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27 邂逅

ローランドたちは魔王八宝の守り手、ナインス=クルシューゲンとエイス=バルトロメオに圧倒され、退却を余儀なくされた。ブライアント領の城門に戻ると、彼らを迎えたのは疲れ果てた民衆と、領内の衛兵たちだった。


その中で一際目立つ存在がいた。長い金髪を優雅に結い上げ、純白のドレスに身を包んだ少女。華麗な騎士のような鎧を纏い、剣を腰に差している。だが、その瞳には強い意志と鋭い光が宿っていた。


「ローランド様!」


彼女が声を上げ、優雅に歩み寄ってくる。クローネ=フロスト――ブライアント領の公爵令嬢であり、剣の才を持つ少女だ。


「クローネ……?」


「ええ、私です。状況を聞きました。あなたがこの領を救おうとして……魔族に対し勇敢に立ち向かわれたことも」


その声は穏やかだが、瞳にはどこか憂いがあった。ローランドは彼女の言葉を聞きながら、歯を食いしばる。


「救うどころか……俺は何もできなかった。奴らは俺たちを完全に圧倒して……好き勝手に領を荒らして……!」


彼は拳を握りしめ、悔しさに肩を震わせた。クローネはそんな彼の姿をじっと見つめ、ゆっくりと一歩近づいた。


「それでも、あなたは戦った。誰もが逃げ惑う中、あなたは立ち向かったのです。それがどれだけ尊いことか……分かっていますか?」


「尊い……?ただの無謀だ。俺は何も守れなかった。領主も死んで……逃げることしかできなかった」


「……ローランド様」


クローネはそっと手を伸ばし、ローランドの拳に優しく触れた。その手は暖かく、震える彼の手を包み込むように握った。


「あなたが無事で戻ってきたこと……それがこの領にとって何よりも大きな希望です」


「……希望?」


「はい。あなたが生きているから、また戦えるのです。そして……私はあなたを信じています」


その言葉に、ローランドはようやくクローネの顔を正面から見た。彼女の瞳は揺るぎなく、どこか優しさと強さを兼ね備えていた。


「信じて……くれるのか?」


「ええ。あなたは決して無力ではありません。むしろ、あなたがいたからこそ、領民たちはまだ希望を持てています」


「でも……俺は強いってだけで、無謀に突っ込んで……!」


「それでも、立ち向かう勇気を持つ者は希少です。だからこそ私はあなたに惹かれています」


クローネの言葉は真っ直ぐで、ローランドの心に深く染み渡った。だが、そんな彼の心を見透かすように、クローネは微笑んだ。


「それに……もしあなたが無茶をするなら、私が支えます」


「……支える?」


「ええ。私、クローネ=フロストは、ローランド様の剣となり、盾となることを誓います」


彼女はその場で膝をつき、騎士のようにローランドへと頭を下げた。その所作は優雅でありながら、揺るぎない意志を感じさせる。


「おいおい……何をしてるんだ」


「騎士の誓いを捧げています。私の父が私に授けたこの剣と共に、あなたを守り抜くと」


「クローネ……そんなこと……」


「お気になさらず。私はあなたを守りたいのです」


彼女は顔を上げ、再び立ち上がった。その微笑みは、いつものお嬢様らしい気品を保ちながらも、確かな強さを感じさせた。


「それに、ローランド様は私の……私の……」


その言葉を続けることなく、クローネは頬を赤らめ、目を逸らした。だが、その表情は純粋で、ローランドの胸に優しさを感じさせた。


「ありがとう、クローネ。……俺、少し気が楽になったかも」


「それは良かったですわ。それに……いつまでも落ち込んでいては、皆さんが心配しますもの」


「確かに……サンクトシリアもフローレンスも、あんな俺を見てたら不安になるよな」


ローランドはふっと笑い、ようやく肩の力が抜けた。その姿を見て、クローネも微笑んだ。


「それでこそ、ローランド様です」


「はは……じゃあ、もう一度頑張るか。次はあいつらにやられっぱなしじゃいられないからな」


「その意気です。私はいつでもあなたと共に戦いますわ」


クローネは小さく拳を握り、彼に力を込めて応えた。そして二人は肩を並べ、領内の混乱を鎮めるために歩き出した。


その背中には再び戦う意志が宿り、ローランドの心には新たな希望が芽生え始めていた。クローネという確かな支えを得て、彼は再び立ち上がることを決意する。

予約投稿変え忘れてた……


明日からします

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