キング
うちの店にはキングと呼ばれる客がいる。
「店長。今日もキング来てますよ。」
そりゃそうだろ。おそらく1週間の間に6回くらい来るからな。
「あの人がキングさんですか。」
今日は豊田さんも一緒だ。日々真面目に働き確実に仕事を覚えている。可愛い。
「キングは基本的にこの時間になったら店にいるから、時計がわりにするといいよ〜。」
お客様を時計がわりにするなんて罰当たりなっ。って言いたいが俺も参考にしているので何も言えない。
しばらく忙しい時間が過ぎた時、
「あれ、キングまだいますね。」
都が思い出したかのように言い放った。
「そうだな……。」
キングは目的の物を手に入れたら軽やかに帰っていくのに…。
「キングさん何か探しているんでしょうか?」
いやキングが狙っている物の場所は変わらないはずだ。
「あ!!!」
都が突然大声を出す。ウルセェな。ぶっ飛ばすぞ。
「なんだよ。」
「店長。今日パンとおにぎり半額にしてないっす。」
それかーーー。
うちの店では毎日午後6時になると賞味期限が当日までの商品を半額にする。今日のワークスケジュールを見てみると値引きの仕事を振れていなかった。
「あー。完璧に忘れてたな。」
今の時刻が午後7時。キングは一時間ただ店のなかでまっていたのか…。申し訳ないな。
「キングさんかわいそうです。」
まぁ確かに少し見ていて侘しい気持ちにな…
「まぁ、店長なんで仕方ないでしょ。値引きしてきますね。」
あっさりしてるな、都は。そして何気なく俺をディスったな。忘れないからな。
その後いつもより少し疲れた、それでいて満足そうな顔をしたキングが買い物をして帰って行った。




