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第17話:村への襲撃

第17話:風と鋼の反撃


夕陽がヴェールウッド村を赤く染める中、森の外から重い馬蹄の地響きが轟いた。貴族の軍勢が迫り、50騎の槍騎兵と5人の魔導士が村を包囲する。赤いローブの魔導士たちが杖を掲げ、火球と雷撃が一斉に降り注ぐ。木造の小屋が爆ぜる音と共に炎に包まれ、雷が地面を抉り、焦げた土の臭いが風に混じる。村人たちが悲鳴を上げ、子供が母親の手を握って森の奥へ走る。


タクミが倉庫から飛び出し、ガイストMk-Iのコックピットに飛び乗る。鉄板の囲いが軋み、彼がレバーを握りながら吼える。

「またかよ…今度は許さねえ!」

ガイストのAIコアがコックピット前面で青く光り、冷静に分析する。

「敵勢力確認。騎士50、魔導士5。火力は前回の2倍近く、機動力も侮れないな。勝率42%ってところだ。」

タクミが歯を食いしばり、右レバーを引く。

「勝率なんか関係ねえ!勝つまでやめねえ!」

ガイストMk-Iが立ち上がり、ドリルアームが唸り、魔鋼剣が青く輝く。ヴェールウッドの戦士たちがウェアラブル型を纏い、タクミの後ろに続く。



火球がガイストMk-Iに直撃し、コックピットが焼けるように熱くなる。ガイストが即座に報告する。

「衝撃強度50N・m、冷却効率60%に低下!炉温度が上がりすぎだよ、タクミ!」

タクミが左レバーを引き、魔脈ピストルを乱射。青白い衝撃弾が騎士の馬を吹き飛ばし、土煙が舞う。

「まだだ!こいつで耐える!」

ガイストが指示を飛ばす。

「ピストル残弾15発、威力20N・mだ。左45度、騎士10騎が接近中。ドリルで迎え撃て!」

タクミが右レバーを押し込み、ドリルアームが盾を貫く。だが、魔導士の一人が雷撃を放ち、背中の排気口を焦がす。もう一人が火球を連射し、小屋が次々と崩れる。エリナが剣を手に駆け出し、村人たちを森の奥へ誘導する。

「みんな、隠れなさい!タクミに任せて!」

戦士たちがウェアラブルで騎士と応戦するが、魔導士の風刃に押され、一人が地面に倒れる。


その時、リアが燃える小屋の影から立ち上がった。足は震え、顔は恐怖に歪むが、目に決意が宿る。鉱山の暗闇、貴族の冷笑、鎖に縛られ魔術を強制された記憶が脳裏を焼く。

「私も…戦う!」

エリナが振り返り、剣を構えたまま叫ぶ。

「下がってなさい!お前が危険だよ!」

だが、リアが手を広げ、震える声で呪文を唱える。

「風を…私が…!」


彼女の手から微弱な風が吹き出し、火球の軌道をわずかに逸らす。炎が村の中心から外れ、木々に着弾して爆ぜる。タクミが覗き窓越しにそれを見て、目を丸くする。

「お前…魔導士なのか!?」

リアが息を切らし、涙をこぼしながら答える。

「鉱山で…貴族に無理やり教えられた…鎖に繋がれて、逃げられなくて…でも、もう逃げない!」

ガイストが即座に分析する。

「風の魔力、出力10N・mだけど戦術的価値ありだよ。火球の命中率を15%下げた。リア、続けてくれ!」

タクミが笑い、叫ぶ。

「やるじゃねえか、リア!一緒に戦おうぜ!」


リアの風が火球を逸らし、タクミがガイストMk-Iを前進させる。ガイストが指示を飛ばす。

「前方、騎士20騎が密集だ。ドリルで突破しろ、衝撃予想40N・mだよ!」

ドリルアームが盾と馬を粉砕し、血と土が飛び散る。魔鋼剣が雷撃を切り裂き、エリナが剣で騎士を斬る。だが、魔導士の風刃が機体の脚部を切りつけ、バランスが崩れる。ガイストが警告する。

「エネルギー残量70%、冷却効率50%に低下!脚部ダメージ10%、立て直せ!」

タクミがペダルを踏み込み、蒸気が噴き出す。

「まだやれる!」


リアが再び風を呼び、火球を逸らす。エリナが風刃の魔導士に斬りかかり、喉を切り裂く。戦士たちがウェアラブルで槍を弾き、タクミが魔脈ピストルを乱射。ガイストが報告する。

「ピストル残弾5発、勝率58%に上昇だよ。敵の連携が崩れてる、今がチャンスだ!」

タクミが吼える。

「今だ!村を守れ!」

ドリルアームが魔導士の一人を貫き、魔鋼剣が最後の魔導士に振り下ろされる。衝撃弾が騎士団の後衛を吹き飛ばし、混乱の中軍勢が撤退する。ガイストMk-Iが膝をつき、タクミが息を切らす。

「終わった…か?」

ガイストの声が低く響く。

「敵は撤退したよ。だが、次はもっと大軍が来る可能性が高い。準備を怠るな、タクミ。」


村人たちが戻り、タクミを囲む。リアがよろめきながら近づき、タクミが肩を貸す。

「お前、すげえよ。魔導士だったなんてな。」

リアが小さく笑い、呟く。

「私…役に立てた?」

エリナが剣を収め、リアの頭を撫でる。

「立派だったよ。お前も戦士だ。」


タクミがガイストMk-Iを見上げ、呟く。

「貴族が何度来ても、俺たちは負けねえ。お前らと一緒ならな。」

子供たちがリアに駆け寄り、「お姉ちゃん、かっこいい!」と笑う。夕陽が沈み、森の奥で魔獣の咆哮が微かに響く。ガイストが静かに言う。

「リアの魔力、村の結束…データが揃ってきたな。次はもっと強くなるよ、タクミ。」

タクミが拳を握り、空を見上げる。貴族との戦いはまだ終わりではなく、ヴェールウッドに新たな力が芽生えていた。




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