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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第九章 魔界編
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第三十四話 同盟締結


 アナタはアイドルに『触れられないもの』と名付けたことがありますか? ……俺はある。


 俺は今の戦闘で使い魔をやっていた四人をスカウトして、名前を付けさせてもらった。


「『炎の精霊イフリート』のイオナです。炎のことなら任せて下さい」

 炎の上位精霊……その実力やいかに。


 現実世界の『大城 衣緒奈』は、『あいどる・はーと』の癒し系担当。

 みなさん気を付けて! この子の『癒しのオーラ』は大変危険です! 一度ハマると、二度と抜け出せなくなる恐れがあります!



「木の精霊トレントのミソラとマキです、親子です」

「違います」

「……アハハハ」

 さすがの俺も苦笑い。


 現実世界の『石垣 未空良』は、『あいどる・はーと』の歩くコミュニケーションツール。

 どんな相手とも瞬時に仲良くなることができる特殊能力を持つ。

 座右の銘は『光陰矢の如し』、やりたいことは我慢しない!


 現実世界の『蔦井 茉希』は、『あいどる・はーと』のみんなの妹担当。

 メンバー最年少で、やることなすこと全部が可愛い反則級の見た目。

 そのポテンシャルは無限大、ただいま成長期&反抗期真っ最中!



「妾は『メデューサ』のクレアと申すもの……以後お見知りおきを」

 見たものを石にすることができる魔物『メデューサ』。

 魔力が戻ってから、本当のチカラはまだ見せていない……


 現実世界の『渡邊 久玲愛』は、『あいどる・はーと』の目ヂカラナンバーワン。

 顔の半分が「目」なんじゃないかと思うくらいの、クリクリの大きな目が特徴。

 彼女のあの目に見つめられて、恋に落ちない男子はこの世に存在しないでしょう。



「彼女たちも『異世界あいどる・はーと』の新メンバーだ。

 みんなそれぞれ事情があって使い魔をやっていたが、その実力は折り紙付きだ、みんなよろしく」

「はい」


「新メンバーの呼び名なんかがあったら便利なんだけど……みんな今まではなんて呼ばれていたんだ?」

「私たちは魔界の使い魔の中でも、『アンタッチャブル』と呼ばれていました……」

「『アンタッチャブル』……『不可触民』か」


 現実世界のインドのカースト制度最下層の奴隷も、『不可触民・アンタッチャブル』と呼ばれていた『触れてはいけないもの』という意味らしい。


「俺は実は『アンタッチャブル』って言葉、そんなに嫌いじゃないんだ」

「最下層の奴隷なのに……ですか?」


「『触れてはいけないもの』なんて逆にかっこいいじゃん!

 『強くて触れられない』『高貴すぎて触れられない』『美しくて近づけない』……アイドルとはかくあるべきだと思うんだ、そうだろ?」

「あい……どる?」


「だからお前たち八人はそのまんま、『異世界あいどる・はーと』の『アンタッチャブルズ』と命名する」

 わーーーーパチパチパチパチ。



 そんな話をしていたら……南の方から土煙が上がっている。

 豪華な椅子を設置した神輿に乗った女の魔族が、大勢の男性魔族に担がれながらやってきた。

 背中に黒い羽、口には牙、小悪魔的な格好をした魔族……


「オーホッホッホ、アタシは『トロメア級』の『蝙蝠魔族』……アタシを出し抜いて吸血鬼族を復興するなんて言っているのは、どこのどいつかしらーー?」


 俺とミコトは顔を見合わせた。

 聞いたことのある声と喋り方、まさか……


「げっ⁉ まさかお前……いや、貴女は、姫⁉ 生きておいででしたか」

 ……あいつ、ミコトの顔を見て「げっ⁉」って言いやがった。


「久しぶりですね、ヴェルマリア……元気そうで何よりです」

「まさか、吸血鬼族復興は貴女が……?」

「そうです」


「そ、そうでしたか……確かに貴女が復興するというのなら、筋は通りますわね……ですが、豪族であるアタシたちをないがしろにして復興とは、いかがなものかしら?」

「ではどうしろと?」


「アタシを貴女の国の重要な役職に就かせてもらおうかしら……何せアタシは『トロメア級』ですから、オーホッホッホ」

「お断りします……また裏切られて、責任を擦り付けられても困りますから」


「な、なんですってーー!」

 神輿を降りてきた蝙蝠魔族は怒り心頭、取り巻きの男性魔族に八つ当たりを始めた。


「貴女は昔からいつも、そうやってアタシを上から見下して、気に入らないったらありませんわ」

 そう言いながら男性魔族をゲシゲシ踏みつける。

「ぐっ……ぐはっ」


「おやめください蝙蝠魔族さま、その者は先日も蝙蝠魔族さまの八つ当たりを受け、腕を骨折したばかり……蹴るなら私を」


「ああ? 『カイーナ級』のくせにアタシに意見する気ですの?」

「いえ、滅相もない……」

「おい、誰かこいつの『舌』を切りなさい」

「えっ」


「聞こえなかったのですか? こいつの『舌』を切り落とせ!

 そして骨折しているこいつは処刑よ……アタシの蹴りに耐えられず声を上げるなんて情けない」

「そ、そんな」


「早くしなさい! それともお前たちも、こいつらと同じような目に合いたいのかしら?」

「ううぅぅ……すまん」

 そう言いながら、他の魔族たちが二人の魔族を押さえつけている……


「オーホッホッホ、それでいいのよ、お前たち『カイーナ級』に人権などないのよ! 恨むなら『カイーナ級』に生まれてきた、自分の運命を恨むのね……オーホッホッホ」


「ヴェルマリア……アナタは変わっていませんね」

 今まさに舌と首を切られそうだった二人の魔族を、ミコトが助けていた。


「今でもそうやって弱きものをいたぶって、貶めて、楽しんでいるのですね」

「なんですの、偉そうにもう王様きどりですの?

 でもこういうことをしているのは、アタシだけではありませんわ……魔界中をごらんなさい、みんなしていることですの、アタシだけが責められる言われはありませんわ!」


「そうですね、これこそがこの魔界の変えなければいけないところ……ですから私が、この魔界を変えてみせます」

「そんなことできるわけないですわ!」


「私にはできます……マスターと、私のこの技があれば」

 ズズズズズ……

 今まで感じたことがないほどの魔力の高まり……

 ミコトの目がさらに赤く光っている。

「あなたには特別に見せてあげましょう……魔王となった私の『七獄しちごく』を」



「お、お前たち、アタシを守りなさい!」

 蝙蝠魔族は、取り巻きの魔族たちを自分の前に立たせ、後ろに隠れている……

「そ、そんな……蝙蝠魔族さま」


「ご安心を、この技はダメージを与える技ではありません。

 そして、すでにヴェルマリア、私はアナタを『ロックオン』しています」

 ミコトの目には、蝙蝠魔族だけが映し出されている。


「さあ、その身で受けなさい……吸血鬼族の七獄、『エナジードレイン』!」

 オオオオオオオ……

「ひ、ひいいぃぃ」

 黒い魔粒子が蝙蝠魔族の周りに纏わりつき、そのままミコトの元へ戻っていく……


「ハ、ハハハハ……何もないではありませんか、焦って損しましたわ」

「いいえ、しっかりと効果はありました。

 今の技でアナタのレベルを『三十』奪い、私に上乗せしました……残念ですが、アナタはもう『トロメア級』ではなく、『カイーナ級』に落ちてしまいました」


「は? な、何を言っているんですの? そんなわけ……」

「ならば、『トロメア級』の六獄りくごくを使ってみて下さい」


「そ、そんなの簡単ですわ、四の獄・『黒曜コクヨウ』! ……あれ?」

 蝙蝠魔族には何も起こらない……


「お、おかしいですわ、三の獄・『堕天ダテン』!」

 し~ん……

「そんなバカなことが……アタシ、本当に『カイーナ級』に……?」


「蝙蝠魔族さま……いや、お前、本当に『カイーナ級』になったのか?」

「ギクッ!」

 蝙蝠魔族の取り巻きの、男性魔族たちの様子が変だ……


「俺の恋人は、お前より可愛いからという理由で処刑された……」

「私の父は、お前の前を横切ったというだけで、両目と両足を潰され、今も家で寝たきりだ……」

「今まではトロメア級だったから、命令には一切逆らえなかったが、本当にカイーナ級に落ちたというのなら……」

「ち、ちょっと、落ち着きなさい……これは何かの間違いよ、そうに決まっているわ!」


 ミコトが蝙蝠魔族に囁く……

「転移者たちの世界に『正負の法則』というものがあります。

 『良いことがあれば悪いことが、悪いことがあれば良いことが交互に繰り返される。自分さえよければいい、と他人を不幸にする者は、必ずその報いを受ける』……まさに自業自得、アナタにかける言葉はありません」

「そ、そん……」


 取り巻きの男性魔族たちが、みんなで蝙蝠魔族を連れていく……

「な、なに? どこへ連れていく気? アタシを誰だと思っているの……」

「いいか、絶対に殺すなよ……こいつにはこの世のすべての地獄を味わってもらうんだからよ……」


「ま、待って……いや、いやあああああああぁぁぁぁーー」


 今の蝙蝠魔族の悲鳴、魔界中に響きわたったようだった……

 とりあえず一人目の豪族はクリアかな?



「今までの戦いは全て、鏡の魔法『ミラーコネクト』で魔界中に中継していました。

 先ほどの七獄『エナジードレイン』は、魔族の立場からすると『脅威』そのものだったでしょう……」


「そうだな、レベルや階級で全ての優劣が決まる魔族にとって、『エナジードレイン』は最悪最凶の技だろう。今のをリアルタイムで見たのなら、他の魔王や魔族が黙っているわけはない」

 メルフィスの作戦も、ミコトの『魔界を変えて見せる』っていうセリフも、なんか現実味を帯びてきた気がする……


 *****


「さて、最後の豪族って奴も来るかな?」

「来るでしょう……『魔剣魔族』はこの辺り一帯を仕切っている大物。その強さもかなりのものです」


「やっぱり『魔剣』を使うのか?」

「はい……『魔剣』は相手を呪ったり、斬った相手のチカラを削ぐことができます。魔剣魔族は、その魔剣を自分で作ることもできるのです」


「自分に合った魔剣を作る……もしくは相手の嫌がる効果の魔剣を作ることも可能ってわけか、手強そうだな……」



 しばらくすると、北の方角から色んな武器を携えた魔族たちが現れた。

「僕の街のすぐ近くで、好き勝手暴れているのは、君たちかな?」


 魔族たちの中から、屈強なドラゴンに乗っている魔族が話しかけてきた、こいつが『魔剣魔族』……?

「お、おまっ……」

 俺とメンバーたちは、思わず吹き出しそうになった口を押さえた……

 そう、魔界の実力者、『魔剣魔族』はなんと俺の『弟』にそっくり!

 間違いない、こいつ弟のドッペルゲンガーだ。


「ギガンティックマスター、メンバーのみなさん、どうかしたのですか?」

 事情を知らないメルフィスはキョトン顔。

「弟のドッペルゲンガーは、魔界にいたんだな……」


「君たちがここで国を興せば、すぐ近くの僕たちの街は、必ず戦争に巻き込まれる。僕は魔界の王が誰になろうと知ったことじゃない……だから君たちが国を興す前に倒してしまえばいい、そう判断した」


 なるほど……争いごとが嫌いな『弟』と同じような考え方だ。

 魔族とはいえ、弟と同じ顔したこの魔剣魔族と戦うのは、少し気が引ける……


 まてよ、生まれ育った環境などは違っても、基本的な性格や弱点なんかは変わらないはず……


「ちょっとカマをかけてみるか……」

 俺はみんなの武装を解き、一人魔剣魔族の前に歩いていく。


「俺は『転移者』だ、アナライズでお前のことは何でもわかる。

 お前はたぶん乗り物が苦手だったはずだ、そのドラゴンの乗り物は大丈夫なのか?」


「な、なんでそんなことを……⁉」

「ザワザワ……そう言えば魔剣魔族さま、前の車輪付きの乗り物はすぐに降りていたな……」


「虫とかも苦手だったと思うが、その足元の虫は平気なのか?」

「え⁉ どこどこ? うえ~~!」

「ザワザワ……今のリアクション、本当に虫が苦手だったのか……」


「好みの女性はボーイッシュな子、短髪で背の低い子だったよな?」

「そ、それは……」

「ザワザワ……そう言えば最近の側近は、みんな短髪で背の低いボーイッシュな子ばかり……」

「待て待て待て、それは今関係ない!」


 うーん、やっぱり現実世界の弟と、中身はほぼ一緒みたいだな。

「お、おいアンタ! デタラメなことばっかり言うんじゃない!」

「いいのかそんなこと言って、二歳までおねしょしていたことバラしちゃうぞ」

「な、な、な……」

「ヒソヒソ……やっぱりあの噂は本当だったのか……魔剣魔族の母どのに相談されたことがあった……」(小声)


「お、お前! もう怒ったぞ……僕が本気になれば、『魔剣』のチカラを使って、こんな街廃墟にすることだってできるんだからな!」


「なんだと?」

 ゴゴゴゴゴ……

「うっ……な、なんだこの威圧感」


「おい『魔剣魔族』、俺を本気で怒らせるな……」

「う、ううぅぅ……なんだ? なぜかこの人は本気で怒らせてはいけないような気がする……」

「ザワザワ……魔剣魔族さま……」


「わ、わかった……僕たちの街を戦争に巻き込まないと約束するのなら、建国を認めよう……どうだ?」


「よし、それでオーケーだ」

 俺と魔剣魔族は固く握手を交わした。



「凄いですギガンティックマスター……あの魔剣魔族を説き伏せてしまうとは。一体どんな魔法を使ったのですか?」


「いや、今回のは魔法じゃなくて……そうだな、『威厳』かな」

「『威厳』……ですか?」

「そう、『威厳』」

 俺はドヤ顔。


 *****


 魔剣魔族が自分たちの街に戻るのとすれ違いに、またドラゴンの乗り物に乗った魔族が街にやってきた。

「お? また魔族が襲撃に来たんじゃないか?」

「いえ、あれは……」


 今まで来た豪族や、町の要人とは違う、ちゃんと鎧を装着した兵士……?

「来たようです、『邪尾族』の兵が」

「フム……あの映像を見て、どんな反応かな?」


 邪尾族の兵士は、移動用のドラゴンから降りると、書状を開きながら話し出す。

「我らが邪尾族の王が、吸血鬼族の王と『同盟』を結びたいとご所望です」

 よしきた、『同盟』のお誘いだ。


「ひいては、吸血鬼族の王と、その配下のものを、邪尾族の城へ招待したいとのことです」

「予想通り来たな、メルフィス」(小声)

「はい、ここまでは順調です」(小声)


「ワタクシは執事魔族のメルフィスと申します、王のご招待、謹んでお受けします」

 俺たちはその邪尾族の兵に連れられ、邪尾族の王城へ


 魔界に来たときに通ってきた丘を過ぎ、その先にある邪尾族の王城……

 禍々しい漆黒の城壁、やたらデカく、権力を見せつけるような城だ。


 そのまま巨大な門をくぐり、広間を抜け、俺たちは玉座の間へ。


 巨大な扉を開け、玉座の間に出ると、何百人という魔族たちが俺たちを待っていた。

「ガフッガフッガフッ……」

「グルルルル……」

「ニヤニヤニヤ……」


 突然魔族たちの真ん中がザァーーと開き、玉座まで道ができた……

 俺たちはその道を歩いて、邪尾族の王の前へ。

「こいつが、邪尾族の王……」(小声)


 【邪尾族王】……

 五メートルはあろうかという巨大な体躯に、腕が四本、額には第三の眼が……

「あれが『邪眼ジャガン』か」(小声)


 玉座の後ろには、立派な十本の尻尾が動いている……

 邪尾族は、尻尾の数・色・形で階級が決まるらしい。

 ほおづえをつきながら、俺たちを睨みつけている。


「そこの女、お前が吸血鬼族の新しい王か?」

「そうです、名はミコトといいます」


「そっちのニンゲン……お前は『六芒星魔術ヘキサグラム』を使っていた奴だな?」

「ああ……アンタが邪尾族の王だな?」


「ニンゲン! 我らが王になんと無礼な!」

 横にいた大臣風の魔族が、腰にある剣の柄を握る……

「構わん……魔族とニンゲンは元々敵対関係にある、今更媚へつらってきても、かえって気味が悪い」

 大臣風の魔族は、納得いかない顔をしながらも、剣を納める。



「我々邪尾族が地上に放った先行部隊は、ことごとく作戦失敗に終わったようだが、吸血鬼族の王と、『六芒星魔術ヘキサグラム』を使えるニンゲンと同盟を結べるのなら、それで良し、というところだな」


 俺はちょっと試しに、邪尾族王をアナライズしてみた。

 ザッザザァーーーー……

 まるでテレビの砂嵐のように、ステータス画面が乱れて内容がまるで確認できない。


 邪尾族王の口が、ニヤリと微笑む

「余に『アナライズ』しようとしても無駄だ……この『邪眼ジャガン』で、精神系の技は全てジャミングできる」

「他の魔族を読心しようとしても無駄だぞ、邪尾族王さまのジャミングは、この部屋全体に広がっているからな」

 さっきの大臣風の魔族が、得意げに話す。



「さて、吸血鬼族の王よ、お前が国を興した目的は何だ?」

 ミコトは俺と顔を見合わせ、そしてメルフィスとも顔を見合わせ、お互いに頷く。

「私の目的は……吸血鬼族の国を復興させることにより、この魔界に拮抗状態を作り、魔界統一戦争を長引かせる、もしくは地上侵攻をやめさせる、というのが目的です」


 ザワザワ……「なんと、そんな理由で……」

 ザワザワ……「自分の欲のためではないのか……」


「なるほど……おおかた魔族の地上侵攻を防ぐために、裏でニンゲンが糸を引いているのであろう?」

(げっ……バレてる)

「だとしたら……何か問題でも?」

「……問題はない。余は地上などどうでもいいからな、この『魔界統一戦争』に勝利することが最優先だ」


 邪尾族王は立ち上がり、玉座を降りてきて、俺たちの前へ。

「このままいけば、我ら邪尾族の敗北は目に見えている……余は利用できるものは何でも利用する、たとえそれがニンゲンであってもだ」

 そう言って、邪尾族王はまた玉座に戻る。


「そのため我らと『同盟』を……ともに魔角族を倒すために!」

「……わかりました」

「うむ、ではここに『邪尾族』と『吸血鬼族』の同盟締結を宣言する!」

 わあああぁぁーーーーパチパチパチ


 とまあ、ここまではうまくいったけど……


 メルフィスが前に出てきた、邪尾族王に提案があるようだ。

「同盟の証として、ワタクシたちで【魔脈】を攻略しましょう」

「! ……ほう」

 ザワザワ……あの『魔脈』を……

 なんだ? 急に周りがザワザワしだしたな。


「あの『魔脈』を攻略できたのなら、お前たちの望みは全て叶えてやろう。

 余の兵を千人貸してやる、好きに使うがいい」

「ありがとうございます邪尾族王」



 こうして俺たちは邪尾族の玉座の間を後にした……


「ふう、緊張したなぁ……でも計画通り、何とかなったな」

「申し訳ありませんギガンティックマスター、ワタクシの独断で、『魔脈』を攻略することになってしまい……」


「それは構わない、邪尾族たちのあの反応……あれで一気にこちらに流れが傾いたからな。

 それよりメルフィス、邪尾族の王は野蛮で粗暴な性格って言ってなかったか?」

「申し訳ありません……おそらくあの大臣が参謀となり、邪尾族王に知恵を授けているのでしょう。ワタクシが以前見かけた時には、あの大臣はいませんでした」


「だとすると、邪尾族王を丸め込むってのは難しそうだな」

「そうですね、今後どのような手を使ってくるか……」


「それはそうと、『魔脈』ってのは何だ?」

「『魔脈』とは、地上で言う『地脈』と同じようなもので、魔界の地下を循環している魔力エネルギーのことです。この『魔脈』の上にいると、絶えず魔力が供給され、魔力切れを起こすことがありません」

「『魔奪の鞭』でイオナの魔力を奪っていた、『毒爪魔族』みたいになれるってことか」


「そうです、しかも自分の実力以上の魔法を使うことも可能となります」

「魔導士にとっちゃ、夢のような場所だな」



「この魔界の丁度中央付近に、巨大な『魔脈』が存在し、その上に敵側の『魔角族』の要所があります」

「なるほど、俺たちでその要所を攻め落とそうって寸法か」


「どちらにしても、この『魔脈』を攻略しないことには、邪尾族の敗北は必須。このままの状態で『魔角族』に攻め込まれれば、我々も無事では済みません」


「逆を言えば、そこを攻略できれば吸血鬼族と俺たちのお株は爆上がり、『天下三分の計』も成就しやすくなる……と」

「その通りです」


「そうと決まれば『善は急げ』、さっそく部隊を編成、作戦を立てて、ちゃちゃっと攻略しちまおう」

「油断は禁物です、『魔脈』を統括している司令官は、『魔角族』の王の息子、つまり魔角族の皇子です」

「魔角族の皇子が司令官?」


「はい、魔界全土でも三本の指に入るほどの魔力の持ち主で、魔角族王と同じ『ジュデッカ級』です。『闇に愛されしもの』という異名を持ち、『闇のエレメンタルトーカー』でもあります」

「そんな奴が、魔力が無限に湧き出る『魔脈』の上にいたら、もう無敵じゃん⁉」


「ですので、今まで邪尾族も手が出せなかった要所なのです」

「そんなの俺たちで何とかできるのか……?」



 ◆邪尾族王side


 邪尾族城の玉座の間、今は人払いをして邪尾族王と大臣の二人……

「あれが前の吸血鬼族王ガウスの娘か。

 小賢しいニンゲンの言うことなどを真に受けおって……」


「ですがあの『七獄・エナジードレイン』は、我々魔族にとって脅威に他なりません」

「確かにそうだ……」

「加えてあのニンゲン、『六芒星魔術ヘキサグラム』を使えるものは、魔界でもほとんどいません」

「なぜニンゲンが……忌々しい」


「あのまま放置しておけば危険極まりないですが、味方として利用するのであれば、こんなに有益なものはいないでしょう」


「そうだな、しかも自ら『魔脈』を攻略すると言ってきた……これは願ってもない」

 邪尾族王が指を鳴らすと、女性の魔族が酒が入ったグラスを持ってきた。


「やつらが『魔脈』を攻略できたのなら、それはそれで良しとして、失敗したとしても、魔角族と吸血鬼族は相当疲弊するはずです」

 大臣も女性魔族から酒のグラスを受け取る。


「我々はそのうしろに本隊を率いて、魔角族と吸血鬼族共々潰してしまえばいい。フフハハハ」

「利用するだけ利用して、その後で亡き者にすれば、我ら邪尾族は安泰です」

 邪尾族王と大臣、二人とも持っていた酒を飲み干す。


「魔界の王『魔界王』の称号……もうすぐ我が手の中に! フハハハハハ……」



 ☆今回の成果

  『イフリート』のイオナが仲間に

  『トレント』のミソラが仲間に

  『トレント』のマキが仲間に

  『メデューサ』のクレアが仲間に


  ミコト 七獄『エナジードレイン』習得

  『邪尾族』と同盟締結


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