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第37話:熔鉄の絆とヴェールウッドの守り

工房の外では、熔鉄団の戦士たちが傷ついた壁を補修し、槍を手に周囲を警戒する。夜風が冷たく吹き抜け、焦げた匂いを薄く運び去る。カザンが熔雷槌を地面に置き、タクミに近づく。

「貴族の魔獣が5体も来たってことは、奴らも本気だ。ヴェールウッドを焼き払う気なら、次はもっとでかいのが来るぜ。」

彼が遠くの闇を見やり、続ける。

「エリナとヴェールウッドの村人たちのことも気になるよな。俺が送った熔鉄団の斥候からの報せじゃ、エリナが剣を手に村を守りながら、村人たちと森の奥の隠し洞窟で次の襲撃に備えてる。俺の腹心の部下が一緒だ。だが、貴族が魔獣をさらに送り込めば、エリナの剣だけじゃ厳しい。」


タクミが目を細め、頷く。

「エリナか…ヴェルディア大陸の戦士だろ。剣一本で貴族支配に抵抗してた奴だ。俺たちが焔嵐大陸へ出る時、『私がいる限りヴェールウッドは守る』って笑ってたのを思い出すぜ。熔鉄団に村を頼んだ時、村人たちに隠し洞窟への避難を指示してたよな。カザン、熔鉄団の団員はどれくらい残ってる?」

カザンが低い声で答える。

「半数はここで工房とヴェールウッドを守ってる。エリナと一緒にいるのは俺の信頼する戦士たちだ。鍛冶屋の連中が物資を運んで、隠し洞窟で貴族の目を逃れてる。だが、魔獣の群れが来れば、それでも足りねえかもしれねえ。」


リアがタクミの腕に支えられ、ゆっくり立ち上がる。エーテル・ローブが微かに光り、彼女がトームを拾い上げる。

「私…もっと強くなるよ。家族を守る魔法を、もっと…! エリナさんや村の人たちも、私が助ける!」

その声が震えつつも、覚醒の余韻が力強く響く。タクミがリアの頭を軽く叩き、言う。

「お前、十分すげえよ。けど、次は俺と一緒に貴族の城をぶち抜く魔法を見せてくれ。エリナたちも救うぜ。焔嵐大陸で新しい魔法を覚えたお前ならできるだろ。」

その言葉に、激励と期待が混じる。


バルドがデュアル・ヴォルティスを手に、剣を軽く振る。刃が夜風を切り、微かな唸りが響く。

「貴族の魔獣が来るなら、俺が地上で斬る。熔鉄団の技とシンダーリーヴスの意志で、エリナたちの仇も討つ。母ちゃんやミアの分までな。」

その瞳に、復讐の炎が再び燃え上がる。


ゴランが槍を肩に担ぎ、工房の入り口を見やる。

「タクミ、ストームライダーで空を制するんだ。俺たちは地上で貴族の犬を片付けるぜ。エリナと村人たちに、熔鉄団の鉄が届くように俺が走る!」

その声に、粗野な熱が滾り、熔鉄団の戦士たちが頷く。


一方、ヴェールウッドの森の奥、隠し洞窟の中では、エリナが剣を手に村人たちを見守る。ヴェルディア大陸の緑豊かな森で育ち、貴族支配に抗った戦士としての決断力が彼女の瞳に宿る。洞窟の入り口から冷たい風が吹き込み、松明の火が揺れる。村人たちが物資を運び込み、子供たちが毛布にくるまって震えている。鍛冶屋の老人がエリナに近づき、低く言う。

「熔鉄団なら頼りになる。俺たちが物資を運んだよ。隠し洞窟なら、貴族の目も届かねえ。」

エリナが村人たちに目をやり、静かに応じる。

「皆がここで耐えてくれるなら、私が剣で守るよ。熔鉄団の戦士たちもいてくれてる、持ちこたえる。」


洞窟の外で、貴族の魔獣が森をうろつく気配がする。遠くの木々が揺れ、低い唸りが風に混じる。エリナが剣を握り直し、熔鉄団の戦士の一人に目をやる。

「カザンからの援軍、本当にありがたい。貴族の魔獣が近づいてる。私達の村のことで申し訳ないが森の入り口で迎え撃つ準備をしてくれ。」

その声に、民への深い思いと揺るぎない決断力が滲む。熔鉄団の戦士が槍を手に頷き、言う。

「カザンの命令だ。エリナ、お前と村を守る。魔獣が来ても、熔鉄団の槍で貫くぜ。」

エリナが軽く笑い、剣を構える。

「なら、私の剣と一緒に戦ってくれ。ヴェールウッドは渡さない。」


洞窟の奥で、村の少女がエリナに近づき、小さな声で言う。

「エリナ姉ちゃん、タクミおじちゃんたちは大丈夫かな…?」

エリナが少女の頭を撫で、答える。

「タクミなら、焔嵐大陸で貴族を叩いてるよ。私たちがここを守れば、彼らも安心して戦える。熔鉄団と一緒に耐えよう。」

その言葉に、村人たちへの深い思いが宿り、洞窟に静かな力が満ちる。


遠くの荒野で、貴族の斥候が影に隠れ、魔脈石を手に呪文を呟く。

「影脈会に伝えろ…異邦人が魔獣を全滅させた。そしてストームライダーが飛んだ。」

魔脈石が微かに光り、鉄都ガルザードへの報せが魔力の波となって夜を駆ける。その気配が風に溶け、工房には届かぬまま消えるが、夜の静寂に不穏な波紋を広げる。


タクミがストームライダーに触れ、冷たい装甲の感触を手に感じる。

「貴族が次を仕掛けてくる前に、こっちから叩く。鉄都ガルザードを落とす準備はできてるぜ。エリナとヴェールウッドも守る。」

その声に、戦いの疲れを越えた決意が宿る。ガイストが報告する。

「エネルギー残量78%、装甲損傷15%修復中。次の戦闘に備えろ、タクミ。ヴェールウッドの魔脈波動も感知してる。」

その冷静な声が、コックピットから微かに響く。


カザンが熔鉄団の戦士たちを見回し、低く言う。

「熔鉄団はヴェールウッドを守る。タクミ、リア、バルド、お前らが貴族を潰す鉄だ。熔嵐谷の仇を、俺たちと一緒に討ってくれ。エリナたちにも希望を届けるぜ。」

その言葉に、熔鉄団の絆と覚悟が重く響く。


リアがトームを胸に抱え、目を拭う。

「私、家族を守るために戦うよ。タクミ、バルド、カザンさん、ゴランさん…エリナさんや村の人たちも、みんなと一緒に!」

その声に、覚醒後の新たな力が宿る。彼女が小さく呟く。

「焔嵐大陸で何かすごい魔法を覚えたら、エリナさんを助けられるよね…?」

タクミが笑う。

「お前、もっと強くなりてえって言ってたな。鉄都ガルザードなら、何かすごい技を見つけられるぜ。」


タクミが拳を握り、夜空を見上げる。

「貴族が何を仕掛けてこようと、ストームライダーでぶち抜く。熔鉄団と俺たちで、鉄都ガルザードを終わらせる。ヴェールウッドも守り抜くぜ。」

その声が夜風に乗り、工房に響き渡る。焔嵐大陸の工房では、熔鉄団とタクミたちの絆が新たな決意を生み、次の戦いへの道を切り開いていた。遠くで微かに響く風の音が、貴族の次の動きとヴェールウッドの危機を予感させるように夜を揺らしていた。一方、ヴェールウッドの隠し洞窟では、エリナが剣を手に村人たちを鼓舞し、熔鉄団の戦士と共に貴族の魔獣に立ち向かう準備を進めていた。




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