34.
(※ナターシャ視点)
部屋から出て行ったアーノルドが、再び部屋に入ってきた。
彼は、少し顔色が悪いように見えた。
「アーノルド、どうしたの? なんだか、少し顔色が悪いわよ」
「え……、ああ、心配しなくていいよ。なんでもない。それより、君に改めて謝ろうと思って。やっぱり、あれは私の勘違いだった。君が読んでいたのは、間違いなく八巻だった。変なことを言って、本当に悪かったよ」
「いいのよ。気にしないで。勘違いなんて、誰にでもあることだわ。それに私は、うっかりしているあなたも、好きよ。べつに、少し勘違いしただけなんだから、私は気にしていないわ」
「ああ、ありがとう」
彼は部屋から出て行った。
私に疑いの目を向け、それを確かめるような発言をしたことを、後悔しているのだろう。
勘違いなんて、誰にでもあるわ……。
*
(※アーノルド視点)
私はナターシャの部屋から出て、リビングに向かった。
ナターシャには、悪いことをした。
やはりあれは全部、私の勘違いだったのだ。
それを確かめるために、彼女が本を取ってほしいと頼んできても、わざと無視した。
本当に、彼女には悪いと思っている。
愛する彼女を疑ってしまい、それを確かめるために冷たく当たってしまった。
これからは、彼女にもっと優しくしよう。
疑いも晴れたことだし、これで疑心暗鬼になることもなく、彼女に接することができる。
そうなっただけでも、今回の成果はあった。
これで心置きなく、彼女との生活を楽しむことができる。
レイチェルからもらった、あれを使う必要もない。
私は、再びカレンダーに書かれたメモを見た。
そこには、『8』と書かれていた。




