32 対勇戦国同盟戦
戦場は混沌を極めていた。聖域の森は炎と冷気、剣戟の音で震え、勇戦国の軍勢が圧倒的な数で押し寄せていた。だが、ペレチア王国はその圧倒的な数に怯むことなく、堅固に防御を続けていた。
そして、戦況が激化する中、新たな助力が到着した。
「ローランド様、フローレンス様!お待たせいたしました!」
澄んだ声と共に、一陣の白い風が戦場を駆け抜けた。その中から現れたのは、聖なる光を纏った少女――サンクトシリア=フレンス。彼女は聖女としての威厳を漂わせ、両手を広げて祈りを捧げた。
「《聖光の加護》!」
その祈りと共に、ペレチア兵たちの傷が瞬時に癒され、疲労が回復していく。彼らの士気が一気に高まり、再び勇戦国の猛攻を跳ね返す力を取り戻した。
「サンクトシリア……助かった!」
「いえ、まだ終わりではありません。ローランド様もどうか無理をなさらず」
その優しさに、ローランドは微笑みつつも、聖炎刀を構え直した。
「無理はしねぇさ。でも、俺はここで倒れるわけにはいかない!」
一方、もう一つの光が戦場を駆け抜ける。白銀の騎士甲冑に身を包み、蒼いマントをなびかせた少女――ブライアント公爵令嬢、クローネ=フロストが凛然と馬上に立っていた。
「全軍、突撃!我が剣が道を切り開きます!」
クローネは前線で聖剣を振り、蒼白い光の刃を放つ。その一撃は勇戦国の兵を薙ぎ払い、前線を一気に押し返した。
「クローネ!来てくれたのか!」
「当然ですわ。私がこの地を守ると誓いましたから!」
クローネは馬上から優雅に微笑み、聖剣を振りかざして突撃を続ける。彼女の背後にはブライアント領の精鋭騎士団が従い、勇戦国の兵を次々と打ち破っていく。
「ブライアント領の騎士たちが……!」
「これで我らも士気が上がりますわ!」
ペレチア兵たちが歓声を上げ、士気はさらに高まった。一方、勇戦国の兵士たちは圧倒的な力を誇っていたが、次第に防戦を余儀なくされていた。
「くそ……数で押しつぶせ!何を恐れることがある!」
勇戦国の将軍が怒鳴り、騎士団を率いて突撃を命じた。重装騎士たちが槍を構え、ペレチア軍へと迫る。
だが――
「《炎の壁・紅蓮障壁》!」
フローレンスの炎が壁を作り、突撃してきた騎士たちを焼き払った。その紅蓮の炎は凄まじく、勇戦国の騎士たちは次々と倒れていく。
「ぐあああっ!この炎……!」
「これ以上、この地を踏み荒らさせはしません!」
フローレンスはその美しい顔に決意を宿し、炎をさらに強めた。
「クローネ、サンクトシリア!俺たちで敵の将軍を撃つ!」
「お任せください!私たちの力で決着をつけましょう!」
クローネは馬を駆け、サンクトシリアは聖なる光を纏いながらローランドに続いた。
勇戦国の将軍――漆黒の甲冑に身を包んだ男、ギルバート=ヴァルハルトが彼らの前に立ち塞がった。彼は勇戦国王ヴォルクスの弟であり、その戦技は兄にも劣らないと言われる強者だ。
「貴様ら、ここで死ぬがいい!」
ギルバートは巨大な戦槌を振りかざし、地面を叩きつけた。その衝撃で地面が砕け、炎の壁が吹き飛んだ。
「くっ……!」
「私が防ぎます!」
サンクトシリアが聖光の盾を展開し、その衝撃を受け止める。しかし、その力は凄まじく、盾がひび割れていく。
「さすがは勇戦国の将……だが、俺たちは負けられない!」
ローランドは聖炎刀を構え、炎の刃を放った。その炎はギルバートの甲冑を包み込んだが――
「効かぬわ!我が黒鋼の甲冑は炎など寄せ付けん!」
「なら、これでどうですか!」
クローネが空中から聖剣を振り下ろし、その一撃は聖光の刃となってギルバートの肩を貫いた。
「ぐっ……小娘が!」
「小娘ではありません!これがブライアント公爵令嬢、クローネ=フロストの力です!」
クローネは素早く後退し、再びローランドとサンクトシリアと連携を取る。
「ローランド様、私が彼の動きを封じます!」
「分かった、俺が決める!」
サンクトシリアが聖なる鎖を顕現し、ギルバートの体に絡みつけた。その動きが一瞬止まる。
「この鎖……くそ!ふざけるな!」
「今だ、ローランド様!」
ローランドは聖炎刀に全ての炎を集中させ、その刃は黄金の光を放ち始めた。
「《業火の聖焔・終焉剣》!」
その一撃は閃光のごとくギルバートを貫き、甲冑ごと炎が燃え上がる。ギルバートは断末魔の叫びを上げ、その姿は炎の中で崩れ落ちた。
「これで……終わり……!」
ローランドは息を切らしながらも、聖炎刀を構えたまま立っていた。クローネは彼の隣に立ち、聖剣を下ろして優雅に微笑んだ。
「見事ですわ、ローランド様」
「君もな、クローネ。サンクトシリアも、ありがとう」
「いえ、皆さんの力があったからこそです」
三人は互いに微笑み、聖域の森を守り抜いた。その光景を見たペレチア軍の兵士たちは歓声を上げ、勇戦国の軍は次々と撤退を始めた。
「よし、ここは守り切った!でも、戦争はこれで終わりじゃない……!」
「ええ、勇戦国はまだ健在。次は彼らの本陣に……」
ローランドたちは戦火を潜り抜け、さらに戦う決意を新たにする。そして彼らの冒険は、さらなる激戦へと続いていく。
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