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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第十一章 中央島編
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第四十四話 神魔復活


 アナタはアイドルに『提案』してもらったことがありますか? ……俺はある。


 メンバー達に抱えられながら、やっとこさ座る俺……

 さすがに体力も魔力も気力も空っぽだ。


「ギャウギャウ……」

 葉っぱの上で寝ていた神魔が起きた。

 神魔は状況がよく分からないといった感じで、周りをキョロキョロしている……


 マジェスティックドラゴンが神魔を見つけた。

「坊や……?」


「お、母さん……?」

 神魔もマジェスティックドラゴンを見つける。


「坊や!」

「お母さん!」

 マジェスティックドラゴンが、その大きな巨体を揺らしながら神魔に近づく。

 神魔もチョコチョコ歩く、まだこの体に慣れていないようだ。

「お母さーーーーん!」


 マジェスティックドラゴンと神魔は、お互いに泣きながら抱き合っている……

 二人ともドラゴンだけど、感動の親子の再会だ……

 頑張ったかいがあった、よかったよかった。



「ギガンティックマスター、君はとんでもないね……人質がいたとはいえ、あの四体の竜を一人で倒しちゃうなんて」

 サモンロードが呆れた顔で話しかけてきた。

「いや~さすがに全魔力を使い切ったよ……また転移病になっちまうとこだった」

「それはそうだろうね、僕ならとっくに転移病になっているよ」


 サモンロードの横から、聖女のキャルロッテが顔を出す。

「それ以前に、サモンロード様の防御力ではあの紅鱗竜にすら勝つことは難しいでしょう」

「キャルロッテ……? 君はいつも僕に厳しいな」

「それだけ、サモンロード様をお守りするのは大変だということを覚えておいて下さい」

「わかった、わかったよ」


 さすがのサモンロードもキャルロッテには叶わない様子……

 すごくよく分かるぞ、その気持ち。


「ところで、マジェスティックドラゴンを討伐するつもりだったって言ってたけど、討伐報酬ってそんなにいいものだったのか?」


「ああ、報酬はこの世界の最強金属、『オリハルコン』」

「『オリハルコン』!!」


 【オリハルコン】……

 古代のアトランティスに存在したといわれる伝説の金属。

 最強の硬度・強度を持ち、様々なゲームやアニメでも登場する、まさに伝説級の神の金属。

 その特徴は『ダイヤモンドの数倍の硬度』『加工が難しい』『レアすぎて価値がつけられない』など。

 作品にもよるが、いろんな素材と合成することで、超軽量になったり、超重量になったり、液体化できたりもする。


「オリハルコンか、それは確かに欲しいな……

 俺がこのゲームをやり始めたころは、存在はしていたが情報がなかった。

 今回のアップデートで、やっと入手方法が解禁されたんだな」


「あれ、でもマスターこの前、以前の四天王に『オリハルコンゴーレム』がいたって言ってませんでしたかぁ?」

 ナナ鋭い、よく覚えていたな。

「あれはたまたま『レアガチャ』で当たっただけなんだ、俺が自分でオリハルコンから作ったわけじゃない」


 話を聞いていたサモンロードが、説明を再開してくれた。

「この世界でオリハルコンを手に入れるには、今現在二つしか方法がないんだ。

  ①この世界のどこかに、ランダムで沸く『オリハルコンゴーレム』の討伐報酬

  ②神の大樹ユグドラシル頂上にいる『マジェスティックドラゴン』の討伐報酬

 この二つだね」


 二つしか手に入れる手段が無いのか……相当なレア度だ。

「『オリハルコンゴーレム』は、倒せば百パーセントの確率でオリハルコンが手に入るけど、世界のどこに湧くのか全く分からず、倒すとまた暫く時間がかかる上に、また湧く場所がランダムに変わる」

「ひえ~そんなの無理ですぅ~」


「『マジェスティックドラゴン』は、一部の鱗がオリハルコン製になっていて、確率は五パーセントくらいなんだ」

「五パーセントって……二十回戦って、やっと一個落とすくらいの確率ですかぁ?」


「ん~どっちも厳しいな……」

「まあ、最強金属だからね、簡単には手に入らないよ」

 なるほどな、マジェスティックドラゴンを討伐したいと考えているやつは、サモンロード以外にもいそうだな……

 マジェスティックドラゴンが俺たちを過度に警戒していたのも頷ける。


「いいのか、『オリハルコン』は手に入らなかったけど……」

「さすがにさっきの君と、マジェスティックドラゴンのやりとりを見たら気が引けたよ」

「なんか悪いな、助けてもらって、人質までやってもらったのに、何の報酬もなくて……」

「なーに、結構経験値は入ったし、『屠りしもの』である君とも知り合いになれたしね、報酬はあったさ」

 サモンロードは、自分の四天王たちと顔を見合わせて、頷き合う。


「ま、今後は気長に『オリハルコンゴーレム』を探すとするよ」

「そもそも、どうしてオリハルコンが必要なんだ?」


「まあ、ゲームの最強金属だからね……ただ、欲しいと懇願したのは、僕の四天王たちなんだけど……」


 魔女っ子のエスタが、当然と言った顔で話し出す。

「当然だ、だってサモンロードは防御が『紙』なんだから、あたいたち四天王が守ってやらないとすぐに死んじまう」

「『紙』って、そんな……」

 サモンロードがディスられている……かわいそうに。


「私たちが強くなれば、サモンロード様をもっと守ることができます、『オリハルコン』は、そのためにどうしても必要なんです!」

 またもや聖女のキャルロッテが、鼻息荒くサモンロードに詰め寄る。

 なるほど、ディスると言っても、『愛のあるディスり』なわけだな。


「サモンロード、ちゃんとメンバーに愛されているじゃないか、ヒュ~ヒュ~」

「ずいぶんと情けない理由だったけどね……でも、うれしいよ」

 サモンロードは、照れながらもうれしさを隠せないでいる。



「そうだ、丁度いいから君にも話しておくよ」

「?」

「実は、カイエル国のラーマイン王に、提案したことがあるんだ」

「ラーマイン王に提案?」


「そう、その名も『四天王戦世界大会』さ」

「『四天王戦世界大会』⁉」

「君はカイエルの『カイエル四天王戦大会』に出場したことがあるんでしょ?

「ああ、一応『特別枠』って言っていたけどな」


「それの全世界版って感じだね、世界中の強者を集めて、まさに世界最強の四天王を決める大会にしたいんだ」

「確かに『カイエル四天王戦大会』の時は、出場者はほとんどカイエル出身ばかりだった……それの全世界版となると、相当な規模の大会になるな」


「僕たち『屠りしもの』もいるし、世界にはまだ強い人がいるんじゃないかと思ってさ。ラーマイン王に企画を持っていったら、ノリノリで各国に協力を要請してくれたよ」

「あの人らしい……そういう『お祭り』ごとに目が無いからな」


「あの感じだと数日中には君の元にも『招待状』が届くよ。『四天王戦世界大会の出場依頼』のね」

「じゃあ、会場はまた『カイエルコロッセオ』か?」

「いや、今回は、北の『ヴァロン帝国』にある『ヴァロンコロシアム』で開催されるらしい……『カイエルコロッセオ』の1.5倍の大きさだって話だよ」

「1・5倍⁉ あのコロッセオだって、かなりの大きさだったんだぞ」


「『カイエルコロッセオ』に負けない闘技場を作るのを目的に、皇帝の肝いりで建設させたらしいね。去年完成したばかりだと聞いているよ」

「中々の負けず嫌いなんだな、その皇帝も」



 【ヴァロン帝国】……

 『ヴァロン帝国』は、唯一行ったことのない大陸だ。

 俺が神魔を屠ったせいで、年中冬にしてしまったから、なんとなく行きづらかった大陸なんだよなー……

「もし怒られたら、素直に謝ろう……」


「私もヴァロン帝国は行ったこともなくて、よく知らないんですが、どんな国なんですか?」

 アイカが訪ねる。


「ヴァロン帝国は大陸の北側に位置していて、四大大陸の中でも一番人口と土地面積が広い国なんだけど、大陸の七割以上が山岳地帯で、そんなに肥沃な大地ではないと聞いている。

 魔法を使えない人の割合が多く、魔法よりも科学に重きを置いているとも聞くね」

「魔法よりも科学か……異世界にしては珍しいかも」


「そのためか、他の国よりも『転移者』との交流を盛んにしているとの噂だ」

「『転移者のと交流』か……じゃあ他の国よりも転移者の数も多いのかもな」


「それと、ずっといくつかの国が乱立していたらしいんだけど、つい最近、今の皇帝が統一したばっかりらしいんだ」

「なんか、それだけ聞くと『魔界』みたいだな……」

「今もいくつもの国と王が存在していて、それを皇帝がまとめているって感じかな」

「なるほど、皇帝の威厳を見せつけるためにも、『ヴァロンコロシアム』と『四天王戦世界大会』はうってつけというわけか」

「そうなるね、たぶん」



 神魔とマジェスティックドラゴンの会話が聞こえてくる……

「お母さん、お願いがあります……

 オレがあのギガンティックマスターについていくことを、お許しください」

「⁉」


「オレはあのギガンティックマスターに助けてもらいました。その恩を返したいというのもありますが、オレはこの広い世界を冒険してみたい……色んなものを見て、聞いて、見聞を広めたいんです」


「……そうですか、アナタはもう私に守られているだけの『子竜』ではないのですね……自分で考えて、自分で決めて、行動する……アナタはもう立派な『成竜』です」

「お母さん……」

「私の方こそ、そろそろ『子離れ』しなくてはいけません……いいでしょうお行きなさい、ただしこれだけは約束してください、定期的に成長した姿を、私に見せに来て下さい」

「わかりました、ありがとうございます、お母さん」



 マジェスティックドラゴンが大事そうに神魔を抱えて、俺のほうに歩いてきた。

「ギガンティックマスター」

 マジェスティックドラゴンは、俺に神魔を預けると、そのまま顔を近づけてきて……

 チュッ!


「えっ」


「えっ」


 マジェスティックドラゴンに、ほっぺにチューされた⁉

「ギガンティックマスター、アナタにこの子を託します……どうか立派な成竜にして下さい」

「あ、ああ、わかった」


 ま、まさかね……?

 その時、お尻に激痛が!

「イダダダダダーーッ!」

 またふくれっ面のアイカ。


「イヤイヤイヤ、ドラゴンですよ、ドラゴン」

「わかってます! でも、なんかイラっとしたんです!」


「なんだよギガっち、モテモテだな」

 そう言いながら俺の肩に乗っかってくる神魔。


「よかったなギガっち、マジェスティックドラゴンは人妻だけど、竜族の中では絶世の美女なんだぜ」

「いや、そんなこと言われても、ドラゴンだし……」

 なんだよもう、人の気も知らないで。



「というわけで、お前についていくことにした、よろしくなギガっち」

「おいおい、いいのかよ、そんな簡単に決めちゃって」

「お前に助けてもらったら、最初から一緒についていくって決めていたからなギャウギャウ」


「っていうか、『四支神の呪縛』はもう大丈夫なのか?」

「ああ、一度転生したことで、呪縛は『リセット』したみたいだ。今ならお前と、この異世界中を冒険できるぜ」

 まあ、転生前からずっとこの異世界を冒険したがっていたからな……気持ちがわからないでもない。



「というかお前、中身は現実世界の『ゲームデザイナー』なんだろ? あのマジェスティックドラゴンとの会話は、全部演技だったのか?」


「演技じゃないよ、中身は確かに現実世界の人間だけど、この『子竜』の体に戻ったとき、それまでの子竜の記憶が、俺の頭の中に流れてきたんだ」

「頭の中に? 記憶が……?」


「その時の子竜は魂が無かったけど、マジェスティックドラゴンは本当に献身的にオレを育ててくれたんだ。その時の記憶を思い出したら……もう感謝しかない」


「へえ~そうなんだ」

 魂と体が離れていても、魂が戻るとそれまで体が体験していたことを走馬灯のように思い出すことができるってことなのか……?

 不思議だなぁ……


「オレは現実世界では大人の人間だけど、この異世界でマジェスティックドラゴンは、まごうことなきオレの母親だよ」

 母親か……異世界にも母親がいるって、なんかいいなぁ。



 俺たちは神魔を連れて、一度ファルセインへ戻ることに。

「いろいろありがとう、マジェスティックドラゴン」

「神魔をよろしくお願いします、ギガンティックマスター……また必ず会いに来てください。余計なお世話かもしれませんが、私はアナタの事も気にかけていますよ」

「マジェスティックドラゴン……へへっ、ありがとう」

 俺はちょっと照れ臭くなった。



 サモンロード達ともここで別れることに。

「世話になったなサモンロード」

「ああ、でもすぐにヴァロンで会うことになるだろうね……

 もし対戦で当たったら、君の本気を見せてもらうよ」

「モチロン、楽しみにしているよ」

 俺はサモンロードと固く握手を交わして、オルタナティブドアをくぐった。


 *****


 あれから三日後、ヴァロン帝国から、俺たちにも『招待状』が届いた……『四天王戦世界大会』の出場依頼の通知だ。


「他の二人の『屠りしもの』も出場するみたいだし、どんなやつらなのか楽しみだ」

「ここファルセインからは、私たち『異世界あいどる・はーと』の他に、メギード王や、ニビルさん達も出場する予定みたいですよ」

 アイカがもう一枚、手紙を手に持ちながら話した。

「マジか? 相当にぎやかな大会になりそうだな」


 神魔がマフユに作ってもらったエサをほおばりながら、俺に話す。

「そう言えばギガっち、お前『アドバンスドアーツの枠』が空いているみたいだけど、まだなにも取得していないのか?」

「えっ? 『アドバンスドアーツの枠』? なにそれ」


「最初にゲームを始めた時に、説明があっただろ?

 『プレイヤーは、今まで見たアドバンスドアーツの中で、好きなものを一つだけ取得することができる』ってやつ」

「あ、そういえば……そんなのがあった気がする」


 このゲームを始めたばかりの時、そんなアナウンスが確かにあった。

「俺はよりいいアドバンスドアーツを手に入れるために、もっとたくさんの技を見ようと思っていて、『もっといいのがあるかも……』と、ずっと先送りにしていたんだ」


「そんなことを言っていたら、いつまでたっても手に入らないぞギャウギャウ」

「ですよねー……」


 話を聞きつけたメンバー達が、提案してくる。

 まずアイカの提案。

「マスター、『暗殺組織デスサイズ』のボス、コンドルが使っていた『次元刃ジゲンジン』がよいのではないですか? 音もなく、防御不能の攻撃は、かなり強力かと」

「ふむ、確かに」


 ナナの提案。

「いやいや、なんでもいいんだからぁ、ここはひとつジャッジメントドラゴンのアドバンスドアーツ『百年牢獄プリズンオブセンチュリー』、これですよぉ!」

「いや、それもいいな」


 リンカの提案。

「お待ちくださいマスター、私と同じアドバンスドアーツ、『影足えいそく』があれば、今後の移動がかなり楽になること請け合いです。私とお揃いになりますし……ぽっ」

「それはマジで便利だと、俺も思う」


 神魔の提案。

「まあ一度決めたらもう外せないから、急いで決めることもないけど……ちなみにオレのおすすめは、『獄炎のブレス』だ、ギャウギャウ」

「俺がいきなり口から炎を吐いたら、みんなビックリするでしょうが……」


 ん~とりあえずこれは保留だな、いろいろありすぎて決められないってのも、贅沢な悩みなのかも。


 *****


 その後、俺たちは北の『ヴァロン帝国』へ行くために、気球を準備する。


「よーしギガっち、このまま『空の旅』とシャレこもうぜ!」

「イヤイヤイヤ、お前翼があって空飛べるんだから、一人で行けるだろ?」

「オレは『気球』に乗ったことがないんだ、乗ってみたいんだよギャウギャウ!」


「……お前、初めて会った時と、雰囲気が違いすぎない?」


「そうか? まあ、あの時は『成竜』の姿だったからな……喋り方もああいう威厳のある喋り方に、勝手になっちまうんだよ」

「威厳のある喋り方、ねえ……」


「今は『子竜』になったからな、こっちのほうが『地』のオレに近いかな」


「そういうもんなのかね……」

「そういうもんなんだよ、ギャウギャウ」


 俺は神魔を肩に乗せ、気球に乗り込む。

「よーし、北の『ヴァロン帝国』に向けて、出発進行!」


 ☆今回の成果

  『四天王戦世界大会』の招待状

  神魔が仲間に


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