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8冊目/恩田陸『木漏れ日に泳ぐ魚』

 1日に1冊本を読もうと決めてから、ちょうど一週間が経った。本を読むのには、恐ろしく体力がいる。私は一時間でだいたい80ページくらいしか読めないので、一日の大半が読書で終わってしまうのだ。


 つい興が乗ると徹夜で読み耽ることも何度もあって、きっと大丈夫だろうと思っていたが、実際やってみるとこれは終わることのない拷問では⁉︎と思ってしまう。自分への罰だと思わなければ続かない。日に日に目に映る景色から、色彩が失われていくようである。


 終わることのない受験期間の只中にいるようだ。骨をバキバキ悲鳴を上げさせながら眠っては、朝起きてはカーテンの外に世界の終わりを探している。一度逃げると転がるようにしてダメになる人間なので、好きなカンザキイオリさんの曲を聞いて自分に鞭打って、無理やり机に向かう。でも、いつまで? いつまで私は本を読み続ければいい? 好きなことを続けるは楽しいだけじゃない、と知った。


 それでも変わりたいって思っている今が、私にとってどれほど大事な時期かというのも冷静な頭で理解できている。今妥協したら、もう二度と戻れないんじゃないかと怖い。いつも大切にしたいものを手のひらからこぼれ落としてきたけれど、今回ばかりは掴めそうな気がするのだ。私が再スタートを切った日、嘘を吐かないで生きようと決めた。見栄もプライドも捨てて、嘘で自分を飾るのはやめよう。やるべきことをやって、やるべきことをやった分だけ、私自身が強くなっていけばいいという誓いだった。



 その気持を思い出しながら、恩田陸の『木漏れ日に泳ぐ魚』を読んでいた。本を閉じた後タイトルを見て、森の中でふと上を見た時の木々の枝の重なりと太陽の光の関係性を表していたのだと納得することができたが、どうもタイトルと内容がちぐはぐな印象がある。タイトルのあたたかで広がるようなイメージとは異なり、実際はどんよりと暗く狭いイメージだ。これは、アパートの一室で、別離を控えた男女が最後の夜を徹し語り合う。そんな二人の会話と心理戦を描いた物語と言えよう。一幕の二人芝居を見せられている退屈さも確かにあるのだが、一夜、アパートの一室、登場人物二人、写真立てという少ない舞台装置でよくここまで物語を広げられるな、と著者の手腕に感心してしまう。一組の男女の会話から次々に変化する展開は、新鮮だった。


 本を読むことはやめない。


 明日、小説を書こう。

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