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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第二十章 第四次異世界大戦編
78/80

第七十八話 リインカーネーションの種

最終回まであと二話。

史上最長の文字数となってしまいました……

大変読みづらくなってしまい、申し訳ありません(汗)

 

 アナタはアイドルに『殺して下さい』と言われたことがありますか? ……俺はある。

 

「我が名はバグ……この世界ギルギルを、初期化フォーマットするもの……さあ始めよう、『最終決戦』を!」

 

 俺は目を閉じ、今までの思い出を回顧し、そして目を開ける。

「お前を、この世界ギルギルから、削除デリートしてやるぜっ……バグっ!」

 

「おおおおおおお!」

「はああああああ!」

 

 ボードは無くなり、まさに総力戦となる!

 メンバー達が援護してくれ、俺はバグと一騎打ちに!

 

「光弾属性ハイアナグラム、ヴァーミリオンレイ!」

 ドキュキュキュキュキュッ!

 俺はレベル二千七百になり、クアトログラムまでの魔法なら『無詠唱』で唱えることができるようになっている。

 

「光弾の数が、前よりさらに増えているギャウ!」

「光弾の大きさも、一発一発が『ギガンティックフレア』並みの大きさです!」

 

 シュンッシュンッ!

 光弾がバグの体をすり抜けた⁉

「これは……『当たり判定バグ』か⁉」

 そうだった、バグは全ての『邪道流バグ技』を使うことができると言っていた……

 

「なら、これならどうだ⁉」

 俺の前に巨大な魔法陣が展開……『炎』『炎』『炎』『炎』『炎』『炎』

「ヴァン・ドルン・グスエイド・ヒューパリン・ジス・タイアークフム・ロイド

 炎属性ヘキサグラム、『メガプロミネンス』!」

 

 俺は広範囲の炎属性魔法を唱えた!

 バオオオオオオオーーーーッ

 これだけの広範囲魔法なら、アオイの『アクエリアスフォール』のときのように、小さな当たり判定であっても当たるはずだ!

 

 広範囲に燃え広がる炎の中から、真っ赤に染まったバグが歩いてくる……

「今度は『色バグ』か……」

 属性魔法は、すべてあの『色バグ』で防がれてしまう……

 

「だったら、こういうのはどうかな?」

 俺の前に魔法陣が展開……『炎』『風』『光』『闇』

「練金属性クアトログラム、『アルケミー』!」

 俺の腕の先に、磁石のレールが配置される。

 

 俺の前に巨大な魔法陣が展開……『地』『地』『地』『地』『光』『闇』

「バオウ・ガオウ・レディオン・シンカ・リーデス・アヴダクト・リースナウ・クルド・オーション

 隕石属性ヘキサグラム、『メテオーション』!」

 

「なっ、アタシの『メテオ―ション』を弾体に⁉」

 コズミッククイーンが、俺の方を見て叫ぶ。

「コラボアーツ、『星』+『魔』……名付けて『超電磁メテオキャノン』!」

 ズドオオオオオーーーーッ!

 巨大な隕石を弾体とした『超電磁キャノン』が、バグめがけて飛んでいく!

 

「邪道流バグ技、『極大斥力』!」

 ヒイィィン……

 ヒナタの使っていた『斥力』で、『超電磁メテオキャノン』を止めた!

 ズズ、ズズズ……

 でも『メテオキャノン』の方が威力が上だ……押している!

 

「邪道流バグ技、『極大重力』!」

 ズドンッ!

 そのまま重力をかけて、『メテオキャノン』は地面に落とされた。

「惜しい、もうちょっとだったのに……」

 

「マジギャウか、レベル二千七百のギガっちと互角かよ!」

 神魔もバグの方を見て叫ぶ。

 

 バグが自分の両手を見つめたあと、そのまま俺を睨み、静かに呟く。

「さすがだな、すでにヘキサグラムも『神の言霊』だけで唱えることができるようになっているのか」

「お前に『さすが』って言われても嬉しくないな、全然効いてないし」

 

「連続で唱えられると厄介だ、封じさせてもらう」

 そう言ってバグは、手をかざす。

「邪道流バグ技、『音バグ』!」

 キイィィーーン……

 

「なっ……◎△$♪×¥●&%#?!」

 うわっなにこれ? 喋る言葉が全部『ノイズ』になる、気持ち悪っ……

「これで詠唱は唱えられない……」

 

 だったら物理攻撃に切り替えるだけだ!

「コンボアーツ、『竜』+『魔』……『エクスプロードファング』!」

 ゴアアアァァッ!

 爆発の威力を宿した、気力の刃だ!

「お前、オレの技まで……」

 ドラゴニックキング、その話はあとでね。

 

「ぬううぅっ!」

 ガキィーンッ!

 バグが、持っていた剣で受ける!

 ドガアァァンッ!

「『エクスプロードファング』は、剣で受けてもそのあと爆発する……どうだ!」

 

 あれ? バグがいない……

 シュンッ……

 何もない空間からいきなり現れた……

 これは、『領域外移動バグ』か……?

 

「この私に『領域外移動バグ』まで使わせるとは……ギガンティックマスター、やはりお前は油断ならん相手のようだ」

「お前もまだ余裕があるみたいだな……でも俺は攻撃の手を緩める気はないぜ!」

 とはいえ、さすがに全てのバグ技を使えるとなると、とんでもなく厄介だ、どうする……?

 

「考え事をしている暇はないぞ!」

 シュンッ!

 ドガガガガガガガガーーッ!

 バグが急に肉弾戦に⁉

 

「速いっ⁉ バグの奴あんなに速く動けたギャウか⁉」

「バグは、自分の『フレーム』を抜くことで、いくらでも速くなることができるんです!」

「ヤバいじゃんギャウ!」

 

「いいのかギガンティックマスター、私と接近戦をしていると……」

 バグが異様な構えをみせる。

「邪道流バグ技、『ライフミューティレイション』!」

「やべっ!」

 

 俺は瞬時に反撃!

「『次元刃ジゲンジン』!」

 ザシュッ!

「くっ!」

 

 俺の『次元刃ジゲンジン』は、『ライフミューティレイション』の衝撃波を斬り、バグのマントをかすめた!

「おしいっ!」

「おのれ……」

 

「いいぞギャウ、ギガっちの方が少しバグを押している、このままいけば……」

 その時、バグの前に人影が……

「……! ヒナタ……」

 ヒナタが、バグをかばうようにバグの前に立つ。

 まるで、バグを倒すなら、私を倒してから行けと言わんばかりに……

 

「フフフ……ギガンティックマスターよ、私を倒すのならまずヒナタを殺さねばならない、できるのか、お前に……?」

「バグ、お前……」

 

 俺はヒナタをアナライズ。

(マスター、マスター……)

 やっぱり、心はヒナタのままだ。

(お願いですマスター、私に構わず、バグを倒して下さい!)

「くっ……ヒナタ……」

 

 

 その頃、サモンロード、コズミッククイーン、ドラゴニックキングも、自分達の四天王と対峙。

 

 

 サモンロードVSキャルロッテ

 

「ギャオオオオオンッ!」

 『駒』として乗っていたドラゴンたちが暴走している……

「バグ化した後にさらにバグ化したことで、自我を失い敵味方の区別がつかなくなっている……キャルロッテ、キミも危険だ!」

 

 サモンロードは、キャルロッテをアナライズ。

 俺も一緒に、キャルロッテをアナライズ。

(ロード様、このような姿になってしまい、申し訳ありません……)

 

「キャルロッテ、大丈夫だ、僕が助ける……」

 サモンロードの脳裏には、間違いなく先ほどの神魔の話がよぎっている……

(いろんなプログラムに浸食しているらしく、『誘惑』や『催眠』、『洗脳』の類の技も効果がない、解析するのにはまだまだ相当な時間がかかるギャウ)

 

「キャルロッテを捕獲してバグを倒せば、本当に『バグ化』を解析することができるのだろうか……」

 サモンロードの心配はもっともだ……バグを倒しても、その支配が解除される保証は無いし、いろんな細部のプログラムにまで浸食している『バグの因子』を、全て取り除くのは相当な技術と手間が必要になるはずだ。

 最悪、一生このままという可能性もある。

 

(ロード様……私の、この『バグ化』はもう治すことができないのですね……?)

「くっ……治る、治るに決まっているじゃないか、キャルロッテ!」

 サモンロードの左の眉が少し上がる……

 

(フフ……ロード様、左の眉が少し上がっています……ウソをつくのが、本当に下手ですね……)

「キャ、キャルロッテ……」

 サモンロードにそんな癖があったのか……キャルロッテは、サモンロードから少し距離をとる。

 

(ロード様、死ぬ前にどうしても伝えたいことがあります……)

「何を言っているんだキャルロッテ、諦めるな、僕がキミを必ず……」

 サモンロードが、キャルロッテを捕まえようと、手を伸ばす……

 

(私は、ロード様のことを……)

 

 その時、キャルロッテの後ろから暴走したナイトドラゴンが!

 バクンッ!

 

「キャルロッテーーーーッ!」

 ゴクンッ

「わあああああッ! お前っ! キャルロッテを返せっーー!」

 

 サモンロードの前に魔法陣が展開……『風』『風』『地』『地』『光』

「我に黄金の鱗持つ 雷の竜の力を与えよ 雷の咆哮で 眼前の敵に神の裁きを

 レイ・レイガ・ジン・シーンド・ウェルヴェント・ヌア・シェイン

 雷竜召喚属性ペンタグラム、『サンダードレイク』!」

 サモンロードの上に、巨大な雷竜が召喚された!

 

 サモンロードの前に、巨大な魔法陣が展開……『風』『風』『風』『地』『地』『地』

「バーブーレン・ニーダ・エス・ガダル・ガーダン・オーデ

 キリル・デスト・ベアンナルイル

 闇夜を切り裂く雷光よ 暗黒の大地に立ち上る稲光よ

 この地上に 万の雷よ降り注げ 霹靂不動 悪鬼滅殺……

 万雷属性ヘキサグラム、『テラボルト』!」

 

 ガガガガガガガガガガーーッ!

 サモンロードが召喚した『サンダードレイク』に、『テラボルト』が落ちる!

上位召喚サモンスペリオール、『インドラ』!」

 パアアアァァァ……

 

 『サンダードレイク』は、さらに巨大な『雷神竜』に!

「『マキシマムサンダー』!」

 バリバリバリバリバリバリバリバリーーーーッ!

 

 万の雷を受けたナイトドラゴンは、真っ黒こげになり、その場に落ちる……

 

 ドラゴンの死体に駆け寄ろうとするサモンロード。

「よせロード……たとえ見つかったとしても、もう……」

 泣きながら、魔女のエスタとガンドルフが、サモンロードを抑える……

 

「くっ、キャルロッテ、キャルロッテーーッ……うあぁぁ……」

 

 

 コズミッククイーンVSリン

 

 コズミッククイーンが、リンをアナライズ。

 俺も一緒に、リンをアナライズ。

(クイーン、来るな、オレに近づかないでくれっ!)

「いやよリン、必ずアナタを助ける……」

 

 リンの『ネビュラガーデン』から伸びた薔薇の蔦が、鞭のようにコズミッククイーンに襲い掛かる!

 バシッバシィッ!

「ぐっ……」

 

 リンの薔薇の蔦に捕まって、リンに触れられたら、体中から蔦や花があふれてやられてしまう。

 でも、リンを攻撃できないコズミッククイーンじゃ、どうすることもできない……

 

 近くにいたアイカが、剣を抜き、構える。

「コズミッククイーンさん、アナタでは無理です、ここは私が……」

 前の『四天王戦世界大会』で、リンを破った実績があるアイカなら……

 

「やめてっ、お願い、リンを殺さないで……彼を、愛しているの……」

「コズミッククイーンさん……」

 泣きながらアイカに懇願するコズミッククイーン……

 いつもはクールなコズミッククイーンの、あんなに取り乱した姿を見るのは初めてだ……でも、それだけリンのことが好きってことなんだな。

 

「邪道流バグ技、『ネビュラガーデン・拡張エクステンション』!」

 ズアアアアァァ……

 リンの『ネビュラガーデン』の範囲がさらに広がって、半分以上のメンバーが薔薇の蔦に捕まってしまった!

「うわあああ」

「キャーー」

「コズミッククイーンがあんなに悩んでいるのに、お構いなしかよ!」

 

「くぅ……」

 マズイ、コズミッククイーンも薔薇の蔦に捕まっている、このままじゃ……

 

 リンが、コズミッククイーンに触れようと、飛んでくる!

(だ、誰か、オレを止めてくれ! このままじゃ、オレはこの手でクイーンを……)

 

 コズミッククイーンは覚悟を決め、涙を流しながら、目を閉じる……

 

 その時!

 ドスッドスッドスッ!

 

「ガハッ!」

 カケル、リュウセイ、ヨシキの三人が、リンの体を剣で刺し貫いた!

「すまない、リン……」


「みんな……ありが、とう……」

 ドサッ……

 涙を流しながら謝るカケル、リュウセイ、ヨシキ……

 

「いやーーーーーーっ! リン、リーーーーンっ!」

 アイカに蔦を切ってもらい、自由になったコズミッククイーンは、一目散にリンの元へ。

 リンを抱きしめながら、泣き叫ぶコズミッククイーン……

 その手は、リンの血で真っ赤に。

 

 どうやら、死ぬ間際にはバグ化していても、少しの間自分の意思で話せるようだ……

「クイーン……無事で、よかった……」

 ガクッ……

「リン、いやだ、リン、お願い目を開けて、返事をして! リーーーーンッ!」

 空に、コズミッククイーンの悲痛な叫び声が響く……

 

 横にいたカケル、リュウセイ、ヨシキの三人は、コズミッククイーンの前で膝まづく……

「クイーン、アナタの命令を無視して、オレ達はリンを止めた……

 どんな罰も甘んじて受ける、たとえ死刑になっても、文句は言わない……」

 

 リンを抱きしめ、泣いていたコズミッククイーンが、三人の方を向いて静かに話し出す。

「そんなこと、私にできるわけないでしょ……

 だって私は、アナタたちのことも、リンと同じくらい愛しているのだから……」

「クイーン……」

 

 

 ドラゴニックキングVSリュオン

 

 ドラゴニックキングは、リュオンをアナライズ。

 俺も一緒に、リュオンをアナライズ。

(実は今私の体は、前の戦闘の後遺症で、すでにボロボロ……歩くのもままならない状態だ)

 そうだったのか、全くそんな風には見えない、なんて凄まじい精神力……

 

(私を倒すのなら、今だ!)

「ぐっ……」

 自分に対しての怒りなのか、悔しさなのか、ドラゴニックキングは歯に力を入れ過ぎて、口から血が出ている……

 

「みんなどけっ、リュオンは、オレがやる……」

 覚悟を決めたのか、ドラゴニックキングは剣を借り、リュオンの元へ。

 

「リュオン、お前はオレの家族も同然だ……なら、家族の不始末は、家族であるオレがつける」

(キング、お前ならそう言うと思っていた……)

 ドラゴニックキングとリュオン、二人の間には、きっと見えない絆があるんだな……

 

「邪道流バグ技、『ヘビーグラフィックフィールド』!」

 ウウゥゥゥン……

 心は正常でも、バグの命令には逆らえない……リュオンはドラゴニックキングにバグ技を繰り出す。

 

「くっ……」

 『ヘビーグラフィックフィールド』は、プログラムに負荷をかける技だ……

 転移者であるドラゴニックキングには効果はないが、装備や剣には負荷がかかり、著しく動きを制限している。

 

 ズズ、ズズズ……

 剣を引きずりながらも、ドラゴニックキングはリュオンの前に。

 リュオンはその場で膝まづく……もう体が限界みたいだ。

 

「リュオン、オレがミスったりドジったりしたとき、いつもお前がかばってくれた……お前は、オレを恨んではいないのか? オレのせいで、いつもお前は損な役回りばかりだった」

(フ……)

 リュオンが、少し微笑んでいるように見える……

 

(『無償の愛』……それが家族というものだ。

 私は、お前を恨んだことなどこれっぽっちもない……

 私は、お前をかばったり、お前の役に立つことができて、本当に嬉しかった)

「リュオン……」

 レイザも、ドドムも、アミサーも泣いている……

 血は繋がっていなくても、やっぱりあいつらは家族なんだな……

 

(しかし私がいなくなれば、これから先、少しだけお前は大変になるかもな……)

「……」

 無言で、リュオンの心の中の話を聞き続けるドラゴニックキング。

 その目からは、血の涙が流れる……

 

(頼む、これはお前が持っていてくれ……)

 そう言ってドラゴニックキングに渡したのは、『地母竜のウロコ』だった……

 

「これは、お前の母親の形見……」

(キング、お前に持っていてほしいんだ……

 この『地母竜のウロコ』は、『三種の竜神器』の一つ、いつか必ずお前のことを守ってくれるはずだ……)

「リュオン……こんな時までお前は、オレの心配を……」

 

(覚悟は決まっている、さあ、やってくれ!)

 リュオンは、静かに目を閉じる。

 

 剣を構え、目を見開くドラゴニックキング。

「リュオン、あの世で先に待っていろ、生まれ変わったら次もオレ達は『家族』だ、いいな!」

 またリュオンが、少し微笑んだように見える……

 

 ザシュッ!

 

「キング、私にとどめを刺したのが、お前でよかった……」

 ガクッ……

「リュオン……うおお、うおおおおおおおおおおーーーーッ!」

 空に、ドラゴニックキングの慟哭がコダマする……

 

 

 ギガンティックマスターVSヒナタ

 

「ヒナタ……」

 俺はヒナタをアナライズ。

(すみませんマスター、今のアナタなら私を倒せるはず、お願いです攻撃を!)

「俺は……攻撃はしない」

 

「邪道流バグ技、『極大重力』!」

 ズシンッ!

「ぐっ……」

 俺に、とてつもない重力がのしかかる……

 

(マスター、私は今バグ化しているのですよ、世界の崩壊に加担しているんです!)

「……」

 

「邪道流バグ技、『極大重力』!」

 ズズシンッ!

「ぐうぅっ……」

 さらにとてつもない重力がかかる……俺は動かない。

 

(このままだと、私はマスターを殺してしまいます、死んでしまってもいいんですか⁉)

「……」

 

「邪道流バグ技、『極大重力』!」

 ズズズシンッ!

「が……ぐうぅっ……」

 俺はさすがに立っていられず、その場に膝まづく……

 俺の足元は、連続の『極大重力』のせいで巨大なクレーターとなっており、周りのメンバーたちも、『極大斥力』のせいで近づけない。

 

(マスターすみません、マスターが死んでしまったらこの世界はどうするのですか? メンバーたちは?)

「……」

 

 ヒナタは、懐の短刀を抜いて、俺の方へ歩く……

 ヒナタが、俺の目の前へ。

 シャキンッ

 

(くっ……体が……マスター、逃げて下さい……)

 ヒナタは、震える手で短刀を頭上に振り上げる。

 後ろで見ているバグが、ヒナタに命令する。

「無駄だ、私の『バグの因子』は絶対……私の命令は絶対だ、やれヒナタ!」

 

(お願いですマスター、私を……殺してください!)

 

「言ったはずだヒナタ、俺はたとえお前に殺されたとしても、お前を許すと!」

 

 俺は、ヒナタとの思い出を回顧する……

 

「すみません、ありがとうございます」

 謝っちゃうのがクセなんだな、きっと。

 

「ごめんなさい、私、私無理です!」

「ヒナタ! 一人は危険だ、ヒナタ!」

 

「大丈夫だ、俺を信じろ!」

「……マス、ター? どうして?」

「大丈夫だヒナタ、俺はお前が噓をついても、逃げだしても、たとえ俺を裏切ったとしても許す」

「えっ?」

 

「し、心配ない、いいかヒナタ、自分の命にかかわる時は逃げていいんだ……まず自分の命を第一に考えろ」

「ヒナタ、自分が生き残るためなら俺を騙しても構わない、俺はそのすべてを許す」

「……ッ」

「だから俺を『信じろ!』」

「はい、はい! 私……あなたを、マスターを信じます!」

 

「やったなヒナタ、今お前のレベルキャップは外れたようだ……お前の『信じる』というキーワードでな」

「『信じる』……というキーワード?」

 

(この人なら、私を許すと言ってくれたマスターなら……『信じられる』!)

 

「私たちが星だとしたら、マスターはまるで太陽ですね」

 

 

 俺は覚悟を決めて、目を閉じる……

(マスター……)

 

 アイカやメンバーたちが叫ぶ!

「マスターーーーッ!」

 

 ドシュッ!

 

 ヒナタの短刀は、俺ではなく、ヒナタの腹に突き刺さった!

「な⁉ ヒナターーーーッ!」

 

 力なく倒れるヒナタ、俺はヒナタを抱きとめる……

 俺の手も、ヒナタの血で真っ赤に……

 

「ヒナタ、ヒナタ、しっかりしろっ!」

「ああ、マスター、よかった、マスター……」

「喋れるのかヒナタ? お前なんでこんなことを……」

 

 一部始終を見ていたバグが、信じられないといった表情で俺とヒナタを見る。

「バカな……

 私の命令は絶対だったはず……なぜヒナタは、命令を無視し、自分を刺したのだ?」

 

 神魔が、俺の代わりにバグに叫ぶ!

「バグ、これが『愛』の力だギャウ!」

 

「『愛』? 『愛』だと……?

 確かに、ヒナタをバグ化したとき、一部のプログラムの中に真っ白な空間があった……

 取るに足らないと思い無視したが、ひょっとして、あの真っ白な空間に、白い字でプログラムが書かれていたとしたら……まさか、あれが『愛』……?」

「ギャウ、『誰も読むことができない、自分だけの想い』……それが『愛』だ!

 バグ、たとえお前でも、ヒナタの『愛』を書き換えることはできないギャウ!」

 

「くっ……ふざけるな、そんなものが……」

 あのバグが、ワナワナと怒りで震えているのがわかる。

 

 俺はヒナタに『エクスヒーリング』をかけるが、バグ化のせいか回復速度が異常に遅い、このままじゃ……

「マスター、ああ、マスター……すみません、今まで、ありが……」

「ヒナタ! 死ぬな! ヒナターーーーッ!」

 

 

 メギード王VSネネ

 

 メンバーの後方から叫び声が聞こえる……

 この声は、『回復魔導士ヒーラー』のネネだ。

 ファルセイン城から、俺たちを支援するために来てくれたのか?

 

「ケガをした方はこちらへ、私が治療します!」

 ヒーラーは一人でも多い方が助かる、混戦状態の今なら、なおさらだ。

 

 ズシン、ズシン……

 それを見ていたレイブンが、ネネに襲い掛かる!

「ネネ、危ない!」

「キャーーーー!」

 

「やめろレイブン、ネネを離せ!」

 レイブンは、掴んでいたネネを放り投げ、異様な構えをみせる。

「テメーもギガンティックマスターのメンバーだな……

 もうすでに、お前ごときザコがしゃしゃり出ていい状況じゃねぇんだよ、とりあえず死んでおけ! 『ライフミューティレーション』!」

 

 ザシュッ!

 

「ガハッ!」

 レイブンの技を食らったのは、メギード王だった!

「メギード王⁉」

「メギード様⁉」

 メギード王が、ネネをかばい、レイブンの技を受けてしまった……

 

「また私の命令を……いったいどうなっている⁉」

 あのバグが、混乱している……?

 

 メギード王は、体から血を吹き出しながらも、レイブンを睨みつける。

「余は王だ!

 ファルセイン王国民には、絶対に手出しはさせん!

 これが余の、『何ものにも譲れぬ、たった一つの誇りプライドだーーーー!」

 

 バタッ……

 メギード王は力尽き、膝から地面に落ち、うつぶせに倒れる……

 

「メギード様……」

「おぬしが無事でよかった、ネネ殿……

 ギガンティックマスター殿、ネネ殿……ファルセインを、頼む……」

 ガクッ……

 

「くっ、メギード王……」

 ファルセイン王国民であるネネを救い、メギード王は絶命した……

 自分の誇りプライドに恥じない、王として立派な最後だったと、俺は思う。

 

 またも神魔が、ここぞとばかりにバグを責め立てる!

「どうだギャウ、これがお前が『ただの駒』だと言っていた、人間たちの力だ!

 今まさに、オレ達に『奇跡』が起こりつつある……『希望』という名の『奇跡』が、ギャウ!」

 

 混乱し、うつむいていたバグが、突然顔を上げ笑い出す。

「フ、フフハハハ……

 もういい、ここらで終わりとしよう。

 『愛』だの、『誇り』だの、『奇跡』だの、もう聞き飽きたわ……

 全て下らぬ、笑えぬ、話にならぬ!

 究極の力でお前たちを叩きのめし、この世界を『絶望』で満す! それだけが我が望み!」

 

 

 バグは、亜空間からまた別の『究極体』を出してきた!

 バグはその『究極体』に触れる……

「バグ化!」

 

 バキバキバキバキバキバキバキ……

 ただでさえ異形だった『究極体』は、バグ化によりさらに異形な形に……

 

「『転魂術』!」

 

 バグは『転魂術』で、自分の魂を『究極体』へ。

 『究極体』の目が開く!

 カアッ!

 

「どうだ……この『究極体』も、最高のステータスに、全ての魔法を操り、無限に再生する。

 さらに『オリハルコンの鎧』を装備し、全ての『バグ技』も使える、まさに究極の体……名付けて『バグ・アルティメット』だ!」

 

 バアアアァァァァーーーーッ!

 少し浮いただけで、もの凄い突風が吹き荒れる。

 見たこともないほどの巨大なオーラがその体を包み、体の中は凄まじい量の魔力が迸っている……

 

「『バグ・アルティメット』……まさに『ラスボス』って感じギャウ……」

 さすがの神魔も、少しビビってる。それほどの威圧感……

 

「この『バグ・アルティメット』、レベルに換算すれば三千相当になる……

 ギガンティックマスターよ、たとえお前でも、今のこの私を屠ることは不可能だ!」

 レベル三千相当……

 バグのやつ、とうとう本気を出してきやがった。

 

「レベル三千って……」

 さすがの屠りしものたちやメンバー達も、顔に絶望の色が……

 でもその中で、一人だけまったく絶望していない顔のやつが……

 

 神魔がパタパタと、俺のそばに近づいてきた。

「ギガっち、今こそもう一つのとっておき、『リインカーネーションの種』を使う時ギャウ!」

「『リインカーネーションの種』……?」

 そう言えば、『株式会社エイトインフィニット』で会議したとき、神魔がそんなワードを話していた……

 

 神魔は懐から、小さな『種』のようなアイテムを取り出した。

「神魔、『リインカーネーションの種』って、一体……」

「いいからこれを食べるギャウ、食べればわかるギャウ!」

 

 神魔に無理やり『リインカーネーションの種』を口に入れられる俺……

 ゴクンッ

 パアアァァァ……

「こ、これは……」

 

「十分間だ、ギガっち、十分間で何とかしろギャウ!」

「わ、わかった」

「本当はギガっちを安全に守る、なにか『シェルター』みたいなものがあればいいんだけどギャウ……」

 

 神魔がそう言った直後、アラクネのユイが俺の後ろに。

「アラクネ流操糸術奥義、『結界の繭』!」

 ブワワワヮヮヮヮ……

 

 アラクネのユイの指から大量の糸が出てきて、俺を包んでいく……

「これは……?」

 俺はユイが作った魔力の糸の繭の中に。

 

「この繭は私の全魔力を注いで作った結界です、たとえ魔界の王であっても、そう簡単には破れません」

「よし、その繭の中なら安全ギャウ、でかしたユイ!」

 神魔がメンバー達に檄を飛ばす!

「みんな、十分間でいい、全員でギガっちを守るギャウ!」

「はい!」

 

 

 ◇神魔side

 

 ズシン、ズシン……

 一部始終を聞いていたレイブンが、ユイに近づく。

「フッ、そうか……

 なら全魔力を使ってしまっている今のお前は、ただのニンゲンの女と変わらないってことだな?」

「……」

 

「じゃあさっさとこの結界を解け! 死にたくなかったらなぁーー!」

 ドカァッ!

「キャーーーー!」

 レイブンは巨大な足でユイを蹴り飛ばす!

「ユイーー! ギャウ!」

 オレはパタパタとユイの元へ。

 

「くっ……たとえ殺されても、この結界は死守します!」

「ああそうかよ、じゃあここで死んじまえっ!」

 レイブンが手刀でユイを攻撃!

 

 ガキィーーンッ!

 

 アイカが、剣でレイブンの攻撃を受ける。

「アナタの担当は、私だと言ったはずです、レイブン!」

「テメー、この邪魔女……今度こそお前をぶっ殺して、ギガンティックマスターでもわからねぇくらいにバラバラにしてやるぜぇ!」

 

 

 『バグ・アルティメット』が、全ての自分の部下に命令を下す!

「全員、あの繭を攻撃だ! ギガンティックマスターを『絶望』で満たせッ!」

「うおおおーーーーッ!」

 

 オレはパタパタと空を飛び、メンバー全員を鼓舞する!

「そんなことはさせないギャウ! オレ達の希望、ギガっちとユイをなんとしても守り抜くんだ!」

「はい!」

 

 襲い来る残りの十三人衆と三体の究極体、それに無数のバグ化したドラゴンとウォリアー達……

 それを迎え撃つは、『異世界あいどる・はーと』のメンバー達!

 

 

「いくよ、新装備『星槍・星おとし』!」

 ランが、新装備『星おとし』を回しながら、攻めくるウォリアーを迎え撃つ。

 ガガキィンッ!

 

 ランが、『星おとし』を空高く投げ飛ばす!

 ランの前に巨大な魔法陣が展開……『風』『風』『地』『地』

「右に雷電 左に閃光を持つものよ 空を裂き 大地を割れ 汝が名は轟雷

 千雷属性クアトログラム、『ギガボルト』!」

 ガガガガ!

 

 ランが放った雷属性魔法を受けた『星おとし』は、巨大な『雷の剣』となり、ウォリアーに落ちる!

「新アドバンスドアーツ、『タケミカヅチ』ッ!」

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリーーーーッ!

 

 ドサッ

 『タケミカヅチ』を受けたウォリアーは真っ黒焦げとなり、その場に倒れ、ピクリとも動かない……

 

 

「来て、マグマドラゴンちゃんたち!」

 ドワーフのエマが、ハンマー片手に地面に話しかける。

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

 ドバァーーーーッ!

 地面のあちこちから、二十体以上のマグマドラゴンが飛び出してきた!

 

「『ボルケーノトリガー』!」

 目の前まで進軍してきたビショップドラゴンに、エマの技が発動すると、それにつられてマグマドラゴンたちが襲い掛かる!

「新アドバンスドアーツ、『ドラゴニックスーパーノヴァ』!」

「バオオオオオオオーーーーッ!」

 融合し、巨大なドラゴンとなった二十体以上のマグマドラゴンたちは、とてつもない爆発と火柱をあげ、ビショップドラゴンを消し炭にする。

 

 

「私の新必殺技も、お見せしますよ――!」

 そう叫ぶのは、人間の姿で走り回るスライムのヒフミだ。

 手には何か本を持っている……何々? 『世界拷問器具百科』だって⁉

「ネット通販で買った、この本に載っている器具で新必殺技を開発しましたよーー!」

 

 ブワワワワワ……

 スライムのヒフミは、スライム状になり、ウォリアーを包み込む……

「イマジネーショントレース……新アドバンスドアーツ、『致命的処女クリティカルメイデン』!」

 

 バクンッ!

 たくさんの針がついた鋼鉄の入れ物に変身したヒフミが、ウォリアーを閉じ込めた!

 バシューーーー……

 マリアの意匠が施されたその器具から、大量の血が噴き出す……

 現実世界の中世ヨーロッパで、実際に使われていたという拷問器具、『鉄の処女アイアンメイデン』を参考にした技か……こわっ!

 

 

「『鬼の民の廃墟』で見つけた『三種の鬼神器』の力を、見せるときが来たようです!」

 デザートゴーレムに乗って現れたのは、『砂の民』と呼ばれているノノだ!

 その首にかかっているペンダントには、『三種の鬼神器』の一つ、『鬼神帝の涙オーガティアー』がはめられている!

「デゴちゃん、パワーアップ!」

 パアアァァァ……

 

 パワーアップしたデゴちゃんは、さらに巨大に、さらに強そうになってる!

「名付けて、『ヌーベルデザートゴーレム』!」

 

 その『ヌーベルデザートゴーレム』に、ルークドラゴンが襲い掛かる!

「デゴちゃん、『ゴーレムあごクイ』!」

 グインッ!

 デゴちゃんはルークドラゴンのアゴを掴むと、グインと上にあげた!

 

「デゴちゃん、『ゴーレムハエ叩き』!」

 バガアァァーーーーンッ!

 凄まじい爆音とともに、ルークドラゴンは地面にめり込んだ!

「前より、技も激しくなっているギャウ……」

 

 

 ダークエルフのルイが、後方から弓を構え、魔力を高めている。

「はあああ……通常の一万倍の威力の、オレの『ダークマターアロー』をくらえ!」

 バシューーーーンッ!

 

 ガキィンッ

 ウォリアーの剣に弾かれた!

「なにっ⁉」

 マジか! 通常のダークマターアローでさえ、城壁を貫通する威力なのに……

 

「ふうぅぅ……通常の技じゃ足りないってことか、なら……『極大闇分身』!」

 ズアアアァァァ……

 ええー⁉ ルイが、今まで見たことがないくらいの大人数に分身した!

 

「一万倍の『ダークマターアロー』を、一万人の分身で放つ……

 名付けて『閻魔王 億裂矢』!」

 ドドドドドドドドドドドドドーーーーッ!

 もの凄い量の矢が、ウォリアーめがけて放たれる!

 

「どうだ!」

「いや、もうとっくにウォリアーは、ピクリとも動いていないギャウよ……」

 

 

 ビュウウゥゥゥ……

 突然、もの凄い突風が吹き荒れる……空を見上げると、ナーガのカオルが空に浮いている!

「私に『笑顔』と『進化』をくれた、マスターのことを傷つけることは許しません!」

 天気を操ることができる、神獣ナーガ……その真の力を開放するのか?

 

「晴れよ 曇りよ 雨よ 雷よ 雪よ 霧よ 突風よ 嵐となれ」

 ズオオオォォォ……

 なんか、いろんな色の魔力がカオルに集まって、渦を巻いている……

 

「新アドバンスドアーツ、『レインボウストーム』!」

 ガガガガガガガガガガガガガーーーーッ!

 いろんな色の魔力が渦となり、敵のナイトドラゴンを吹き飛ばす!

 ズズゥン……

 

 ズタズタになったドラゴンは、地面に落ち、沈黙……

 

 

「『サジタリアスの弓』、レディセット!」

 マフユが弓を構える……でも、狙っているのは敵じゃなくて……空?

「新アドバンスドアーツ、『破邪・射手座流星群』!」

 

 バシューーーーン……

 勢いよく飛び出した矢は、空の雲に吸い込まれた……

 ピカーーーーンッ

 ドシュシュシュシュシュッ!

 

 サジタリアスの矢が入った個所から、無数の光の矢が降り注ぐ!

 まったく予期していなかったウォリアー達は、次々と倒されていく。

「マフユすげぇ……いつの間にこんな技を、ギャウ」

 

 

 ライカンスロープのフタバが、跪き、祈りをささげている……?

「け、獣の民の守護神、『億獣王』さま……私に、ち、力をお貸しください……」

 

「フタバが身に着けている装備、初めて見るギャウ……」

「あれは『三種の獣神器』のうちの二つ、『億獣王の爪』と、『億獣王の尻尾』です。獣の民の酋長が、フタバに使ってほしいと贈ったものです」

 マフユが教えてくれた。

 

 ヒュウゥゥゥ……

 フタバに風の魔力が集まっている?

「『億獣王の尻尾』、か、風を集めて……『風神脚』!」

 パパパパパパパパパパーーーーッ

 フタバが、目にも止まらぬ速さでドラゴンに攻撃!

 

「新アドバンスドアーツ、『億獣王・疾風斬爪おくじゅうおう・しっぷうざんそう』!」

 ザンッザンッザンッザシュッ!

 あまりの速さに、ドラゴンは斬られたこともわからず、静かにその場に倒れる。

 

「恐るべし、三種の獣神器ギャウ……」

 

 

「フウカさん、お願い!」

「あいよ!」

 投擲士フウカの元へ駆けていくのは、バーサーカーのヒビキだ!

 

「『ベルセルク』! ……がああぁぁーー!」

 ヒビキの新アドバンスドアーツ、『ベルセルク』……

 ヒビキの『クレイジートランス』の強化版で、理性の力で『狂暴化』のパーセンテージを調整、必要な時だけ必要な力を引き出すことができる。

 

 ガシィッ!

 フウカが、そのヒビキの手を掴んだ。

「私は、この手に掴んだものは、どんなものでも投げることができます……いくよ! 『ギガンティックスイング』ッ!」

 ブンブンブンブンブン……バシューーーーッ!

 フウカはヒビキを振り回した後、そのまま勢いよく敵めがけてブン投げた!

 

「今だ、百パーセント! 新レゾナンスアーツ、『ユグドラシル倒し』ーーーーッ!」

 バガァーーーーンッ!

 

 まさに『神の大樹ユグドラシル』を切り倒すかのごとく、敵のウォリアーを真っ二つに!

 ズズゥン……

 

「これまた、豪快な技ギャウ……」

 

 

 今度はケンタウロスのモモが、フウカの元へ。

「次は私を、お願いします!」

「どんとこーい!」

 

 フウカは、モモにゴムのような装置を取り付け、グイ―ンと引っ張る。

「いくよっ! 『ギガンティックカタパルト』ッ!」

 バシューーーーンッ!

 勢いよく飛び出したケンタウロスのモモは、自身の推進力も加えて音速を超え、まるで『ジェット戦闘機』のように突撃する!

 

「新レゾナンスアーツ、『ニーベルングの衝撃ニーベルングインパルス』!」

 ズドォーーーーッ!

 巨大なルークドラゴンに、風穴を開けた!

 


 巫女のコスプレをしたサキュバスのアキラの方に、暴走したドラゴンが襲い掛かる!

「アキラ、危ないギャウ!」

「大丈夫です」


 アキラの前に魔法陣が展開……『炎』『炎』『風』『風』『光』

「光と幻想 音と幻惑 真実より目を逸らし その者を二度と抜け出せぬ月の微睡みの中へ落としたまえ

 オーノス・タリア・ブラキオ・アルタ

 シーメイズ・オルトラノ・フレンベル・ケイジ

 幻術属性ペンタグラム、『ギガイリュージョン』!」


 パアアアァァァ……


「こ、これは、ギガっちがナマズエと戦った時に使った幻術属性のペンタグラム、ギャウ?」

「ガオオオォォッ!」

「ギャウウゥゥッ!」

 完全に混乱したドラゴンたちが、同士討ちを始める……


「ナマズエの時は、魔法の相殺に使っていたからわからなかったけど、実はこんなに恐ろしい魔法だったギャウな……」


 

「ウフフフフ……妾の魔法の餌食になるのは、誰かの?」

 もの凄い魔力が集中している……あれは、メデューサのクレアだ!

 頭の『ウィッグ』が、なんか大変なことになっているけどーー?

 

「マスターが作ってくれた、『蛇頭のウィッグ』じゃ……

 魔法で生きた蛇を移植した、特注の『ウィッグ』……今妾の魔力は爆発寸前じゃ!」

 メデューサが、本来の全ての魔力を取り戻した姿ってわけか!

 

 クレアの前に巨大な魔法陣が展開……『水』『風』『地』『地』『地』『地』

「アレク・アラン・アブドル・シリガス・ヴァーバル・ソナー・アブソル・クリアレンス・デスオネスティ

 二十億年の記憶持つ 雄大なる断崖絶壁よ その地殻変動 地層隆起の力 今ここに 大いなる力持ちて 穢れしものを 地獄へ送りたまえ……

 大渓谷属性ヘキサグラム、『グランドキャニオン』!」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 ドガガガガガアアァァーーーーッ!

 

 もの凄い広範囲に渡り、地面が脈動し、衝撃波が走る!

 『グランドキャニオン』発動後の場所は、巨大なクレーターになり、岩石に埋まったウォリアーやドラゴンが多数……

 

「ギャワワワ、こんなのもう一度使ったら、地図から『劇薬の洞窟』が無くなっちまうギャウ……」

 二代目『マップシェイバー』誕生か……?

 

 

「グレイシャルアーム、グレイシャルレッグ!」

 バキィーーーーンッ

 ナナの右手と右足に、氷でできた装備が!

 

「ギャウ、ナナ、それは一体……?」

「氷の民のフリージアさんが、私の体に『置き土産』をしていってくれたみたいですぅ」

 氷属性が得意なナナと、氷の民フリージアの技、これは……

 

「いっきますよーーーー、はああっ!」

 バキィッ!

 ドガァッ!

 バキバキバキバキーーーーッ

 ナナが攻撃した箇所が、凍りついていく……

 

「新アドバンスドアーツ、『アブソリュートゼロ』!」

 バキバキバキ……バキィーーーーンッ!

 ナナに攻撃されていたドラゴンは、体ごと氷塊の中に……

 

「はいやーーーーっ!」

 バゴンッ! バラバラバラバラ……

 ナナのキックを受け、氷ごとドラゴンはバラバラに……

「ナナ、お前スゲーギャウな!」

 

 

「今何分たったギャウ⁉」

「まだ三分間しかたってません!」

「ギャウ、みんなあと七分間、なんとか凌ぐギャウ!」

 くっ、敵の数が多すぎる……倒しても倒しても、沼の中から次々とウォリアーとドラゴンが出てくる。

 

 バキバキバキバキバキ……

 バグが、数体のドラゴンに触れると、ドラゴンはさらにバグ化、

 ドラゴンたちは、暴走し、共食いを始めた!

 バクッ、バクンッ!

「ギャオオオゥゥゥ……」

 

「ギャワワワ、いったい何をしているギャウ……?」

 バグが、共食いをしているドラゴンを見ながら、得意げに話す。

「フフフ、共食いをして最後に残ったこのドラゴン……『暴走竜』と名付けようか」

「ぼ、『暴走竜』ギャウ……?」

 共食いをして、さらに狂暴化したドラゴン……他のドラゴンより、明らかにパワーアップしている!

「いけっ『暴走竜』! ザコ共を蹴散らすのだ!」

 

「そうはいかないとよ、べロスちゃん、ヒュドラちゃん!」

 アカネが、べロスとヒュドラで暴走竜を牽制!

 

「フッ、その前に、まずは目障りなその二匹が先だな……魔獣との絆、それもまた、私が忌み嫌うものの一つだ」

 バグは振り返り、べロスとヒュドラをターゲットに!

「しまっ……」

 

 

「邪道流バグ技、『強奪パクる』!」

 ガカァッ!

 

 まるで時が止まったかのように、周りは静まり返る……

「ギャオオオオォォーーーーンッ!」

「シャシャシャアアアーーーーッ!」

「ま、まさか、べロスとヒュドラが『強奪』されたギャウ⁉」

 

「あ、あああ、べロスちゃん、ヒュドラちゃん……」

 力なくうな垂れるアカネ……

 前回の悟空将の三猿の時と同じように、強奪された魔獣は、それまでの『信頼』や『友情』すらも強奪される。

 もうべロスやヒュドラが、アカネの元に戻ることは無いということに……

「そんな、べロスちゃん、ヒュドラちゃん、私のせいで……」

 

 

「これで目障りな魔獣どもはいなくなったわけだな……やれ、『暴走竜』!」

 バグの命令で、狂暴化した暴走竜が、アカネめがけて襲い掛かる!

「危ないギャウ、アカネーーーーッ!」

 

 その時、メンバー全員の頭に、声が響く……

(アカネ、今までありがとう……)

 

「えっ……? 今の声は、べロスちゃん……?」

 アカネが不思議そうに呟く……べロスとヒュドラは、バグに『強奪』されたはずなのに?

 べロスとヒュドラの体が、真っ赤に光り輝きだす……

「ガオオオオオーーーーンッ!」

「シャアアアアーーーーッ!」

 

 後方で戦っていたサキュバスのアキラが、アカネの元に来て、涙を流しながら話す……

「アカネさん、黙っていてすみません……

 実は、べロスちゃんとヒュドラちゃんには、『強奪』されたとき自動的に『強制催眠』が発動するようにしていました」

「『強制催眠』、とよ……?」

 

「はい、べロスちゃんとヒュドラちゃんは、もし自分たちが三猿のときのように『強奪』されたら、自分たちがアカネさんを殺してしまうかもしれないと言っていました」

「べロスちゃんとヒュドラちゃんが……?」

「もしそうなったら、自動的に『ファイナリティアーツ』を使用するように、『強制催眠』をかけてくれと懇願されました」

「そんなっ! 使えば死んでしまう、『ファイナリティアーツ』を……⁉」

「自分たちがアカネさんを殺してしまうぐらいなら、その方がいいと……」

 

 アカネは泣きながら、べロスとヒュドラの方を見たあと、またサキュバスのアキラを見る。

「アキラ、あなたもひょっとして、魔獣の話を聞くことができるとよ……?」

「はい……アカネさんほどではありませんが、少しだけ魔獣の話を聞くことができます」

「そうだったとよ……」

 

 

「ガオオオオオーーーーンッ!」

 べロスの体に、大量の『魔力』と『魔粒子』が流れ込んでいる!

「あれは、ケルベロスのファイナリティアーツ、『ロードトウパーディション』!」

 ガガガガガガガガーーーーッ!

 地面に巨大な地獄への穴が開き、ウォリアー達を引きずり込んでいく……

 

「シャアアアアーーーーッ!」

 今度はヒュドラが、体中にまるで刃物のような暴風を纏う!

「これは、ヒュドラのファイナリティアーツ、『ヒュドラサイクロン』!」

 ギュルギュルギュルギュルーーーーッ!

 ヒュドラ自身が竜巻のようになり、敵のドラゴンに巻きつき、風の力でズタズタに引き裂く!

 

 ズズゥン……

 べロスとヒュドラは、力を使い果たし、その場に倒れこむ。

 アカネが走り、べロスとヒュドラの元へ……

「べロスちゃん、ヒュドラちゃん……ううぅ……」

 ポロポロと涙を流すアカネ。その涙は、べロスとヒュドラの顔にも落ちる……

 

 ヒュドラが、口をパクパクさせている……

(私は、あのハイエナと一緒にいるときは、ニンゲンのことが嫌いでした……

 アカネ、私をあのまま『ニンゲン嫌い』にしないでくれて、ありがとう……)

「ヒュドラちゃん……」

 

 べロスも、最後の力を振り絞りながら、アカネに訴える……

(審判の塔で、ボクのことをかばってくれたのはアカネだったね……

 アカネ、ボクをずっとニンゲンが好きでいさせてくれて、ありがとう……)

「べロスちゃん……うぅ……」

 なぜかオレも、メンバーもみんな、べロスとヒュドラの心が読める……

 

(アカネ、大好きだよ……)

 

「ベロスちゃーーーーん、ヒュドラちゃーーーーん、うわああぁぁん……」

 パアアァァァ……

 その時、べロスとヒュドラ、二体の死体は光の粒子となり、そのままアカネの体の中へ……

「こ、これは……?」

「アオイとクラちゃんの時と同じ……『転魂獣魔装ビーストフュージョン』ギャウ⁉」

 魔獣と真に意思を疎通させた者だけが辿り着ける、ビーストテイマーの秘儀……

 

 アカネの右腕には『ケルベロス』エンブレムが、

 左腕には『ヒュドラ』のエンブレムが刻まれた。

 

「ありがとう、べロスちゃん、ヒュドラちゃん……」

 アカネは、泣きながら自分の両腕を抱きかかえる。

 

「グアアアオオオッ!」

 バグが狂暴化した『暴走竜』が、アカネに襲い掛かってきた!

 

「いくとよ、べロスちゃん、ヒュドラちゃん……」

 アカネは涙を拭き、魔力を集中させる……

 ヒイイィィン……

 

 アカネは、ヒュドラエンブレムが刻まれた左腕をかかげる。

「『ヒュドラソウル』ッ!」

「シャアアアーーーーッ」

 

 アカネの左腕から、光り輝くヒュドラのエネルギー体が現れ、暴走竜の体に巻き付く!

 ギュルギュルギュルギュルッ!

「ギャオオオオンッ⁉」

 暴走竜はまったく動けない!

 

 アカネは、ケルベロスエンブレムが刻まれた右腕をかかげる。

「『ケルベロスソウル』ッ!」

「バオオオオオオーーーーッ!」

 アカネの右腕から、光り輝くケルベロスのエネルギー体が現れ、暴走竜に噛みつく!

 

 バクンッ!

 

 一瞬で頭を食われた暴走竜は、力なく、そのまま地面に落ちた。

「スゲー、あの狂暴化した『暴走竜』を……ギャウ」

「ありがとう、べロスちゃん、ヒュドラちゃん……」

 バタッ……

 

 エネルギー消費が激しかったのか、アカネはその場で倒れてしまう。

「アカネ! 大丈夫ギャウか⁉」

 

 ギイーーーーンッ

 ガキィーーーーンッ

 近くで、アイカとレイブンが戦いながらこっちに近づいてくる!

 

「くっ……このレイブン究極体、強い……」

「どうしたどうした? 前回オレ様を倒したのは偶然か? こんなんで『異世界あいどる・はーと』の筆頭エースとは、片腹痛いぜ!」

「前回は神魔さんと神居さんの技で、『オリハルコンの鎧』を脆くしていてくれたから攻撃が効いたけど、本来はこんなに強かったなんて……」

 

 バキーーンッ

 ジャキーーンッ

「そこだーーーーッ!」

 ガシィッ!

「キャーーーー!」

 一瞬のスキを突かれて、アイカがレイブンの手に捕まってしまった!

 

「くっ……私が、相手するとよ……」

「その体じゃ無理ギャウ、アカネ」

 

「へっ!」

 ガシィッ!

「キャーー!」

 アカネも、レイブンに捕まってしまった!

「アカネーー!」

 

「ぐ、ぐううぅぅ……」

「ふ、二人を離しなさい!」

 そう言うユイを、レイブンは上から見下ろす。

 

「テメーらは、人の心配より、自分の心配をした方がいいんじゃねぇのか?」

 レイブンは、ユイも体ごと掴んだ!

「あううぅぅ……」

「ユイ! ユイを離すギャウ、レイブン!」

 まだ時間は五分間しかたっていない……

 

 オレはパタパタとギガっちの繭の前に飛び、両手を広げ、繭を守る……

「なんのつもりだ……? 成竜時や人間の姿ならまだしも、そんなチビ魔獣の姿で、そいつを守れるとでも思っているのか、あぁ⁉」

 オレは恐怖でブルブル震えてしまう……でも、それでも、ここから逃げるわけにはいかない!

「確かに今のオレでは、ギガっちを『守ること』はできないかもしれない……でも、守れないからって『何もしない』のは、もっと嫌ギャウ!」

 

 レイブンは、異様な構えをみせる……

「さあ、これで終わりだ、ギガンティックマスターの絶望を、バグ様に捧ぐ! ギャーハハハハ!」

「ギャワワワワ……」

 絶体絶命、万事休す、オレは覚悟を決めて目を閉じる……

 

「邪道流バグ技、『ライフミューティレイション』!」

 バシューーーーッ!

 生物の命を奪う、死神の鎌の衝撃波が、オレに向かって飛んでくる!

「神魔さんーーーーッ!」

 

 その時!

 

「『超電磁メテオキャノン』!」

 ズッドオオォォーーーーッ!

 

 ユイの繭を破壊し、中から巨大な『メテオ』が発射された!

 『ライフミューティレーション』の衝撃波を吹き飛ばし、そのままレイブンの腕も破壊した!

 

「ぐああああ……テ、テメェ、ギガンティックマスターーーーーーッ!」

 

「レイブン、俺のアイドルたちに、気安く触れるんじゃねぇーーーーッ!」

 

 

 ☆今回の成果

  俺 炎属性ヘキサグラム『メガプロミネンス』

    『超電磁メテオキャノン』

    『エクスプロードファング』

  サモンロード 上位召喚サモンスペリオール『インドラ』

         『マキシマムサンダー』

  ユイ アラクネ流操糸術奥義『結界の繭』

  ラン 新アドバンスドアーツ『タケミカヅチ』

  エマ 新アドバンスドアーツ『ドラゴニックスーパーノヴァ』

  ヒフミ 『致命的処女クリティカルメイデン

  ノノ 『ゴーレムあごクイ』

     『ゴーレムハエ叩き』

  ルイ 『極大闇分身』

     『閻魔王 億裂矢』

  カオル 新アドバンスドアーツ『レインボウストーム』

  マフユ 新アドバンスドアーツ『破邪・射手座流星群』

  フタバ 『風神脚』

      新アドバンスドアーツ『億獣王・疾風斬爪おくじゅうおうしっぷうざんそう

  ヒビキ 新アドバンスドアーツ『ベルセルク』

      新レゾナンスアーツ『ユグドラシル倒し』

  フウカ 『ギガンティックスイング』

      『ギガンティックカタパルト』

  モモ 新レゾナンスアーツ『ニーベルングの衝撃ニーベルングインパルス

  アキラ ペンタグラム『ギガイリュージョン』

  クレア 大峡谷属性ヘキサグラム『グランドキャニオン』

  ナナ 新アドバンスドアーツ『アブソリュートゼロ』

  べロス ファイナリティアーツ『ロードトウパーディション』

  ヒュドラ ファイナリティアーツ『ヒュドラサイクロン』

  アカネ 『ケルベロスソウル』

      『ヒュドラソウル』


次回の投稿は 5/25 17:00 の予定です。

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