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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第六章 騎士国カイエル編
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第二十四話 異世界初⁉ 海上保安局


 アナタはアイドルの『つっこみ』を受けたことがありますか? ……俺はある、しかも二回。


 力なく海上を漂うクラーケン。

 HPも魔力も底をつき、意気消沈している……


「アオイ交代だ、俺の魔法で『イカの丸焼き』にしてやる!」


「ギュピイイーーーーー(泣)!」


 ん? 海上が急に霧に包まれて……これはまさか! 前にアカネが使ったアドバンスドアーツ『逃げ霧』か⁉」

 クラーケンが霧に紛れて逃げようとしている⁉


「そうはいかない、残念だけど俺のアナライズでお前の居場所はバッチリわかってる! ヒナタ、二時の方角だ」

「すみません、了解です」


 ヒナタの前に魔法陣が展開……『地』『炎』『風』

「大地におわす 地の神よ 我に大いなる星の力与え給え 力の紋章もちて 星の中心となり 我と其に偉大なる影響力を示さん 磁界属性 ハイアナグラム『ホライゾン・吸引』!」


「ピ⁉ ピピィィーー!」

 クラーケンはヒナタのホライゾンでまた元の位置に戻ってきた。


「観念しろ! 俺の好物、『ゲソ丼』にして食ってやるぜー!」


「ピピピーー! ピイピイィィー!(泣)」

 クラーケンは泣きながらアオイの後ろに隠れ、ガクブルしだした。


「マスター、こん子『あの男の人怖い! 悪獣の『ベヒーモス』みたい!』って言ってるとよ」

 すかさずアカネが翻訳。

「誰が『ベヒーモス』だ!」


「マスター、この子観念しているみたいだし、私が言えばもう悪さはしないと思います……この子、私が飼ってもいいですか?」


「えっ、ペットにするってこと?」


 ん~まあ、アオイなら亜空間で別の海と繋いで、クラーケンみたいな魔獣でも飼うことはできるだろう。


「まあいいか、アオイの好きにするといい」

「ありがとうございますマスター」


「ピィィピィィ」

 喜んでいるっぽい。


「ペットとして飼うんだったら、名前はどうするんだ?」

「ん~『クラーケン』だから……『クラちゃん』にします」

 そっか、俺は『ケンちゃん』の方がいいと思うけどなぁ。


 そのままクラちゃんはアオイの亜空間で別の海へ転送された。



 海上には、船の破片につかまってなんとか助かった海賊たちが浮かんでいた。

「マーメイド様、ご無事でよかった!」

「みなさん助かりました、ありがとうございます」


 今回は本当にこいつらのおかげで命拾いした……カイエルの王政に連れて行っても、便宜を図ってやらなきゃな。


 俺たちはそのまま海賊たちをクルーザーで回収し、全員回復した。


「それじゃあこのままカイエル城へ連行する、ちゃんと盗ったものは返して、反省するんだぞ」

「へ~い……」


 クルーザーでカイエルの港に戻り、カイエル城へ。


 *****


「……というわけでして、海賊は元漁師だったようです」

 俺たちはラーマイン王に、ことの顛末を報告した。


「ふむ、そうであったか」

「オレ達のチカラ不足もあったかもしれぬ、すまなかったな」

 丁度王宮にいたガーマインも話を聞いていた。


「そ、そんな、めっそうもない、獅子騎士様……」


「ラーマイン王、彼らの命がけの行動で、私もメンバーも助かりました。どうか寛大な処置をお願いいたします」


「うむ、魔獣を放置していた我ら王政にも、多少問題はあったであろう……そなたたちは無罪放免としよう」


「あ、ありがとうございます、王様」

 海賊たちも安堵の表情、よかったよかった。


「しかし、その海賊たちの処遇はどうしたものかのう……解放しても構わんのじゃが、また海賊行為に及んでも困るしのぉ。

 クラーケンは倒したとは言え、まだ他にも活性化した魔獣はおるし、海賊もそなたたちだけではないしのぉ……」


「ラーマイン王、そこで提案があります」

 俺はずっと考えていたことを提案してみた。


「このカイエル国で『海上保安局』を作るのはどうでしょう」

「『海上保安局』……?」


 海上保安局……現実世界のそれは、

 港・湾・海峡その他の沿岸水域において、海上の安全を確保、人命・財産の保護、並びに法律違反を予防・操作・鎮圧するための行政機関の一つ。


 異世界的には、海域をパトロールし、海賊や魔物を発見したら、即座にカイエル海軍に報告するという仕事内容。

 存在するだけで抑止力にもなるはずだ。


「もともと戦闘力は無いに等しいので、基本的には発見と同時に追跡か離脱をし、相手との距離を保ちつつ、カイエル海軍の到着を待つという仕事になるかと」


「なるほど……じゃが連絡手段はどうするのじゃ?」

「連絡には俺が現実世界から持ってきた『携帯電話』を使います」

 俺は懐から『携帯電話』を取り出す。


「船ですが……ん~……一つ方法があるのですが……その……」

「なんじゃ? 歯切れが悪いのぉ」


「俺の『クルーザー』を貸し出します」

「クルーザー⁉ アンタのあの船を貸してくれるのか⁉」

 海賊たちが目を輝かせて聞いてきた。


「くっ……大変不本意ではあるが、この世界のどの船よりも頑丈で、二倍以上のスピードが出せるあの『クルーザー』なら、海賊の船や海の魔獣に後れを取ることは、まず……ない、と思う……はずだ」


「マスター、往生際が悪いですよぉ」

 ナナ、うるさいぞ。


「彼らはもともと漁師だったから海域には詳しいし適役かと思います」


「なるほど……確かに」

 ガーマインも頷いている。


「そしてその仕事の貢献度合いにより、カイエル国から見合った金額の給料を支給して頂きたいのです」

「えっお給金も頂けるんで?」

「それは当然じゃ、海の平和を守る重要な仕事じゃからな」

 ラーマイン王は話が早くて助かる。



「うむ、ではさっそく善は急げじゃ、大臣、予算を計上してくれ」

「はっ」


 ……こうして俺の提案により、異世界初となるであろう『海上保安局』が誕生した。

 あとはあいつらの働き次第だな。


 *****


 俺はラーマイン王に、リリたちの事を聞いてみた。


「ホッホッホ……

 今あの二人は、お互い真逆の流派を極めるために修行中じゃ」

 真逆の流派……てことはリリは今『裏林寺殺人拳』の修行をしているってことか。


「ジンの方は心を入れ替えたらしいから、真逆の流派である『宝林寺活人拳』の修行は、さほど苦も無く終えるじゃろう。じゃが、リリの方は大変じゃろうな……」


 あいつ優しすぎるところがあるからな……大丈夫かな、リリ。


「裏林寺殺人拳の極意は『破壊』……相手の人身の破壊、心の破壊が主体となる。

 優しさや甘え、慈悲の心などは全て一度捨てねばならん……つらい修行となろう」


 頑張ってほしい……でも無理はするなよ、リリ。


 *****


 めでたく予算が下りた『カイエル海上保安局』に、俺からいろいろ指導をしてみる。


 現実世界から海上保安局っぽい制服(?)を購入して、それをカイエルの服飾屋に持っていき、似たようなものを作らせた。


「おー結構似合うじゃないか、一応帽子も作っておいて正解だな」

 恰好から入るのって大事だな、うん。



「あとは敬礼も覚えた方がいいな、返事するときに使用するんだ。まずは気をつけして、背筋を伸ばして、顎を引く」

 元漁師たちはぎこちなくも言われた通りにやってみる。


「指はまっすぐ伸ばし、角度は四十五度、手の平は下に向ける。掛け声は男性なら『イエッサー!』、女性なら『イエスマアム!』だ」


「うるさいな~そんなのどうでもいいだろう……」

「アオイ」

「みなさん、敬礼キチンと覚えてくださいね」

「イエスマーメイド!」

 そんな掛け声、教えてないぞ……



 その後、元漁師たちを連れて港に来てみると……


「あー! 俺のクルーザーの先端に、『マーメイドのレリーフ』がついてるー!」


「航海の安全と仕事の成就を願い、船の先端にマーメイド様のレリーフを飾るのは、船乗りならみんなしていることだぜ」


「俺のクルーザーに、なんてことを……」

「マスター、小さいことは気にしない」

「うううぅぅ……」


 気を取り直して……

「もし海賊と出会ってそいつらがガチの海賊だったら討伐してかまわないが、元漁師の海賊だったら、もう安全だから漁師に戻るか、お前たちのように海上保安局に入るか聞いてみてくれ。ここも人手が足りないからな」


 海上保安局も、人員が増えれば、その分偵察範囲も広げることができる。

 ラーマイン王に頼んで、ガーマイン指揮の元、俺のクルーザーを研究してそれに近い性能を持つ船を製造中だ。



 カイエル港町で、一日かけて元漁師たちにクルーザーの運転方法などを教えて、試運転も行った。


 元漁師たちの仕事が忙しくなる前に、中央島への航路に詳しいこいつらに、俺達を中央島まで案内してもらうことになった。



「よーし、出発の準備は整ったかな」


「おーおぬしら、元気にしておったかの」

「あ、ラーマ……じゃなかった、ラムじいさん、ご無沙汰しています」


 ラムじいさんが俺の耳元で囁く……

「ギガンティックマスター殿、ここでは敬語は禁止じゃ」(小声)

「あ、はい……じゃなかった、う、うん」

 とてもやりづらい……


「ラムじいさんのおかげで全部うまくいったよ、ありがとう」

「なーに、ワシもおぬしのおかげで色々助かったわい。こういうのをおぬしのいた世界で『Win Win』というのじゃろ?」

「よくそんな言葉知っているな!」



 元漁師たちもゾロゾロ集まってきた。

「おうラムじい、ひさしぶりだなー」

「お前たちも元気そうで何よりじゃ。あのごろつきみたいだったお前たちが『カイエル海上保安局』とはのぉ」

「カイエルの王様は見る目が違うのよ! アンタも腕っぷしだけは強いから、オレ達が王様に取りなしてやろうか? ワハハハ」


 こいつら、王城でラーマイン王とも謁見しているはずなのにまるで気づいていない……どうか『不敬罪』で捕まりませんように。

 しかし、ラーマイン王のふところのデカさには頭が下がる……



 準備が整い、中央島に向けて出航することに。

「海上保安局、出発進行!」


 道中海賊に出くわしたが、俺たちが撃退。

 海の魔物が出たら、アオイがクラちゃんを召喚し撃退。

 悪い魔獣はクラちゃんのエサに……う~ん、ここは弱肉強食で。

 そのまま海の魔物や海賊を倒しながら一日かけて中央島にたどり着いた。


「これが『中央島のユグドラシル』……」


 島の中央に直径数十メートルはあろうかという巨大な大樹がそびえ立ち、頂上は雲に隠れて見えないほどの高さ……まさに『神の大樹』という名にふさわしい風貌だ。


 なんか大樹の上の方で数体の魔獣が飛んでいるように見える……

 そして夜の民ヨヨが言っていた通り、島の周りには巨大な大渦が隙間なく渦巻いている。


「こんな大渦に突っ込めば、普通の船ならバラバラになって当然だな……」

 しかしどうするか……いくらこのクルーザーでも、このまま突っ込めばバラバラにはならなくてもただでは済まない。



「そうだアオイ、お前の『メイルシュトロム』で、この大渦を消すことはできないか?」


「この大渦をですか……? う~ん、逆回転の『メイルシュトロム』ならあるいは……」

「よし、やってみよう」


 アオイは魔力を集中させ、魔法陣を展開『水』『水』『水』『風』

「海神よ 我に力を貸し給え 深淵を除くとき 深淵もまたこちらを見ている 水流よ 全てを飲み込む穴となれ 大渦属性クアトログラム、『メイルシュトロム』」!」


 中央島の大渦に、アオイの逆回転の『メイルシュトロム』が合わさる……

 ザザザザーーーー


 おお! 中央島の大渦が無くなった!これならクルーザーで通り抜けられる。

 俺たちはそのままクルーザーを直進させ、大渦地帯を抜けることに成功した。


 島に近づき、周辺を確認する……

 そのほとんどが断崖絶壁で、上陸できそうな砂浜が見当たらない!


「少し上の方に砂地はありそうですが……」

 たぶんヨヨが上陸した四年前から、島は隆起し続け、陸地の部分が今も盛り上がっているのか。

「島が隆起していて上陸できないってのは、こういうことか……」


「マーメイド様、さすがにこれで上陸は無理ですぜ」

 さすがの元漁師でもお手上げか……


 空を飛んで上陸できる者もメンバーの中に数人いるけど、俺無しで上陸するのはあまりにも危険すぎる……

「仕方ないから、今回は諦めよう……別の手を考える」

 俺たちは一旦カイエルの王城へ戻ることに。


 *****


「そうか、海上からはダメなのか……」

 ラーマイン王にも相談したけど、どうも手詰まりのようだ……


「海上がだめなら、あとは空しかないだろうな」

 ガーマインが俺たちの後ろから近づき、会話に参加してきた。


「確か西の大陸『魔導連邦サザバード』に、空を飛ぶ乗り物があると聞いたことがある」

『魔導連邦サザバード』か……


「他に手がないのなら行ってみるといいだろう」

「上空からか、気が進まない……」


 俺たちは魔導連邦サザバードへ向かうことに。



 ◆場面変わって、どこかの屋敷……


 コツコツコツ……

 薄暗い廊下を一人の男が歩いている……レイブンだ。

 廊下の先に扉があり、開けると広間に出た。


 その先には秘書らしき女性と、ほおづえをついてイスに座っている男性が一人……

 長髪で、恐ろしく冷たい目をし、左の頬に赤いタトゥーが見える。


 目の前までレイブンが歩いてきて、膝をつく。

 おもむろにレイブンを睨み、長髪の男性が口を開く。


「……この『暗殺組織デスサイズ』のモットーは『絶対・即殺』。

 一度狙ったターゲットを打ち漏らし、よくおめおめと戻ってこれたな、レイブンよ」


 レイブンは冷や汗を一筋流し、唾をゴクンと飲んでから話し出した。

「ボス……話を聞いてくれ、今回の依頼は情報が少なすぎた。

 まず『転移者』ということを知らされていなかったし、まさか『ヘキサグラム』まで使えるとは……ちゃんとわかっていれば、討ち漏らすことなどなかった」


「言い訳とは見苦しいな、レイブン」


「オレにもう一度チャンスをくれ! 頼む」


「フム……」

 その時、ボスの懐がボヤっと光った

「ほう……どうやらこの『魔界のタロットカード』が、お前を認めたようだな」

 ボスが懐から一枚のカードを取り出した。


「これは『魔界のタロットカード』。

 このカードには不思議な力があり、カードが認めた者がこのカードを所持すると、特別な能力を得ることができる」


 ボスはカードをレイブンに投げた。

 レイブンがそれを受け取ると、光はさらに大きくなった。


「お前にチャンスと、このカードをくれてやろう」

 レイブンがそのカードを見ると、酒を持った男の絵が描かれていた……


「それは『魔界のタロットカード』の『愚者』のカード。

 犯した罪の多さに比例して、『呪い』の術や技を使うことができるようになる」


「呪い……」


「これを使い、今度こそターゲットを亡き者にして来い。

 組織のモットーは『絶対・即殺』……覚えているな?」

「わ、わかっている」


「次しくじったら、お前はもう『結婚』だ……わかったな」


「……ッ! ……わ、わかった」


 そう言ってレイブンは振り向き、今歩いてきた廊下をまた歩き出す……



「ボスにしてはいささか甘いのでは?」

 秘書の格好をした女性が、眼鏡を直しながらボスに問う。

「フッ……まあそう言うな、こう見えてあいつには一目置いているんだ。

 『大陸一の殺し屋』……なんて呼ばれるようにお膳立てしたのは私だからな」


「そうですか……気負いすぎなければいいですが」



 ボスは立ち上がり、誰もいない広間で命令を下す。

「赤サソリ、ハイエナ、ムカデ、お前たちも行け。

 我が暗殺組織の幹部であるお前たち三人も加われば、確実にターゲットの息の根を止めることができるだろう……」


「フシュルルル……」

「ガルルル……」

「フェッフェッフェ……」


 どこからともなく不気味な声があがる……



 ☆今回の成果

  アオイ クラーケンの『クラちゃん』をペットに

  カイエル『海上保安局』設立


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