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第13話:試練の鉄と炎

ヴェールウッド村の外、森の開けた一角で、タクミはガイストMk-Iの試運転を始めていた。機体完成から3日目の朝、焦げた木々が風にざわめく中、高さ3メートルの魔鋼機が重々しく地面を踏みしめる。右腕のドリルアームが低く唸り、魔鋼剣が青い光を帯びて展開する。コックピット内で、タクミが汗に濡れた手でレバーを握り、足元のペダルを踏む。狭い鉄板の囲いが軋み、覗き窓からエリナの姿が映る。


エリナが剣を手に、タクミに叫ぶ。

「その鉄の怪物、ちゃんと動くんだな?試してみろ!」

タクミはコックピットから笑い、右レバーを引く。

「見とけ、エリナ!」

ガイストMk-Iが前進し、ドリルアームが古木の幹を貫く。木屑が舞い散り、魔鋼剣が空を切り裂く。地面が震え、背中の排気口から白い蒸気が噴き出す。ガイストのAIコアが青く光り、落ち着いた声で報告する。

「トルク80N・m、稼働率90%。動作は安定している。次はエリナを目標に設定するか?」

タクミがニヤリと笑う。

「冗談きついぜ、ガイスト!」

ガイストが軽く応じる。

「私のユーモアも試運転の一環だ。」

エリナが剣を構え、軽く笑う。

「いいよ、私を斬ってみな。」


その時、森の奥から馬蹄の地響きと喊声が轟いた。貴族の騎士団が再び襲来し、今度は50騎の槍騎兵と3人の魔導士を連れていた。赤いローブの魔導士を従え、金と黒の甲冑を纏った貴族――ギルヴァスの弟、ヴァルドが馬上で長槍を掲げる。冷たく嗤う声が風に乗り届く。

「兄を殺した異邦人の鉄の玩具か。村ごと灰に変え、貴様の首を飾りにしてやる!」

騎士団が一斉に突進し、槍の穂先が朝陽を反射する。魔導士の一人が火球を放ち、もう一人が雷撃を呼び寄せ、三人目が風刃を解き放つ。火球が村の小屋に着弾し、屋根が炎に包まれる。雷撃が地面を焦がし、風刃が木々を切り裂く。村人たちが悲鳴を上げ、燃える小屋から逃げ惑う。


エリナが剣を握り、タクミに吼える。

「タクミ、やれるか!?」

彼女が村人たちを森の奥へ避難させようと駆ける中、タクミはコックピットに飛び乗る。鉄板が軋み、レバーを握る手が汗で滑る。ガイストのコアが青く光り、起動音が響く。タクミが歯を食いしばり、叫ぶ。

「見とけ。この魔鋼機が何するか!」

ガイストが分析を始める。

「エネルギー残量95%、冷却効率70%。敵は騎士50、魔導士3。左前方、騎士15騎が接近中。迎撃を推奨する。」


燃える小屋の影から、少女が怯えた目でタクミを見つめる。小さな手が震えながらも、彼に向かって振られる。

「頑張って、おじちゃん!」

その声に、タクミの胸が締め付けられる。覗き窓越しに少女を見据え、呟く。

「絶対負けねえ。」

左レバーを引き、魔脈ピストルを乱射。青白い衝撃弾が騎士の馬を吹き飛ばし、土煙が舞う。ガイストが冷静に伝える。

「衝撃弾威力20N・m、15騎中8騎を無力化。残弾15発。右前方、槍騎兵20騎が展開中だ。」

タクミが右レバーを押し込み、ガイストMk-Iが突進。ドリルアームが盾を貫き、魔鋼剣が槍を弾く。金属が軋む音が森に響き、騎士の叫びが重なる。


だが、魔導士の火球が機体に直撃し、コックピットが熱で歪む。ガイストが即座に報告する。

「衝撃強度50N・m、炉温度急上昇!冷却効率50%に低下。背後から雷撃接近、予測威力60N・m。回避を推奨する。」

タクミがペダルを踏み込み、蒸気が噴き出すが、雷撃が背中の排気口を焦がす。機体がよろめき、彼が吼える。

「くそっ、熱が籠もりすぎだ!」

ガイストが冷静に返す。

「焦るな、タクミ。エネルギー残量80%、冷却パイプが機能中だ。左45度、風刃が接近。魔鋼剣で迎撃しろ。」

タクミが剣を振り上げ、風刃を切り裂く。刃が青く光り、空気が裂ける音が響く。


騎士団が村に迫り、ヴァルドが哄笑する。

「鉄の玩具も終わりだな!」

ガイストが分析を続ける。

「前方、騎士15騎が密集。ドリルアームで突破可能。衝撃予想40N・m、耐えられる。」

タクミが右レバーを押し込み、ドリルが唸る。騎士の盾と馬が粉砕され、血と土が飛び散る。だが、魔導士の火球が再び機体を襲い、コックピットが焼けるように熱くなる。ガイストが警告する。

「炉温度限界間近、エネルギー残量60%。右前方、魔導士2名が連携攻撃を準備中だ。」

少女の叫びが遠くから響く。

「おじちゃん、死なないで!」


その声に、タクミの目が燃える。エリナが剣を手に戻り、風刃の魔導士に斬りかかる。村人たちが石や棒を手に駆けつけ、騎士を牽制する。タクミが叫ぶ。

「ガイスト、最大出力だ!」

「了解した。トルク80N・m全解放、炉崩壊リスク90%。覚悟しろ、タクミ。」

ドリルアームが火球を弾き、魔鋼剣が雷撃を切り裂く。一人の魔導士が剣に貫かれ倒れる。タクミが最後の衝撃弾をヴァルドへ放つ。

「ピストル残弾5発、威力20N・m。命中率85%、撃て!」

衝撃弾がヴァルドの馬を直撃し、貴族が地面に叩き落とされる。エリナの剣が火球の魔導士の喉を切り裂き、残る騎士団が混乱の中撤退する。遠くで斥候が逃げ去る影が見えた。


ガイストMk-Iが膝をつき、排気口から黒煙が上がる。ガイストが報告する。

「エネルギー残量10%、炉過熱限界を超えた。だが、勝利は我々のものだ、タクミ。」

タクミはコックピットから這い出し、汗と血にまみれた顔で少女に手を振る。

「約束守ったぞ。」

エリナが息を切らし、タクミの肩に手を置く。

「次はもっと大軍が来るぞ。覚悟しろ。」

タクミは頷き、燃える森を見据える。

「なら、もっと強くするしかねえな。」

ガイストが静かに響く。

「その意気込みこそ、我々の力だ。」





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