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第43話:王の鉄鎖と魔獣の嵐

焔嵐大陸の空に、ストームライダーのエンジン音が炸裂する。朝霧が焼けるように薄れ、鉄都ガルザードの黒鉄の城壁が朝陽に浮かび上がる。タクミはコックピットで汗と油にまみれた手をレバーに叩きつけ、歯を食いしばる。ガイストの冷静な合成音が耳を劈く。

「魔脈異常感知。魔獣10体、距離200メートル。接近速度、危険レベル。」

モニターの赤い点が血の滴のように蠢き、タクミがニヤリと笑う。

「ガイスト、ターゲットロック急げ!ぶっ潰すぜ!」

「了解、タクミ。風魔冷却フル稼働、ガンランチャーチャージ完了。撃て。」

ガイストの声が冷たく響き、タクミの昂ぶりを煽る。

「相棒、最高だ!行くぜ!」


その瞬間、大地が震え、野太い咆哮が空気を切り裂く。ヴォルガノス——熔鉄団をかつて追い詰めた魔獣王——が溶岩を滴らせ、焦げた臭いを撒き散らす。嵐を纏うテンペスタの群れが鋭い爪で風を切り、朝陽を血に染める。熱風が顔を焦がし、魔獣の息遣いが耳を聾する地獄の光景だ。


地上では、熔鉄団の戦士たちが馬車から飛び降り、戦列を組む。カザンが熔雷槌を振り上げ、豪快に吠える。

「貴族の犬も魔獣も、灰に変えるぜ!」

槍がヴォルガノスの鱗を貫き、金属が軋む音が響く。斧がテンペスタの翼を叩き切り、骨が砕ける鈍い音が霧に溶ける。血と溶岩が飛び散り、焦げた木と鉄の匂いが鼻を刺す。


城壁の上では、貴族長ドルザードが玉座のような椅子に座り、冷たく見下ろす。杖を手に持つその姿は、鉄の王冠を纏った影のよう。騎士団長ガルザークが城壁の縁に立ち、苛立ちを隠して進言する。

「閣下、魔獣を全て解き放つのは危険です。異邦人に加え、城も危うくなります!」

ドルザードの声が冷たく、絶対の権威を響かせる。

「黙れ、ガルザーク。私の命令だ。魔獣を解き放ち、異邦人を潰せ。」

その言葉に逆らう術はなく、ガルザークが歯を食いしばり、騎士団に号令をかける。だが、重臣たちがざわつき、貴族の結束が揺らぐ。命令は絶対だが、魔獣の制御が利かず、混乱が広がる。


タクミはその隙を見逃さない。ストームライダーのスラスターが咆哮し、機体が空を切り裂く。

「ガイスト、今だ!一気に叩くぜ!」

「ターゲットロック完了。ガンランチャー発射準備OK。突っ込め、タクミ。」

トリガーを握り潰し、肩部のガンランチャーが火を噴く。爆裂弾がヴォルガノスの群れに炸裂し、轟音が耳を劈く。地面が抉れ、溶岩が飛び散り、熱風が頬を焼く。魔獣王が咆哮を上げて倒れ、大地に黒い染みを刻む。タクミが吼える。

「熔鉄団、続け!押し潰すぞ!」


カザンが熔雷槌を振り下ろし、雷鳴が大地を震わせる。雷撃がテンペスタの翼を焼き切り、焦げた羽根の臭いが風に舞う。

「熔鉄団の鉄は折れねえ!貴族も魔獣もぶち壊す!」

戦士たちが槍を突き立て、一人がヴォルガノスの尾に絡まれ、骨の軋む音と共に叫ぶ。カザンが熔雷槌で魔獣を粉砕し、仲間を掴み上げる。


だが、魔獣の反撃は熾烈だ。ヴォルガノスが溶岩を吐き、戦士二人が鎧ごと溶ける。熱が皮膚を焼き、悲鳴が空に消える。カザンが血の匂いを吸い込んで叫ぶ。

「下がれ!俺が引き受けるぜ!」

熔雷槌を両手で握り直し、単身で突っ込む。雷撃が頭を直撃し、巨体がよろめくが、爪が肩を切り裂き、血飛沫が顔を濡らす。熱い痛みにカザンが唸る。


馬車の影から戦場を見つめるリアが、風魔コアを握り潰す。涙が熱く頬を伝い、叫ぶ。

「兄ちゃんがこんな魔獣を…!私が止めるよ!」

風魔法を解き放つ。

「風よ、刃となれ——ストームブレード!」

風が咆哮し、鋭い刃がテンペスタを切り裂く。冷たい風が頬を叩き、翼を失った魔獣が地に落ちる音が士気を高める。


ストームライダーが急降下し、タクミがガンランチャーを連射。爆発が連続し、硝煙の臭いが鼻を刺す。ガイストが分析する。

「魔獣残り6体。城門は閉じたまま。貴族の混乱が我々に有利だ。」

「魔脈ライフル改はどうだ?」

「チャージ80%。10秒でフルパワー。今突入しろ。」


城壁の上では、ドルザードが冷たく見下ろす。ガルザークが苛立ちを抑え、進言する。

「閣下、魔獣が制御不能です!城壁が危うい!」

ドルザードが杖を軽く振る。

「ならば貴様が抑えろ。私の命令は変わらん。」

ガルザークが唇を噛み、騎士団が動くが、ヴォルガノスが暴れ出し、城壁が崩れる。石の砕ける音と貴族の叫びが混ざる。ドルザードは動かず、ただ見下ろす。


バルドが双剣「デュアル・ヴォルティス」を閃かせ、突っ込む。

「サンダー・スラッシュ!」

雷を纏った刃がテンペスタの首を切り裂き、血飛沫が冷たい顔を濡らす。

「仲間を守る剣だ。お前らに屈しねえ。」

カザンが熔雷槌でヴォルガノスを牽制し、戦士たちが怒りを力に変える。


タクミが叫ぶ。

「フルチャージまだか!?」

「今だ、タクミ。魔脈ライフル改、発射準備完了。」

右腕が展開し、青白い光が収束する。タクミが吠える。

「貴族も魔獣もまとめてぶっ飛ばすぜ!くらえ!」

魔脈エネルギーが奔流となり、ヴォルガノスの群れを直撃。爆発が大地を揺らし、三頭が灰と化す。衝撃波が風を巻き上げ、硝煙と血の匂いが戦場を包む。


リアが風魔法で援護し、カザンとバルドが咆哮を上げる。タクミがストームライダーを上昇させ、ガイストに笑う。

「いい仕事だ、相棒!この勢いで城に突っ込むぜ!」

「同意する、タクミ。貴族の混乱は我々の勝利だ。一気に決着だ。」


崩れた城壁の隙間から、貴族の絶叫と魔獣の咆哮が混じる。ドルザードは動かず、冷たく見下ろす。熔鉄団の戦いは、鉄都ガルザードの心臓部へ突き進む。血と熱が絆を燃え上がらせていた。



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