12.
(※ナターシャ視点)
私はアーノルドと一緒に、新聞に掲載された万能薬の記事を読んでいた。
そこには、驚くべき内容が書かれていた。
まず、記事の見出しを見て驚いた。
そこには、『万能薬が完成』と大きく書かれている。
私はその文字を見て、眩暈がしそうになった。
なんてことなの……、まさか、本当に万能薬が完成するなんて……。
記事には、写真も掲載されている。
その写真を見ると、レイチェルが刃物で腕を切り、万能薬を飲んでいる様子が写されている。
そして、万能薬を飲むと、その傷跡がきれいに消えていた。
さらには、わざと雨の中を走り回って、高熱を出し、万能薬を飲んでいる写真も掲載されていた。
そして、万能薬を飲むと、すぐに熱は収まっていた。
なんてことなの……。
間違いなく、この万能薬の効果は本物だわ。
私が飲めば、この体も完治することは疑いようがなかった。
「なんて素晴らしいんだ。この万能薬があれば、君の体もきっとよくなる」
アーノルドは、涙を流して喜んでいる。
長い間私に寄り添い、ずっと看病してくれた彼にとっては、本当に嬉しいのだろう。
もちろん、私も体が治るのは嬉しい。
しかし、そのことで、失われるものもある。
私が病弱ゆえに許されてきた行いは、もう許されなくなる。
それどころか、今までの行動の責任も取らされることになる。
それだけは、避けなければならない。
つまり、私に薬を飲むという選択肢はない。
しかし、世間の人たちはそれを許さないとまではいかないが、それに近い雰囲気だ。
飲まなければ、なんと言われるかわからない。
とりあえず、万能薬を飲むのを、何とか先延ばしにできないか試してみよう……。
*
ついに、万能薬が完成した。
そして、私自身が効果を実証し、それを世間に伝えた。
すると、万能薬を必要としている人たちからの声がたくさんあった。
万能薬は、次々と必要としている人の手に渡った。
しかし、ナターシャはまだ万能薬を飲んでいない。
これは少し、後押しする必要がありそうね。
次の新聞に掲載される記事を読めば、彼女の側にいるアーノルドが、彼女に万能薬を飲むように頼むでしょうね……。




