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1 私と剣

ファンタジーの世界に引き込まれちゃいましょう!

 私は相手の一撃を交わして隙が見えたところで剣を振り下ろす。何度も同じ事を繰り返してるはずなのに一向に敵の進軍は収まらないまま、カキンと剣を交える音がどこからも鳴り止まずに聞こえてくる。


「アオさん。敵がどんどん進軍してきてる。一体何でいきなり戦争が!」


 ちょっと敵から離れ私の師匠であるアオさんに聞く。


「アムロア、今からここを出なさい」


 険しい顔をして真っ直ぐ私の顔を見つめると、低い顔で言う。


「ちょっと、話があってない!」


 私の話を無視してアオさんは無言で森の奥を指す。今逃げたらみんなが死んでしまう、そんな想像をしてしまったから逃げたくない!


「こんな状況で逃げたらアオさん達やみんなが!」


 アオさんはにっこり笑って余裕そうな顔をする。


「まだ負け戦なんて決まっちゃいない。負けだと思ってもここからなんだよ。お前だけには逃げてほしい。俺だけのお願いじゃない。みんなからのお願いだ。どうか逃げてくれ」


「そしたら、そしたらみんなと会えなくなるんじゃ......!」


「ここからだって言ってるだろ。アムロア、お前は剣で俺に勝ったことがあるか? ないだろう。だから心配せず真っ直ぐ行け。気にするんじゃねぇ」


 こんだけ背負ってお願いされたらやっぱり逃げるしかないじゃないか。

 悩んだ末に私は意を決して逃げることにする。そして、自分が持っている剣を強く握りしめた。


「分かった、約束して。絶対に死なないって!」


「おいおい、ちょっと泣いてるじゃねぇか。心配すんな、きっと生き続けるよ」


 アオさんは、そう言って私の背中を押し出した。きっと大丈夫だ、そう信じてまた彼の顔を見る。「行ってらっしゃい」と言っているような優しい元気な笑みを浮かべている。

 私は目に少し涙を溜めながらも後ろを振り向かずそのまま前へ走った。


「死んでも死なないさ」


 ちょっと走った所で後ろから物凄い轟音、そして台風のような突風が私の胸を突き刺すように通り過ぎていった。

 1時間くらい走って遠くまで来たが人の気配はない。それに見渡す限り木と草しかないので、魔法で野宿をするためテント代わりの防壁魔法、火の魔法は火の粉しか出せないがそれで焚き火を作った。

 そして私は一人で黙りこくっていた。


ーー集落のみんなは大丈夫だろうか。


 私は逃げた事に後悔した。あの轟音、突風。嫌な考えが頭をよぎってしまったからだ。

 アオさんにああは言われたけどやっぱり逃げると罪悪感だけが胸に残る。だけどいくら考えたって何も変わりやしない。これからどうしようと考えていると

 ドカン、ドカンと一定間隔で爆発音と揺れが起きる。

 この揺れと音もしかして誰かが近くで魔法を?

こんな真夜中に魔法を使うとは、何事だろう。


 きっと何かがあったんだ……!


 私はその音の方向へ走り出す。音が次第に近くから聞こえてくる。

 そしてその方向を見ると一人の白のフードを被った空を飛んでいる男と黒髪の長髪の少女が戦っている。少女は右腕を押さえて痛そうにしながら戦っている一方、フード男は空中で笑いながら魔法を連発している。

 彼女の辛そうな顔を見るに堪えない。

 私はそのまま森から飛び出して何も考えずにカウンターで突っ込む。


「はああぁぁぁ!」


 そう言ってフード男に向けて剣を振りかざす、フード男はそれを真顔で腕で剣を受け止め、私を弾き飛ばす。


 しっかりと攻撃が入った気がしたのに腕には傷がついていない。


今のが簡単に行かないのか、この人強い!


「君、誰? 僕君とじゃなくてこの子と戦ってるんだけど?」


 そう言って笑いながら少女を指を差し、フード男は私に問いかける。


「あっ君かぁ......予定より速くて残念だ」


「くっ......」


 なんなんだこの人は......!



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