破 闘いの旅路
戦いは終わった――だが、平穏は訪れなかった。
魔王ナインス=クルシューゲン、エイス=バルトロメオとの死闘の果て、世界を包んだ深淵の闇はローランドの覚醒によって打ち払われた。戦場にはかつてない光が差し込み、人々はその名を讃えた。
英雄。救世主。光の使徒。
そのどれもが彼に贈られた言葉だったが、本人は浮かれもせず、むしろ心の奥底に暗い影を感じていた。
――あの宝、《深淵の核晶》は何だったのか?
あの時、自身に宿った黄金の炎は、それに反応して生まれたものなのか?それとも、自分の中に最初から眠っていた“何か”が目覚めただけなのか。
その答えは得られぬまま、彼はペレチア王国の王都へと呼び戻された。
王命である。
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王宮の謁見の間。磨かれた赤い絨毯の上を歩くローランドの足音だけが、静寂の中に響いた。
「ローランド・アークレイン。よくぞ戻った」
玉座の上に座るペレチア王が、堂々とした声で告げる。彼の両脇には宰相と護衛騎士団の将が並び、厳粛な空気が流れていた。
「先の戦での働き、実に見事であった。貴公の勇気と力に、我が国は深く感謝する」
「光栄に存じます、陛下」
ローランドは膝をつき、慎ましく頭を垂れる。
「……だが、戦は終わってはおらぬ」
その一言で空気が変わった。
「陛下……?」
「お前が手に入れた“核晶”――それはな、古より我が国に伝わる九つの秘宝の一つ。かつて神がこの世界を作った際に、力の余波を封じた結晶であり、全てを集めし者は、万象を操る全知全能の存在と成り得る」
「全知全能……?」
あまりに突飛な言葉に、ローランドはわずかに眉を寄せた。
「それほどの代物を、ナインスたち魔王が守っていたとは」
「奴らも、核晶の力を求めていたのだろう。我が国に代わり、それを封じたこと――真に誇るべき功績だ」
王の目が冷たく光る。
「そこで命じる。ローランドよ、残り八つの《深淵の核晶》を、全て探し出し、我が元へと持ち帰れ」
「……!」
「貴公のその力と心を、我が国は信じている。これは“命”である」
玉座の上から放たれたその一言は、もはや拒絶の余地を与えないものだった。
**
謁見の後、ローランドは側近部屋へと通された。そこで待っていたのは、彼の戦友たち――
クローネ=フロスト、サンクトシリア=フレンス、フローレンス=ペレチア。そして、影に潜む妖の長・隠神刑部と、風を司る風神。
「核晶を……集めろと?」
クローネが椅子から立ち上がり、鋭く眉をひそめた。
「そんな危険物を、全部一箇所に集めようとするなんて、常識的に考えて有り得ませんわ」
「でも、陛下は全知全能の力を得られるって……!」
フローレンスはやや複雑な表情を浮かべながら、王命を肯定しようとした。だが、サンクトシリアが静かに言葉を挟む。
「“全知全能”――その言葉自体がすでに、何かの欺瞞を感じさせます。あの宝には確かに恐るべき力が宿っていましたが、同時に“禍”も……」
「正確には、あの力は“世界の裏側”へ通じる扉にして鍵。神ですら恐れ封じた“始原の因子”……それが核晶の正体です」
隠神刑部が低く呟いた。「王が語るその“都合の良い伝承”は、真実の半分にも届いておらぬ」
「つまり……王は、核晶の“危険性”を理解せずに使おうとしているのか?」
「理解していないか、あるいは知っていて隠しているのか……」
沈黙が場を支配する。
ローランドは口を開かなかった。ただ、手の甲に残った微かな痕――覚醒時に灯った黄金の紋――が微かに脈動しているのを感じていた。
「……だけど、行くよ」
「ローランド様……!」
「このまま核晶を放置すれば、いつか誰かが“本当に使ってしまう”かもしれない。それなら――」
「――お前の手で集めて、封じる」
風神が続けた。
「俺がやる。王のためでも、国のためでもない。これは“俺自身の旅”だ」
そう宣言するローランドの瞳には、すでに迷いはなかった。
「……ならば、私もお供しますわ」
クローネが口元を引き締めた。「あなた一人に全てを背負わせるわけにはいきませんもの」
「私も。聖女として、核晶の行く末を見届ける責務があります」
サンクトシリアも静かに頷く。
「わ、私だって、ローランド様が変な方向に行かないように見張りますわよ!」
フローレンスは顔を赤らめつつ、剣を腰に当てて宣言した。
「主よ、百鬼夜行の残党もお供します。貴方が進むならば、それが正しき道でありましょう」
隠神刑部が深く頭を下げ、風神もにやりと笑った。
「賑やかになりますねえ。では、嵐の準備をしましょうか」
こうして、ローランドの新たなる旅が幕を開ける。
集めるは、世界を再構築する九つの鍵――《深淵の核晶》。
目指すは、遥か彼方の真実と、王の隠した本当の目的。
だが、この旅がやがて世界の均衡を揺るがす戦いと覚醒の旅となることを、まだ彼らは知らなかった。
サンクトシリアは古の書庫を読み漁りとある古文を解読していた。
というのも元からある程度進んでいたにも関わらず、すんでのところで解読が止まっているのだ。
ついに解読を完了させた。
そこに記されていたのは、核晶を守る者たちの名前――
•No.1《ワンス》:世界最初の命、時の狭間に生きる存在
•No.2《トゥワイス》:双子の守護者、心を持たぬ人形の姉妹
•No.3《サーズ》:記憶の砂漠を彷徨う者、幻と真実を織る者
•No.4《フォース》:知識の獣、帝国の最奥に棲む言葉の魔獣
•No.5《フィフス》:空中庭園の楽士、感情を操る旋律使い
•No.6《シックス》:氷に封じられた狂戦士、理性なき剣の化身
•No.7《セヴンス》:神の檻に囚われた天使、天界と地の狭間
•No.8《エイス》:黒き巨人、破壊の魔王(討伐済)
•No.9《ナインス》:深淵を護る者、虚無の支配者(討伐済)
「まるで……“数字”に意味があるかのようね」
フローレンスが呟く。
「それぞれの番号は、世界の構成原理に繋がっているのかもしれませんわ」
クローネも深く頷く。
「順番に集める必要はない。だが、次は“神に近き存在”を訪ねるべきだろう」
隠神刑部の助言に、ローランドはうなずいた。
「……《セヴンス》」
神に等しいとされる存在。その力が、核晶を生み出す始原に近いとすれば――彼の元に、真相の一端が眠っているはずだ。
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ここから新たな戦いが始まる。
うん?某ジャンプ漫画のぱくりだって??
うるせぇ!!いこう!!




