第73話:嵐の港からの旅立ちと緑の大陸の絆
嵐の港「ストームヘイヴン」は戦いの爪痕を残しつつ、静けさを取り戻していた。朝焼けが海面を赤く染め、穏やかな波の音が響く中、タクミはストームライダーのそばで熔鉄団の鍛冶場から持ち出した工具を手に作業に没頭していた。金属が擦れる音と火花が飛び散り、機体下部に馬車を固定する改造が進む。ガイストがコックピットから冷静にサポートする。
「馬車固定完了。重量増加でエネルギー消費率が4%上昇するが、全員を運搬可能だ。ゼノス戦に備えろ、タクミ。」
タクミが汗を拭い、朝陽に輝くストームライダーを見上げる。
「これで全員で行ける。貴族もゼノスも、次はお前らが終わりだ。」
リアがタクミのそばに寄り、「風魔の結晶」を胸にそっと押し当てる。
「私、タクミと一緒に戦うよ。兄ちゃんのためにも、エアリスのためにも。」
その瞳に強い意志が宿る。
セリカが軽やかに跳ねながら一行に近づく。
「次の情報だよ。緑の大陸、ヴェールウッドが次の目的地。貴族が動き出してる気配がある。」
タクミが目を輝かせ、拳を軽く握って笑う。
「おお!ヴェールウッドか!久しぶりだな!懐かしい顔に会うのは!」
タクミが仲間を見回し、力強く言う。
「大陸の戦争を終わらせて、世界の未来を切り開く。それが俺たちの戦いだ。」
その時、海の彼方から低い咆哮が響き、ゼノスの影が水面に揺らめく。一行は一瞬息を呑むが、すぐにストームライダーに乗り込む。改造された馬車が機体に固定され、全員を乗せたストームライダーが轟音と共に飛び立った。
緑の大陸に朝霧が森を包む中、ストームライダーが轟音を立てて着陸する。機体が木々を飛び越え、ヴェールウッドの村に降り立つと、懐かしい風景が広がる。木造の家々が立ち並び、貴族の攻撃で焼けた跡が残るものの、村人たちが懸命に復興を進めていた。
エリナが村の入り口で待っていて、タクミたちを見るなり駆け寄る。傷だらけの手で顔を覆い、涙をこぼす。
「お前たちが帰ってきた…。村はまだ生きてる。本当に感謝している。」
リアがエリナに飛びつき、ぎゅっと抱きしめる。
「エリナ、私たち家族だよ! もう離れないからね。」
タクミがストームライダーから降り、村を見渡す。貴族の戦争が迫る気配を感じて言う。
「魔獣軍が近づいてる。この村を守る。それが俺たちの約束だ。」
バルドがエリナに近づき、「水神の杯」を手に持つ。
「ジンから預かったよ。俺はシンダーリーヴスを取り戻した。今度はこの村を守る。」
カザンが熔雷槌を手に、村の周囲を見回す。
「熔鉄団の技術があれば、村を護る壁くらいすぐ作れる。貴族なんかに渡さねえよ。」
ジンが竪琴を手に軽く弦を弾く。
「エアリスの歌に地の神殿の旋律がある。森の奥に神殿があるんだろ? また歴史が分かるな。」
セリカが木の陰から現れ、軽く首を振る。
「神殿は森の奥にあるよ。でも気をつけて。貴族がそこを狙ってる気配がする。」
タクミがエリナの手を取り、仲間を見回す。
「ここは俺たち家族の居場所だ。貴族が何を企んでいようと、守り抜く。」
エリナが涙を拭い、力強く頷く。村人たちも集まり、タクミ一行に希望の視線を向ける。森の奥から微かな魔脈の波動が感じられ、地の神殿が彼らを待っていた。ゼノスへの道はまだ遠いが、緑の大陸での再会が一行の絆をさらに深めた。戦争の足音が近づく中、タクミたちは新たな決意を胸に、次の戦いへと歩を進めるのだった。




