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第55話:「神殿の秘密と絆」

タクミ、リア、バルド、カザン、影脈会の5人が神殿内部へ進む準備を整える。タクミが腰を下ろし、影脈会のメンバーを軽い笑みで見回す。

「なぁ、ガレンたち。いつまで俺のことを『異邦人』って呼ぶつもりだ? 一緒に戦ってんだ、名前で呼んでくれよ。タクミでいい。」


ガレンが少し驚いた顔でタクミを見返し、苦笑しながら答える。

「そうか…確かにその通りだな、タクミ。俺たちも仲間なら、名前で呼ぶべきだ。すまなかった。」

ザインが短剣を手に軽く笑い、

「なら俺もタクミと呼ばせてもらう。異邦人ってのも悪くなかったが、こっちの方が楽だな」

と肩をすくめる。

ミラが杖を握り、頷きながら言う。

「私も…タクミさんって呼んでいいですか? リアちゃんも、バルドさんも、カザンさんも…仲間って感じがして嬉しいです。」

カイルとダインが揃って拳を突き上げ、「タクミ!」「俺たちのリーダーだぜ!」と声を合わせる。

タクミが笑い、

「お前ら、ノリいいな」

と返すと、仲間全員が笑顔を見せる。


タクミがガレンに目を向け、

「でさ、ガレン。この神殿、どんな場所なんだ? お前が情報くれたんだから、何か知ってるだろ?」

と聞く。

ガレンが剣を手に石門の紋様を見上げ、「ああ、タクミ。この砂塵の神殿は、貴族でも誰でもなく、エアリス文明が産んだものだ。古代の民が創った聖域で、魔脈技術の頂点を極めた場所だと影脈会で聞いてた。貴族が封印したって噂もあるが、元はエアリスの民が神聖な力を守るために建てたらしい。守護者やトラップはその証だ。斥候で見た時、ここの魔脈反応が異常だったから、強力な何かが眠ってると思ったんだ」

と答える。

タクミが目を細め、

「エアリス文明か…。貴族が手を伸ばす前に、俺たちが力にしてやるぜ」

と拳を握る。


一行が神殿内部へ進むと、通路が狭まり、天井から滴る水音が冷たく響く。壁には魔脈結晶が埋め込まれ、青い光が湿った石を照らす。突然、床が振動し、石壁が軋む音と共に動き出す。ガイストが警告する。

「魔脈反応急上昇。トラップ起動を確認。左右から圧縮壁が接近中だ、タクミ!」

タクミが叫び、

「くそっ、挟まれる! 走れ、みんな!」

とストームライダーを駆けさせる。リアが

「タクミ、待って!」

と叫ぶと、タクミが腕で彼女を抱え、

「しっかり掴まってろ!」

と返す。

カザンが熔雷槌を振り、

「熔鉄団の力でぶち壊すぜ!」

と雷撃を壁に叩き込むが、魔鋼混じりの石はびくともしない。「ちっ、硬ぇな!」

と舌打ちする。

バルドが剣で壁を切りつけ、

「タクミ、先に行け! 俺が削る!」

と叫ぶ。ガレンが魔術を放ち、

「俺が速度を遅らせる、タクミ、急げ!」

と援護する。


圧縮壁を抜けると、通路が円形の部屋に開ける。中央には巨大な魔脈結晶が浮かび、周囲を古代の魔法陣が青白く囲む。結晶から放たれる強烈なエネルギーが空気を震わせ、肌に刺さるような圧迫感が広がる。ガイストが解析する。

「魔脈結晶、反応強度上級。ストームライダーのエネルギー増幅に最適だ。ただし、結晶を守る守護者が起動する可能性が高い。」


その言葉通り、魔法陣が光り、

「サンドタイタン」

が姿を現す。全高8メートルの巨体で、砂と魔鋼の鎧が鈍く輝き、両手に巨大なハンマーが重々しく構えられる。タクミが魔鋼剣を構え、

「デカいのが来たぞ! ガイスト、データくれ!」と叫ぶ。

「サンドタイタン、魔脈エネルギー反応上級。ドリルアーム稼働率89%、ピストルエネルギー残量85%、トルク300N・m。単純な力押しでは不利だ、タクミ。連携で弱点を突け」

とガイストが返す。


タイタンがハンマーを振り下ろし、地面が砕ける轟音が響く。タクミがドリルアームで受け止め、

「重いな、こいつ!」

と歯を食いしばる。反撃に剣を振るうが、鎧に弾かれ、

「ちっ、硬すぎる!」

と叫ぶ。

カザンが熔雷槌で足を叩き、

「熔鉄団の鉄でぶち抜くぜ、タクミ!」

と雷撃を放つ。動きが一瞬鈍り、

「効いてるぞ!」と笑う。

バルドが雷を帯びた剣で鎧の隙間を狙い、

「サンダーストーム・スラッシュ! 」

と叫ぶ。雷が関節を焼き、タイタンが動きを止める。


リアがエーテル・ノヴァを掲げ、

「 雷鳴の裁きよ、大地を穿て——サンダー・ウェーブ!」

と魔法を放つ。雷撃がタイタンを麻痺させるが、鎧がエネルギーを吸収し、

「効果が薄い…!」

とリアが焦る。

ガレンが魔術で足元を固定し、

「ザイン、隙間にやれ!」

と指示。ザインが短剣で毒を流し込み、

「貴族みたいにしぶといな」

と冷たく笑う。カイルとダインが槍で両足を突き、 「押さえろ、ダイン!」「任せろ、カイル!」

と息を合わせるが、タイタンが咆哮を上げて反撃。

タクミが叫ぶ。

「どうする!? 苦戦に苦戦だ、このままじゃやられるぞ!」


タクミがリアに目をやり、閃く。

「リア、さっきの魔法書を試してみろ! 上級魔法ならこいつを仕留められるかもしれない!」

リアが上級魔法書を手に、

「うん、タクミ、やってみる!」

と頷く。エーテル・ノヴァを掲げ、深呼吸して詠唱する。

「水の精霊よ、我が声に応え、大地の怒りを鎮めよ——アクア・テンペスタ!」

魔法陣が輝き、神殿内に水の渦が巻き起こる。水流がタイタンを包み、砂と魔鋼の鎧を侵食し、結晶が剥き出しになる。タイタンが膝をつき、タクミが叫ぶ。

「今だ! 止めを刺すぞ、みんな!」

ストームライダーがドリルアームを全開にし、

「喰らえ!」

と結晶に突き刺さる。結晶が砕け、タイタンが悲鳴を上げて崩れ落ちる。水と砂が混ざり合い、部屋に静寂が戻る。


結晶の欠片が床に落ち、タクミが拾い上げ、

「手に入れたぜ」

と呟く。ガイストが言う。

「魔脈結晶取得。ストームライダーのエネルギー増幅に使用可能だ。神殿の試練はこれで終わりと推測する。」

タクミがリアに笑いかけ、

「すげえ魔法だ、リア。魔導書のおかげだな」

と言う。

リアが魔導書を抱き、タクミに目を輝かせて返す。

「うん、兄ちゃん、見ててねって思って詠唱したんだ…。これで私、もっと強くなれたよ…!」


タクミが仲間を見回し、

「貴族を潰す力がまた手に入ったぜ。ガレン、情報ありがとうな」

と言う。

ガレンが頷き、

「タクミ、これでレオンの仇に近づけたよ。俺たちも強くなるからな」

と返す。

一行は神殿の試練を乗り越え、新たな力を手に外へ向かう。サンドリアの砂漠が彼らの次の戦いを待っていた。



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