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7 任命式

「王女殿下と騎士様の入場です」


 会場がザワザワし始める。王国中の全員がこの式を見にくるぐらいにはこの王国では凄い重要なイベントらしい。

 「おめでとう」と、言う者、黙って見る者、中には募集をかけて騎士を選ばなかった事に「ふざけるな」こちらを見て怒鳴っている人もいた。

 それを小屋の影からそっと覗いて少しずつ緊張して来てしまった。だが、さっき言われた言葉を思い出す。

 「私が選んだ騎士なんだから心配無いわ!」そう言ってにっこりフィーリアは笑う。フィーリアの言葉は今は心強い味方だな。大丈夫、そう言い聞かせて私とフィーリアはステージへ向かう。


 ステージに出ると凄い歓声が上がる。こんなに盛り上がるものなのかってぐらい尋常じゃ無い熱気だ。


「それでは、任命式を始めます」


 会場の騎士の者がそう言うとフィーリアは私に跪く。そしてフィーリアは手に金色で何かの紋章が付いている腕輪を私に差し出す。

 その瞬間ステージにブーイングが来る。「王女が騎士に渡すのは立場がおかしい」見ている者がそう言った。そして騒がしくなった時、ステージに一人の男が来た。


「ジェニさん......!」


「遅れてしまった。すまない」


 そう言うと周りをキョロキョロ見渡した。


「間違って主役の座の場所に来てしまったようだ」


 苦笑いをする。そして突如ジェニが乱入して来たことによって、王国の民は「ジェニがもしかして任命式の......!」と湧き上がる。

 この人は確かに強くて、この王国の騎士という肩書きを得ているため多くの支持を得ているのに関わらず、私は小さな集落から本当に最近来たのでこの歓声違いに納得できる。

 だが、やはり歓迎されていないのかと悲しく思ってしまう。そうして、ジェニを見ていると......


「ごめんだが、今日の主役は僕では無い。紛れも無い事実は僕の後、この二人が知ってるんじゃ無いかな?」


 と言うと王国の民はポカン......とすると同時に私は決意を決めた。


「私はフィーリア王女殿下の専属騎士としてそばに居ると誓います」


 そして王女がさっきから手に乗せている腕輪を受け取り、右手にはめる。凄いキラキラで、胸がそわそわする。

 そして私は王国の民に向かって右腕を上げる。その姿を見たジェニは拍手をする。その拍手につられたのか、さっきまでブーイングを言った人まで拍手し、王国全体が拍手に包まれた。

 さっきまで歓迎してなかった人の拍手を見て私は胸の内が暖かくなるのを感じた。

 こうして任命式は大歓迎の拍手で幕を閉じたのだった。


 空は夕暮れがかった青。


「今日はお疲れ様。そしてありがとうアムロア」


 彼女は優しい笑顔で笑った。


「いえいえ! 私も助けて貰ったので!」


「助けて貰ったのは、私だけど......まあ、いいわ。あと、これから会議があるの。だから先に帰ってていいわ」


「ええ?! もう会議とかあるんですか?! ていうか、帰ったら騎士としての役割が出来ないですよ!」


「あなた、真面目なのね。でも今日はジェニもいるし大丈夫」


 私は少し嫉妬する。だって今日専属騎士になったのにジェニに頼むなんて。でも、そう言うなら仕方ない。


「分かりました。先戻ってます」


 フィーリアは少し笑って、手を振りながら行ってしまう。


 私はため息をつきながら歩いていると前から走っている私と似たような白髪で琥珀色の目をした人にぶつかってしまう。


「あっごめんなさい!」


「大丈夫だ! こちらが急いだからぶつかってしまった。ごめんな。あれ......君はさっきの任命式の?」


 見ていたんだ。まあ、あれだけの人がいるなら見ている人の方が多いのか。この王国の民なのだろうか。


「見ててくれたんですね!」


「国の大事なイベントだからな。行かないわけない」


「そういえば急いでいた理由って......?」


「ああ、実はあそこの山で魔物が大量発生してしまってな。このままじゃ王国がやばいと思って急いでて王国の騎士に連絡しようとしていたのだが丁度いい!」


 少し息を吸い、間を開けると


「君がどうか行ってくれないか! 実力を見越しての頼みだ! どうか頼む!」


 そうやって懇願されるので、少し考える。だが、王国の危機というのならば行くしかない。


「分かりました! 私が行きます!」


 男はお辞儀をして感謝の気持ちを述べる。


「ありがとう! 助かるよ! じゃあ、あそこの山の頂を目指してくれ! 私は一応騎士団に連絡しに行く!」


 そう言った後すぐに走り去っていく。そして姿が見えなくなった後、夕暮れの空を見て私は走って山へ向かう。


「意外と簡単だったな」


 だが、その背後には微笑む謎の影があった。

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