表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/187

第90話:試練の真実

風の迷路に足を踏み入れた瞬間、タクミの視界が歪んだ。ストームライダーの装甲を叩く風が唸りを上げ、リアやバルド、カザンたちの姿が一瞬にして消えた。コックピットのディスプレイにノイズが走り、ガイストの声が響く。「タクミ、空間歪み発生。風の試練が個別突破を強制。仲間との通信途絶を確認。現在の機体状況:スラスター推力8700ニュートン、装甲応力分布75%、トルク310N・m。状況をどうする?」

「何!? リア! バルド! カザン! どこだ!」

タクミの叫びが迷路に響き、操縦桿を握る手が震える。仲間たちの笑顔が頭をよぎり、胸が締め付けられた。「くそっ…試練だかなんだか知らねえが、仲間をバラバラにしやがって!」

ガイストが冷静に補足。「風の試練の目的は個々の覚悟を試すものと推測。空間分断は意図的。単独行動のリスクは高いが、突破が条件か?」

「覚悟だと…? なら俺がやってやる! 仲間を取り戻して、風の翼も手に入れる!」

タクミは歯を食いしばり、迷路の奥へ突進した。石の回廊が複雑に絡み合い、風が不規則に吹き荒れる。


風神の眼を起動すると、青白い光が視界に広がり、壁に隠された罠の気配が浮かぶ。だが、その先で魔獣の咆哮が響き、タクミの背筋が凍った。「パルス・ディテクター・アレイ起動。半径500メートル内に魔獣3体確認。方位角90度、右前方より接近。速度6メートル毎秒、予測攻撃ベクトルは機体右腕部、角度20度下方。迎撃準備を推奨する。」

「迎撃だ! ガンランチャー、フルチャージ!」

ストームライダーの右腕が唸り、エネルギー弾が魔獣の群れに撃ち込まれる。爆発が回廊を震わせ、一体が血と肉片を撒き散らして倒れる。だが、残りの二体が風を纏い、驚異的な速さで跳びかかってきた。


「速すぎる!」

タクミがスラスターを左に傾けて回避しようとした瞬間、魔獣の爪が右腕装甲を掠める。衝撃が機体を揺らし、警告が点滅。「右腕装甲に損傷。応力集中率82%、耐久限界まであと3回の直撃予測。回避優先を推奨する。」

「この狭さじゃ逃げきれねえ!」

タクミは魔鋼剣を抜き、風を切り裂いて魔獣に斬りかかる。刃が装甲を削ぎ、血と火花が飛び散るが、背後から別の魔獣が襲いかかり、ストームライダーが壁に叩きつけられた。「背部装甲に直撃! 応力分布70%に低下。敵総数増加、現在5体。単独突破の生存率、28%に低下。撤退を推奨する。」

「撤退!? 仲間がどこにいるかもわからねえのに、そんなわけねえだろ!」


タクミの叫びが響く中、魔獣の群れが迫り、機体を囲む。風が唸り、視界が狭まる。だがその時、遠くからかすかな音が聞こえた——竪琴の旋律だ。

「ジン!?」

続いて、熔雷槌の衝撃音とバルドの剣戟が風に混じる。「タクミ、待て!」「一人じゃ無理だぞ!」

ガイストが即座に解析。「音波検知。距離約50メートル、方位角270度。仲間の位置特定。試練の空間が収束を開始。個別試練のクリアが条件と推測」

「試練を…クリア?」


リア: 暗闇の回廊で、一体の魔獣と対峙。エーテル・ノヴァを握り、震える手で魔法陣を広げる。「タクミを守りたい…! オールエレメント・ユニゾン!」 全属性魔法が魔獣を焼き払い、風が彼女を次の空間へ導いた。「私の覚悟、見せられたかな…?」


バルド: 二体の魔獣に囲まれ、嵐の双剣を手に立ち向かう。「シンダーリーヴスの仇は俺が取る!」 風と雷を纏った刃が魔獣を切り裂き、血飛沫の中で呟く。「仲間が待ってる…!」 風が収束し、道が開けた。


カザン: 熔雷槌を手に、三体の魔獣と激突。「熔鉄団は仲間を見捨てねえ!」 雷を帯びた一撃が魔獣を粉砕し、汗と煤にまみれて笑う。「これが俺の覚悟だ!」 風が彼を押し進めた。


セシル: 結界が崩れ、一体の魔獣に追い詰められる。「みんなを守る…!」 エアリス・ガーディアンを召喚し、風の奔流で魔獣を吹き飛ばす。「私の力、届いたよね?」 風が彼女を導いた。


ジン: 竪琴を手に、魔獣二体に囲まれる。風が唸る中、激しく弦をかき鳴らし、熱く叫ぶ。「癒しの水よ、詩の調べに舞え…! アクエリア、降臨せよ!」 アクエリアが現れ、巨大な水流が魔獣を包み込み、鋭い水の槍が装甲を貫く。魔獣が膝をつき、ジンが竪琴を握り締めて吼える。「エアリスの歌は俺たちの魂だ! 仲間を絶対に守り抜く!」 水流が魔獣を押し流し、風が道を示した。「タクミが待ってる…!」


風の流れが変わり、迷路の壁が動き、回廊が一つに繋がり始めた。視界の先に、リア、バルド、カザン、セシル、ジンが姿を現す。彼らも魔獣と戦いながら、タクミに向かって駆け寄ってきた。

「タクミ、無事か!」バルドが嵐の双剣で魔獣を切り裂き、タクミの横に並ぶ。

リアがエーテル・ノヴァを掲げ、「タクミ、私が守るよ! オールエレメント・ユニゾン!」と叫ぶ。炎、氷、雷、風が渦巻き、魔獣を焼き払う。

カザンが熔雷槌で追撃。「熔鉄団は仲間を見捨てねえ! 行くぞ!」

セシルが地の種で結界を張り、「みんなを支えるよ!」と緑の光を広げる。

ジンが竪琴をかき鳴らし、「アクエリア、力を貸せ!」と水流で魔獣を押し返す。「エアリスの意志が試練だ。お前らなら越えられる!」と士気を高めた。


タクミは仲間たちを見回し、胸に熱いものが込み上げる。「お前ら…試練を抜けてきたのか!」

ガイストが報告。「敵残存3体。仲間との連携で生存率78%に上昇。試練の核心接近を確認。中央扉の共振反応増大。突破を推奨する。」


迷路の奥に光が広がり、石の扉が姿を現した。「風の試練を越えた者のみ翼を得る」と刻まれたその扉が、タクミたちを待っている。だが、魔獣の群れが最後の抵抗を見せ、扉の前に立ちはだかる。タクミは仲間たちに叫んだ。「俺一人じゃ無理だった…。試練の真実はお前らと一緒だってことだ。みんなでやるぞ!」

リアが頷き、全属性魔法を準備。バルドが剣を構え、カザンがハンマーを振り上げ、セシルとジンが支える。タクミはストームライダーの魔鋼剣を握り、決意を込めて言った。「風の翼は俺たちの手で掴む。行くぞ!」

仲間たちの力が一つになり、試練の真実が明らかになる瞬間が迫っていた——。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ