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第75話:セシルの涙と地の試練

地の神殿の試練の間は、毒脈瘴気の暗い霧が漂い、ガルドラスとガイアロスの咆哮が響き渡っていた。神殿の隅、タクミたちからは見えない暗がりで、貴族の魔導師が黒いローブを纏い、杖を掲げていた。赤い魔脈の光がセシルの背後に忍び寄り、彼女の「エアリスウィスパー」に絡みつく。魔導師が低い声で呟く。

「お前らに仲間を討てるのかな? その涙、見ものだよ。」

セシルの目が虚ろになり、禁忌魔法の黒い魔力が解き放たれる。彼女の手が震え、意志とは裏腹に瘴気がタクミたちを襲う。


タクミがストームライダーのレバーを引き、声を荒げる。

「セシル、仲間を裏切るのか!?」

機体が跳躍し、ドリルアームが瘴気を切り裂くが、セシルの体がふらつき、杖からさらに黒い霧が溢れる。ガルドラスの鋼爪が激しく動き、神殿の床を砕いて迫る。


リアがエーテル・ノヴァを手に前に進み、涙をこぼす。

「セシル、兄ちゃんは私を選んでくれた。私を家族って言ってくれたんだ。一緒に戦おうよ!」

その声は震えつつも、純粋な想いが込められていた。


その時、試練の間の中央で魔脈が光り、地神テラノスの幻が現れる。大地を象徴する重厚な鎧を纏い、穏やかだが厳粛な声が響く。

「エアリス・ガーディアンを従えし者よ、偽りの鎖を断て。」


テラノスの幻が手を掲げると、地の魔脈が青緑色の光を放ち、セシルの周りを包む。だが、単なる解放ではない。神殿の床が揺れ、セシルの足元から巨大な樹木が芽吹き、彼女を枝で優しく絡め取る。樹の葉が光を放ち、魔導師の赤い魔脈が砕け散る。セシルが目を閉じ、意識が過去へと引き込まれる。


幻の中で、セシルは貴族に焼かれた村に戻っていた。両親と弟が炎に飲み込まれる中、彼女は逃げられず立ち尽くす。だが今、目の前に小さな苗木が現れ、セシルが手を触れると、それは急速に成長し、炎を鎮める。両親と弟が光に包まれ、微笑みながら彼女に近づく。弟が小さな声で言う。

「お姉ちゃん、もう大丈夫だよ。」

母が優しく頷く。

「復讐じゃない。生きて、仲間と一緒に。」

セシルの涙が溢れ、幻が消えると、彼女は神殿に戻り、樹の枝が解けて床に膝をつく。


テラノスが静かに続ける。

「大地は憎しみを癒す。汝の心を受け取った。」

セシルの手元に「地神の種」——小さな緑の結晶が浮かび上がり、柔らかな光を放つ。彼女が種を握り締めると、樹木が消え、瘴気が晴れる。魔導師が暗がりで歯噛みし、姿を消す。


セシルが立ち上がり、タクミたちを見つめる。

「私…なにしてんだろ…。貴族を倒すためなら何でもいいって、心のどこかで思ってた。でも違う。仲間を裏切るなんて…ごめん。」

その声は弱々しく、涙が頬を伝う。


タクミがストームライダーから降り、セシルに近づく。

「仲間をそんな簡単に裏切れるわけねえだろ。戻ってきてくれて良かった。」

リアがセシルに駆け寄り、手を握る。

「セシル、私たち仲間だよ。一緒に貴族を倒そうね。」


タクミがガイストに確認する。

「ガルドラスはどうだ?」

「制御装置、胸部中央。魔脈濃度低下中。右30度からドリルアームで直撃可能!」

ドリルが唸り、ガルドラスの装甲を貫く。鋼獣が崩れ落ち、残るガルドラスをタクミが睨む。





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