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異世界で「あいどる・はーと」作りました。  作者: みっど
第四章 名もなき村編
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第十五話 イレギュラーズ


 アナタはアイドルに『色々手伝ってもらった』ことがありますか? ……俺はある。


「マスター、私も木を切るのを手伝うっす」

 ナイトメアウェイカーズのヒビキが満面の笑みでそう言ってきた。


「あーヒビキ、木を切るなら斧じゃなくて、現実世界から持ってきた『チェーンソー』があるから、それで頼む」

「ガーン! 私の自慢の斧が……」


 みんなの手伝いと、百騎士ベンケイから貰った(?)『地脈のハンマー』のお陰で、村の外の木の壁はあっという間に完成した。


 一応俺の『対魔力結界』と『対斬撃結界』を薄く張っておいた。これで簡単に壊されることもないだろう。

 使わなくなった地脈のハンマーは、亜人ドワーフの『エマ』にあげた。


 そうそう、オークションで購入した四人の他に、リンカ達が各地で救助してきた亜人の中からまた三人ほどメンバーにスカウトした。


 これまた珍しい亜人達が仲間となった……

 あいどる・はーと『四月朔日 命』似の『ヴァンパイア』

 あいどる・はーと『鷹栖 昌』似の『サキュバス』

 あいどる・はーと『安藤 桃』似の『ケンタウロス』。

 オークションの時の四人と合わせて七人となった。


「マスター、ちょっといいですか」

「どうしたオウカ」


「どうやらマスターが選ばれた六人は、『イレギュラー』と呼ばれる子達のようです」


「『イレギュラー』?」


「はい、亜人として当然持っているであろう特性や性質を、最初から持っていない者たちの事をそう呼びます」


 俺は一人ずつ、何を持っていないのか聞いてみることにした。


 まずは人魚のアオイ。

「人魚は基本裸で泳ぐのですが、私は肌が弱く、冷たい海水が苦手です。

 裸というのも恥ずかしくて……いつも服を着て泳いでいます」


 『泳げない人魚』か……

 服を着ながらだと速くは泳げないし、魔法を使う時も邪魔になるだろうな……


 現実世界の『瓜屋 葵』は、書道が得意な文科系女子。

 その腕前は、一人で個展を開けるほどのレベルらしい。

 若いのに多少の事には動じないその胆力は、尊敬に値する。


 次にドワーフのエマ。

 ドワーフと言えば、鍛冶が得意で有名だけど……

「私は不器用で、鍛冶が全くできないんです。なんでドワーフに生まれたのか……」


 『鍛冶のできないドワーフ』ね。

「一つを否定されたからと言ってすべて否定することはない、得意な部分を伸ばせばいい。俺のいる現実世界ではみんなそうしているよ」


「そ、そうなんですか……ちょっと勇気が湧いてきました、ありがとうございます」


 現実世界の『片山 絵麻』は、『あいどる・はーと』の英語担当。

 帰国子女で英語ペラペラ、歌の歌詞で英語の部分があればいつも彼女が担当する。

 海外遠征やメンバーとの海外旅行など、『あいどる・はーと』に欠かせない存在となっている。


 ケモ耳の獣人、ライカンスロープのフタバ。

「あ、あの……わ、私……えっと……」

 ずっとモジモジしていて、挙動不審、話しても会話が続かない……


 間違いない、この症状は『自閉症』だ。

 弱肉強食が当たり前の獣人達の中で、『自閉症』だとさぞ生きづらかっただろう……


 『自閉症の獣人』か。

「心配ない、ここにいればもういじめられることもない。俺達が守ってやるから安心して」

「あ、ありがとうだニャ……」


 現実世界の『真木 双葉』は、『あいどる・はーと』のおっとり系担当。

 独特のゆったりした雰囲気が魅力で、彼女の周りは時間の流れが違うのではないかと俺は思っている。

 「あいどる・はーとのマイナスイオン」という二つ名を持つ。


 四人目はヴァンパイアのミコト。

「私は血が怖くて、今まで飲んだことがありません」

 吸血鬼が血が怖いってどうなの? 飲まなくてもいいものなのかな?

「基本的には血は飲まなくても普通の食べ物で生きていけます。ただ、魔力は普通の人間並みですが……」

 ……だろうね。


 「あの『ブシュ―』って吹き出す血を見ると手に力が入らなくなってしまい……」

 あー現実世界にもそういう人いるねー


 『血が怖い吸血鬼』か。


 現実世界の『四月朔日 命』は、『あいどる・はーと』のフードファイター担当?

 食べることが大好きで、その消費量も半端じゃない。

 数々の伝説を残す一方で、あの量の食材はどこに消えているのか? 永遠の謎である。


 五人目はサキュバスのアキラ。

 夢魔とも呼ばれるサキュバスは、夢に現れて男性を誘惑する悪魔。

 アキラは能力がない訳ではなく、とにかく恥ずかしいらしい。


「だって、男性を誘惑するとかそんなの……キャ、恥ずかしい!」

 『純情ウブな夢魔』ってとこか。

 元々可愛いんだし、自分に自信が持てれば変わるかも……


 現実世界の『鷹栖 晶』は、新体操経験者で、『あいどる・はーと』のダンスマスター。

 天使のような笑顔で舞ったかと思えば、キレッキレのダンスで観客を魅了する。

 HipHopからストリート、ブレイキングまでなんでもござれの天才ダンサー。


 最後にケンタウロスのモモ。

 一か月前に骨折してしまったらしい。


 現実世界の馬も骨折すると、すぐ殺処分になるらしい。

 また違う病気やケガを併発してしまうことが多く、結局死亡するケースがほどんど。


 『骨折した人馬』。……馬にとって骨折はイコール死亡という事になる。

「戦う事も、人を乗せることもできません、私の存在価値って……」


 現実世界の『安藤 桃』は、プログラミングや設計もできる『あいどる・はーとのリケジョ』。

 オフの時、こんなにメガネの似合うアイドルを、俺は今まで見たことがない。

 人見知りだけど、いったん心を開くと甘えん坊になる、「あいどる・はーとのツンデレクイーン」。


 オウカの説明によると……

「『イレギュラー』達は基本的にその種族から蔑まされ、疎まれる存在です。

 種族の中でも役に立たないことが多いので、劣等亜人種などとも呼ばれ、率先して奴隷などに出されてしまいます」


「劣等亜人種……現実世界の『優性思想』のようなもんか」

 現実世界の『優性思想』とは、命に優劣をつけ、弱い者を切り捨てるという思想。障害者や、遺伝的弱者の人は子供を作らせないようにした。


 戦時下のドイツや日本でも、普通に憲法や規約に載っていたりしたらしい……

 勿論今は『切り捨てる』ではなく『守っていく』という考え方が主流だ。


 *****


 次の日……村に一人の傷ついた男性がやってきた。

 青白い肌に冷気を纏った体、氷の民と呼ばれている亜人『氷人ヒョウト』だ。


「いったいどうしたんだ?」

 バグが訪ねる。


「む、村に、突然王政の騎士団が現れて、今日からここを王政が管理することになったと言われて」


「なんでいきなりそんなことに?」


「わからない……当然反発したんだが、『命令に従えないのなら粛清する』と言われ……」


 ……んー、王政は大体理不尽なことをしてくるけど、それなりにキチンと理由はあった。(俺を捕らえるために待ち伏せしたり、罠をかけるとか。奴隷斡旋はよくわからないけど……)

 こんな風に突然村を蹂躙って、なんか切羽詰まっているように見える。


「村にはまだ数名の氷人が残っていて、隠れて救援を待っている状態だ」

「……ギガンティックマスターさん」

「ああ、救援に向かおう」


 俺はメンバーとバグを連れて、氷の民の村へ救援に向かった。


 氷の民の村は、この村から北へ十キロほど行った山の高台にある。

 標高が高い場所にあり、氷人達の低温も相まってまるで冷蔵庫の中のような村だという話だった。

 でも今は村のあちこちで火の手が上がっていて、そこまで寒くはない。


 ケガ人もいるみたいだ、まずは手分けして救助活動を行う。


「大丈夫か、しっかりしろ」

「あ、ありがとう……まだ家の奥に娘と息子が」


 異世界あいどる・はーとの回復担当チームが、フル稼働で回復している。

「ネネ、リリ、ミキ、オウカ、頼むぞ!」

「はい、お任せください!」


「回復属性プログラム、『ヒーリング』!」


 ケガ人はほとんど回復したみたいだ。

 でも、王政が何の理由も無しにいきなり襲撃してきたとは考えにくい……


「いったい何があったんだ?」

 俺は民家の奥に隠れていた、フリージアという名の若い娘に話を聞いてみた。


「詳しくはわかりません……ただ数日前に王政の騎士団が、モンスターの目撃情報があったということで、この村の裏の山を調査しに来ました。その後すぐにこの村を管理すると言い出して……」


「そんな急に……?」


「逆らう者は粛清だと言って問答無用で襲ってきたんです」


「その裏の山、何かありそうだな……」

 俺達はそのまま裏の山へ調査に入った。



「グオオォォーーン!」

 裏の山の洞窟に入った途端ゴーレムが襲ってきた。この色……こいつは『アイスゴーレム』だな。

「このまま逃げて村にまで下りてきたら面倒だ、俺達で倒そう」

「はい」


 十体ほどいたアイスゴーレムは、俺達の攻撃でみんなバラバラになった。

 ん? アイスゴーレムがいた場所……地面がなんか光ってるな?


 数秒後、地面からまたゴーレムが湧いてきた。あれ? この色、アイスゴーレムじゃない……?

 アナライズするとそのゴーレムは『アダマンタイトゴーレム』だった。


「なるほど、どうやら王政の騎士団の目的はこれらしいな」

「こんな場所でアダマンタイトゴーレムが出現するなんて……当然倒せばアダマンタイトを落とすはずです」

 バグもびっくりした顔でゴーレムを見てる。


「俺の推測だけど、たぶんアイスゴーレムを数体倒すと、一定の確率でこのアダマンタイトゴーレムが湧くシステムらしいな」

 村人たちもびっくりしているので、どうやら誰も存在を知らなかったみたいだ。


「王政の騎士団も、調査したらこのゴーレムが出現したから、何としても手に入れたかったんだろう」

「それにしても本来であればこの土地の持ち主である氷人に断りを入れるのが筋だと思いますが……」

 バグの言う事はもっともだ。


「誰も気づいていないと判断して、独占したかったんだろう……

 急に管理下に置くと言って、逆らう者は問答無用で襲うくらいだからな」


「そんな理不尽がまかり通るなんて……」


「だが現実問題、ここに居続ければまた王政の騎士団がやってきて、粛清してくるだろう……あいつらアダマンタイトが最優先で、村はどうでもいいみたいだからな」


「そんな、我々は一体どうすれば……」

 村長らしい老人が、力なくうなだれている……両脇には泣きじゃくる子供たちも。


「この村を放棄して、名もなき村へ移住することを推奨する」

 俺は村民たちを前にそう答えた。

 俺達が騎士団を撃退してもいいけど、あの感じだとちょっとやそっとでは諦めそうにない。

 長期戦になると不利なのはこちらの方だ……


 氷の民の村人たちはみんなで集まって話し合っている。

 色んな意見があったようだが、最後は一つにまとまったようだ。

「名もなき村に移住をさせて下さい、お願いします」


 俺達は氷人達全員を連れて名もなき村に帰還した。

 名もなき村の村長に訳を話し、移住の件は了承してもらった。


 氷人達が村人たちに挨拶をしている間に、俺は氷人達の住む場所を探す。

「ここがいいかな」

 俺が見つけたのは村の奥にある山の麓、その洞窟だ。


 実はここはもともとキングワームの巣だったらしく、俺が来た時に討伐したので、今は空き家になっている。

 中は結構広く、奥へ行くと鍾乳洞にも繋がっている。


 俺は異世界あいどる・はーとの魔法使いメンバーを選別して、この洞窟に連れてきた。

「ノノ、アオイ、ミコト、氷の民たちが快適に暮らせるように、ここの温度を魔法で下げる。みんなで氷の魔法を唱えてくれ」

「わかりました」


「『氷の精霊よ 我に宿りて氷結の力高め その息吹で敵を粉砕させ給え!』氷属性アナグラム フロストブレス!」

 みんなで一斉に氷の魔法を唱えて、洞窟内は一面氷の世界に!


「これでしばらくは快適に暮らせると思う」

 氷人達はみんな各々自分の部屋を作ったり飾ったりして楽しんでいる……喜んでもらえてよかった。


「ついでにちょっと頼みがあるんだけど」

 洞窟の一角を倉庫として使わせてもらうことにした……天然の『冷蔵庫』だ。


 この異世界では、食料を冷蔵保存する技術がなかったので、これは助かる。

「これで長期保存が可能だ、今度冷凍庫も作りたいな」

 氷人が住んでいてくれる限り、ここはずっと低温のまま冷蔵庫の役割を果たしてくれるだろう。


 一連の引っ越しなどが落ち着いて、ひと段落した。

 俺はさぞかし喜んでいるだろうと思い、氷人達をアナライズした。

 ……あれ、そうでもない?


 氷人達の心の中はやっぱり土地や食料などを分けて貰い、申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。

 名もなき村の村民側も、まだ氷人達の余所者感は拭いきれていないみたいだ。

 う~ん、こればっかりはなぁ……


 ん? バグの奴、じっと氷人達の方を見てどうしたんだ?

 まさか……『アナライズ』!


 ……やっぱりな、バグの奴氷人達の中のあの若い娘、確かフリージアって娘の事が気になっているな。

 なるほどなるほど……ニヤリ


 俺は鼻の下を伸ばしまくってフリージアの手伝いをしているバグの横に行き、肩にポンと手を置いた。

「フリージアの事、気になっているな?」


「は、はぁ? ギガンティックマスターさん、な、何を言って……」

「アナライズで相手の心が読める俺に嘘ついても意味ないぞ」

「うっ」

「大丈夫だ、フリージアもまんざらでもないようだ」

「えっ……そ、そうなんですか?」


 今度はフリージアのところに行って、暫しフリージアを観察する俺……

「?」


「よし、お前たちもう結婚しちゃおう!」

「ええーーー⁉」


 俺は二人を無理やり結婚させた。

 最初は無理無理言ってたけど、時間がたってお互い意識したら、意外とすんなり決まった。

 こういうのってタイミングと勢いだって、現実世界で誰か言ってたような気がする。


 とりあえず、式とか指輪とかそういう細かいところはまた今度話すことにして、結婚の約束は取り付けた。

 これで双方のわだかまりは解決するだろう……なんせこれで氷人と村長の一族が親戚なわけだし。


 いやーいいことした後の発泡酒はまた格別だねー

 ん? アイカが俺の方をじーっと見てる? ……アナライズ!

(まったく……自分は差し置いて他人の恋路ばっかり、はぁ……)


 *****


 村の復興はだいぶ進んだ。

 何せ村民の数が激増したので、村の奥の方も宅地して広げた。


 山岳部には空の民『羽人ハネト』が住み、その麓の洞窟には氷の民『氷人ヒョウト』が、人魚達は北西にある大きな湖に住んでもらい、森を伐採して各自の家も建てた。


 現実世界みたいに土地の所有権とか建物の建築基準とか、この異世界にはそういうのが無いからいい。


 そして深夜……

 俺達は昼間の疲れを癒すかのように爆睡していたが……


「ギガンティックマスター殿、反応がありました、現れたようです」

「ん、来たか……今行く」


 俺は寝ぼけ眼のまま、奥の明るい部屋へ行く。

 そこは臨時で作った警備室。

 テーブルにいくつものノートパソコンを設置している。

 その画面には確かに暗闇の中、村に近づく怪しい人影が写っている……


「先ほど村の一キロ先のセンサーにかかりました、数分で村に到達すると思われます」

「一キロ先か、二十人くらいかな?」


 現実世界の最高アイテムその⑥『ホームセキュリティシステム』。

 最近では市販でも普通に購入できるようになった。


 『大陸一の殺し屋レイブン』の事もあるので、村に来た初日に設置しておいた。

 『赤外線センサー』と、夜でも見えるように『暗視カメラ』がセットになっている。


「この先頭を走っているのがリーダーっぽいな」

 なんかこの顔、見たことあるような……

 指で合図して集団を統率している……ただの盗賊ではない、プロの動きだ。


 俺は昼間疲れたであろうファーストやシスターズ、オッドアイズ達はそのまま寝かせて、アイカとイレギュラーズ、そしてバグを連れて村の入口へ。


 集団が村の入口付近に集合したのを見計らい、これまた現実世界から持ってきた『広範囲LED投光器』を照らす。


「! しまった気づかれていたか!」

「待ってたよ、来るなら深夜だろうなと思ってい……ふあぁ~あ、ゴメン、欠伸あくびしちゃった」


「くっ、各自散開!」

「おっと、無駄だよ。すでにメンバー達がお前達を囲んでる……『暗視スコープナイトビジョン』付きでね」


 現実世界の最高アイテムその⑦『暗視スコープナイトビジョン』。

 ほんの僅かな光量でも増幅して、しっかり見えるようになるスコープ。

 これで暗闇での戦闘でも相手に引けを取ることはない。


 ゴオン!

 お、さっそく戦闘が始まったみたいだな。


「天の水辺より力を与え給え 水竜よ 天より舞い降り 瀑布となれ 水属性アナグラム『カスケード』!」

 人魚アオイの水魔法……でも相手に避けられた!


「へっ、下手糞め! オレ達には当たってねぇぜ!」

「それでいいんです」

 アオイは水浸しになった水面にそのままダイブした。


 アオイは一ミリでも水面があれば、亜空間と接続して潜ることができるのだ。

「マスターからもらった、この『ウェットスーツ』があれば、私も戦えます」


 現実世界の最高アイテムその⑧『ウェットスーツ』。

 このウェットスーツがあれば、恥ずかしがり屋のアオイでも泳ぐことができる。

 寒さも防げるし、泳ぎに特化したスーツだしね。


「水の精霊に我が願い届け給え その青き壁 通り抜ける事能わず 大いなる水圧よ 敵を圧し潰せ 水属性ハイアナグラム『アクアウォール』!」


 アオイの前から大きな水の壁が走る!

「なんだ、ただの水の壁か」


 殺し屋の集団達の武器が水の壁に触れたとたん、バラバラに吹き飛んだ!

「うおおー危ねぇ! 全員下がれ!」


 ただの水の壁だと思ったら大間違い、高密度で噴射する水は『アグレシブウォーターカッター』と呼ばれ、ダイヤモンドすら切断できる。


 ドンドンドン!

 ドワーフのエマが地面を『地脈のハンマー』で叩いてる……?


「テメェ、何してやがる……?」

「ふぅ、十回叩いたので、十回分の『溶岩流』です、

 名付けて『ボルケーノトリガー』!」


 ゴゴゴゴ……ドォーーン!

 エマの技を喰らって数名の殺し屋達が飛んでいくのが見えた。


 『鍛冶のできないドワーフ』……エマは鍛冶ができない代わりに、炎の扱いが飛びぬけて上手い。

 人は何かを失うと残った何かが特化することがある……『炎の天才』、エマはまさにその典型だ。


「キャアアーー!」

 しまった、あっちにはライカンスロープのフタバが!

 『自閉症の獣人』フタバは来なくていいと言ったのに……


 あいつ戦闘前に言ってた、「マスターのお役に立ちたいニャ!」と。

 俺が駆け付けると、フタバを囲んでいた殺し屋達がザワザワしている……


「な、何だ……武器や鎧が震えだして、魔法も上手く発動しない……?」

 フタバが何かブツブツ言ってる?


「私は逃げないニャ、私は逃げないニャ、私は逃げないニャ……

 役に立ちたいニャ、役に立ちたいニャ、役に立つニャ!」


 この集中力……自閉症の人は、多動で人の話はほとんど聞けないが、自分の好きなことに関しての集中力は、常人のそれを遥かに凌ぐと言われている。


「アドバンスドアーツ、『ハウリングヴォイス』ニャーー!」

 カラオケ店のマイクなどで起こる『ハウリング』みたいな叫び声!


 近くにいた殺し屋の数名は気絶してる⁉

 おそらくこの叫び声で精霊への詠唱も妨害してる……


 これでは精霊を介する技も使えない、恐ろしい技だ。

 フタバは魔法を使う俺達は絶対に戦っちゃいけない相手だった。

 仲良くしよう……


「あとは私にお任せください」

「なんだテメェ、この人数とやろうってのか?」

 オウカが、残った殺し屋たちの前に立ちふさがる。

 

「問題ありません、アドバンスドアーツ『オウカフィールド』!」

 オウカを中心に真っ白な結界のようなものが広がり、桜の花びらが舞っている……


「な、なんだこれは⁉ ……なんか……気持ちいいな、なんか、どうでも良くなってきた」


 スゲー、これがオウカのアドバンスドアーツ『オウカフィールド』。

 結界内の、相手にかかっているバフや、味方の状態異常などをすべて浄化し、その悪しき心まで綺麗にして戦意を喪失させることができる技……恐ろしい。


「おれ達、今まで何やってたんだろう……田舎に帰ろうかな……」



 ☆今回の成果


  『ヴァンパイア』ミコト(26)が仲間に

  『サキュバス』アキラ(24)が仲間に

  『ケンタウロス』モモ(25)が仲間に


  オウカ(25)装備 魔法のほうき 高魔導師のローブ

  アオイ(24)装備 二股の鉾 ウェットスーツ

  エマ(25)装備 地脈のハンマー メタルマターメイル

  フタバ(24)装備 魔獣の爪 魔獣の衣


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