34 対魔王軍 全部出す
全部出す??
ふむ、妙だな
ナインス=クルシューゲンとエイス=バルトロメオ――二体の魔王が戦場を蹂躙し、闇が広がり続けていた。ローランドたちは必死に立ち向かっていたが、その圧倒的な力に次第に追い詰められていく。
「聖光よ、我らを守り給え!《神聖結界・聖域の守護》!」
サンクトシリアは聖光の結界を展開し、黒い闇の波を必死に押し返す。しかし、その結界は次第にひび割れ、光が闇に飲み込まれそうになっていた。
「くっ……こんな……!」
「サンクトシリア!無理をするな!」
クローネが聖剣を振り、聖光の壁を補強する。その光は輝きを増し、闇を一時的に弾き返すが――
「はははは!無駄だ無駄だ!我が闇は全てを飲み込む!」
ナインスは無数の黒い触手を振りかざし、結界を切り裂こうとする。その触手は猛々しく暴れ回り、ペレチア軍の兵たちを次々に飲み込んでいく。
「フローレンス!紅蓮の炎で援護を!」
「分かってる!《紅蓮の竜・灼熱の怒り》!」
フローレンスが両手を掲げ、巨大な炎の竜を顕現させた。その竜は咆哮を上げながらナインスに突進し、無数の触手を焼き尽くしていく。
「くっ……これが人間の魔法か!」
「それだけじゃない!俺たちの力は……ここからだ!」
ローランドは聖炎刀を構え、黄金の炎を纏わせた。その炎は次第に輝きを増し、彼の体を包み込む。
「《神焰・天照の輝き》!」
黄金の炎が竜巻のようにナインスを飲み込み、その黒い体が焦げ始めた。闇の触手は次々と燃え落ち、彼の身体を蝕んでいく。
「ぐああああっ!馬鹿な……この我が……!」
「ナインス、油断するな!」
エイスが巨体を揺らし、両腕の棘を振り下ろしてきた。その一撃は地面を砕き、大地が揺れた。だが――
「その程度の力じゃ俺たちは倒せない!」
クローネが聖剣でエイスの棘を弾き、フローレンスの紅蓮の炎がその腕を焼き尽くした。サンクトシリアも聖光の鎖を放ち、エイスの巨体を縛りつける。
「これで……決める!」
ローランドは再び聖炎刀を構え、ナインスに突進した。その黄金の炎が輝きを増し、ナインスの黒い体を焼き尽くそうとする。
「ぐああああっ!やめろ……やめろぉぉぉ!」
だが――
「ふふふ……間に合ったか」
不気味な声が戦場に響き、闇が再び渦を巻いた。漆黒の魔法陣が空に浮かび、その中から無数の闇の騎士たちが降り注いだ。魔王軍の増援だった。
「貴様ら……!」
「ナインス、エイス……手こずっているようだな」
現れたのは、漆黒のローブを纏い、赤い瞳を輝かせた魔将ゼクス=ダークブレード。その手には黒炎の双剣が握られ、その気配はナインスやエイスを超えるほどの強大さを誇っていた。
「増援だと……!?」
「ははは!ここからは我らが貴様らを滅ぼす!」
ナインスはその場から闇の霧となって後退し、エイスもその巨体を闇に溶かし始めた。二体の魔王は増援に助けられ、再び戦線を立て直し始める。
「くそ……また逃げるのか……!」
「逃がしませんわ!」
クローネが聖剣を振り、聖光の刃をナインスへと放つ。しかし、その刃は闇の騎士たちによって弾かれた。
「邪魔をするな……!」
「お前たちの相手は私だ!」
ゼクスが黒炎の双剣を振りかざし、その一撃が地を裂き、ペレチア軍を吹き飛ばしていく。
「くっ……これでは……!」
絶望が広がり始めたその時――
「うおおおおおおおっ!」
ローランドの全身が黄金の炎に包まれた。その炎は次第に強まり、彼の瞳は光を宿し始めた。
「この……力は……!?」
「主よ……!」
「ローランド様、何が……!」
ローランドの意識が次第に遠のいていく。だが、その中で彼は何かが自分の中で目覚めようとしていることを感じた。
「目を覚ませ……我が力よ……!」
その声に応えるように、ローランドの聖炎刀がさらに強烈な光を放ち始めた。その光は夜空を裂き、闇を切り裂きながら戦場を照らし出す。
「これが……俺の……本当の力……!」
黄金の炎は次第に白く変わり、純粋な光の刃となった。その炎は全てを焼き払い、邪悪を浄化する力を帯びていた。
「これが、俺が今まで溜めてきた魔力の総結晶、桁違いの魔力……!!」
「くそ……これは……!」
ゼクスが目を見開き、ナインスとエイスもその光を恐れたように後退し始めた。
「逃がさない……!お前たちは……ここで終わりだ!」
ローランドはその光の刃を振りかざし、ゼクスへと突進した。その一撃は黒炎の双剣を砕き、ゼクスの胸を貫いた。
「がっ……ば……馬鹿な……この私が……!」
ゼクスは闇に溶け、消滅した。その後ろでナインスとエイスが恐怖の声を上げた。
「い、今は退くぞ!ここで死ぬわけには……!」
「逃がすな……!俺の力は……ここで終わらせる……!」
ローランドは光の刃をさらに振りかざし、黄金の嵐が戦場を駆け巡った。その光は闇を引き裂き、魔王軍を次々と焼き尽くしていく。
「この光は……なんだ……!」
「いやだ……消えたくない……!」
ナインスとエイスの姿もまた光に飲まれ、やがて闇は完全に消し飛んだ。
戦場には黄金の光が残り、闇の軍勢は跡形もなく消え去った。ローランドはその光の中で静かに剣を下ろし、立ち尽くしていた。
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