第58話:「風の神殿への潜入」
ダストホロウの酒場「砂狼亭」で休息を取っていたタクミ一行は、情報屋セリカとの出会いを経て新たな動きを始めていた。酒場の喧騒が落ち着く中、タクミがセリカに目を向け、酒杯を手に軽く笑う。
「なぁ、セリカ。お前、俺たちの名前を普通に呼んでるけど、初対面のはずだろ。どういうことだ?」
セリカが猫耳をピクっと動かし、ニヤリと笑う。
「ヴェールウッドのエリナから情報屋としての依頼を受けてるんだよ、タクミ。この前エリナから手紙届いたでしょ? 逆にあんた達の動向もエリナに伝える手筈になってる。でもその前にさぁ、情報屋なんだから、それくらいあったりまえでしょ〜。タクミ、リア、バルド、カザン、セシル…砂漠の噂で名前くらい聞いてるよ。貴族を潰す一行なんて、目立ってるからね。」
タクミが目を細め、酒を一口飲んで笑う。
「ああ、エリナが言ってた『情報屋が待ってる』ってお前だったのか。便利な奴だな。なら話が早い。ゼノスの情報、頼むぜ。」
セリカが立ち上がり、
「じゃあ、ついてきてよ」と酒場の木製の扉を押し開ける。
外に出ると、砂嵐が唸りを上げ、砂岩の建物に細かい砂粒が叩きつけられる音が響く。夕陽が地平線に沈みかけ、オレンジと紫が混ざった空が砂漠を染める。セリカがオアシスの方向を指さし、
「風の神殿に貴族の秘密が眠るよ。オアシスの地下にある遺跡さ。ゼノスを倒す鍵がそこにある」
と言う。
タクミがストームライダーのコックピットを見やり、
「なら行くぜ。ストームライダーで道を開くから、みんな準備しろ」
と仲間を振り返る。
セシルが杖を握り、
「禁忌を捨てた私にできることがあるよ、タクミ。私も戦う」
と静かに言う。
一行がセリカに導かれ、オアシスのそばにたどり着く。砂に埋もれた石板が風に揺れ、セリカが軽く地面を叩くと、低い振動と共に地下への入口が開く。階段からは風の魔脈が吹き荒れ、砂塵が舞い上がる。階段の両脇には風化した石像が立ち、古代の紋様が薄く残る。ガイストの声がコックピットから響く。
「魔脈波動強度中級。風の神殿内部と推測される。ドリルアーム稼働率90%、ピストルエネルギー残量86%、トルク300N・m。警戒しろ、タクミ。」
タクミが魔鋼剣を手に、
「行くぞ、みんな。ゼノスの鍵がここにあるなら、見逃せねえ。ガイスト、フォロー頼む」
と階段を降りる。
神殿内部は迷路状の通路が広がり、風の魔脈が唸りを上げて吹き抜ける。壁にはエアリス文明の紋様が刻まれ、魔脈結晶が青く光り、薄暗い空間に不気味な輝きを投げかける。空気が冷たく湿り、石畳の隙間から水滴が滴る音が響く。突然、風が渦を巻き、「竜巻トラップ」が発動。タクミがストームライダーの腕を盾にし、
「下がれ、みんな!」
と叫ぶ。
カザンが熔雷槌を振り、
「熔鉄団の鉄は風なんかに負けねえ! 叩き散らせ!」
と風に雷撃を放つ。
バルドが双剣で風を切り裂き、
「カザン、力押しだけじゃダメだ。俺が道を作る」
と素早く動く。
セリカが軽やかに跳び、
「トラップの目はあそこだよ、タクミ! 避けて!」
と指さす。
通路を抜けると、宝箱エリアに到達。3つの宝箱が魔脈の光に守られ、中ボス「ウィンドレイク」が現れる。全長6メートルの風竜で、翼から竜巻を放ち、鋭い爪が魔鋼を切り裂く。タクミが叫ぶ。
「こいつを倒せば宝箱が開く! 連携だ、みんな!」
ストームライダーがドリルアームでレイクの翼を狙い、
「カザン、足を頼む!」
と指示。カザンが熔雷槌で足を叩き、
「喰らえ、熔鉄の雷だ!」
と吼える。
バルドが剣で爪を受け止め、
「セシル、風を抑えろ!」
と叫ぶ。セシルが魔術で竜巻を散らし、
「任せて、バルド!」と返す。
リアがエーテル・ノヴァを掲げ、
「タクミ、私もやるよ! 雷鳴の裁きよ、大地を穿て——サンダー・ウェーブ!」
と魔法を放つ。雷撃がレイクを麻痺させ、タクミが魔鋼剣で首を切り落とす。
「終わりだ!」
と叫び、レイクが崩れ、宝箱の光が消える。
タクミが宝箱を開け、「風魔の結晶」を手に取る。
「これ、リアのエーテル・ノヴァを強化できるな。全属性が20%増幅だって。」
リアが結晶を受け取り、
「タクミ、これで…もっと強くなれるね」
と目を輝かせる。
バルドが「嵐の双剣」と「雷霆の鎧」を手にし、剣を軽く振る。
「軽いな。風を纏ってる。雷にも強くなったぜ、タクミ。」
タクミが笑い、
「バルド、似合うぜ。他の連中の装備も強化したいな。鍛冶場があれば、俺のエンジニアスキルで何か作れるよ」と仲間を見回す。
一行が最深部へ進むと、「風の守護者」の試練が待つ。巨大な風の魔脈が渦巻き、次の戦いが彼らを呼んでいた。




