第五十九話 コラボレーション
アナタはアイドルに『信じて託した』ことがありますか? ……俺はある。
◆ヴァロン城『玉座の間』・アクトside
「チッ……役に立たねぇ奴らだな、あんなザコキャラにやられちまうなんて」
アクトの前には、ノートパソコンが置いてある……
どうやら、ギガンティックマスターと同じように、ドローンを使って戦況を把握していたようだ。
「まあいい、どうせあのスイッチを押せば、あいつらザコキャラには何もできねぇんだからな」
アクトの後ろには、『大統領』と『バーンズ国防長官』が立っている。
「オレ様の『秘密兵器』を使うときが来たようだな……この人類史上『最大・最凶』の、この兵器を」
そう言いつつ、玉座から立ち上がり、目の前にドアを出現させる。
「『オルタナティブドア』!」
アクトは、『大統領』と『バーンズ国防長官』を連れて、現実世界へ。
三人が何かの『実験場』のような場所に出ると、遠くから施設の職員らしき男性が、駆け足で近づいてくる。
「Mr. President, Secretary of Defense, where have you been? I looked for it」
(大統領、国防長官、どこへ行かれていたのですか⁉ 探しました!)
施設の職員は、アクトを見る……
「As for you...no, I don't care about that right now.」
(こちらの方は……いえ、今はそんなことはどうでもいいのです!)
アクト達は、構わず歩き出す。
「Five Navy Aegis warships, five Air Force『 F15 Eagles』 and five combat helicopters, and an Army tank unit are also missing, making headlines all over the world.」
(海軍のイージス艦が五隻、空軍の『F15イーグル』と戦闘ヘリが五機ずつ、さらに陸軍の戦車部隊が行方不明となっており、世界中で大ニュースになっています!)
「だろうな……」
アクトが笑いながら呟く。
「Where are you going?」
(どちらへ行かれるのですか?)
大統領、国務長官、アクトの三人は、職員には構わず、そのまま厳重な設備の部屋へ入る。
「There is...a room with a nuclear missile launcher, but what on earth...?」
(そこは……『核ミサイル』の発射装置がある部屋ですが、一体何を……?)
シュイーン!
「It's an emergency situation, a nuclear missile will be launched, relevant personnel should prepare.」
(緊急事態だ、『核ミサイル』を発射する、関係職員は準備を)
大統領が、職員たちに指令を出す。
「eh……?」
(えっ……?)
ザワザワザワ……
「it’s just a joke now, isn’t it……?」
(じょ、冗談、ですよね……?)
「Just kidding, do you think me and the Secretary of Defense would get this far?」
(冗談で、私と国防長官がここまで来ると思うか?)
「イ、イエッサー!」
職員たちは一斉に『核ミサイル』発射の準備を整える。
大統領とアクトが、離れた場所にある『核ミサイル』を発射するための装置の前に立つ。
鍵穴に、鍵を入れ、二人同時に回す……
そして最後に、『ダイアル式の鍵』に、核ミサイルの解除コードを入力。
緑色の解除ボタンを押し、その後赤い色のボタンが点灯する。
「Mr. President, once you press that button, there's no going back……」
(大統領、そのボタンを押せば、もう後戻りはできません……)
アクトと、大統領は、同時に『核ミサイル』の発射ボタンを押す。
「スリー、ツー、ワン……ファイア!」
カチッ!
バシューーーーーーンッ!
核ミサイルの格納庫から、勢いよく核ミサイルが撃ち出される!
「Oh my god! Mr. President, what are you doing!」
(オーマイゴット! 大統領、何てことを!)
アクトは、トランシーバーを口元に持っていき、支持を出す。
「よし、計画通りだ、お前達『オルタナティブドア』を展開しろ!」
◆核ミサイル格納庫周辺
核ミサイルが撃ち出された、発射台の近くに、数人の人が立っている……『ギルギル』で、『転移者』と呼ばれている者たちだ。
彼らはトランシーバーからの、アクトの指示に、泣きながら従う。
「『オルタナティブドア』、展開!」
はるか上空に、巨大な『オルタナティブドア』が展開され、核ミサイルはその中へ吸い込まれていった! その核ミサイルの行先は、当然……
〇ファルセイン城『作戦司令本部』・俺side
「ヴァロン城の上空に、巨大な『オルタナティブドア』の展開を確認しました!」
トーコの呼びかけに反応し、ヴァロン城を映していたモニターを見る。
ヴァロン城の上空に、巨大な扉が出現したかと思うと、その中からミサイルが撃ち出される!
ドドドドドド……
「あれはいったい……?」
アイカやトーコたちが、不思議そうにミサイルを見る……
そりゃそうだ、現実世界のミサイルなんか、見たことないだろうからな。
「あれはおそらくアクトの秘密兵器……『核ミサイル』だ」
「『核ミサイル』……?」
「あのまま飛び続け、大気圏から地上に落下し、着弾すれば凄まじい大爆発を起こす。その威力は、おそらく『エクスプロードロア』の数百倍以上……」
「そ、そんな恐ろしいものが……一体どこに落ちるのです⁉」
「あの角度と、アクトの思惑を考えると、当然この『ファルセイン城』だろうな」
「そんな! で、では急いで逃げなくては……」
「いや、アレをここで落とすわけにはいかない……アレの本当の恐ろしさは、爆発の後にあるんだ」
「爆発の後に……?」
「爆発の後、この辺り一帯は『放射能』という猛毒よりも危険な物質で覆われ、何十年も、人や動物、植物に至るまで、全て生きていくことができない『死の大地』になってしまう」
「『死の大地』……?」
「落ちる前に、俺たちで必ず止める……ここを『死の大地』なんかにしてたまるか!」
俺は外に出る準備をし、メンバーにも声をかける。
「よし、ミサイルの落下地点に向かう、みんな俺に続け!」
「はい!」
「ドローンのスピーカーで、今の会話は聞こえていたはずだ……
全員の力を結集する、空を飛べるものは今すぐファルセイン城上空へ」
俺はメンバーを連れ、外へ飛び出す。
ドドドドドドド……
物凄い轟音と共に、巨大な『核ミサイル』が、ファルセイン城めがけて落ちてくる。
アイカが、空を見上げ呆然とする……
「一体どうやって、あんな巨大なモノを止めるのですか?」
「まずは全員の『念動属性魔法』で、あのミサイルの動きを止めてくれ!」
ミサイルの軌道上に、空を飛べる者が全員集まる。
「マスター!」
「お待たせしました、マスター」
「ギガンティックマスター、あんたに託すよ」
全員で『念動属性魔法』を放つ。
「念動属性アナグラム、『サイキック』!」
ブウウゥゥゥン……
ミサイルはゆっくりと、その動きを止め、空中に停止している。
「よしみんなよくやった、そのまま停止させていてくれ、後は俺がやる」
「くっ……そんなに長くはもたないかもしれません」
俺はミサイルの先端部分、『核弾頭』と呼ばれる箇所へ移動する。
「とうとう俺の見せ場が来たな……」
俺は自分のマントを翻す……
『ノコギリ』『トーチ』『ハンマー』……そこにはびっしりと『解体用具』が並ぶ。
「俺は今まで、数々の機械類を解体・組立してきた……今まで培ってきた『解体技術』、今こそ見せる時!」
俺は両手いっぱいに『解体用具』を装備。
ババババババーーーーッ!
俺は目にも止まらぬ速さで、『核弾頭』の解体を始める。
何かの衝撃で爆発したら困るので、微量の『氷魔法』で冷やしつつ、『念動魔法』も駆使しながら、慎重に少しずつバラしていく。
「凄い……」
「何をしているのか、さっぱりだけど、凄いことをしているのはわかる」
『核弾頭』の中の、物理パッケージと、電子機器を分け、
炉心に含まれる『ベリリウム』、『トリチウム』、『プルトニウム』などの有害物質を、魔法で封印する。
「見えた!『爆縮レンズ』だ」
『爆縮レンズ』……核弾頭のコアになる直径約三十センチの部品。これさえ外せば……
カチャ……キランッ
「ふう、取り外し完了」
「やったー」
「『爆縮レンズ』と、残ったミサイルの部分は、『氷魔法』で凍らせて、とりあえず海中へ沈めておこう。全て終わってから回収して、後から完全に廃棄する」
全員で『氷魔法』を唱え、完全に凍らせてから、海中へ沈める……
ゴボゴボゴボ……
とりあえずこれで、爆発の心配はほぼないだろう。
「よし、じゃあ俺とファーストとシスターズ、あとアラクネのユイは、このままアクトのところへ行く、他のメンバーは城で待機だ」
「わかりました」
「マスターご武運を」
「任せるよ、ガツンとやっておやり!」
俺はファースト・シスターズたちとアラクネのユイ、そして神魔を連れて、スレイプニルのモモに乗り、アクトのいるヴァロン城へ。
ヴァロン城の正門前には、サモンロード、コズミッククイーン、ドラゴニックキングたちが俺を待っていた。
「さあ、最後だ、みんなで門を開けよう」
「最後を決めてこその『イケメン』よ、わかっているわね?」
「お前を殺すのはまた今度にしてやる、だからさっさと終わらせるぞ」
全員でヴァロン城の正門を開き、中庭へ。
ギギギ……
ザザァ……
「チッ、貴様ら……」
ヴァロン城の中庭には、現実世界から戻ってきたアクトと、その後ろには大統領と国防長官も立っていた。
「よう、久しぶりだなアクト」
「なぜだ、なぜ『核ミサイル」が爆発しない……?」
「降下中の『核ミサイル』を念動魔法で止めて、俺が『核弾頭』を解体した」
「は? なんだそりゃ? オレ様がそんなことを本気で信じるとでも……」
「モチロン俺一人の力じゃできなかった、みんなの協力があって成し遂げたんだ」
「……どうやら本当らしいな、何者なんだお前は?」
「ただの『イチ、転移者』だよ」
アクトは口元に手を置き、呆れているような、怒りを抑えているような、そんな顔をする。
「チッ……現実世界の兵器を使えば、簡単に異世界を征服できると思ったが、とんだ邪魔者がいたもんだぜ」
「これでお前の計画は頓挫したわけだが……どうする、白旗でもふるか?」
「フフフ、ハハハ、ハーハハハ!」
アクトが急に笑い出した。
「まだ終わってねぇよ、お前らさえいなくなれば、仲間も、兵器も、またイチから集めればいい」
「お前、ここまで来てまだやろうってのか?」
アクトも俺たちも、戦闘態勢をとる。
「へっ、テメェらなんぞ怖くもなんともねぇよ、こいつがいればな! ……来い、『ヘクトアイズ』!」
「ブヨヨヨヨヨ……」
体中にたくさんの目がついている魔獣が、アクトの後ろから現れた。
「そいつが相手の能力を封印するっていう魔獣か、お前が召喚していたんだな」
「ヘクトアイズ、『イレイザーアイ』だ」
ピキーーーーンッ!
「おお、本当だ、技や術が使えなくなっている……」
俺だけじゃなく、サモンロード達や、メンバーたちも、全員使えないみたいだ。
「どうだ、これでテメェらは、ただのか弱い人間だ!」
「へへ、これな~んだ?」
「ああ?」
俺は手の持っていたモノを投げた。
ガカァッ!
「うおっ⁉ なんだ⁉」
「こいつは『閃光手榴弾』……
現実世界で、犯罪者の確保や、人質救出時などで使われる非致死性兵器だ。
大音量と閃光で、眩暈やショック状態を引き起こさせる。
魔法や技じゃないから、『イレイザーアイ』は関係ない……
どうやらその『ヘクトアイズ』は、目で見ている者だけ『封印』だできるみたいだから、この閃光手榴弾で目を閉じている今なら……」
「『ドラゴニックファング』ッ!」
ザシュッ!
「ブャブュビョヨヨヨヨ……」
ヘクトアイズは真っ二つ!
「しまった!」
「また召喚したきゃ呼んでもいいんだぜ、『閃光手榴弾』は、まだ大量に持ってきているからな」
俺以外のメンバーも、みんな手に『閃光手榴弾』を持っている。
「現実世界のアイテムか……準備のいい奴らだ」
アクトは少し後ずさりしながらも、まだ顔には余裕の色が見える。
「オレにはまだ『人質』がいることを忘れたか?
テメェのメンバーの『リンカ』って女も、ヴァロン国のヴァロン皇帝も、まだオレの手中にあるんだぜ……」
うん、そう言うだろうなぁ……と、思っていた。
「残念ですが、その手はもう使えません」
ヴァロン城の踊り場から声がする……
そこには、リンカや、ヴァロン皇帝、近衛騎士団と思われる三人、他にも数名の人質だった者たちが立っていた。
アクトも踊り場を見上げ、叫ぶ。
「女っ⁉ 貴様、いつの間に……」
「マスター、ご命令通りアクトにわざと捕まり、地下牢からヴァロン皇帝その他の方の救出に成功しました」
「よくやったリンカ、ありがとう」
「そんなバカな、地下牢は携帯電話どころか、念話や魔法の類も一切使えなかったはず……しかもあの女にはヘクトアイズもつけて、腕も拘束してあったのに」
「電波がなくても、魔法が使えなくても、たとえ手が使えなくても、交信する方法はある」
そう言って俺は、アラクネのユイから見えない『何か』を受け取る。
「……何もないじゃねぇか」
「そこからじゃ見えないだろうな……この『糸』は」
キランッ
「『糸』……『糸』だと?」
「そう、俺たちは地下牢のリンカと、『糸電話』で交信してたのさ」
「『糸電話』⁉」
【糸電話】……
古くは1664年ごろから存在していたと言われる、糸を使った音声通信装置。
糸やワイヤーを用いて、遠い場所との間で非電気的に音声通信が行えた。
二つの筒を糸で繋ぎ、筒に向かって話すと、反対の筒に声が伝わる。
「そ、そんなもので……?」
「この糸はただの糸じゃない、アラクネのユイが作った特殊な糸だ。とても丈夫でどこまでも伸び、切れることも無い」
リンカの横に、突然人影が現れる……ハーミットだ。
「交信さえできればこちらのモノです、地下牢の構図から、手薄になる時間まで、リンカ様の情報をもとに計画を立てました。
あとは私が潜入さえすれば、リンカさんや皇帝を解放することなどチョチョイのチョイでございます」
ハーミットが自慢げに話す。
「まあ、自慢にはならないけどな……」
「チッ……だが、人質ならまだいるぜ……」
「ユイ!」
「任せちゃって下さい! アラクネ流操糸術、『デッドエンドマリオネーション』!」
シュンシュンシュンッ!
ユイから伸びた糸は、アクトの後ろにいた大統領と、国防長官に刺さった!
「何ッ⁉」
「彼らの『神経網』は掌握しました、もうアナタの命令は聞きませんよ?」
「ウザイ、ウザイウザイウザイ、ウザイぞテメェら、人質にならねぇならここで殺してやる!」
アクトは『デモーニッシュブレード』を抜き、構える。
「『ドラゴニックファング』ッ!」
ザシュッ!
「あぶないっ!」
間一髪、ヴァロン皇帝たちを狙ったアクトの技を、リンカとハーミットが『対斬撃結界』を張って止めた。
「へへへ……さっきあのゴリラがヘクトアイズを斬ったとき、この『デビルズ・アイ』を発動させてあったのよ」
「『デビルズ・アイ』……相手の技や術をコピーできるって技か」
「こいつは厄介だな……」
ドラゴニックキングが自分の腕を見ながら話す、簡単にコピーされたのが気に入らないみたいだ。
「ならこいつはどうかな……?」
俺の前に魔法陣が展開……『炎』『水』『風』『地』『光』『闇』……
「スー・シュー・ゴウ・レイ・ファシオン
炎神 水神 風神 地神 光と闇の王をいただきて すべての者に安息と死を……
六極炎属性ヘキサグラム、『ヘキサゴンフレア』!」
「うおおおおおお⁉ 『イービルウイング』!」
ズッドオオオオオッ!
アクトは空中に逃げた。
「この野郎、何てことしやがる……」
「『デビルズ・アイ』……やはりな、特別なモノや自身の能力を超えるものはコピーできないらしいな。もし際限がないのなら、さっきのユイの『デッドエンドマリオネーション』や、ヘキサグラムなんかもコピーできたはずだ」
「そうか、ならばこの後は、コピーされてもいい技か、ヘキサグラムの術ならいいわけだな」
ドラゴニックキング、よくできました。
「くそっ、まだだ、まだオレには『奥の手』がある……」
アクト、往生際が悪いな……
「おおおおおおお……」
アクトが気合いを入れると、額に『666』の数字が浮かび上がる……
「アドバンスドアーツ、『666』!」
カアアァッ!
アクトのオーラが増大した……明らかにさっきより強くなっている?
「この技は、戦闘後動けなくなるかわりに、一時的にオレの『ランク』を上げ、全能力を底上げすることができる!」
そんなことが? まさに悪魔のごとき技だな。
「『ドラゴニックファング』ッ!」
ザシュッ!
ズドガガガガガガッ!
『デモーニッシュブレード』から放たれた衝撃波が、ヴァロン城の城門をバラバラにした!
「アクトの『ドラゴニックファング』の威力が、さっきより上がっている⁉」
「ギャーハハハ、今のオレなら、『六芒星魔術』も使えるぜぇーー!」
アクトの前に魔法陣が展開……『水』『風』『闇』『闇』『闇』『闇』
「グランシュル・アーヴ・ドマンド・エル・グラシオン・ヴァルヴォル・オーブス
光に封印されし 闇の王 千年の眠りより 今こそ目覚めよ
我らが与えし生贄を食らいつくし 憎しみの怨嗟の中へ
悪魔召喚属性ヘキサグラム、『バフォメット』!」
「ウロロロロロロ……」
黒い羊の頭に、黒い翼を持つ、十メートルはある巨大な悪魔……
「ギャーハハハ、この『バフォメット』は、触れた者の魂を吸い取る効果を持つ『大悪魔』! しかも不死身の肉体を持ち、どこまでも追いかけてくる……観念して死んじまいなぁ!」
『バフォメット』は、一直線に俺たちに向かって襲い掛かってくる。
「アイカ」
「はい!」
俺は一歩も動くことなく、アイカに命令を下す。
「アドバンスドアーツ、『雷足』!」
バリバリバリバリ!
アイカは『対打撃結界』を稲妻のように飛び回り、バフォメットの上へ。
シャキィーーン!
二本の『アイカカリバー』を抜き、気力をため、構える。
「はあああああ……」
シュイイィィーンッ!
アイカの周りに、以前ヴァロン城で囚われた時に現れた、『光の剣』がまた十本出現した。
*****
それを見ていたマフユと、ナナの会話が聞こえる……
「あれは『剣閃』……『あの方』の光の力が、剣として具現化したモノ。とうとう『あの方』が覚醒しつつあるのね……」
ナナが、マフユを指さして話す……
「マフユ、額に『第三の眼』が……アナタ一体何者なの……?」
*****
「おーぎ、『アイカクロスインパクト』ーーーーーッ!」
ガガガガガガガガガーーーッ!
アイカカリバーが、バフォメットの腕を粉々に粉砕!
と、同時に、アイカの周りにあった全ての『剣閃』が、バフォメットに突き刺さる!
ドスッドドスッドドドスッドドドドスッ!
「ウロロロオオオオオォォォ……」
バフォメットの体も、粉々になって消えていく……
「そんなバカなっ⁉ 不死身の肉体を持つ大悪魔が、たった一人の人間の攻撃で……」
サモンロード、コズミッククイーン、ドラゴニックキングが、アクトに詰め寄る。
「……」
「そろそろネタ切れかな?」
「あら、もう終わりなの? 少し拍子抜けね」
「まだなんか卑怯な手があるんだろ? 早く出すといい」
「ハ、ハハハ……なんだ、なんだよ、いい大人が揃いも揃って。
チェ……悪かったよ、まああれだ、『若気の至り』ってやつだな、若いうちは無茶をしたがるもんだ。
いい大人たちが、これしきの事でギャアギャア騒ぐのはみっともないぜ、もっと広い心で……」
サモンロードの前に魔法陣が展開……『水』『水』『水』『水』『光』『闇』
「海精 海竜 海神よ 生命の根源たる海の王 その息吹 その逆鱗 人の身にて抗うこと敵わず 願わくば その力 我が前にて示したもう……
レヴィナート・アイントル・クオンタム・シーゲイン・ブールー・ネイト・ウォルシュ……」
「お、おい、ちょっと……」
「海竜召喚属性ヘキサグラム、『リヴァイアサン』!」
「バオオオオオオーーーーン!」
「『リヴァイアサン』、『わだつみの咆哮』!!」
ドバアアアアアーーーッ!
「ぎゃあああああ! あ、足が、オレの足が……」
『リヴァイアサン』の『わだつみの咆哮』をくらい、アクトの足はグシャグシャに……
サモンロードがアクトのそばでしゃがみ込み、静かに話し出す……
「若者が悪いことをしたら、それを諫めるのも大人の大事な仕事だと思うんだ。
まあ、僕とキミは、そんなに歳は変わらないけどね」
サモンロードがアクトから離れると、代わりに聖女のキャルロッテが近づく。
「回復属性クアトログラム、『エクスヒーリングプラス』!」
アクトの怪我は、みるみる回復していく……
「な……」
「次は私の番かしら?」
コズミッククイーンが、アクトのそばへ。
「す、すみませんでしたーーー、酷いことをしてしまって、オレが悪かったです、もうしません、反省してます、うう、ううぅぅ……」
アクトが急に情けない顔をして、土下座をしてきた。
「ウソ泣きが下手ね、空軍将・ハヤトって人の方が、まだ上手だったわ」
コズミッククイーンの前に魔法陣が展開……『地』『地』『地』『地』『光』『闇』
「バオウ・ガオウ・レディオン・シンカ・リーデス・アヴダクト
悠久なる 宇宙の星々よ 星の海より来たれ 我にその力の一端を貸し与え給え 我が眼前に 隕石よ 落ちろ……」
ゴゴゴゴゴゴ……
「ちょ、まっ……」
「隕石属性 六芒星魔術、『メテオーション』!」
ズガガガガガーーーッ!
「あぎゃあああああああッ! う、腕、腕がーーーーーッ!」
今度はアクトの腕がグシャグシャに……
「男の子でしょう? 大声で叫ぶのはみっともないわよ」
コズミッククイーンは、その場で魔力を集中する。
「アドバンスドアーツ、『星脈』!」
パアアアーーー……
アクトの腕は回復した。
「ち、畜生……なんなんだお前らは? 正義の味方でも気取ってんのか?
どうせカッコつけたいだけ、感謝されたいだけの、偽善者なんだろうが!」
「あら、私は自分が『正義の味方』だなんて思ったことはない……
自分は『真のイケメン』の味方、それ以上でも、それ以下でもないわ。
たまたまアナタが私の気に入らないことをした、ただそれだけ」
「くそっ、だったら……」
「次はオレの番だな」
ドラゴニックキングがアクトの前に立つ。
「待て、まだ話の途中……」
ドラゴニックキングの前に魔法陣が展開……『炎』『水』『風』『地』『闇』『闇』
「地獄の底に眠る 闇の神よ 我に最凶 最悪の 闇の竜の力与えよ
その憎悪 その慟哭 その怨嗟を 全て吐き出せ 全ては破壊のために
シッダ・ヨールグ・アビート・モア・クワッド・ミラレス・フリーラン・フリューゲルズ
邪竜属性ヘキサグラム、『ファフニール』!」
バオオオオオオオオッ
真っ黒で巨大なドラゴンが、アクトに襲い掛かる!
「だから、話を……」
ズガガガガガガガガガガガーーーー!
「…………ーーっ!!」
「ん~? 大人しいと思ったら、アゴが吹っ飛んで喋ることができないのか……つまらんな」
下アゴを破壊されたアクトが、声も出さず、苦しみもがいている。
「アミサー」
「はい、『エクスヒーリング』!」
パアアアーーー……
アクトは回復した。
「……テ、テメェら、オレ様にこんなことをしやがって、ただで済むと思っているのか? ああ?
オレ様の親父はあの反社会組織、『堂元組』の組長だぞ!
オレ様が一声かければ、お前も、その家族も、友人も、関わったもの全て、ひどい目に遭わせることができるんだぞ!
ギャーハハハ、逃げたって無駄だ、世界中どこにいたって必ず見つけ出す、後悔したってもう遅い!」
俺はアクトの前に立ち、気合いを入れた。
「『マジェスティックオーラ』、全開ッ!」
ドォンッ!
「な……?」
サモンロードが俺の前に立つ。
「行くよ、ギガンティックマスター」
俺はコクリと頷く。
「海竜召喚属性ヘキサグラム、『リヴァイアサン』!」
バオオオオオオオオン!
「『リヴァイアサン』、『わだつみの咆哮』!!」
ドドドドドドドドドドーーッ!
サモンロードは『マジェスティックオーラ』を展開している俺に、『わだつみの咆哮』を放つ。
シュンッ
『わだつみの咆哮』は、一瞬で消え、俺のマジェスティックオーラが輝きを増す。
「な、なんだ? お前、いったい……」
コズミッククイーンが俺の前に立つ。
「男なんだから気張りなさい、最後までカッコよく決めるのよ」
俺はまた、コクリと頷く。
「隕石属性ヘキサグラム、『メテオーション』!」
ズガガガガガーーーッ!
シュンッ
『メテオーション』も一瞬で消え、俺のマジェスティックオーラが、また輝きを増す。
「お、おい! 何をしてるかって、聞いて……」
ドラゴニックキングが俺の前に立つ。
「一番おいしい所を譲ってやる、これで石化した時の『借り』は返したからな!」
俺は、少し微笑みながら頷く。
「邪竜属性ヘキサグラム、『ファフニール』!」
バオオオオオオオオッ
真っ黒で巨大なドラゴンが、俺に襲い掛かる!
シュンッ
『ファフニール』も一瞬で消え、マジェスティックオーラが最大まで大きく、光り輝く。
「ぐ、ぐうううぅぅ……」
これだけの魔力、さすがの俺でも抑えるので精いっぱいだ。
「ま、まさか、お前……」
アイカが、神魔に詰め寄りながら聞いている……
「まさか、三発分のヘキサグラムの魔力を取り込んで、マスターの『ヘキサゴンフレア』で放つつもりなんですか? そんなことが可能なんですか⁉」
「……マジェスティックオーラなら、理論上は可能だ。ただし、相当なチカラと魔力のコントロールが必要だけどなギャウ」
「おおおおおおおお!」
俺は右手を上げ、魔力を集中する。
「アクト」
「な、なんだ?」
「『悪の味方』は大変だな……」
「な、なに⁉」
「『悪』は、自分よりも大きな『悪』には逆らうことができない。
学校の不良が、暴走族には敵わないように、
暴走族が、町のチンピラには勝てないように、
町のチンピラが、反社会組織には逆らえないように、
『悪』は常に自分よりも弱いものしか相手にできない……」
「なんだと……」
「でも『正義』は違う。
『正義』が戦う相手は、常に自分よりも強い相手だ……
だから『仲間』が集い、仲間と『共闘』する。
そこに『絆』が生まれ、そして『奇跡』が起こる……
『悪』に『奇跡』は起こらない!」
俺の腕の上空には、今まで見たこともないほどの、巨大な『大火球』が浮かんでいる。
火球の中には、ドラゴンや隕石が見える……
ゴゴゴゴゴゴゴ……
「ま、待て、それは本当にシャレにならん……マジで死んじまう、やめろ!」
「受けろ! これが俺たちからの……」
「いっけーー、ギガっち!!」
「コラボ魔法、『マジェスティック・フレア』ーーーーーッ!!」
「やめろおおおおおおぉぉーーーっ!」
ズズズズズズ……
ガカァッ!
ズガガガガガガガガガガガーーーー!
バキバキバキバキバキバキッ
ドドドドドドオオオオオォォォォ……
「ハァ、ハァ、ハァ……ふぅ」
今いるメンバー全員で『魔法障壁』を展開していたおかげで、被害はヴァロン城の中庭だけで済んだ。
あとから聞いた話だが、遠く『不夜城』からも、ヴァロン方面で巨大な火柱が屹立するのが見えたそうだ……
ヴァロン城中庭は巨大なクレーターができ、ヴァロン城は半分以上が粉々に粉砕してしまっていた。
クレーターの真ん中には、アクトが半分埋まっている……
俺の周りに、サモンロード、コズミッククイーン、ドラゴニックキングが集まってきた。
「決まったね、ギガンティックマスター」
「まあまあね、こんなもんでしょう」
「なんだ、まだ辛うじて生きているのか、あんな奴別に殺してしまってもよかったんじゃないのか……」
「いやいや、さすがにそういうわけには……」
アイカや神魔も、駆け寄ってきた。
「やったなギガっち」
「お見事でした、マスター」
「ああ、さっすがに、疲れたーーーーッ!!」
☆今回の成果
俺 コラボ魔法『マジェスティック・フレア』習得




