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第59話:「風の迷路と影脈の記憶」

風の神殿の地下に潜入したタクミ一行は、迷路状の通路に足を踏み入れる。冷たい風が唸りを上げ、魔脈結晶の青い光が石壁を不気味に照らす。通路は分かれ道が続き、まるで生き物のように曲がりくねり、風の魔脈が吹き抜ける音が耳をつんざく。足元の石畳は湿気で滑りやすく、苔が薄く生え、ブーツにねっとりした感触が伝わる。壁にはエアリス文明の紋様が刻まれ、長い年月の風化で一部が崩れ落ちている。


一行が進むと、突然風が渦を巻き、「竜巻トラップ」が襲いかかる。砂と小石を巻き込んだ猛烈な風が視界を奪い、タクミがストームライダーの腕を盾に、

「下がれ、みんな!」

と叫ぶ。

セリカが猫のような敏捷さで跳び、

「タクミ、風の目を捉えな! 中心を抜ければ止まるよ!」

と振り返る。

タクミが魔鋼剣を振り、

「分かった、セリカ!」

と竜巻を切り裂く。

「ガイスト、魔脈感知で道を探れ!」

ガイストの声がコックピットから響く。

「魔脈波動を追跡中。右前方に安定した経路を検出。ドリルアーム稼働率89%、ピストルエネルギー残量85%、トルク300N・m。進路を確保しろ、タクミ。」

ストームライダーが風を押し切り、タクミが

「右だ、みんな!」

と指示。一行が右の通路へ進むと、カザンが熔雷槌を手に、

「熔鉄団の鉄はこんな風に負けねえぜ、タクミ!」

と風を睨む。


通路を進むと、壁に影脈会の刻印——剣と鎖が交差した紋章が現れる。セシルが杖を握り、刻印に手を触れて立ち止まる。彼女の声が震え、

「タクミ、ここだよ…50年前、アランが禁忌を完成させた場所」

と周りを見渡す。

タクミがセシルの肩に目をやり、

「アランって影脈会を作った人か。」

と静かに聞く。セシルが続ける。

「ああ。貴族の鉱山を襲い、民を救った男だよ…でも、禁忌魔法の代償で仲間が死に、私たちは道を失った。この神殿で魔脈の力を極めようとしたけど、アランも正気を失って…。私たちは復讐しか見えなくなったんだ。」


リアがエーテル・ノヴァを握り、

「セシル、兄ちゃんも…同じだったよね。私を救うために禁忌を使って、死んじゃった…」

と小さく震える声で言う。風の音に彼女の言葉が混じる。

タクミがセシルとリアを見回し、

「お前らの過去は俺たちの力になるぜ。レオンもアランも、貴族に立ち向かった。お前らが失った道を、俺たちが一緒に進む」

と力強く言う。

セシルの目に涙が浮かぶ。

「タクミ…ありがとう。私、禁忌を捨てて正しい戦いをするよ」と杖を握り直す。


一行が迷路を進む中、風の罠が再び襲う。竜巻が通路を塞ぎ、タクミがストームライダーで風を切り開く。

「またかよ!」

と叫ぶ。

セリカが風の目を指さし、

「タクミ、そこだ! 中心を抜け!」

と叫ぶ。

ガイストが補足し、

「魔脈波動集中点を確認。風の目を破壊すればトラップが停止する、タクミ」

と助言。

タクミがドリルアームを振り、

「了解、ガイスト!」

と竜巻の中心を貫く。風が散り、通路が静寂を取り戻す。セリカが軽く笑い、

「やるね、タクミ」

と言う。


迷路の奥へと進む一行は、風の魔脈が強まる気配を感じる。セシルが刻印を振り返り、

「タクミ、アランに言いたいよ…私たちの戦いはここから変わるって」

と呟く。

リアがエーテル・ノヴァを握り、

「ねえ、タクミ、私たちならゼノスを倒せるよね?」

と目を向ける。

タクミが笑い、

「ああ、ゼノスも貴族もぶっ潰すよ、リア。風の神殿の秘密を手にすればな」

と頷く。


通路の先に、最深部の試練が彼らを待っていた。風の魔脈が渦巻き、新たな戦いの気配が漂う。





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