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第49話:新たな荒野へ

熔鉄団の工房は、朝陽に照らされ、金属を打つ鋭い音が空気を劈く。火花が飛び散り、焦げた魔鋼と汗の匂いが鼻を刺す。工房の中央で、タクミがリニューアルされたストームライダーの前に立つ。鉄都ガルザードの戦利品から採取した素材と、カザンの鍛冶技術で再鍛造された「熔嵐合金」が外装を覆う。黒と赤が混ざったマットな仕上げに、稲妻のような銀のラインが走り、熱や雷を分散する多層構造が朝陽に鈍く輝く。全高は3メートルから4メートルに大型化し、肩部と脚部に追加された装甲がゼノスの巨体にも耐えうる剛性を放つ。


タクミが魔鋼剣を手に持つと、新たに埋め込まれた魔脈結晶が青白く脈打つ。冷たい金属が指に食い込み、彼がコックピットに乗り込む。改良された内部は、魔脈石を薄く削りガラス状に加工したモニターに囲まれている。敵の数、エネルギー残量、装甲耐久度、仲間の位置がガイストによりリアルタイムで投影され、タクミの視界を情報で埋め尽くす。断熱シールドが窓部に展開し、外の熱風や雷鳴を遮断。内部は汗ばむほどの安定した温度と、微かな電磁の唸りが響く環境だ。


ガイストのAIコアが中央で青く光り、タクミが熔鉄団の戦闘服を着込む。黒と銀の流線型スーツは軽量魔鋼と魔脈繊維で作られ、胸部の送受信装置がガイストと繋がる。スーツの冷たい感触が肌に馴染み、心拍数がモニターに跳ねる。タクミが呟く。

「貴族の城は崩れたが、戦争は終わらねえ。大陸を巡って叩く。ゼノスを倒すまで、俺たちは止まらねえぜ!」

ガイストが冷静に応じる。

「同意する、タクミ。新装ストームライダーの魔脈回路は従来比40%増強、反応速度は30%向上。魔脈感知範囲は2倍に拡大、敵の動向をリアルタイムで捕捉可能だ。次の目的地を提案しよう。」

タクミが銀ラインの輝く外装を一瞥し、吼える。

「次は砂の大陸——サンドリア大陸だ! エリナの話じゃ、情報屋が待ってる。貴族の動きを聞き出すぜ!」

ガイストが補足する。

「サンドリア大陸の主要都市『ダストホロウ』には、貴族の交易ルートとゼノスの部品供給に関する情報が集まる可能性が高い。出発準備は整った。」


工房の隅、木製テーブルの上で、リア用の新装備「エーテル・ノヴァ」が静かに輝く。風魔コアが進化した六角柱型で、中央の魔脈結晶が全属性を増幅し、星のような模様が表面を飾る。タクミがコアに最後の調整を加え、火花が散る。リアがコアを手に持つと、冷たく滑らかな感触が掌に伝わる。彼女が呟く。

「兄ちゃんの影脈会…私、救いたい。貴族に操られて、禁忌魔法で死んだ兄ちゃんの仲間たち…私なら救えるよね?」

瞳にレオンの姿が浮かび、声が震える。タクミが工具を置き、力強く言う。

「エーテル・ノヴァはお前の力を限界まで引き出す。フレア・テンペストもアイシクル・ストームも、サンダー・ウェーブも、今までの倍以上の威力だ。兄ちゃんの想いも一緒に背負えよ!」

リアがタクミを見上げ、涙を堪えて頷く。

「うん…タクミ、私、頑張る。兄ちゃんの分まで。」


工房の外、冷たい朝風が草を揺らし、土の匂いが漂う。バルドが「デュアル・ヴォルティス」を磨き、熔嵐合金で補強された双剣に雷が迸る。刃を手に持つと冷たい重みが掌に響き、彼が星空を見上げて唸る。

「俺の剣は仲間のためだ。貴族を斬る。レオンが見てるなら、俺はもっと強くなる。」

雷がビリビリと空気を震わせ、瞳に決意が燃える。


カザンが熔鉄団の精鋭10人を連れて工房に入る。熔雷槌を肩に担ぎ、タクミたちを見回す。

「熔鉄団の10人を貸すぜ。貴族を灰にしろ。俺はここに残って工房を守り、次の準備を進める。レオンの墓に誓って、俺たち全員で貴族を潰す!」

戦士たちは熔嵐合金の槍と斧を手に、タクミに敬礼。槍の柄が地面を叩く音が響く。カザンが豪快に笑う。

「こいつらは熱も雷も耐える装備だ。お前らと一緒に貴族を溶かしてくるぜ!」

タクミがカザンに拳を突き出し、ニヤリと笑う。

「頼もしいぜ、カザン。工房は任せた。ストームライダーの次の強化パーツも頼むぜ!」

カザンが拳を合わせ、吼える。

「熔鉄団の技術、見せてやる。帰ってくる頃にはゼノスをぶち抜く武器ができてるぜ!」


タクミがストームライダーのエンジンを起動させ、コックピットに乗り込む。魔脈石モニターに情報が映し出され、ガイストがシステムを立ち上げる。

「ストームライダー、起動完了。外装耐熱シールド展開、魔脈エネルギー残量100%。サンドリア大陸へ向かうルートを設定。荒野を越える準備は整った。」

タクミがレバーを握り潰し、叫ぶ。

「行くぞ、みんな! 次はサンドリアだ!」


一行は炎の大陸を後にし、荒野へと進む。ストームライダーのエンジンが咆哮し、空を切り裂く。熔嵐合金の装甲が朝陽に輝き、風を弾く音が響く。馬車に乗り込んだ熔鉄団の10人とリア、バルドが大地を踏みしめる。馬車の荷台で、リアがエーテル・ノヴァを握り、星空を見上げる。

「兄ちゃんの星…見守っててね。私、貴族を倒して、影脈会のみんなを救うよ…。」

声が風に乗り、星空に輝くレオンの星が瞬く。


荒野の果て、サンドリア大陸の主要都市「ダストホロウ」が霞んで見える。砂塵が舞う荒々しい土地に、貴族の支配と情報屋の影が潜む。タクミが魔脈石モニターで地平線を睨み、熱く呟く。

「ゼノス…貴族…次はお前らが終わりだ。」

新たな旅が始まり、新たな戦いが彼らを待っていた。



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