表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ばけもの子供の物語

ばけもの子供の物語 星

作者: 透坂雨音



 とある世界に、星を食べて人々を困らせる化け物がいました。

 そのため人々は、夜の間は真っ暗で何もできません。


 その世界には月がないため、夜になると何も見えない時間になってしまいます。


 このままでは、ちょっとの先も見えません。


 人々は、どうにかこの化け物を退治しようと思いました。


 ですが、夜空にあるすべての星を食べた化け物は、とても巨大になってしまいました。

 強い武器も力も持たない人間達では、どうやっても化け物を倒す事ができません。


 そんな中、一人の少女が生贄になる事を決意しました。

 自分が化け物に食べられて、体の中から腹を切り裂く事で、化け物を倒すと言います。


 人々は反対しましたが、少女の決意を変える事はできませんでした。


 そして当日。

 大きくなり過ぎた化け物にまるのみされた少女は、中から体を切り裂いていきます。


 体の中は暗そうでしたが、化け物の胃の中にはたくさんの星があったため、明かりに困る事はありませんでした。


 少女が小さな手で少しずつ巨大な化け物を切り裂いていくと、化け物は自分の体の異変に気が付いてしまいました。


 化け物は体内にある異物を放りだそうとして暴れまわります。


 少女はそのたびにあっちへ転がり、こっちへ転がり、大変な思いをしてしまいました。


 けれどそんな少女をささえたのは、大昔に食べられた月でした。


 人々が歴史を綴るより前に食べられた月は、ずっと化け物のお腹の中にあったのでした。


 浮き上がった月に乗った少女は、もう転がる事がありません。


 少女は順調に化け物の腹を切り裂いていきました。


 裂け目が十分な大きさになった頃、化け物の腹からこぼれ落ちた星達が夜空へと戻っていきます。


 そして傷のせいで命を落とした化け物も最後には星になって、空に昇っていきました。




 それからその世界の人々は、ほんの少し明るくなった夜の中で、生活する事ができるようになりました。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ