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異世界で「あいどる24」作りました。  作者: みっど
第一章 一・二期生編
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第二話 アイドルレベリング中

 アナタはアイドルに『夜這い』されたことがありますか?……俺はある。


 ほとんど眠れなかった……そりゃそうでしょ!

 見た目全く一緒の推しのアイドルが、隣で寝てるんだよ!

 逆に何もしなかった俺の方がすごい、褒めたたえたい。


 「……おはようございます」


 「あ、お、おはよう、よく眠れたかい?」


 「はい。

 いつもは寝藁だったので、こんなにふかふかの布団で寝られるなんて……

 おかげですっごい熟睡しちゃいました」


 「そ、そう、それはよかった。

 よし、今日は午前中レベリングだ。お前にはもっと強くなってもらうぞ……

 俺の作る『異世界あいどる24』の筆頭エースになってもらう予定だからな」


 「筆頭エース……ですか?」


 「そう、筆頭エース


 俺はアイカにアナライズをかけてみた

 「名前アイカ」「女性」「レベル7」「基本属性 風」

 「HP75」「MP40」「腕力40」「脚力25」「防御力25」「機動力35」「魔力30」「癒力15」「運55」「視力1.2」

 技:剣技 回転斬り

 魔法:一ツ星魔術 ウイングクロス

 

 おお、見た目より腕力が高い。

 剣技も持ってるから『剣士』向きだな。

 しかも魔力も高い……てことは『魔法剣士』か。

 いいねー


 「じゃあさっそく装備を整えようか」


 俺は『オルタナティブドア』を開き、アイカと一緒にファルセイン城下町へ。

 城下町で一番大きい武器防具屋に入り、商品を見定める。


 アイカのこのレベルだと、まだやっぱり『銅の剣』と『銅の防具一式』が適正だな、うん。


 「『銅の剣』と『銅の防具一式』ですね、こちら全部でセイン銀貨八枚となります」


 アイカが装備を装着しているうちに会計を済ませておく。


 装着したアイカが出てきた。


 「ど、どうでしょう……」


 「うん、似合ってるよ。強そうだ」


 普通の初心者装備だけど、アイドルが着るとちゃんとサマになってる……すげーなアイドル。


 よーし、ではRPGの基本、レベリングを開始しますか。

 ここファルセイン王国の周りは、東に草原(LV1~10)南に森林(LV10~15)西に山岳(LV15~20)北に砂漠(LV20~25)がある。


 アイカのレベルは7なので、まずは東の草原で様子見だな。

 俺たちは町の東の城門を抜け、ファルセイン草原へ出た。


 おーいるいる、街を一歩出ればそこには凶悪なモンスターたちがウヨウヨ……と言ってもまあ適正レベルは1~10なので、スライムとかゴブリンとかだけどね。


 このゲーム、レベリングの時の基本は、まず俺がギリギリまで敵のHPを削って、アイカが止めを刺すというのが理想。

 止めを刺した者がより多くの経験値をもらえる仕様だからだ。


 俺はアナライズを使って敵のHPに留意しつつ、基本属性ではない方の魔法を使う。(基本属性の魔法を使うと、威力がありすぎで一発で倒しちゃうから)


 「大地の精霊よ 我が敵は汝が敵なり 其を砕き封ぜよ! 一ツ星魔術 シェイク」

 モンスターの足元が揺れ、地割れから衝撃波が発生した!


 「今だ、アイカ!」


 「はい!でやあぁぁぁーー」


 アイカの回転斬りが決まり、モンスターは消え去る。

 経験値とお金が手に入り、アイカのレベルが上がった。


 「やりましたマスター、レベルアップです!」


 「……」


 「マスター?どうしたのですか?」


 「これだよ!RPGの醍醐味はやっぱりレベリングだよなー!」


 俺は鼻息も荒く、この興奮を味わっていた。

 俺はRPGのレベリングが好きで、このゲームも知り合いと狩りに行ったり、ギルメンとのレベリングを率先してやる男だった。


 「レベルを上げて、作戦を考えて、強敵に挑んで勝つのって、熱いよなー」


 ……軽く引いているアイカをよそに、そのままレベル10になるまでレベリング。

 次は適正レベル10~15の森林地帯だ。

 ここは植物系や魔獣系のモンスターが多め、毒キノコや食人植物、もっと奥には凶暴な熊とかもいるはず。


 「ここまでくると俺も得意の炎系魔法を使える、アイカも剣技と魔法を組み合わせてモンスターをバンバン倒していこう」


 「はい、頑張ります」


 「我、炎の精霊に命ず 舞え、そして爆ぜよ 炎属性 一ツ星魔術 パイロ!」


 発生した火の玉がモンスターに命中、火柱を上げる。


 「たあぁぁ――!」


 よーし、二人の連携も様になってきたな。


 午前中レベリングを続けアイカのレベルも11になり、そろそろお昼。

 行きたいとこがあるのでまたアイカを連れて現実世界へ。


 ちなみにお昼は現実世界のハンバーグレストランへ。

 感動して泣きながら食べるアイカを見て、笑いながら食べる俺。


 そしてその後『美容室 アレキサンドライト』へ。

 もちろん俺じゃない、俺はこんなしゃれたとこ行かないし。

 実はここは俺の妹が働いている美容室だ。


 とりあえずアイカを美容師さんに預けて、俺は妹のとこへ。


 「ちょっとお兄ちゃん、あの美人さん誰?まさか彼女?」


 「んーちょっと違うけど、まー近い……かな?」


 「お兄ちゃんのくせに~?にわかに信じられないな」


 お前何なの?どこ目線なわけ?……まあいいけどさ。

 今日は頼みごとがあるから喧嘩はご法度だ。


 「頼みがあるんだけど」


 「え~何?お兄ちゃんの頼み事でよかったことなんか一つもないんだけど」


 「お前の持ってる洋服とか下着をいくつか譲ってくれ、頼む」


 「は?やだ、ちょっとキモイんだけど、どういう事?」


 「アイカは自分の服も下着も持ってなくて……サイズはお前と大して変わらないからさ、男の俺がそういうの買いに行くのもちょっと、な?」


 「急にそんなこと言われても、別にあたしも余ってるわけじゃないし……」


 「その代わり今度お前の好きな服を何着か俺が買ってやるからさ」


 「えっ?本当?それならオッケー」


 「交渉成立だな」


 実は俺にはこの妹とその下にもう一人弟がいる。弟は医者で、今は八十字病院の内科医をしている。


 そして俺たちの父親は親戚が経営している『テッパンインダストリー』という鉄工所で工場長をしている。

 いわゆる『ザ・職人』だ。


 まあこの中では俺が一番落ちこぼれなわけだが……

 あまり口には出さないが、コンプレックスみたいなものはいつもあった。


 日を改めて妹の家に行く約束をして、待合室で時間をつぶしていたら……


 「おまたせ~」


 妹に連れられて、カットやメイクが終わったアイカが戻ってきた。


 「はぁ……」


 その場にいたほとんどの人が深いため息、アイカに見惚れているっぽかった。


 トゥルットゥルの髪・真っ白で透き通るような肌・ぷるっぷるの唇。

 俺の目の前には、まさにあの『新堂アイカ』が立っていた……


 「いや~あんまりにも可愛かったんで、ちょっと気合入りすぎちゃったかも」


 「……マスター、どうでしょう?」


 「……えっ?あ、ああ。えっと、あの、その……うん、可愛いよ」


 「本当ですか、嬉しいです。えへへ」


 照れる顔がまた……。


 「うん、じゃあそろそろ戻ろうか」


 「ありがとうございました~、またのお越しを、本当ーに、待ってますからね」


 「はい、必ず。ありがとうございました」


 総出で手を振っている美容室の人たちをしり目に、店を後にした。

 帰り道で買い物も済ませる……食材に日用品、子供が使う訓練用のお箸など。

 モチロンちょっとお高めのコンディショナーも買った。


 自宅へ戻り、そのままファルセイン王国へ。


 「マスター、次はどうしますか?」


 「うん、次はダンジョンに行こうと思う」


 「ダンジョン?ですか……?」


 ダンジョンはフィールドよりも強い敵が多く、経験値やエンカウントも高め、レベリングには最適なのだ。

 しかも奥にはだいたいボスがいる。

 ボスは強力で危険ではあるが、さらに多くの経験値を持ち、何かのイベントのきっかけになることもある。


 俺とアイカは、草原のど真ん中にあいてる鳥の巣のようなダンジョンへ入った。

 中は相当広く、迷路のようになっている……

 モンスターも俺たちに気付き、ぞろぞろ集まりだした。


 「よーし、いっちょやったるか!」


 俺とアイカは迫りくるモンスターをバッタバッタとなぎ倒し、奥へ進んでいく。

 途中でアイカのレベルが上がり、レベル12に。そのまま突き進み、ボスの手前でレベル13になった。


 「マスターやりました、『旋風斬り』取得と、一ツ星魔術プログラム二ツ星魔術アナグラムになりました」


 「おおーやったな」


 ここで一つ、この世界の魔法について説明したい。

 この世界の魔法は、地・水・火・風・光・闇の六属性あり、その属性を単体で使うことができるのが『一ツ星魔術プログラム』といい、使用者の事を『一ツ星魔導士プログラマー』と呼ぶ。


 レベルが上がると『一ツ星魔術』は『二ツ星魔術アナグラム』にランクアップし、使用者は『二ツ星魔導士アナグラマー』となる。


 アナグラムになると二つの属性を合成して、別の属性魔法にできるようになる。

 例えば、炎属性の魔法に地属性の魔法を合成すると……

 熱属性アナグラム 『マグマサークル』 となる。


 「これでアイカの魔法も幅が広がるな」


 「はい、威力もかなりアップするはずです」


 じゃあ試しに初ボス戦いってみますか!

 洞窟の最奥部にいたこのダンジョンのボスは……炎属性の『マゼンタイーグル』。

 なかなかの強敵だが、俺とアナグラムを習得したアイカなら倒せるはずだ。


 まずは俺がHPを削る

 「大地よりなりしもの 泥に帰りて 泥にまみれ 泥に流れ 泥に眠れ 泥属性アナグラム 『マッドゾーン』」


 足元から大量の泥がマゼンタイーグルに纏わりつき、ダメージを与える。


 「ギュピィィィィーー‼」


 「よし、効いてるな。泥のおかげで動きも悪くなってる、アイカ!」


 「はい!回転斬り!」


 アイカの剣がマゼンタイーグルの体にめり込む……が、そのまますり抜けてしまう。


 「マスター、手ごたえがありません!」


 その時、マゼンタイーグルの目が光ったと思いきや、大きく翼を広げた。


 「まずい!下がれアイカ!」


 マゼンタイーグルが翼を振ると、無数の羽根が飛んでくる!

 マゼンタイーグルの特殊技『炎の羽根』だ。


 「キャーー!」


 「大丈夫かアイカ!」


 「だ、大丈夫です。とっさに下がったので何とか……」


 「マゼンタイーグルは体の八十%が炎だから、本体に直接ダメージを与えるのは難しいかもしれない……まず魔法で炎を弱らせるんだ」


 「わかりました、

 『氷の精霊よ 我に宿りて氷結の力高め その息吹で敵を粉砕させ給え』これならどう? 氷属性アナグラム フロストブレス!」


 アイカの手の中で、水と風の力が融合し猛吹雪となってマゼンタイーグルに襲い掛かる!


 「キュアァァ―――‼」


 「効いてる、今だ!」


 「はい!旋風斬りーー はあぁぁ―ー!」


 回転しながら風をまとったアイカが斬りつける!


 「グギャアァァァ――――‼」


 やった!マゼンタイーグルを倒した!ついでにアイカのレベルも14になった。


 「アイカ、レベル14おめでとう」


 「ありがとうございます」


 うん、今日はいい感じでレベリングできたと思う。

 まあこんなもんかな、あとは明日だな……なんて思ってたら、


 「グオォォ―――ン!」


 「なんだこの声?」


 少し戻ると、道の真ん中に巨大な岩が……いや、岩じゃない、これは……『ゴーレム』だ!


 ゴゴゴゴゴゴ……

 「バオォォ―――――ン!」


 やる気満々じゃねえか。

 というか、このゴーレム『メタルマターゴーレム』だ。

 マゼンタイーグルの巣の奥にある、隠し扉の奥にいる隠れボスが確か『メタルマターゴーレム』……そいつがなんでこんな帰り道にいるんだ?


 「『氷の精霊よ 我に宿りて氷結の力高め その息吹で敵を粉砕させ給え!』氷属性アナグラム フロストブレス!」


 アイカのフロストブレスが炸裂!

 あーでもそんなに効いてないかも……


 「アイカ、メタル系の敵には氷属性は効果が薄い、いったん下がれ」


 「はい」


 「いいか、あいつは動きが遅く、規則性がある。

 スピードで翻弄するんだ……バフをかける。

 『疾風怒濤 汝風の如く舞い 風の如く斬る その身触れること能わず』風属性アナグラム エアリアルエンチャント!』


 俺はアイカに風系のバフ、『エアリアルエンチャント』をかけた。

 これは対象のスピードと攻撃力を、一時的に上げる『バフ魔法』だ。


 このバフを受けたアイカが、ハイスピードでゴーレムを翻弄しながら攻撃し、スキが生まれる。


 「今だ、『炎よ 水よ 我に集いて混ざり すべてを破壊する力となれ 爆発属性アナグラム バーストロア!』」


 ドドドド……

 爆音とともにゴーレムの足元から大爆発が起こる……結構HPを削れたはずだ。


 「はあぁー、旋風斬り!」


 「ゴオォォーーー!」


 アイカの旋風斬りはゴーレムの足元を狙ったものだ……ゴーレムがよろめいて倒れた。


 「回転斬り!」


 倒れて届くようになった頭の部分に、アイカの回転斬りが決まる。

 なかなかの戦闘センス、素晴らしい。


 「『大地と大気の精霊よ 力満ち 天より地へ 天の鉄槌を落とし給え』これで止め! 雷属性アナグラム ボルト‼」


 ガガガガガ!

 何万ボルトもの電流がゴーレムの体に浴びせられる。

 金属でできたゴーレムの体は雷属性が弱点だ。


 アイカの息もつかせぬ連続攻撃でさすがのゴーレムも沈黙して動かない。


 「やったなアイカ」


 「はい、マスターのサポートのおかげです」


 イヤイヤ、俺がいなくてもそこそこやれたと思うぞ……今後アイカを怒らせるのは、できるだけ控えることにすると誓う俺。


 その後は何事もなく帰路につけたが……

 でも隠し扉の奥にいるはずのゴーレムが、帰り道にいるってことは……何者かが俺たちの邪魔をしようとしている?

 んー考えすぎか?


 ファルセイン王国へ戻り宿屋でHP回復後、そのまま奴隷市場へ。


 「アイカ、昨日も言ったけど俺はお前のように、この世界の苦しんでいる女性たちを救いたい」


 「はい」


 「今日もここでまた数名仲間にしようと思う、でもここはお前にはつらい場所だ、外で待っているか?」


 アイカは少し考えた後、首を横に振る。


 「私も行きます、連れていってください」


 「わかった、じゃあ一緒に行こう」


 アイカは俺の手をギュッと握り、後ろに隠れるようについてきた。



 店に入ると、昨日の店主がまた近づいてきた。


 「旦那様、ご贔屓にして頂き、お勉強させて頂いたかいがありました。おや?そちらの方は……?」


 そう言って店主は俺の後ろにいたアイカを見つけた。

 ……美容室の人たちと同じ顔をしている。

 アナライズをしなくても考えていることはわかるよ。

 (これがあの昨日の奴隷?……う・美しい……)


 この世界の美しさやカッコよさの基準は『より強いもの』や、『より偉いもの』が高くなる傾向がある。

 ブサイクな人でも、騎士や王族はモテる(失礼)

 でも、真の美しさは世界共通だと、店主を見て俺は思う。


 何故か一人ドヤ顔の俺はアイカを連れて奥へ。

 また何となく引っ張られる感覚がある、奥の部屋に入るとそれがなくなった。


 「あれ?」


 するとアイカが俺の手を引き、奥の部屋を指さす。

 部屋には三人の女性奴隷がいた。

 暗くてよく見えないけど、俺にはわかる、『あいどる24』だ。


 明るいストレートの髪の子が『士季 真冬』。

 細身で髪の長い子が『安孫子 奈々』。

 ちょっとグラマーな女の子が『河邊 日向』……何故か確信がある。


 「この三人を購入する」


 「かしこまりました、今準備を……」


 俺は三つの契約書を交わし、三人に詠唱を唱える。


 「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『マフユ』。

 「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『ナナ』。

 「我が名において命ずる、汝に名を与え我に隷属せよ、汝が名は『ヒナタ』。


 「毎度ありがとうございます、またのお越しをお待ちいたしております」


 三人にも説明をしておく。


 「俺はお前達を奴隷扱いするつもりはない。奴隷紋も数日で外す。俺の仲間として、一緒にこの世界を冒険してほしい」


 三人ともキョトン顔。まるでデジャブ。


 「はい、わかりました」


 三人は互いに顔を見合わせた後、少し笑顔でそう答えた。今はこれで十分だ。


 三人のアナライズの結果はこう。

 「名前マフユ」「女性」「レベル9」「基本属性 炎」

 「HP70」「MP40」「腕力40」「脚力30」「防御力25」「機動力45」「魔力20」「癒力15」「運45」「視力1.5」

 技:命中補正


 「名前ナナ」「女性」「レベル8」「基本属性 水」

 「HP75」「MP25」「腕力40」「脚力45」「防御力30」「機動力40」「魔力15」「癒力10」「運35」「視力1.0」

 技:脚技 かかと落とし


 「名前ヒナタ」「女性」「レベル9」「基本属性 地」

 「HP65」「MP55」「腕力20」「脚力35」「防御力25」「機動力30」「魔力50」「癒力30」「運25」「視力1.2」

 魔法:一ツ星魔術 シェイク

 魔法:二ツ星魔術 マグマサークル

 魔法:三ツ星魔術 ***


 三人の罪状は『強姦』『脅迫』『強盗』『殺人』など……

 到底彼女たちがやったとは思えない、間違いなく何者かに罪を擦り付けられたに違いない。

 それで奴隷位まで落ちたのだろう……やりきれないな。


 それぞれの適正を見てみる。

 「マフユは命中補正の技を持っているから『アーチャー』が良さそうだな」


 「私は『アーチャー』ですか……?

 モノを投げてもあまり当たらないんですが……大丈夫でしょうか?」


 現実世界の『士季 真冬』はあいどる24のセクシー担当。

 本人にその気がないのがまたいい。

 バイト経験も豊富な頼れるお姉さん。


 「ナナはかかと落としを持っているので『格闘家』で決まり、ステータスもそれよりの数値だしね」


 「か、『格闘家』ですか?あわわ……け、蹴るのは得意ですぅ」


 現実世界の『安孫子 奈々』は、あいどる24のバラエティ担当。

 独特の言い回し・発言が特徴的で、『奈々語録集』がいつか発売するのではないかと期待している。


 「ヒナタは……ん?

 ステータスはどう見ても『魔導士』だけど、三ツ星魔術を持ってる……レベル9で?

 しかも魔法名が隠されてる……これはたぶん、覚えてるけどけど何らかの理由で使用できないという事かな?」


 「あ、あのすみません。

 昔はひょっとしたら使えたかもしれません……でも覚えていなくて、すみません」


 謝っちゃうのがクセなんだな、きっと。

 んー、あとで話を聞いてみる必要がありそうだな……


 現実世界の『河邊 日向』は、お嬢様でありながらアイドルオタクという二足の草鞋を履いたアイドル。

 現実でもすぐ謝っちゃう女の子らしい。



 「とりあえず、三人ともまず着替えと腹ごしらえですね」


 アイカにセリフとられたー、いや全然いいけど。

 『オルタナティブドア』を開き、五人で現実世界の俺の部屋へ。

 三人とも昨日のアイカと同じ顔をしてる。


 「まずはシャワー、アイカはもう一人で入れるよね?」


 「いいえ、マスター入れてください」


 「えっ?」


 俺の中の悪魔のささやきを無視しつつ、また始まる目隠しのシャワー地獄×四!

 やり切った俺をだれか褒めてほしい……


 「では次はTKGですっ!」


 えーなんかもう恒例行事みたいになってる?まあいいけど。

 泣きながら四人がTKGを食べた後、ヒナタに聞いてみた。


 「すみません、実は元々家が冒険者一家でして、私も子供のころから冒険者の魔導士として育てられました。

 そして子供のころに所属していたパーティで事件を起こしてしまい、それ以来どんなに戦ってもレベルが上がらなくなってしまいました。本当にすみません……」


 んー、RPGには『レベルキャップ』というものが存在する……

 どんなに経験値を稼いでも、それ以上レベルが上がらなくなる。

 普通はあまり上がって欲しくない時に、運営側が使用したりするんだが……

 キャラごとにそういう設定とかあるんだろうか?


 ヒナタをアナライズしても、その時のことは思い出さないようにしているようだ……よほど嫌な思い出なのだろう。


 「まあ何かのきっかけで治ることもある、今は置いておくしかないな」


 「はい、すみません」


 しかし、さすがに五人ともなると『2DK』では少し狭いか……?

 もうちょっと広い部屋に引っ越しするというのも検討した方がいいかな……


 さて、明日は新加入三人のレベリングだ。

 それぞれの実力を測っておきたいし、アイカのレベルアップもある。今日は英気を養うために早めに寝る。


 お客様用の布団も全部敷き、五人で雑魚寝……これすごい絵だよね?


 ……

 ……

 ……ん?

 なんか下半身がもぞもぞする……

 俺は携帯電話のライトをつけて、恐る恐る布団をめくってみると……


 「えっ?ちょっと、マフユ⁉」(小声)


 マフユが俺の下半身でもぞもぞしてるー⁉


 「エヘッ、バレちゃいました?」(小声)


 「な、何してるんだよ⁉」(小声)


 「何って、ご奉仕しようと思いまして。

 こんなに良くしてもらったのに、私たちにはお返しするものがありません。せめてこのカラダでご奉仕をしようと……」(小声)


 「イヤイヤイヤ、いいから、そういうのはまだいいから。

 あ、いや、まだっていうのもあれだけど……その、と、とりあえず服を着なさい!」(小声)


 「えー、じゃあまた今度ですね。わかりました、おやすみなさい」(小声)


 ……恐ろしい、人生で初めて夜這いされた……しかもアイドルに。

 ドキドキドキドキ……

 俺の中の悪魔、沈まれ!また眠れない……



 ☆今回の成果

  アイカ装備 銅の剣 銅の装備一式 レベル7→レベル14へ

  一期生 マフユ(レベル9)が仲間に

  一期生 ナナ(レベル8)が仲間に

  一期生 ヒナタ(レベル7)が仲間に


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