第二十二話 四天王戦大会決勝
アナタはアイドルに『あきれた』ことがありますか? ……俺はある。
「ではただいまより『カイエル四天王戦大会』決勝戦を行います、準備してくだサイ」
「うおおおおおー」
会場中から大歓声が鳴り響く。
「まずは東門から。
我らカイエルが誇る最強の五人の千騎士……『宮廷五獣士』だーーー!」
「わああああーーー!」
「獅子騎士さまーーーー!」
すげぇ人気ぶりだな、まるでアイドルのコンサートのようだ……
「そして西門。
今大会のダークホース、南のファルセイン王国皇子、メギード様と互角の勝負をしたとの噂、果たしてどこまでが真実なのか! 『異世界あいどる・はーと』だーーー!」
ざわざわざわ……
「全部本当のことに決まってるじゃないですか、失礼しますね」
アイカが珍しく怒ってる。
「今回は公式戦のため、通常の『むザイくん』ともう一人、『ゆうザイくん』も参加いたしますーー」
いつもの『むザイくん』の横に、クロサイの着ぐるみを着たマスコットキャラクター、『ゆうザイくん』が立っている。
ギルギルの公式マスコットキャラクター『むザイくん』と違って、実は『ゆうザイくん』は非公式マスコットキャラクターという設定らしい。
その役割は、公式戦の時に発生する『好感度システム』の判定人。
『好感度システム』はその名の通り、戦いの中でのフェアプレーや反則技などを数値化して判定し、プレイヤーの好感度を上げたり下げたりするシステム。
好感度が高いと周りから『英雄』と呼ばれるようになり、
好感度が低いと周りから『ヒール』と呼ばれるようになる。
それぞれ様々な制約や特典があったりして、プレイヤーによってどちらを目指すのか選択することができる。
決勝戦の相手は予想通り、獅子騎士率いる宮廷五獣士チームだ。
「やはり来たな、待っていたぞ」
「そう簡単にはやられはしないからな」
「フフフ、期待している」
「それでは一分後に試合を開始します、皆さん準備してくだサイ」
この会場、予選と本戦のときはただの砂地だったが、今回は広い敷地に様々な地形が入り組んだものになっている。
岩場や森林地帯、川や洞窟など、その戦闘スタイルによって得意な地形で戦えるようになっているらしい。
俺たちはとりあえず、身を隠せそうな岩場に待機した。
「まもなくバトルスタートします、3、2、1、スタート」
「うおおーー!」
俺達は宮廷五獣士に奇襲をかけた!
「あたいの『ファルコンアイ』でお見通しだよ!」
ガキーーン!
「くっ……反撃された、やっぱりあの隼騎士がシーカーだったか」
「あーーっと、『異世界あいどる・はーと』チーム奇襲をかけたが失敗! 逆に『宮廷五獣士』チームの反撃にあっています!」
「残念だったな、我々に奇襲は通じんぞ」
「なら仕方ない、正攻法で勝負だ」
俺達と宮廷五獣士、互いに睨み合う……
「マスター申し訳ありません、ボクはあの蟷螂騎士と一騎打ちをさせてもらっていいですか?」
「リリ……いいだろう、任せる」
「ありがとうございます」
リリは蟷螂騎士を指さし話す。
「アナタに一騎打ちを申し込みます」
「……わかった受けよう」
「ん……どうやら異世界あいどる・はーとチームのリリ選手と、宮廷五獣士チームの蟷螂騎士選手が一騎打ちの模様。少し離れた場所で戦うようです」
「ワタシは中国拳法で最も門派が多く、技も豊富な『蟷螂拳』を極め、さらに『獣魔融合システム』で昆虫最強のカマキリの攻撃力と素早さを身につけた。
並みの格闘家では指一本触れることもできんぞ……覚悟はいいか?」
「はい」
「はああー」
「はいやー」
「せい!」
「とお!」
「蟷螂騎士選手とリリ選手、二人の息もつかせぬ攻防が始まった模様です」
「さあて俺達もいっちょやってやりますか」
「ゲッゲッゲ……力自慢のオレの相手はどいつかな?」
蜥蜴騎士が指を鳴らしながら近づいてきた。
「アナタの相手は私っす」
おおーかっこいいぞヒビキ。
「おやー? 蜥蜴騎士選手が手を差し出しています……どうやら力比べをするようです。異世界あいどる・はーとチームのヒビキ選手、それに応え蜥蜴騎士選手と手を合わせましたーー!」
「むおおおーー」
「はあああーー」
「ヒビキ、いいぞ! やっちまえ!」
「……」
なんかヒビキの様子が変だ
「ぎゃああ! 無理無理無理、無理っすーーー! 手が折れるっすーーー!」
ヒビキが泣きながら叫んでる。
俺は顔に手を置いて、やれやれと言った感じでため息をつく。
「何が『ギッタンギッタンにして、尻尾をちょん切って丸焼きにして食ってやるっす』だよ……」
「おーっとこちらでは異世界あいどる・はーとチームのアイカ選手と隼騎士選手が対峙しています!」
「たあああーー」
スカッ!
アイカが斬りかかるも剣は素通り⁉
「それはあたいの残像だよ」
とてつもないスピードでアイカの周りに隼騎士の残像が何体も出現した!
「ひ、ひえ~、め、目が回る~」
「あーっとアイカ選手、隼騎士選手の残像に翻弄されて目を回しているー」
俺はまたため息……
「二人とも情けない……」
まあステータスを見て相手にはならないだろうなーとはわかっていたけどね。
「おっと異世界あいどる・はーとチームのヒビキ選手とアイカ選手、宮廷五獣士チームに掌の上で遊ばれているようだー 果たしてここから逆転できるのかー⁉」
……このMC、どっちかっていうと宮廷五獣士寄りみたいだけど、盛り上げるのがうまいなー。
ん……鮫騎士がなんか唱えてる……?
「天の水辺より力を与えよ 水竜よ 天より舞い降り 瀑布となれ 水属性アナグラム『カスケード』!」
ドシャーーー!
「あ、危ねっ!」
間一髪鮫騎士の魔法を避けた。
「どうだ、お前の魔法避けてやったぜ」
「サーメサメサメ……」
あれ、なんかこのパターン前に見覚えが……
鮫騎士が魔法でできた水たまりに飛び込んだ! 人魚のアオイと同じで、亜空間に繋がっているのか?
「我は水中なら無敵ザメ……さあお前たちも引きずり込んでやるザメ!」
「そう言われて素直に入る奴なんかいるかよ! みんな下がれ」
「そうはいかないザメ!
ジルベール・オー・ノートス 水の精霊よ 敵に纏いて その者の自由を奪え 水膜属性ハイアナグラム、『ハイドロプレーニング』!」
お、こいつ『神の言霊』使えるのか……その時、足が!
「な、す、滑る! うわあああーー」
ザボンッ!
俺達はみんな水中に落とされてしまった。
【ハイドロプレーニング現象】……昔現実世界の車の免許の講習で聞いたことがある、確か車のタイヤと地面の間に薄い水の膜が張り、摩擦をなくしてしまう現象……これはそういう魔法ってわけか。
「グフフフ……さあ、覚悟はいいサメか?」
鮫騎士の前に魔法陣が展開……『水』『風』『地』
「我が魂の声に答えしものよ その大いなる力を貸せ 我に共鳴するものよ 集え 共鳴属性ハイアナグラム 『スタンピード』!」
こ、これはアカネがファルセイン城の攻防戦の時に使った共鳴の魔法?
こんな水中で一体……?
ザザザザザ……
鮫騎士の奥の方から何か黒いモノの塊が迫ってくる……こ、これは『ピラニア』だーーー!
何百匹もいるピラニアの群れが、俺達に襲い掛かってきた!
「イタタタ!」
水中で動きが鈍いけど、みんな必死で抵抗している……なんちゅう厄介な魔法だ。
ん……? 鮫騎士がなんかまた詠唱を唱えている?
「水の精霊に我が願い届けよ その青き壁 通り抜ける事能わず 大いなる水圧よ 敵を圧し潰せ 水属性ハイアナグラム『アクアウォール』!」
まずい、あれは水属性のハイアナグラム⁉ 打ち消すには風属性か……よし!
「シュー・レイ・ハク・トゥライザ
風の王 空の王 疾風とともに現れん 真空の刃よ 全てを切り裂け 風属性ハイアナグラム『ハリケーンクロス』!」
この異世界では水中だけど魔法の詠唱は唱えることができる。
鮫騎士のアクアウォールと俺のハイケーンクロスがぶつかる!
ズバババ!!
「うわあーー!」
なんだ⁉ 打ち消したはずなのに、俺達の方だけダメージが⁉
「グフフフ……水中では、我の水魔法の威力が上がるサメ」
マジか⁉ 同等の魔法じゃ打ち消せないって事か? でもクアトログラムだと詠唱が長すぎて打ち消しが間に合わない!
「さあ、覚悟はいいザメか? とどめザメ!」
鮫騎士が詠唱を唱え始めた、マズイ! もう俺達の息も限界だ。
……ん? ナナがなんか手でみんなに合図している? これは……ひょっとして『手話』?
以前「念話」やインカムが使えない時のために、現実世界の『手話』をみんなに教えたことがあったけど、まさかこんな水中の戦いで役に立つとは……
ナナの手話に反応して、ヒビキがナナの手を取り、その場でブンブンと振り回し始めた……これって⁉
「ナナ・ストライク水中バージョン!」
水中だから聞こえないけど、そう言った気がした。
ヒビキに投げてもらったナナは、ものすごい勢いで鮫騎士に突撃! 鮫騎士を吹っ飛ばした!
でかしたナナ! 今なら脱出できる!
「ザン・セイン・トーン 風の竜よ舞い上がれ 風属性アナグラム 『ツイスター』!」
俺は風のアナグラムを使って、メンバー全員を地上へ吹き飛ばした。
「おーっと、水中から風の魔法で異世界あいどる・はーとチームが飛び出してきましたー」
「ぶはあー、ぜえぜえ……危なかった……」
「あーっとしかし、空には待ってましたと言わんばかりに隼騎士が攻撃の構えをとっていますー!」
「マズイ、みんな避けろ!」
「アドバンスドアーツ、『雷刃の羽根』!」
隼騎士の翼から、雷を纏った無数の羽根が飛んできた! 俺たちはギリギリで避けた。
バリバリバリッ!
「うわああーー」
「きゃああーー」
避けたはずなのに電流が! なんで?
「あたいの『雷刃の羽根』は、地面に刺さるとその周り一体も感電させるのさ」
なんて嫌すぎる技……
「リザードファング!」
「今度は蜥蜴騎士選手が大口を開けて突撃だーーー!」
「くっ! 念動属性アナグラム『サイコキネシス』!」
俺は魔法で近くにあった大きな岩を蜥蜴騎士に投げた。
バクンッ! ガリッガリッ、ボリボリ……ゴクン
噓でしょ? 岩を食べちゃった⁉
「ん~不味いな……やっぱり食べるならイキのいい生き物に限る、ゲッゲッゲ……」
そう言ってニヤリと笑う蜥蜴騎士……こえーよ
「くっ、さすがにこれは分が悪い……みんないったん引くぞ!
風属性アナグラム『エアリアルエンチャント』!」
全員にバフをかけ、いったん引いた。
「あーーっと異世界あいどる・はーとチーム、一時撤退か⁉ 全員にバフをかけ、後ろの岩陰まで後退したー。一方の宮廷五獣士チームは……動きません、どうやら様子見のようです!」
*****
「宝竜朱雀天翔!」
「蟷螂穿弓腿!」
「ぐっ」
「蟷螂騎士選手の、下段から顎を狙った蹴りがヒット!」
「宝竜白虎爪!」
「蟷螂前掃腿!」
「蟷螂騎士選手、回転しながらの下段蹴り! リリ選手転倒!」
「は、速い……そしてこの技の数、動きが読めない……強い」
「……並みの格闘家なら既に三回は倒しているところだ、打たれ強さと根性には自信があるようだな」
「奴隷だったボクを救ってくれたマスターに恩を返すためにも、ここで負けるわけにはいきません」
*****
俺たちは岩陰で一旦呼吸を整える……
「あいつら追ってこない、余裕だな。予想はしていたけど、かなり力の差があるな……」
「面目ありません……」
アイカとヒビキががっくりうなだれている。
「言っただろ、『予想はしてた』って。こっから先は打合せ通り『プランB』で行く」
「わかりました」
俺たちはそのまま宮廷五獣士のところへ。
「異世界あいどる・はーとチームが戻ってきました……何か作戦を立てたんでしょうか?」
「ほう、逃げなかったか、関心関心」
蜥蜴騎士め、もう勝利を確信していやがるな……
「まだまだ、勝負はここからだぜ!
『堕ちよ 夢の中へ 眠れ 母のぬくもりに抱かれるが如く 転寝属性アナグラム ドラウジネス』!」
「おっとー? 異世界あいどる・はーとチーム、宮廷五獣士を眠らせる作戦かー?」
「……ぐぅぐぅ……」
俺はヒビキに転寝の魔法をかけ、そのまま眠らせた。
「なんだなんだー? ギガンティックマスター選手、味方のヒビキ選手を魔法で眠らせたー? 一体何をするつもりでしょうかー?」
実はこの決勝が始まる前に、催眠のプロであるサキュバスのアキラに頼んで、ヒビキに予備催眠をかけてもらっていたのだ……
ヒビキの催眠を発動させるキーワードは……
「推しは推せるときに推せ!」
「ギュピーーーン!」
「よし、ヒビキ、そのままクレイジートランスだ!」
「はいっす! 『クレイジートランス』! ……うぅ……うががあああ!」
「よしヒビキ、敵はあいつらだ! 行けーー!」
「うががああああ!」
「なんとー! 催眠術にかかっていたヒビキ選手が、クレイジートランス化、そのまま宮廷五獣士に突撃だーーー!」
「なんだとーー! 催眠術にかかっているやつをトランス化して操るなんて、『禁じ手』だぞーー⁉」
蜥蜴騎士が叫んでる。でもそんなの構っていられない!
「『異世界あいどる・はーと』チーム、禁じ手使用により好感度マイナス十五ポイント!」
「ゆうザイくんが『異世界あいどる・はーと』チームの好感度を下げましたー!」
「くっ、オレに任せろ!」
「ヒビキ選手と蜥蜴騎士選手、また手を組み合い力比べをしているーーー!」
「うおおおおおー」
「があああああー」
「ああーーっと、今回は互角だーーー!」
いいぞヒビキ!
「おのれーー、まさか禁じ手まで使うとは!」
隼騎士が俺の周りを超スピードで回り、何体もの分身を作り出した!
「あー、そうそう、ちょっと聞いてみたかったんだけど……」
「?」
「ハヤブサの力を融合した今のあんたって、人間なの? ハヤブサなの?」
「そ、それは……人間に決まっている!」
「じゃあさ、赤ちゃんはどうやって生まれるの? 卵で生まれたりするわけ?」
「!! ……きっさま~、あたいを侮辱するかーー!」
「『異世界あいどる・はーと』チーム、悪口により好感度マイナス五ポイント!」
「お前はあたいが斬る!」
バババババ!
「隼騎士選手の分身が、ものすごい勢いでギガンティックマスター選手の周りを回りだしました!」
「くらえーーー!」
「素早い奴が逃げ回ると厄介だが、向こうから攻撃してくるのがわかっているのなら、それなりの対処法はある」
ザシュ!
「な……しまった! これは『ファントムシフト』⁉ 怒りでサーチするのを忘れていた!」
「あーっと隼騎士選手、ギガンティックマスター選手に攻撃するも、避けられて死角に入られてしまったー!」
俺の前に魔法陣が展開……『風』『地』『闇』『闇』
「アービル・ドム・ソドム・ロー・シード
其の者の骨を石に 肉を石に 血を石にせよ…… 石化属性 禁呪 『フェノメノン』!」
「な、なにーーー⁉」
バキバキバキバキ……
隼騎士が、ファルセイン城攻防戦の時のヴァイガンと同じように、みるみる石になっていく……
「あああーー! 石化の魔法……ギガンティックマスター選手、まさかの禁呪を使用したーーー」
「『異世界あいどる・はーと』チーム、禁呪使用により好感度マイナス二十五ポイント!」
「ブーブーブー」
観客席から大音量のブーイングが聞こえる、まあそうでしょうね。
ナナがなんかクネクネしてる……?
「うっふん、アッハン、もえもえ キュン!」
「……なにをしているザメか?」
「う~ん、残念ですがほんのちょっとだけ、ちょっとだけ私の魅力が足りないようですねぇ……仕方ないので魔法にします」
ナナの前に魔法陣が展開……『炎』『炎』『闇』
「我が燃える情念を 情熱を 汝に捧ぐ 白きものを愛の色に染め給え この世に愛に勝るものなし 魅了属性 禁呪『チャーム』!」
ポワワワ~ン
ナナの前からピンクのハートが飛び出し、鮫騎士の体に吸い込まれていった!
「……うほっ! いい女サメ!」
「あーっと、鮫騎士選手、目がハートになっていますー『魅了』の魔法だー、これも禁呪です!」
……その昔、この『魅了』の魔法で女性を自分に惚れさせて悪事を働くものが大量にいて、ずいぶん昔からこの魔法は世界条約により禁呪に指定されている。
「『異世界あいどる・はーと』チーム、禁呪使用により好感度マイナス二十五ポイント!」
「またもや異世界あいどる・はーとチーム、好感度マイナスですー、大丈夫なのでしょうか?」
よーしいいぞ、混戦になればなるほどこちらが有利だ。このまま押し切って……
「奥義『百獣咆哮覇』!!」
ズガガガガガーー!!
「あーっとこれはー! ガーマイン選手の奥義、『百獣咆哮覇』だーー! ほかの選手たちの横に、巨大な斬り跡ができましたー!」
斬り跡って……俺たちの立っていた巨大な岩盤が真っ二つになって、まるで崖みたいになってるじゃないか⁉ なんていう威力の衝撃波……メギードの『パラディンブレイク』より上かも。
「皆の者落ち着け! 相手の思うつぼだぞ」
「リ・チャーム」「リ・フェノメノン」!
宮廷五獣士たちは一旦ガーマインのもとへ下がり、石化や魅了の魔法を治療した。
「ガーマイン様、ありがとうございます助かりました」
「しかしあいつら、禁呪まで使いやがって……なんて汚い奴らだ」
「構わん。相手がどんな手を使おうが、全て受け止め、その上で勝つ」
「! ……申し訳ありませんガーマイン様」
俺はみんなを集めて小声で話す。
「いいかみんな、これであいつらは俺達の攻撃に、反則技や禁呪があるんじゃないかと疑う。それにより判断が一瞬遅れ、迷いが生じ、隙が生まれる。俺達はそこをつく」
「はい」
「宮廷五獣士が出てきました! 両チーム対峙しています!」
わあああーーー
「ガーマイン……真打登場ってとこか? 会場も盛り上がってきたな」
「フフフ、さあもっと私を楽しませてくれ! ギガンティックマスター!」
俺VSガーマイン
何も警戒せず、黄金の大剣を構えたガーマインが近づいてくる……
俺の前に魔法陣が表示される……『水』『地』『地』
「ファ・レムス あらゆる障害より 我を守る盾となれ 障壁属性ハイアナグラム『バリアウォール』!」
ジャキーーン!
「あーっと! ギガンティックマスター選手、障壁魔法で壁を作るも、ガーマイン選手の大剣の一振りで真っ二つにー!」
「マジか! レアアダマンタイトの剣でも斬れない障壁なのに!」
「行くぞ『レグルスソード』! はあああーーーー」
物凄い気力の高まり、これは……
「奥義! 『百獣咆哮覇』!!」
ズガガガガガーー!!
巨大な衝撃波が俺の方に飛んでくる!
「おおおーー『デトネーションブロウ』!」
俺の放った拳の衝撃波が、百獣咆哮覇の衝撃波とぶつかる!
ガガガガ!
俺の衝撃波が当たった部分だけ衝撃波を相殺!
俺の右後ろと左後ろで爆発が起こる!
ドガガガガ
「ギガンティックマスター選手、ガーマイン選手が放った『百獣咆哮覇』を、真ん中だけ拳撃で相殺しましたー!」
「ほう、私の『百獣咆哮覇』をそんな形で防いだ奴は初めてだ」
「コンニャロ~、とんでもない技使いやがって……今度はこっちの番だ!」
俺の前に魔法陣が展開……『炎』『水』『風』
「カイ・ル・ランクルス 敵に衝撃を与え平伏せさせよ 衝撃波属性ハイアナグラム インパルス!」
「ライオネットクロー!」
ガカッ!
「ガーマイン選手、右手の甲の爪から衝撃波を放ち、ギガンティックマスター選手の衝撃波の魔法を相殺!」
「うぬぬぬ、とりあえず動きを止めないと……」
俺の前に魔法陣が展開……『地』『闇』『闇』
「セイ・タルス・クエト・ジータ 重力属性ハイアナグラム グラビトン!」
ズドン!
「あーっとギガンティックマスター選手、重力の魔法でガーマイン選手を足止めかー?」
ザッザッザ……
「マジかこいつ、普通に歩いてくる! あのメギードだって膝ついたんだぞ」
「……フフフ、ここまでの威力の重力魔法は私も初めてだ、さすがだな」
「くっそーこれならどうだ!」
俺の前に魔法陣が展開……『光』『炎』『風』
「ミリタリス・ビー・オージャ・ダナドゥ 我 光弾を操り敵を屠るものなり 光弾属性ハイアナグラム ヴァーミリオンレイ!」
ドキュキュキュ!
「うおおー、無数の光弾がガーマイン選手に向かっていくー!」
「はあああー、奥義『獅子王連斬』!」
ズババババ!
「ガーマイン選手の大剣からも無数の衝撃波が飛び出し、ギガンティックマスター選手の光弾を全て切り裂きましたー!」
「嘘だろ⁉ 魔法を物理で斬るとか、なんて非常識な……」
「ハハハ、こんなに楽しい戦闘は初めてだぞ、さあ続きだ!」
「ここにも戦闘狂がいる……千騎士ってホント面倒くさいやつばっかりだ!」
ヒビキVS蜥蜴騎士
「うおおおおおー」
「があああああー」
「蜥蜴騎士選手とヒビキ選手、また力比べをするがやはり互角ーー」
「くそっ、キリがない!」
「蜥蜴騎士選手、ヒビキ選手から一旦離れます!」
「くらえー! リザードテイル!」
「蜥蜴騎士選手、自身の巨大な尻尾でヒビキ選手を攻撃だーー!」
ガシィッ!
「なにっ⁉」
「はあああー!」
ブンブンブン
「ヒビキ選手、なんと蜥蜴騎士選手の尻尾を掴んでそのまま振り回し始めたーー!」
「うおおおーー」
ドガーッ!
「蜥蜴騎士選手、崖に激突ーー」
「く、くそっ、ならばリザードファン……いや待て、また掴まれたら……」
「蜥蜴騎士選手、突撃しようとしましたが止まりました!」
「スケイルボール!」
「おーっと蜥蜴騎士選手、アルマジロのように丸まり、鱗のボールになっちゃいましたーー」
「オレの鱗はリザードマンの鱗の数倍の硬度を持つ、どんな攻撃も効かんぞ!」
「それを待っていたっす」
「あーっとヒビキ選手、トランス状態からいつの間にか戻っているー?
そして取り出した紐のようなもので蜥蜴騎士選手をグルグル巻きにしていますー?」
「そんな紐ごときで、怪力で知られるオレの動きを……な、なんだこれは? き、切れない⁉」
「フフフ、現実世界の最高アイテムその⑫『アラミド繊維』っす!」
「おいヒビキ、それ俺のセリフ!」
「人工的に作られた強化繊維で、仕組みはよくわかりませんが、防弾チョッキにも使われるほどの超強度・高衝撃吸収性があるっす」
「なんとー! あの蜥蜴騎士選手が切れないほど頑丈な紐で、動きを封じましたー。ヒビキ選手俄然有利!」
「では一方的に攻撃させてもらうっすよー」
「ヒビキ選手、巨大な斧を構えて上空にジャンプ、そのままグルグル旋回しながら蜥蜴騎士選手に突撃してきたーー!」
「アドバンスドアーツ、『バーチカルアックス』!」
ドカーーーン!
「……かったーい! なんですかこの鱗? 傷がちょこっとついただけなんて……こうなったら何度でも打ちこみまっす!」
「うおおお! リザードブレス!」
「おおーっと蜥蜴騎士選手、ブレスで紐を焼き切って脱出に成功しました!」
「そんな技まであったっすか……」
「このオレの鱗に傷をつけるとは……こいつ」
アイカVS隼騎士
「今度はこっちから行きますよ!」
「アイカ選手、隼騎士選手に突撃ーー!」
「アドバンスドアーツ、『烈剣剛剣大斬剣』!」
ズバーーッ!
「その技、本当にあるんだ⁉」
俺はマジでビックリ!
スカッ!
「くっ、これは分身でしたか⁉ ならば」
「おっとアイカ選手、詠唱を唱え始めました!」
「『大地と大気の精霊よ 力満ち 天より地へ 天の鉄槌を落し給え! 雷属性アナグラム ボルト』」
バシイィィ!
「アイカ選手、自分の剣に雷の魔法を落としました……これは?」
「ハイブリット高周波ソード!」
ズガガガガ!
スカッ!
「また分身……」
「中々高威力の技……防御力が低めのあたいでは受けきれないかもしれない」
バサッバサッ
「あーっと隼騎士選手、空中へ離脱!」
「お前たちの中に空中を飛べるものはいない……悪いけど、ここから一方的に攻撃させてもらうわ」
「そうはいきません、対打撃結界展開!」
シュシュシュン!
「アイカ選手、対打撃結界を地面から空中に多数、しかも一直線に二本……いったい?」
「アドバンスドアーツ、『雷足』!」
バババババ!
「おおおー? アイカ選手、なんと二本の対打撃結界の間を、地面から天空へ走る稲妻のように、一瞬で駆け上がった!」
「なっ⁉」
「ハイブリット高周波ソード!」
ガカーッ!
「うわあああーー!」
「アイカ選手の必殺技を受けた隼騎士選手、そのまま地面に叩きつけられましたーー!」
「油断しましたね、私は翼はありませんが、あなたのいるところまではたどり着けます!」
「く、くそっ……」
ナナVS鮫騎士
「くそ、ふざけた魔法を使いやがって……もう同じ手は通用しないザメ! また水中でいたぶってやるザメ!」
「あーっと鮫騎士選手、先ほどと同じように魔法で水たまりを作ったー」
「もう同じ手が通用しないのは、こちらも一緒ですぅ!
『氷の精霊よ 我に宿りて氷結の力高め その息吹で敵を粉砕させ給え!』氷属性アナグラム フロストブレス!」
「あーっとナナ選手、氷の魔法で水たまりを凍らせたー! これでは鮫騎士選手も水中に潜れません!」
「しまったザメ!」
「さあここから私の新必殺技、行きますよー」
「ん? ナナ選手、そのまま氷の魔法で刃のついた靴を作りました……これはいったい?」
「アドバンスドアーツ、『氷足』!」
「ナナ選手、自分の魔法で作った氷の道を、氷の靴で走っています! 凄いスピードだ!」
「からの! 新技、『ナナ・インフィニティ』!」
「おおおー? ナナ選手回転しながら刃のついた氷の靴で、鮫騎士選手を蹴っています! と、止まらないーー⁉」
「な、なんだザメーー?」
「ナナのやつ、こんな真夏になんで俺のパソコンでずっと冬のオリンピックの動画見てるのかと思ったら、『スケート』を参考にしたこの技のためだったのか!」
「氷の上ならずっと回りながら無限に蹴り続けられますぅ! あわわわわ」
「……ってかあいつどうやってあの技止めるつもりだ?
ナナ・ストライクの時もそうだけど、あいつは技の着地を全く考慮しないんだな……」
俺はまたやれやれといった感じで顔に手を当てる……
ブゥゥーーー!
「あああ、鮫騎士選手、口から大量の水を吐いてナナ選手を遠ざけることに成功!」
ズテーン!
「いったーい! お尻打ったーー!」
「くっそーよくもやってくれたザメ……怒ったザメよー!」
リリVS蟷螂騎士
「宝林寺活人拳 回復術、『命穴』!」
「……先ほどからワタシの攻撃を何度受けても立ち上がってこられたのは、その技のおかげか」
「そうです、ダメージを受けるたびひそかに回復していました」
「宝林寺活人拳はそのほとんどの技が防御・回復に関するもの……攻撃の技は数えるほどしかないはず。その状態でよくここまで戦った、驚嘆に値する」
「少し離れた場所で戦っていた蟷螂騎士選手とリリ選手、睨み合いが続きます……」
「だがそろそろ限界のようだな……次で終わりにしよう、最大の技で来るがいい」
「はい」
「おおおおおおお」
「はああああああ」
「蜥蜴騎士選手とリリ選手、二人とも気力を最大まで高めていきます、これは……」
「奥義! 『蟷螂連貫双極拳』!」
「奥義! 『練気 宝竜掌打』!」
ガカッーー!
二人が交錯し、動きが止まる……
ガクッ
リリが跪く。
蟷螂騎士が振り向き、リリを無言で見つめる……
「まいりました……私の負けです」
「リリ選手、ギブアップです、確認してくだサイ」
むザイくんがリリのギブアップを宣言した。
「あーっとここでリリ選手ギブアップ! 一騎打ちは蟷螂騎士選手の勝利ですー」
「わあああー」
「……そろそろこちらもケリをつけようか、ギガンティックマスター!」
「奇遇だな、俺も今そう思っていたところだ!」
「おおおおおおお」
「はああああああ」
「ここにきて残りの八人も最後の気力を振り絞る! 勝利の女神はいったいどちらに微笑むのでしょうか!」
「くらえ! リザードファング!」
「バーチカルアックス!」
「そこだ! 雷刃の羽根!」
「ハイブリット高周波ソード!」
「水属性ハイアナグラム アクアウォール!」
「ナナ・インフィニティ!」
「いくぞ! 奥義『百獣咆哮覇』!」
「デトネーションブロウ!」
「そこまで!」
――――ッ!!
「タイムアップです、両チーム離れて下サイ」
「お互いの技がギリギリのところでタイムアーーーップ! 勝敗はマスターの受けたダメージ量によって決まります。果たして勝者は……」
「勝者……宮廷五獣士チームです、確認してくだサイ」
「うおおおおーーー」
「わああああああーーーー」
☆今回の成果
ヒビキ 『バーチカルアックス』習得
アイカ 『雷足』習得
ナナ 禁呪『チャーム』 『氷足』習得




