「だよな。どうしようかな。」

オークアーチャーはしびれを切らして突撃しつつ撃ってくる。

流石に数が多すぎる。

「ウォーターで壁作れないの?」

「その手があったか!行くぞ、ウォーター!」

先日の戦闘のように壁を作り出す。

これで、敵を小さな集団に分断する。

「突撃だ!」

各パーティーが分断された集団めがけて突撃する。

いくら数がいても、その有利が崩れれば総崩れする。

「ほら、私達も行こうよ!」

「まてまて、どうせこの分だとあいつらすぐに引き返すぞ。そこをつけて行って、巣穴ごと一網打尽にしようじゃないか。」

「うわ、ひどいこと考えるな。だが、賛成する。」

「ちぇっ。まぁいいや。リーダーの言う事守るよ。」

案の定、オークたちは徐々に撤退を始める。

「追いかけるぞ!」

「はい、アクセル!」

速度を上昇させて、足音を立てず、素早く後ろをついて行く。

オークたちは森の中心へ向かっているようだ。

「この方向、禁足地だな。」

「禁足地?」

「あぁ、なんか強力な魔力が発生していて危険なので冒険者以外は近寄ってはいけないとされてる所があるんだよ。」

「そこが奴らの拠点かもな。」

森が途切れる。ここが禁足地か!

オークたちは中心の一際大きいオークを前に整列している。

「貴様ら、なぜ逃げてきている。私は攻撃を命じたが、撤退は命じていない。出来損ないめ!」

大きいオークは魔法陣を展開して、オークたちを吸収してゆく。

「もはや、貴様らの手など借りん!私が出撃する。」

全身が黄色で、両腕に鋭利に尖った爪のような武器を装備した、恐るべき魔物。オークロードが完全体となる。

「まずいぞ、オークロードはここらでは強いボスだ。」

「ど、どうするの?」

「逃げてたまるか!俺達だけであいつを倒す!」

と、ウィンドを細かく切り刻み、ファイアやウォーターなど、様々な魔法をウィンドに乗せた。

「行け!全方位攻撃だ!」

オークロードは今にも街へ走り出そうとしている。

それを、多方面から様々な魔法で阻止する。

不意打ちをしたので、奴はかなりのダメージを受けているようだ。これなら勝てる。

「行くぞ、オークロード!」

ジンを先頭に突撃する。

「貴様ら、冒険者か!」

「そうだ!」

ジンの槍を奴は爪で受け流す。

「貴様らがオークたちを倒したのか。」

「そうだとも。数ばかり揃えても意味は無い。」

「どうやらそうらしい。はじめから私が行けば良かったようだ。」

爪が赤色に光り、斬撃が飛んでくる。

「ファイア!ファイア!」

スイはそれめがけてファイアを撃って攻撃をかき消す。

「面白い!」

今度は普通に爪で切りかかってくる。

「俺の後ろへ!」

と、ジンが盾になる。タンクではないが、うちのパーティーでは、タンク役をせざるを得ない。

「ヒール!」

「ありがとう。」

奴はまたしても斬撃を飛ばしてくる。

「ファイア!」

それをスイがかき消す。

「お返しよ!ファイア!」

「ふん!」

こっちのファイアもかき消された。

「このままでは防戦一方だ。」

「攻撃しないと勝てないよ!」

「分かってるさ。俺と一緒にファイアを撃てるか?」

「最後の1発だけど、行けるよ!」

二人で構える。

「「ダブル・ファイア!」」

2つの火の玉が混ざり、大きな火の玉になる。

この大きさならかき消す事は出来ない。

それはオークロードに直撃した。

「ぐおおおお!」

「トドメだ!」

ジンが心臓めがけて槍を投げつける。

これが見事に突き刺さる。

「な、なぜこんな辺境の冒険者に……。」

「俺達は普通じゃないんだ。」

「な、ならば!」

奴が魔法を唱える。

「マズイ、止めろ!」

とウィンドを放つが、間に合わない。

「わ、私は死ぬが、貴様らも道連れだ!いでよ、ドラゴン!」

オークロードが光の粒になり、魔法陣が形成される。そして、その魔法陣から、ドラゴンが召喚された。


ドラゴンといえば、日本ではRPGゲームのラスボスとして有名だろう。

爬虫類によく似た見た目。しかし、それを遥かに超える強さ。まさに、最強の生物。

俺は直感で、こいつに勝てないと分かった。

「逃げるぞ!」

俺達は一目散に出口へ向かう。

だが、ドラゴンがそこに立ちふさがる。速い!

尻尾で攻撃してくる。

だが、物理攻撃は俺には当たらない。

二人もうまいこと避けたらしい。

しかし、避けた方向が悪かった。俺達は壁際に追い詰められた。

「二人ともごめん。俺の作戦ミスだ。」

「しかたないよ。今は助かる方法を考えないと……。」

「それ、あるかな?あるよな?」

ドラゴンが火を吹く。さすがにブレスは避けきれない。せめてと思い、二人の前に立って盾になる。

せっかく異世界に来たのに、こんな所で終わりなのか。俺はなんて運がないんだろう。

あぁ、炎が迫ってくる。

今度こそ死ぬな、俺。


────逃げろ!生きるんだ!

懐かしい声と匂いがする。

はっとして、目を開ける。

「あ、あんたは?」

真っ黒な鎧を着た騎士が俺達を庇っていた。

「大丈夫か?」

兜で声が反響していて、声が聞き取りづらいが、こちらを心配してくれているらしい。

「あいつは俺がなんとかするから、合図したら逃げろ!」

俺達は呆気にとられて、返事すらできなかった。

彼は剣を抜く。真っ赤な刀身が光り輝く。

ドラゴンの炎を切り裂きながら一撃を食らわせた。

「今だ、逃げろ!」

「あんたは?」

「俺の事は心配するな、行け!」

「ここは彼に任せよう。逃げるぞ。」

俺達は一目散に出口に向かう。ドラゴンはそれを防ごうとしたが、騎士に防がれた。

「行かせない。貴様の相手は俺だ!」

真後ろが炎につつまれるが、構わず逃げる。

「魔の者よ、死すべし!テラ・サンダー!」

洞窟の出口付近で、最深部からとんでもない揺れを感じた。

「なんだ、この揺れは?」

「強力な魔法を使用したみたいね。ドラゴンか騎士かどっちかはわかんないけど。」

「とにかく、生き残ったな。」

謎の騎士に助けられなかったら今頃は死んでいたかもしれない。

「で、どうするの?」

「本当なら、助けに行きたいけどね。でも、今の俺達じゃ足手まといだ。」

と、その時森からオークが飛び出て来る。生き残りか!

「マズい、戦闘態勢を!」

武器を構える。

そいつはかなり手負いらしい。瀕死だ。

「ウィンド!」

風で吹き飛ばして倒す。

「おぉ!お前らこんなとこに居たのか!」

森から別パーティーたちが現れる。

「どうしてここに?」

「オークを追撃してたんだ。あんたらは?」

「オークのボスを倒したんだ。そしたらドラゴンが出てきてね……。」

と、洞窟を指差す。

「ドラゴンだって?そりゃ、君たちのパーティーだけじゃ荷が重そうだ。」

「謎の騎士が俺達を逃してくれたんだ。加勢に行きたい。」

「よし、パーティーを集結させよう。全パーティーでかかれば倒せない相手じゃない。」

と、狼煙を上げる。

またたく間にギルドのほぼすべてのパーティーが集結した。

「ドラゴン討伐に行くぞ!」

俺達はドラゴンの居る洞窟へと入って行った。

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