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第54話:「神殿の深部へ」

砂塵の神殿の石門を抜けたタクミ一行は、薄暗い通路に足を踏み入れる。冷たく湿った空気が肌を刺し、壁に刻まれた古代の紋様が魔脈エネルギーの青い光で脈打つ。足元の石畳は苔に覆われ、滑りそうな感触がブーツに伝わる。長い年月誰も踏み入れていない静寂が漂い、通路の両側には矢の発射口が不規則に並び、床の微妙な凹凸が罠の気配を漂わせる。遠くから低いうなり声が響き、神殿の深部に潜む何かを予感させる。


タクミが魔鋼剣を手に進み、仲間を見回す。

「罠だらけだな。油断するなよ、みんな。」

ガイストの声がコックピットから冷静に響く。

「魔脈反応が複数検出。トラップの稼働を示唆するエネルギー波動が近い。ドリルアーム稼働率92%、ピストルエネルギー残量87%、トルク300N・m。準備は整っている、タクミ。」

タクミがガイストに笑う。

「頼もしいな、ガイスト。なら、行くぜ。」


リアがエーテル・ノヴァを握り、タクミに近づく。

「ねえ、タクミ、神聖だけど…ちょっと怖いね。でも、兄ちゃんの分まで強くなるために、ここで負けるわけにはいかないよね?」

タクミが頷き、肩を軽く叩く。

「そうだ、リア。お前ならやれるさ。俺たち全員で貴族を潰す力を手に入れようぜ。」

バルドが剣を手に壁を睨み、タクミに言う。

「罠だろうが敵だろうが、俺の剣で切り開く。進め、タクミ。迷ってる時間はねえ。」

カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に笑う。

「おい、バルド、熔鉄団の鉄も試される時だぜ! 貴族を潰す力がここにあるなら、どんな試練でもぶち抜くから任せとけ!」

槌が空気を震わせ、低い響きが通路に反響する。


ガレンが一行の先頭に立ち、斥候の目を光らせる。

「異邦人、ちょっと待て。床のこの凹み、罠だ。俺が確認するよ。」

彼が剣の柄で床を軽く叩くと、石板が沈み、壁から矢が鋭い音を立てて飛び出す。熔鉄団の戦士、カイルが槍で矢を叩き落とす。


通路を進むと、突如床が崩れ、落とし穴が口を開ける。タクミがストームライダーの腕でリアを掴み、

「リア、しっかりしろ!」

と叫ぶ。リアが驚きつつ、

「タクミ、ありがとう!」

と返す。カザンが熔雷槌を地面に突き立て、

「熔鉄団、俺に掴まれ!」

と戦士たちを支える。バルドが素早く跳び、ガレンの腕を引き上げる。

「ガレン、落ちるなよ!」

ガレンが息を整え、

「異邦人、バルド、助かったぜ。神殿は俺たちを試してるみたいだな」とタクミに笑う。

タクミが全員を見渡し、

「危ねえ…。全員無事か?」

と確認すると、仲間たちが頷き返す。


さらに進むと、通路が開け、広間へと繋がる。中央には石造りの祭壇があり、その上に古びた宝箱が置かれている。箱の表面には魔脈結晶が埋め込まれ、淡い光が青く揺らめく。だが、広間の四隅には砂岩の像——新たな守護者が静かに佇み、赤い目で侵入者を監視している。


タクミが宝箱に近づこうとすると、像が動き出し、「サンドセンチネル」が起動する。全高3メートルの4体で、砂と魔鋼の槍と盾が鈍く光る。ガイストが即座に分析する。

「サンドセンチネル、魔脈エネルギー反応中級。複数同時攻撃が予測される。ストームライダーの損傷を最小限に抑えろ、タクミ。」

タクミが魔鋼剣を構え、仲間を振り返る。

「まとめてぶっ潰す! みんな、陣を組め!」

カザンが熔雷槌を握り直し、

「熔鉄団の力、見せてやるぜ、タクミ!」

と吼える。


センチネルが砂嵐を巻き起こし、槍を振り下ろす。タクミが剣で受け止め、ドリルアームを回転させて一体の胸を貫く。砂と魔鋼が砕け散り、一体が崩れる。

「一匹仕留めた!」

とタクミが叫ぶ。カザンが熔雷槌を振り回し、雷撃で別のセンチネルを牽制。

「喰らえ、雷の鉄だ!」

と叫ぶ。

バルドが雷を帯びた剣で斬りかかり、

「サンダーストーム・スラッシュ!」

と叫んで一体の盾を切り裂く。

「カザン、次はお前が叩け!」

と指示を飛ばす。


リアがエーテル・ノヴァを掲げ、タクミに言う。

「タクミ、私もやるよ! 燃え盛る深淵よ、紅蓮を呼び起こせ——フレア・テンペスト!」

炎の渦がセンチネルを包むが、砂が熱を吸収する。彼女が冷静に切り替え、

「効かないならこれで! 雷鳴の裁きよ、大地を穿て——サンダー・ウェーブ!」

と叫ぶ。雷撃が一体を麻痺させ、カイルとダインが槍で突き刺す。

「今だ、ダイン!」「任せろ、カイル!」

と双子が息を合わせ、動きを止める。

ガレンが魔術で砂嵐を抑え、

「ザイン、急所を狙え!」

と指示。ザインが短剣を投げ、

「貴族みたいに簡単に死ね!」

と冷たく笑う。ミラが

「癒しの聖域よ、命を灯せ——ヒール・ルミナス!」

と唱え、

「みんな、傷は私が治すよ!」

と仲間を支える。


残る一体がタクミに槍を突き出すが、彼がドリルアームで槍を弾き、魔鋼剣で首を切り落とす。

「終わりだ!」

と叫び、センチネルが砂と魔鋼の破片となって崩れ落ちる。広間に静寂が戻り、タクミが息を整え、

「連携で仕留めたぜ。ガイスト、損傷はどうだ?」

と聞く。

ガイストが応じる。

「損傷率8%、軽微だ。戦闘データ更新完了。次の試練に備えろ、タクミ。」


一行が宝箱に近づき、タクミが蓋を開ける。中には魔脈結晶の欠片と古びた魔法書が収められている。リアが魔法書を手に取り、タクミに目を輝かせて言う。

「タクミ、これ…上級魔導書だよ! !」

ガイストが解析を加える。

「魔脈結晶欠片はストームライダーの強化に使用可能だ、タクミ。魔導書はリアの魔力を増幅する可能性が高い。だが、神殿の深部にさらなる反応を検出。試練は終わっていないぞ。」

タクミが仲間を見回し、

「これで貴族を潰す力に一歩近づいたな。だが、まだ何かあるみたいだ。深部へ進むぞ、みんな」

と呼びかける。

リアがエーテル・ノヴァを握り、タクミに頷く。

「うん、兄ちゃん、見ててねって約束するよ…。」

一行は宝箱の収穫を手に、神殿の奥へと進む。砂塵の試練はまだ彼らを待っていた。



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