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第70話:巨岩と雷嵐の試練

水の神殿の内部は冷たく湿った空気が漂い、青い魔脈の光が石壁を這うように脈打っていた。タクミ一行が慎重に奥へ進む中、足音と水滴の響きが重なる瞬間、ガイストの警告音がストームライダーのコックピットに鋭く響いた。

「魔獣反応、距離50メートル! 複数体接近中、タクミ!」

モニターに赤い警告が点滅し、タクミがレバーを握り直す。

「来たか…。みんな、準備しろ!」


その瞬間、神殿の奥から地響きが轟き、石壁が崩れるほどの衝撃が一行を襲う。「タイタノス」——巨岩を纏った巨大な魔獣が姿を現した。体高10メートルを超え、全身に熔けた岩石が鎧のようにこびりつき、両腕から滴る溶岩が床を焦がす。その背後には雷を纏った魔獣「テンペスタ」が2体、鋭い咆哮を上げて浮遊していた。首に嵌められた黒い金属環——貴族の魔獣制御装置が魔脈エネルギーを供給し、統率された動きを見せる。


タクミが歯を食いしばり、ストームライダーを前進させながら叫ぶ。

「貴族の仕業だな…!」

カザンが熔雷槌を握り直し、豪快に笑う。

「貴族だろうが魔獣だろうが、熔鉄団の力で見せてやるぜ!」

タイタノスが咆哮を上げ、地面を叩くと、地震波が神殿全体を揺らし、石柱が崩れ落ちる。テンペスタが雷嵐を放ち、青白い電撃が空気を切り裂いて襲いかかる。


バルドが「嵐の双剣」を抜き、一閃でテンペスタに飛びかかる。

「嵐雷斬!」

風と雷を帯びた双刃がテンペスタの装甲を切り裂き、黒い火花が散る。だが、次の瞬間、タイタノスが巨腕を振り上げ、岩石弾を放つ。轟音と共に弾丸がバルドを直撃し、「雷霆の鎧」に深い亀裂が走る。バルドが膝をつき、剣を地面に突き立てて叫ぶ。

「故郷を…また壊す気か!」

その声に、貴族に焼かれたシンダーリーヴスへの怒りと悲しみが滲む。


リアが駆け寄り、バルドの名を叫ぶ。

「バルド!」

「風魔の結晶」を握り締めて杖を掲げると、彼女が力強く言う。

「アイシクル・ストーム!」

氷の刃が嵐のように吹き荒れ、タイタノスの岩石弾を凍らせて粉砕し、テンペスタの動きを鈍らせる。息を切らしつつも、リアがバルドを見つめて続ける。

「バルドの家族は私たちが守るよ! 絶対に!」

バルドが目を上げ、静かに頷き、「嵐の双剣」を握り直して立ち上がる。


カザンが熔雷槌を振り上げ、タイタノスに突進する。

「熔鉄団の力、見せてやるぜ!」

雷を帯びたハンマーが岩石鎧に叩き込まれ、溶岩が飛び散る。その援護でタクミに隙が生まれ、ストームライダーのドリルアームが唸りを上げる。

「ガイスト、ドリル稼働率は?」

「84%、エネルギー残量76%。水の魔脈調整で出力安定。いけるぞ、タクミ!」


タクミが「風神の眼」を発動させ、魔脈の流れを視認する。タイタノスの胸部——制御装置に繋がる魔脈の結節点が赤く輝き、弱点として浮かび上がる。

「そこか…! リア、トリニティ・ヴォルテクスの準備を!」

リアが頷き、エーテル・ノヴァを構える。炎・氷・雷の魔力が杖に集まり、渦を巻く。


セリカが神殿の隅から軽く声を上げる。

「情報通りだよ! 神殿の試練——魔獣を倒さないと遺物には辿り着けない!」

その声は軽快だが、どこか緊張を帯びていた。一行が戦いに集中する中、彼女の視線が一瞬揺れ、港での黒ローブの男との接触が脳裏をよぎる。


タイタノスが再び咆哮し、地震波を放つ。ストームライダーが揺れ、タクミがバランスを保ちながら叫ぶ。

「今だ、リア!」

「トリニティ・ヴォルテクス!」

リアの杖から放たれた三属性の魔力が魔鋼剣に融合し、輝く刃がタイタノスの胸部を貫く。制御装置が火花を散らし、巨岩獣が膝をつく。


バルドとカザンが同時に動く。

「ストームサンダー・スラッシュ!」

「くらえっ!」

嵐と雷の双剣がテンペスタを両断し、熔雷槌がタイタノスの頭部を粉砕。魔獣たちは断末魔を上げ、崩れ落ちる。


神殿に静寂が戻り、タクミがストームライダーから降りて息をつく。

「やったか…。ガイスト、魔脈反応は?」

「消滅を確認。水の魔脈が安定化してる。試練は突破だ、タクミ。」


バルドが傷ついた鎧を叩きながら呟く。

「貴族への一撃だ。次はお前らの本拠だぜ。」

リアがバルドに笑いかけ、カザンが熔雷槌を肩に担いで豪快に言う。

「これで水の遺物が手に入るな! 貴族なんざ熔かしてやるぜ!」

セリカが近づき、軽く手を振る。

「ねえ、試練はこれで終わりじゃないかもよ。神殿の奥に何かある気配がする。」

タクミが眉を寄せ、仲間を見回す。

「なら次に備える。エアリスの遺産を手にすれば、ゼノスに届く。」


水の魔脈が静かに流れ、神殿の奥へと一行を誘う。試練を乗り越えた先に、水神の遺物と新たな戦いが待っていた。



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