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魔女の心臓  作者: sion
3.ダンジョン作り
21/265

21

 

「ウサギ! ゴブリンかコボルトの巣を買うのにどれくらい必要?」

「イナバっす。ゴブリンなら10万、コボルトなら30万はかかるっす」


 名前を訂正しながらもすぐさま答えるイナバさん。


「それなら理想は30。最低10万は残るようにして、とりあえずカナメを守る為の高ランクから選んでいきましょうか」

「なら選抜した方が良さそうですね。個別に紹介しますよ」

「あら、ありがとう」

「何かご希望はありますか?」

「きょ……女の子で家事もできると助かるな。こいつ家事能力0なんで」


 チラリとユリアの方を見ながら言う。お茶を頼んだだけなのにコンロを爆発させる大惨事を引き起こしたからな。


「今の『きょ』ってなに?」

「うん? 言ったか?」

「ひょっとして巨乳って言いかけなかった?」


 イイエマッタク。無言で首を振る。


「でも家事が出来るのは確かにいいわね。私も助かるし予算は80万DP前後で」

「あとお淑やかで、マスターを立てるタイプの子をお願いします」

「何をさせる気ですか? そんな期待されましても……まあ出来る限り期待に応えるっすよ」


 そういうとイナバさんは自分のバインダーらしきものを何処からかとりだし猛然と捲り出した。何も無い空間から物出してたけど収納魔法なのかな? 収納魔法は珍しいってレノシスは言っていたのに。


「こちらの魔物なんてどうっすか?ちょっと予算はオーバーですが女蜘蛛族(アラクネ)で家事全般が出来て特技は害虫駆除らしいっす」


 一枚の紙をこちらに出してくるバストアップの写真付きだ、履歴書みたいだな。


 名前  カズラ

 種族  蜘蛛族

 職業  人形遣い

 LV 33

 ランク C


 固有スキル  女郎の罠、糸結界、傀儡師、複眼

 スキル    魔糸精製Ⅴ、土魔法Ⅲ、罠作製Ⅵ、毒精製Ⅳ、家事Ⅱ、毒耐性Ⅳ、麻痺耐性Ⅲ、探知Ⅴ、人化Ⅴ、他

 称号     殲滅者

 DP購入価格 100万P


 黒髪のロングヘアーをカチューシャで留めて。化粧っ気はないがめっちゃ美人。胸はあんまり大きくないCカップくらいだろうか。口元のホクロがめっちゃセクシー。


「Cランクでこれだけのスキル、しかも珍しい称号持ち。進化したてですが優良物件だと思うっす」

「良い感じじゃない?」


 黒髪美人さんもいいよね。めっちゃタイプです。


「なかなかいいけどアラクネって下半身蜘蛛よね、この子大きさどれくらいなの?」


 そうなの? この写真の下は蜘蛛の身体がついてるのか……。


「足伸ばすと4mはあるっす」

「扉通れないじゃない……」

「大丈夫っすこの方は完全人化のスキルを習得しているのでカナメ様達と近い姿で給し可能です。その分多少お高いですが……」


 確かに予算はオーバーしているけど良くない? 落ち着いた大和撫子風美人だし、家事持ちなら条件にもあってる。

 ユリアはうーんと顎に手をやったまま、まだ紙を見ていた。


「カナメを護衛するのも仕事なんだけどちょっとスキルがね。待ち伏せトラップ系のスキルばかりで冒険者と対面した状態でカナメを守り切れるのかしら?」


 確かに罠や毒じゃ護衛には向かないか……でも糸結界ってあるけど?


「糸結界は張り巡らせた蜘蛛の糸による結界なので多分カナメ様がお考えのような結界ではないっす……」

「でも他はいいからとりあえず保留で」


 そうだないきなり決めなくてもいいもんな。一発目からこんな美人さんだと期待できる。ちょっと楽しくなってきた。


「ちなみにスキルの後ろの数字ってなに? 俺のサーチにもついてたけど」

「スキルレベルよアクティブ系は基本10段階、パッシブ系は5段階で。後ろに何の数字の無いのはレベルが無いスキルね」


 まあ予想通りかな。けど強く生き延びる為にはスキルレベルもあげなくちゃだな。

 そんな話をユリアとしてると、イナバさんが次の子を見つけたらしい。


「じゃあこの子はどおっすか?花妖族(アルネラ)ですけど」


 もう一枚紙を出してくる。もうこれ完璧に履歴書だよね? 差し出された紙を見ると。



 名前  ワカ

 種族  花妖族

 職業  農夫

 LV   24

 ランク D-


 固有スキル  花妖の香り、土壌の恵み

 スキル    土魔法Ⅱ、再生、家事Ⅲ、魅了耐性Ⅱ

 称号     なし

 DP購入価格 40万P


 可愛い! 中学か高校生くらいに見える女の子。薄黄緑色の肌に赤い髪ってすごい色合いだな。職業農夫って野菜とか作ってくれるのかな? けど胸はAカップくらいか……これからの成長に期待だな。けどこの娘も護衛できるのかな? スキルとかはアラクネより少ないしこれといった防御系な感じもしないんだけど。


「体格的にも大丈夫ですし。水と魔力、あと少しの日光があれば頑張ってくれる低コストな農夫さんっす。土地を与えるといろんな作物を育ててくれるっすよ。筋力も結構あるんで大楯とかも持てるっす」

「大楯って言ってもこの娘、大楯どころか盾スキルもってないじゃない。これから教えるの? それに安いのは良いけど護衛だしやっぱりBランク、最低でもC+ランクは欲しいわよ」


 俺はBとかCよりもEとかFとかあってもいいです。


「胸の話じゃないわよ」


 だから心を読むなって。


「Bランクの家事持ちなんてまずいないっすよ……あっこの方どうっす」


 名前  リシアス

 種族  夢魔族(サキュバス)

 職業  娼婦

 LV   60

 ランク A-


 固有スキル  魅了の魔眼、房中の極み

 スキル    闇魔法Ⅵ、催眠Ⅳ、誘眠Ⅳ、生気吸収(エナジードレイン)、魅了耐性Ⅴ、麻痺耐性Ⅲ、毒耐性Ⅳ

 称号     なし

 DP購入価格 240万P


「買います!」


 ピンク髪を背中まで流し、黒のボンテージ姿の20代中頃くらいの爆乳さんきたーーーー。

 めっちゃエロそうなお姉さん! タレ目に泣き黒子、あどけなさそうな顔をしているのに爆乳。この子に決めました!

 ピンク髪はエッチな娘! はっきりわかるんだよね。


「待ちなさいカナメ! 予算もオーバーだし家事も持ってないわよ」

「でもこの子がいいんです、おっかさん!」

「誰がおっかさんよ! 落ち着きなさい」


 落ち着けってそれは無理だよ。

 履歴書片手に興奮している俺に、まるでを躾けをするように抑えるユリア。

 それを涼しい顔で笑って見ているイナバさんの構図だ。


「ははは、すごい食いつきっすね」

「どう言う事、全然こっちの条件と合ってないんだけど」


 ゴゴゴゴゴッと怒りオーラを身に纏うユリア、持たざる者の嫉妬かな?

 ジロリとこちらを見てくる、笑顔なんだけどすげー怖い……。


「なにか?」

「イイエ」


 これは駄目なやつですわ、冗談いっても殺されるくらい怒ってる。


「いや、全ての条件から外れてるわけじゃないっすよ」

「ふうん?」

「まず人型で強いB以上、可愛い女性でカナメ様を勃たせるタイプっす」

「字が違うわ!」

「俺はこっちでもーーー」

「殺すわ」


 やめてやめて目が怖い! ヤンデレかよってくらい目が据わっている。


「うーん冗談はさておき、高ランクで家事持ちってあんまり居ないんですよねー。いっそ気に入った子に家事スキル取らせたらどうなんですか?」


 やっぱり冗談なのか……残念。でも怒り状態のユリアにまったく怯まないイナバさん本気(マジ)カッコエー


「スキル取らせるなんて、そんなこともできるの?」

「家事スキルはそれほど難しくないので、ある程度の知力と器用さがあれば覚えるさせることができるっす。スキル自体は売ってますし」

「でも家事はパッシブスキルよ。それなりに高いし、覚えさせて知識があっても技術がないんじゃすぐには使えないわよ」


 家事スキルないお前がやると、お茶入れるだけで大惨事ですもんね、わかります。


「私だって家事スキルくらいもってるわよ!」

「ならなんで、お湯沸かすのにコンロが爆発するんだよ!」

「ちょっと手が滑っただけよ。見てなさい次はちゃんと入れてくるから!」


 手が滑ってコンロが爆発すか! てかいらないからジッとしてろさっきDP払って直したばっかりなんだから。


「ならいっそ別々に購入したらいいじゃないですか、低ランクでよければ家事スキル持ち結構いますよ。スキルレベルは低いですがその分お値段も控えめです」


 イナバさんが今度は大量の履歴書を召喚した。E~Gで安いのは3000Dpくらいのもいる。キッチン直した額で買えるだと……。


「待ってこの子──」


 名前  ミレース

 種族  家幽族(シルキー)

 職業  メイド

 LV   6 

 ランク F


 固有スキル  物質透過

 スキル    水魔法Ⅰ、念力Ⅴ、家事Ⅴ

 称号     なし

 DPレンタル価格 1万P


 メガネ美人来たーーー。シックなアンティークメイドドレスがすごく似合ってる。

 でもそれより目を引くのはしっかり止められたブラウスの上からでもわかる巨乳。この子に決めました! だっておっぱい大きいし。安いし、おっぱい大きいし。大事な事を二回繰り返すのは社会人の基本です!


「いいね!」


 思わずどこぞのSNSに返すような返事がでちゃったぜ。


「あれ? なんでこの方が……私の担当じゃないのに?」


 逆にイナバさんの方が驚いてるよ。なんでカタログ内なら皆OKじゃないの?


「担当とかあるの?」

「そりゃありますよ。どれだけ良い条件の魔物を揃えれるかも営業の手腕ですから」

「えっ自分で揃えてるの? 会社にまとめて登録で、売るのが営業の仕事じゃ……」

「いえいえ、低ランクの魔物はそうですが。高ランクや特殊スキル持ちとかは営業自らスカウトっすよ。営業同士でのトレードとかもありますが基本自分の目と足で探します」


 スポーツのスカウトかな?

 とんだブラック企業な感じが……売るだけじゃなく、商品確保まで仕事なの? 忙しすぎない。


「それでこの子は買えるの?」

「あ、ハイ。ちょっと待って下さい。上司に聞いてみるっす」


 イナバさんは急いで胸元から黒電話を取り出すと──。


「ちょっと待て、今どうやって出した!」


 スマホならともかく、どうやってもそこから黒電話は出ないだろ。


「女には秘密の隠し場所があるっすよ」


 ドヤ顔だがあれだろ? ユリアも使ってる奴。でも収納魔法ってレアじゃなかったの?


「あれは収納魔法じゃないわよ」

「えっ」

「そうっす。ただ谷間からテレッフォン出しただけっす」


 なんだよテレッフォンって! テレフォンじゃないのかよ。

 それにいくらデカいからってそれは無理がある。何? 女の人の胸の谷間って俺が知らないだけで四次元にでも繋がってるの?


「アレくらい楽勝よ。私だって出来るわ」

「いや、お前は無理だ。二次元的平面じゃ高さがない。三次元的立体になってから言え」

「──いい度胸ね」


 いつもは気がつくと持っている杖だが、今回はワザと胸元から出したように出現させるユリア。

 それこそ収納魔法だろ! と、突っ込むことをせずに殴られないように杖を見る。

 ゴブリンのナイフは見えたんだ。不意打ちじゃなければ杖だって避けれるはずだ……。

 じっと出現した杖を見ていると、ユリアがパッと胸元を両手で隠し。


「イヤらしいわねカナメ! 胸ばっかりみて」

「見てねー」


 俺とユリアが低次元な喧嘩をしている間に、イナバさんは黒電話から伸びているコードを地面に突き刺し電話し始めた。


「もしもし。こちら社員番号712番イナバです──違う違う、それ魚じゃないっすか、イナバです。イーナーバ──」


 どんな会話してるんだ?


「今、御新規さんの所に来てるんですけど。はい、はい……そうです。それで私のカタログにリーザ様の魔物が載っているんですよ。はい、はい……。家幽族(シルキー)のミレースさんです。はい、そうあの出戻りメイドの──」


 凄いあだ名ついてるな、あの巨乳メガネメイド。


「──そう、ミレースさん。あの人リーザ様担当でしたよね。──えっ私になった? いや、無理っすよ。私じゃ責任取れませんって……はっ? 大丈夫? いや何が大丈夫なんっすか」


 何だろう凄く心配になる、あだ名と会話内容だな。


「──決定? いやいや、これだけは幾らリーザ様でも譲れないっす」


 おっ上司相手に強気だな。戦闘態勢なのか耳がピンッと立っている。黒電話片手に立ち上がると螺旋状のコードがミョーンと伸びる


「──いいですか! ──はい、はい。──ですが! ──あっ、はい、はい。──でもですね! ──あ、はい。すみません……」


 あっこれは駄目なやつだわ。

 さっきまでピンッと伸びてた耳がドンドン垂れていき、今はすっかりロップイヤーですわ。

 そう言えば子供の頃兎飼いたくて親に頼んだ事あったなー。


「──はい……はい……わかりました……失礼します……」

「……」

「……」

「……」


 無言で見つめ合う三人。


「こちらの家幽族(シルキー)のミレースさんはFランクながら名前付き。その上1万DPと非常にお買い得で超人気の方なんですよ」


 すげー何事も無かったが如く、営業し始めた。


「さっきの会話聞いてましたよ?」

「……」


 ニッコリ。


「……」


 笑顔を崩さないイナバさん。でも垂れたままの耳では誤魔化せないぞ。絶対なんかあるに違いないもの。言うまで引かないぞ!


「名前付きで何でこんなに安いの?」


 以外にも助け舟を出したのはユリアだった。

 名前? 名前なんて皆ついていただろうに。その質問に何か意味があるのかな?


「実はこの方凄く偏く──こだわりを持っていまして。自分の気に入った主人意外には雇われたくないと……」


 今、偏屈って言おうとしたよね? 小うるさそうな人なの? 出戻りメイドってあだ名の根源はそこにあるの?


「何それ、そんなの許しているの? そんなんじゃ何時までたっても雇われないのじゃない?」

「それが家事の腕は超絶に凄いものですから、短い期間だけでもって、何度も雇っている方もみえるんです。そして何度もごめんなさいされています」


 そいつドMなんじゃないか?


「あと凄く毒舌って噂もあるっす」


 やっぱり何度も雇っている人ただのドMだと思う。それより気になるのは──。


「魔物ってDP払って来てもらうのに勝手に帰ることもあるの?」

「それはありますよ。始めの契約と違えば勿論。待遇の悪さや、セクハラ、パワハラで出戻りを希望される方も決して0ではないっす」


 こっちでもセクハラやパワハラあるんだ。ちなみにさっきのイナバさんの電話はパワハラに当たらないのか是非お聞きしたい。


「でも、DP払って購入なんだよね?」

「この方は1年レンタルですよ」


 えっあっ本当だ。レンタル価格になってる。


「レンタルはなにが違うの?」

「価格的にも優しいですし、短期のみ必要って方も見えるんで

 必要な時に必要なだけ雇える所ですかね」

「ふーん、他には?」

「忠誠度は低いっす」

「だろうね」


 雇われた所に尽くすってよりも、雇われたんでその期間頑張りますってスタンスだもんね。

 でもイナバさんの言い方だと他にもありそう。


「他には?」

「──買い戻しがあります……」


 買い戻し?


「自分が買われた金額を叩き返せば期限前でも辞めれるっす」

「金額ってDPで買った場合はどうなるんだ?」

「同じっす。DPもお金で精算されるっす」

「?」

「今の相場ですと……1DPで98.7オアくらいですね」


 また知らない単語が出てきたよ……。


「そのオアって?」

「この国の通貨ね。1オアで銅貨1枚。100オアなら素泊まりで一泊分って所かしら?」


 よくわからないけど、DPもお金に換えれる事だけ覚えておこう。


「レンタルは価格が安いので、先方が気に入らなかったら自分を買い戻して帰ってきます」


 だから「出戻りメイド」か……。


「でもメイドスキルは超絶らしいっすよ。その点は文句言われた事ないっす」


 超絶なメイドテク。気になります。


「悪くはないわね、一年も立てばダンジョンも軌道に乗っているだろうし辞められたら、また違う家事持ちを雇えばいいわ。でも一応保留にしておいて先に護衛や階層ボス、巣を購入してから余裕があればってことで。装備や物資も買いたいし、最悪家事はあの女にやらせればいいから」


 レノシスにか……いいかもそれ。可愛らしいエプロンを身につけ料理する姿が目に浮かぶ。


「けど料理に毒でも混ぜられたらたまったものじゃないから、ご飯は私が作る事になるかしら?」


 なん……だと…………。

 お茶を入れようとしてコンロを爆発させるコイツに食事を任せるだと……。

 俺はどんなことがあっても1万は残し巨乳メガ……ミレースさんを雇うこと心に誓った。


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