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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第一章 四天王戦編
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第四話 俺の心の中の悪魔

 アナタはアイドルに『ヤキモチを焼かれた事』がありますか? ……俺はある。


「……」

 トボトボと帰路につく百騎士たち……バトル終了後に相手に危害を加えることは厳重に禁止されている。

 むザイくんが見ているときは……ね。


「すみませんマスター、よかった」


 そう言ってヒナタが俺に抱きついてきた! お、おムネが……密着度たけー!


「私たちが星だとしたら、マスターはまるで太陽ですね」


「えへ、えへへ……」


 その時、おしりに激痛が!


「イダダダダダ!」


 横を見るとアイカがふくれっ面で立っていた。

 う~ん怒った顔も可愛いとか、もう反則だなアイドルは。


「マスターはかわいい女の子に言い寄られると、すぐに鼻の下がデレ~と伸びると妹さんが言ってました」


「伸びてないし」


「伸びてました」


「伸びてないし!」


「伸びてました!」


 マフユもヒナタも笑ってる……ナナはまだ気絶してるけど。


 いろいろあったけど、とりあえずクエストクリアだ。


「よし、とりあえず戻って回復だ。

 その後で、初四天王戦勝利と、初クエストクリア、そしてヒナタのレベルキャップ解放記念で、祝賀会をしよう!」


「さんせーい!」


「じゃあみんなナナを連れて先に行っててくれ、ヤボ用を済ませてから合流する」


 そう言って俺はみんなと反対方向へ。

 ちょっと歩くと、聞こえてきた……百騎士たちの会話だ。


「クソックソックソッ、おのれギガンティックマスターめ……」


「申し訳ありませんアイアス様、我々が至らなかったばっかりに……」


「当たり前だ! この私があんな低レベルの者どもに遅れをとるなど、貴様らのせいに決まっておる!」


「ひぃ」


「……王都に戻ったらすぐ正式な騎士団を編成して、今度こそあやつらを根絶やしにしてくれる……城下町すべてを封鎖してでも必ず見つけ出してやるわ」


「よう、久しぶり」


「なっ、貴様『ギガンティックマスター』⁉

 ……フ・フハハハ、まさか貴様の方からノコノコ来てくれるとはな、探す手間が省けたわ」


「だってこのままお前たちを帰したら、すぐ復讐しにくるだろ? めんどくさいから今ここでとどめを刺しておこうと思って」


「バカかてめーは? さっきさんざんオレさまの攻撃と魔法でダメージ負ったお前一人など、オレたちの相手になんかなるか!」


 さっき俺をさんざん攻撃してくれた盗賊Aが吠えまくる。


「安心しろ、お前ごときの攻撃と魔法で俺がダメージなんて負うかよ」


「な、なにぃ⁉」


「フッ、手負いであっても魔導士一人くらい倒すのは造作もないぞ……」

 そう言ってアイアスが剣に手をかけた刹那――


「セイ・タルス・クエト・ジータ 重力属性ハイアナグラム グラビトン!」


 ズドン!


「な、グハッ」


 百騎士アイアスと盗賊たちの周りが見えない力で押しつぶされている。

 まるで何十トンもある獣に踏みつけられているかのように。


 押しつぶされながらも、アイアスが何かしゃべっている……


「なんだ、今のは? ……詠唱? いや、早すぎる! この私が魔導士に後れを取るなど……」


 俺はアイアスたちを見下ろしつつ、込み上げる笑みを抑えきれなかった。

「さっきお前、なんか言ってたな……『魔導士など、詠唱を唱える前に……』なんて言ったっけ?」


 そう言いながら俺は重力の威力を、もう一段階上げる。


「ガアアァァァ! バ・バカな、百騎士のこの私が、ゆ・指一本動かせないとは……」


「あ、アイアス様……た・たす……」

 周りの盗賊たちはすでに虫の息だ。


 俺の目の前に大きな魔法陣が出現する。

 その中央には融合する基本属性が並ぶ 『炎』『水』『地』『風』……


「え……四つ? そ、そんな……『四重星魔術クアトログラム』⁉」


「アルガン・ヴェナ・オー・ドラエル 炎の摩擦 水の渦 地の振動 風の波動 我が前に下りてその力を示せ 我が怒りを糧とし 汝が敵を焼き尽くせ」


 振り上げた俺の掌の上に、直径五メートルほどの大火球が浮かんでいる。

 百騎士アイアスは今にも泣きだしそうな情けない顔で俺を見上げている……


 俺の心の中の悪魔がささやく……

(こんな悪いやつら、殺しちまおう)


 俺もそれに答える。

「そうだな、殺してしまおう……

 お前達、この世界ギルギルから消去デリートしてやるよ……じゃあな。

 極炎属性 四重星魔術クアトログラム、『ギガンティックフレア』!」


「あ、あああ!!」


 ……アイカ達とは反対方向の森で眩い閃光が走り、鳥たちがギャーギャーとけたたましく叫びながら飛び立っていった……


 *****


「悪い、遅くなって」


「マスタぁ~、遅いですよぉ 心配したんですからぁ」


「お、おおナナ、気が付いたのかよかった」


「いらっしゃいませ! あ、ギガンティックマスター様、お世話になってま~す」


 ここはファルセイン王国城下町の酒場『やんやん亭』。

 ここには定期的に現実世界の調味料や食材を下ろしたりしている、俺のお気に入りの酒場だ。


「繁盛しているようだね」


「ギガンティックマスター様が持ってきてくださる調味料のおかげで料理がおいしくなったと評判で」


「足りなくなったらまた言ってくれ、仕入しておくから。

 あと、また作ってほしい料理もあるからレシピを持ってくるよ。シェフによろしく」


「わかりました、伝えておきます、ごゆっくりどうぞ」


「では改めて、初四天王戦勝利・初クエストクリア・ヒナタのレベルキャップ解放を祝してかんぱ~い!」


「かんぱ~い!」


「いや~どうなることかと思ったけど、まあ結果オーライだな」


「マスター、私メガネではなく『こんたくと』というやつにしたいです」

 マフユが椅子から立ち上がって、鼻息も荒く訴えてきた。


「ああいいよ、じゃあさっそく明日にでも眼科に行ってみよう」


「やった」


「『ナナ・ストライク』はまだ改善の余地があるな……アイカがいないと使えないし、使用後ナナがあれじゃあな……」


「ひどいですぅ! アタシ頑張ったのに……」


「ヒナタもレベル三十五だし、もっと高レベルの装備に変更した方がいいな」


「すみませんありがとうございます」


「マスター、私の『鋼の剣』も……」


 そう言ってアイカはボロボロになった『鋼の剣』を見せてきた。


「ああ、それは大丈夫。

 この間手に入った『メタルマター』を使って、鍛冶屋に発注済みだ。

 明日には新しい剣ができているよ」


「本当ですか? やったー」


 ……いろいろあったけど、とりあえず『異世界あいどる・はーと』の門出としてはまあまあだったんじゃないだろうか、うん。


 ただ、この時の火種が、さらに大きくなっていたのを俺が知るのはもっと先の事だった……




 ◆場面が変わり暗い部屋に一人ローブを着た男。


「……隠者ハーミットか?」


「はっ」


 突然部屋の隅に跪いた男が現れる。


「ご報告いたします、『百騎士・瞬きのアイアス』が『ギガンティックマスター』に敗れました」


「……死んだのか?」


「いえ、盗賊ともども辛うじて生存しています、全治二か月の重傷ではありますが……」


「そうか、だが顔を見られたのならまずいな……早急に手を打たねばならん」


「はい……もう一つご報告があります。どうやらその『ギガンティックマスター』、『四重星魔術クアトログラム』を使用したとのことです」


「なに? それは本当か?」


「はい、ギガンティックマスター達より先にクエストに来ていた冒険者が目撃しています」


「……そちらの方が由々しき問題だな、この宮廷魔導士長である私と同じ『四重星魔導士クアトログラマーか……」


 そう言いながらその男は開いていた本を閉じ、本棚に戻す。


「ハーミットよ、その『ギガンティックマスター』とその一行をさらに調べよ」


「はっ、心得ました……アイアスの方はいかがいたしますか?」


「……処分しておけ、動けぬ百騎士など必要ない」


「はっ」


 答えると同時に消えるハーミット。


「この王国に『最強の魔導士』は二人要らぬ、この『千騎士サウザンドナイトあかつきのヴァイガン』以外にはな……」



 〇次の日……

 さっそくマフユの矯正メガネをコンタクトレンズに変えるため、現実世界の眼科クリニックへ。


 その後はファルセイン王国で装備の更新。

「はい、アイカには『メタルマターソード』」


 アイカは剣を抜いてみて使用感を確かめている。


「マスターありがとうございます。

 鋼の剣よりも軽くて使いやすそうです……気に入りました」


「ヒナタは『高魔導師の杖』と『高魔導師のローブ』」


「すみませんありがとうございます。

 魔力も防御力もかなり上がりました、若干派手で露出が多いような気がしますが……」


「マフユは『鋼の弓』な」


「はい、ありがとうございます。

 あれ、前の木の弓よりちょっと重くなりましたね、少し鍛えないと……『オンユアマーク』できるかな……?」


「ナナも『鋼のレガース』ね」


「ありがとうございますぅ。

 蹴りの威力も上がりましたぁ! ただ歩くとき音がうるさいんですが……何ともなりませんよね? そうですよね」


「これで一通り装備の方は更新できたかな……結構お金はかかったけど、パーティーのパワーアップは欠かせないからね」


 ところで最近の俺はお金回りがいい。


 現実世界でも仕事はほとんどしていないし、異世界でも買い物で困ったことはない。


 それはなぜか? 実はオルタナティブドアを使って『異世界間取引』を行っているからだ。


 現実世界の商品を異世界側に売り、異世界の商品を現実世界側に売って利益を出している。


 ではここで利益率トップ3の品物を発表してみる。

 まず現実世界→異世界のトップ3


 第三位『調味料』。


 前にも言ったが、異世界の料理は総じて味が薄め……その原因は調味料にある。


 塩や砂糖は存在するが、高価で庶民には手が届かない。

 俺が現実世界から安価で仕入れをしてあげている。

 他にもマヨネーズやうま味調味料、醬油に味噌などはこの世界に無い物なので、大変喜ばれた。


 第二位と第一位は同時に発表。

 第二位『懐中電灯』。

 第一位『百円ライター』。


 意外だと思うが、この世界で魔法や魔術が使える人の人口は約六割。

 残り四割の人は普通の現実世界の人と変わらない。


 なので、実は火をつけることや辺りを明るくするなんてことも、魔法を使える人に頼んだりだとか、専用の道具を使うとか、結構難儀だったりする……


 そこでこの現実世界の『懐中電灯』と『百円ライター』がものすごく需要があるってわけ。


 次に異世界→現実世界のトップ3

 第三位『木材』。


 異世界では、余っているわけではないが木材が豊富だ。

 とにかく土地が余っているので樹木なんかは生え放題。

 その気になれば樹木の成長スピードを速める魔法なんてのもあるらしい。

 現実世界でも、紙にしたり、建築資材にしたり、燃料にしたりと多種多様だ。


 第二位と第一位は同時に発表。

 第二位『天然ガス』。

 第一位『レアアース』。


 どちらも異世界には全く必要がなく、現実世界では大変重宝されるモノである。

 特にレアアースは、親戚が鉄工所を経営しているということもあり、大変喜ばれるし、俺も装備を作ってもらうので需要が高い。

 今では携帯電話の部品など様々な分野でも必要なモノなので、積極的に採掘している。


 現実世界でも、これが原因で戦争になったり、子供がさらわれたりするらしい……

 天然ガスは、採掘できてもその後の処理が大変難しく、最初は失敗だらけ。

 魔法をうまく使い、不純物を取り除き、冷やしてLNG(液化天然ガス)にしてから現実世界に持って行く。


 ただ、どれもあまりやりすぎると国税局とかに目を付けられたりするので、やっぱりほどほどが一番である。


 *****


「もう一つやりたいことがあるんだけど、いいかな?」


 俺はみんなを連れて奴隷市場へ。


「今日はまた数人仲間を増やそうと思う、お前たちの後輩だな」


 そこで三人、女性を仲間にした。


「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『ネネ』」


 ネネは待望の『ヒーラー』だった。

「名前ネネ」「女性」「レベル10」「基本属性 水」

「HP40」「MP65」「腕力25」「脚力30」「防御力30」「機動力30」「魔力30」「癒力45」「運30」「視力0.8」

 魔法:基礎星魔術 ヒーリング

 魔法:二重星魔術 ヒーリングプラス


 現実世界の『綾小路 寧音』は、本を一日に必ず三冊は読むという生粋の読書家。

 アニメオタクも公言しており、推しの話になると朝まで止まらないこともしばしば。

 お給金の大半を本とアニメで費やしており、そのために働いていると言っても過言ではない。


「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『トーコ』」


 トーコは人間では珍しい錬金術師。

「名前トーコ」「女性」「レベル11」「基本属性 炎」

「HP40」「MP60」「腕力30」「脚力30」「防御力35」「機動力30」「魔力30」「癒力30」「運40」「視力0.5」

 特殊技:実験


 彼女は『透明になる薬』を作って自分を透明にするのが夢らしい。

「透明人間になって、見ちゃいけないものを見るのが夢なんですウフフ……」


 現実世界の『風連 塔子』は、趣味は『貯金』と言い切る、自他ともに認める『貯蓄家』。

 省エネ術や節約術も得意で、それ系の本や番組などに引っ張りだこ。

 彼女なら、たとえ無人島でも逞しく生きていけることだろう。


「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『フウカ』」


 フウカは投擲士。

 手に握れるものなら何でも投げることができる、投げのプロフェッショナルだ。

「名前フウカ」「女性」「レベル9」「基本属性 風」

「HP60」「MP45」「攻撃力45」「腕力40」「脚力30」「防御力30」「魔力25」「癒力20」「運30」「視力2.0」

 特技:投擲


 現実世界の『布部 風花』は、『あいどる・はーと』のスポーツ担当。

 元陸上部で運動神経抜群、バク転、バク宙はお手の物。

 常に動いていないと気が済まないらしく、彼女の前世はマグロで決まり。


 彼女達は元没落貴族の三姉妹。

 長男だけ残し、真っ先に奴隷商人に売られてしまったそう。


「あの……みなさんよろしくお願いいたします」


「ようこそ、『異世界あいどる・はーと』へ」


 *****


 数日後、俺は久しぶりに一人でゆっくりつかるお風呂を楽しんでいた。


「いやーほんっと久しぶりな気がする。

 そして異世界あいどる・はーとも、『セカンドシスターズ』が揃ったし、ヒーラーのネネがもっと育てば、さらに遠方まで足を延ばすこともできる。


 まだ行ったことの無い国もあるし、見たことの無いモンスターもいるだろう……女の子ばっかりのパーティってのもいいもんだなー、これからさらに本格的に冒険できそうだ……」


 ガチャ!

 え? ドアの開く音?


「マスター、お背中流します!」


「マスター、あのぉ、日ごろのお礼を……」


「マスター、お好きなとこきれいにしますよー」


「すみませんマスター、ごめんなさい」


 バスタオル姿のアイカとナナとマフユとヒナタ⁉


「えー! ち、ちょっと待って待って!」


 そしてまたもや俺の中の悪魔がささやく……

(もういいんじゃない? こっちから頼んでるわけじゃないんだし、たくさんお世話したし、たくさん助けたでしょ? ちょっとくらいならバチ当たらないって)


「うるさいうるさい! もー! 俺の中の悪魔、静かにしてくれーーーー!!」



 ☆今回の成果

  アイカ装備 メタルマターソード

  マフユ装備 鋼の弓

  ナナ装備 鋼のレガース

  ヒナタ装備 高魔導師の杖 高魔導師のローブ


  セカンドシスターズ ネネ(10)が仲間に

  セカンドシスターズ トーコ(11)が仲間に

  セカンドシスターズ フウカ(9)が仲間に


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