第63話:「神殿の歴史とジンの登場」
風の神殿の試練の間でガルドラスを倒したタクミ一行は、静寂に包まれた部屋で息を整える。散らばった魔鋼の破片が床に転がり、風の魔脈が微かに唸る中、突然魔脈結晶が再び輝きを増す。試練の間に「風の守護者」の幻影が現れ、セシルに語りかける。
「汝、試練を乗り越え、家族の涙を力に変えた。わしを宿し、絆の風を呼び起こせ。」
守護者の姿が風と共にセシルの「エアリスウィスパー」に吸い込まれ、杖が淡い光を放つ。セシルが驚き、
「タクミ、これって…?」
と杖を見つめる。
守護者の声が彼女の心に響く。
「わしはエアリス・ガーディアン、風の魔脈の化身なり。汝が詠唱すれば、いつでも力を貸そう。」
セシルが杖を握り、
「試してみていい?」
とタクミに目を向けると、タクミが頷き、
「やってみろ」
と返す。セシルが呟く。
「風の守護者よ、絆の疾風で我が元へ! エアリス・ガーディアン!」
風が渦を巻き、半透明の守護者が現れ、強力な風刃を試練の間の壁に放つ。石が削れる音が響き、セシルが目を輝かせ、
「タクミ、これが…私の新しい力だよ!」
と叫ぶ。
タクミが笑い、
「セシル、すげえ相棒を手に入れたな。貴族をぶっ潰すのに役立つぜ」
と肩を叩く。
一行が出口へ向かう途中、通路の壁に古代の壁画が現れる。風の神官が魔脈結晶を手に砂嵐を鎮め、遊牧民を守る姿が描かれ、風化した色彩が歴史の重みを感じさせる。タクミが壁画を指さし、
「セシル、1000年前、風の神官が魔脈を調和させてたんだな…貴族が壊したのか?」
と聞く。
セシルが壁画に手を触れ、
「そう、タクミ。影脈会がここで禁忌を学んだんだ。アランが貴族の鉱山を襲った時、この神殿の力を求めた。でも、貴族の罪が全てを歪めたんだ…」
と涙をこぼす。
リアがエーテル・ノヴァを握り、「セシルさん、貴族が悪いんだよね。私たちで正しい力を取り戻そうよ」と寄り添う。セシルが頷き、「うん、リア。一緒にね」と微笑む。
その時、通路に竪琴の音色が軽やかに響き、30代くらいの男が飄々と現れる。砂色のマントに身を包み、軽やかな笑みを浮かべる吟遊詩人——ジンだ。彼が竪琴を弾きながら、
「お前ら、風の神殿の歌を聞きたいかい?」
と言う。
セリカが猫耳を動かし、
「ジンか…情報より先に歌かよ、ジンは私の仲間だよタクミ」
と呆れた顔で呟く。
タクミが魔鋼剣を手に、
「何者だ、ジン? この神殿に何の用だ?」
と目を細める。
ジンが竪琴を弾く手を止め、
「ただの情報屋の旅人さ、タクミ。だが、この神殿の歴史を知ってるよ」
と壁画を指さす。
「1000年前、風の神官が魔脈と調和し、砂漠を緑に変えた。500年前、貴族の祖先が魔脈を奪い、神殿は荒廃した。禁忌魔法はその残響さ。」
カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、
「熔鉄団も貴族に家族を奪われたぜ、タクミ。その歴史、俺たちで終わらせてやるよ」
と言う。
バルドが双剣を握り、
「貴族の罪を断つよ、ジン。神殿の力はそのためにある」と低く唸る。
セシルが「エアリスウィスパー」を手に、
「ジン、あなたが知ってるなら教えてよ。貴族を倒すために何が必要?」
と見つめる。
ジンが笑い、
「セシル、風の歌が教えてくれるさ」
と竪琴を弾き始める。
「ゼノスって奴、魔脈の塊だよ。神殿の遺物が鍵になるってさ。」
ガイストがコックピットから補足する。
「魔脈エネルギー残量78%、新データ登録完了。エアリス・ガーディアンの召喚は戦力増強に有効だ、タクミ。」
タクミが仲間を見回し、
「セシルの新しい力と神殿の歴史が分かったぜ。貴族を潰す準備が整ってきたな。ジン、お前も役に立つなら一緒に来い」
と頷く。
ジンが竪琴を弾きながら、
「旅の仲間か、タクミ。いいね、歌いながらついてくよ」
と笑う。
一行は神殿の出口へ向かう。セシルが
「タクミ、レオンに言いたいよ…貴族の罪を終わらせるって」
と呟く。タクミが肩を軽く叩き、
「レオンも聞いてるさ、セシル」
と返す。
風の魔脈が静かに流れ、タクミたちの戦いは新たな力を手に進んでいた。




