第57話:「情報屋との出会いとゼノスの足音」
砂塵の神殿を後にしたタクミ一行は、サンドリア大陸の砂の街「ダストホロウ」に到着する。砂岩と木でできた粗野な建物が並び、通りには砂嵐を避ける布が張られ、獣皮をまとった住民たちが忙しく行き交う。熱と砂で乾いた空気が鼻を刺し、遠くの酒場から酒の匂いと笑い声が漏れ聞こえる。一行は宿に荷を解き、休息を取るべく、タクミ、リア、バルド、カザン、セシル、ガレンたちが酒場へと足を運ぶ。
酒場「砂狼亭」は木のテーブルと粗末な椅子が並び、壁には獣の角や古い武器が飾られている。タクミとカザンがテーブルを囲み、砂漠のスパイスが効いた肉料理と濁った酒を手に談笑する。カザンが大皿の肉を豪快に頬張り、「熔鉄団の鉄はこんな飯で鍛えられるぜ! タクミ、お前も食えよ!」と笑う。
タクミが酒を一口飲み、「うまいな、カザン。貴族を潰す前に腹いっぱい食っとくか」と笑い返す。
リアが隣で小さな皿の砂糖漬け果物を摘まみ、「ねえ、バルドさん、この果物甘いよ。剣ばっかり握ってると疲れちゃうから、食べてみて?」と差し出す。
バルドが渋い顔で果物を手に取り、一口かじり、「…悪くねえな、リア。だが、俺の剣は疲れねえよ」と返す。リアがくすっと笑い、「そう言うと思った!」と応じる。
セシルが静かに酒を飲み、ガレンに目を向ける。「ねえ、ガレン、タクミたちとこうやってると…レオンの笑顔を思い出すよ。」
ガレンが頷き、「そうだな、セシル。レオンの想いはここに生きてる。俺たち、間違ってなかったぜ」と静かに答える。
その時、酒場の扉が軋んで開き、獣人の女が軽やかに歩み寄る。猫耳がピンと立ち、砂色の髪に金の瞳が光る情報屋——セリカだ。彼女がタクミのテーブルに腰を下ろし、「やっと会えたよ。貴族の城は崩れたが、ゼノスが動くってさ。砂の大陸で待ってるよ」と笑う。
タクミが酒杯を置き、「ゼノスか…貴族の最後だ。お前、詳しく知ってるな?」と目を細める。
セリカが猫のように首を傾げ、「情報屋の仕事さ、タクミ。ゼノスは遠くにいるけど、貴族が何か企んでるよ。砂漠の奥で魔脈がうねってるって」と返す。
リアが果物を手に、「セリカさん、ゼノスって…どれくらい強いんですか?」と聞く。
セリカが目を細め、「見たことないけど、噂じゃ街一つ消せるってさ。貴族の切り札だからね、リアちゃん」と答える。
バルドが剣の柄を握り、「なら俺の剣で斬るよ。貴族の罪を断つまでな。」と低い声で言う。
カザンが肉を飲み込み、「熔鉄団の鉄で溶かしてやるぜ! セリカ、ゼノスの弱点知らねえか?」と豪快に笑う。
セリカが肩をすくめ、「弱点は分からないけど、動くなら魔脈が鍵だよ。そこを狙え、カザン」と返す。
一行が笑い合い、料理をつまむ中、遠くから低い振動が響く。ゴゴゴ…と地を揺らす音が酒場の木の床を震わせ、タクミが立ち上がる。「何だ、この音…?」
ガイストの声がコックピットから通信で届く。「魔脈波動、距離70キロメートルで検出。ゼノスの足音と推測される、タクミ。エネルギー残量86%、戦闘準備を整えろ。」
タクミが窓から砂漠の地平線を見やる。「ガイスト、確かか?」と確認すると、「確度95%だ、タクミ」と返ってくる。砂嵐の向こう、ゼノスの巨大な影が微かに揺らめく。
セシルが杖を握り、タクミに目を向ける。
「タクミ、ゼノスだね…貴族の最後の抵抗か。」
タクミが仲間を見回し、
「休息は終わりだ。セリカ、ゼノスの情報を頼むぞ。貴族を潰す準備を始める」と言う。
リアがエーテル・ノヴァを握り、タクミに近づく。
「タクミ、私たちでゼノスを倒そう!」
タクミがリアの肩を軽く叩き、
「当たり前だ、リア。俺たち全員で倒すよ」と笑う。
酒場の喧騒の中、ゼノスの足音が遠くで響き続け、タクミ一行の戦いは新たな局面へと進んでいた。




