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30 諍い

ブライアント領での修行を続け、精神と剣技、炎の制御を磨いていたローランド。クローネの厳しくも温かい指導のおかげで、彼はかつてのような焦りや無力感から解放され、着実に強くなっていた。


しかし、そんな彼の前に立ちはだかったのは――彼の実弟、レッターだった。


レッター=ローランドは兄とは対照的な男だった。彼は才能に溢れ、幼い頃から周囲から称賛を受けて育った。その自信はやがて傲慢へと変わり、兄ローランドを見下すようになった。


「兄上、お久しぶりですな」


レッターは笑みを浮かべ、優雅に頭を下げた。その表情は表面的には礼儀正しいが、その瞳には嘲笑の色が滲んでいる。


「レッター……どうしてここに?」


「もちろん、兄上がどれほど成長なさったか確認しに参りました。とはいえ……期待はしておりませんが」


彼は冷たい笑みを浮かべながら、ローランドを値踏みするように見つめた。クローネもその言葉に不快感を覚えたが、口を閉ざし、様子を見守る。


「俺は……修行を続けている。強くなったつもりだ」


「ふふ……そうでしょうとも。ですが兄上、あなたがいくら努力しても、私の足元にも及びませんよ」


レッターは自らの剣を抜き、その剣先には氷の冷気が纏っていた。彼は氷属性の魔法剣士であり、その冷たさはまさに彼の性格を象徴しているようだった。


「兄上、ご覧ください。この力こそが私の実力です」


レッターは剣を振り、地面に氷の刃を走らせた。その鋭い氷は瞬時にローランドの足元へと迫る。


「!」


だが、その氷の刃がローランドに届く寸前――


「《神焰・障壁》!」


ローランドは聖炎の障壁を展開し、氷の刃は炎に触れた瞬間に蒸発した。その光景を見たレッターは眉をひそめた。


「ほう……兄上にしては上出来ですな。ですが、この程度で私に勝てると?」


「レッター……お前は何がしたいんだ?」


「兄上の無様な姿をこの目で確かめたいだけです。私の優越を証明し、あなたが無駄に努力していることを見せつけるために」


その傲慢な言葉に、ローランドは静かに息を吸い込んだ。かつての彼なら、怒りで冷静さを失っていたかもしれない。しかし今の彼は違う。


「レッター……なら、俺と戦え」


「ふふ、望むところです」


レッターは剣を構え、氷の刃を再び放った。だがローランドは焦らず、その刃を聖炎刀で受け流す。炎が氷を溶かし、蒸気が舞い上がる。


「その程度の攻撃で俺を倒せると思うな」


「……なんですって?」


レッターは眉をひそめ、今度は氷の嵐を巻き起こした。冷気が吹き荒れ、氷の槍が無数に降り注ぐ。


「《業火の聖焔・カルマフレア》!」


ローランドは剣を掲げ、黄金の炎が爆発的に広がった。氷の槍は次々に溶け去り、炎がレッターへと迫る。


「くっ……そんな、馬鹿な!」


レッターは氷の障壁を展開し、防御を試みた。だがその氷は瞬く間に溶かされ、炎が彼の足元に迫った。


「ちっ、これでどうだ!」


レッターは最後の力を振り絞り、氷の剣を振り下ろす。しかし、その一撃もローランドの炎の刃に弾かれ、空を切った。


「な……そんな……」


「お前は自分の力を過信しすぎたんだ。俺を見下し、自分が最強だと思い込んでいた……」


「うるさい!貴様なんかに……兄上なんかに負けるはずが……!」


レッターは叫びながら無理に魔力を解放し、氷の嵐を再び巻き起こした。しかし、その力は暴走し、制御を失い始めていた。


「レッター、やめろ!そのままじゃ――」


「黙れ!俺はお前より強いんだ!」


だが、その瞬間――氷の力がレッター自身に跳ね返り、彼を包み込んだ。冷気が彼の体を凍らせ、痛みに悲鳴を上げる。


「がああああっ!助け……助けてくれ……兄上……!」


「はあ、なんでこうなってしまったんだろうな」


ローランドは躊躇わずに聖炎刀を振り降ろした。

その炎は冷気を溶かし、エドガーの凍りついた身体を解放していく。


「あ、ああ、兄上!?く、殺すならば殺しなさい!」


「今ので冷めた、帰れ」


「な、な、あ、ああぁぁあ!?」


その後レッターがどういう処理を為されたかは知る由もない。

ただ一つ言えるとすれば勇戦国同盟の一国に引き取られたそうだ。


レッターは決してローランドとは無縁とは言えない関係。

そして、少し親近感もあった。


(何でだろうな、前世の俺に少しだけ似ている気がする……いや、少し程度じゃ無いくらい……か。傍若無人っぷりというか、過去の俺を振り返る機会……というか戻ることはないだろうけれどもそれでも与えてくれた事に感謝しなければな)


ローランドは大きく変わったのだろう。

本人でもあまり意識していないはずだ。

男子3日会わずんば何とやらとも言うが、彼の場合は数ヶ月経っている。

その間にサバイバル生活など激動の時期を経て己を顧みる機会もあった事だろう。


彼は無自覚に、しかし、着実に成長していた。


肉体も心も


これから更に大きな壁に衝突しようとも、更に大きくなって乗り越えていく事だろう。

ブクマと⭐︎5評価何卒お願いします!


3章完結でございます。


このまま完結まで毎日投稿していきますので!!

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