17 vs災龍《ディザスター・ドラゴン》④ 存在進化《ランクアップ》
自分の体が認識出来ない。
グチャゴチャと音がなる。
認めれない程の激痛だ。
周囲も認識出来ない。
周囲から手に入る情報が一切ない。
何だ?
俺が何をした?
この痛みはどうなるんだ?
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
自分の声とは思えない断末魔の様な声が聞こえる。
それは、あまりにも酷い声であった。
最早自分の事とすら認識出来ていない。
この断末魔は俺じゃない。
災龍か空神なのだろうと感じてしまう。
そしてそしてそして……
其の痛みは止む。
「終わった……か……」
俺は恐らく存在進化したのだろう。
ただ、ここまでの痛みとは想像してもいなかった。
どうなったか鑑定しておくか。
「鑑定」
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種族、、、人類の超越者、超越者
物攻、、、48(20)
物防、、、23
魔攻、、、168
魔防、、、149
魔力総量、、、∞
適応属性、、、生産系属性
スキル、、、魔力総量無限・鑑定
聖炎刀 幻想級
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種族、超越者、ね。
高位人間じゃ無いのね。
いやまあね?
妥当ではある。
じゃ、反撃の時間だ。
「全てを越す者」
その瞬間、己が最強になり全能になった様な解放感と脳内ドーパミンが溢れ出す。
実際に俺の魔法の威力や効率も1,5倍になり、物攻や物防も2倍になっている。
正確には魔力総量も1,5倍だが、俺に関係ないのだろう。
なんせ俺の祝福は、魔力総量無限なのだから。
そう思いながら、ようやく切れかけた魔力に魔力定数回復薬を飲み込む。
これは割と危険な物だ。
自分の容量以上の魔力定数回復薬を飲むと、有り体に言って死ぬ。
己の容量以上のものを摂取することで死ぬ。
なので大半の人間は魔力割合回復薬を使っている。
7割5分回復する魔力割合回復薬が一番人気だ。
結構安い。
メロン2玉と同額だ。
庶民からすればちょっと高い買い物で誕生日に買ってあげれなくはない代物である。
貴族からすれば浴びるほど飲んでもいいぞとか言いそうだが、そうでも無くちゃんと在庫管理してある。
だが、秘匿技術だから買う為の検問も意外に厳しいのだ。
だから庶民に買うものには銀メッキが貼られる。
中身が何なのか確認できないのだ。
出そうとすると空中で霧散すると説明する。
メッキにはそういう付与の補助が出来る銀でできている。
魔銀など論外だが。
銀は錬金術でいくらでも生産できる為、人々は重宝している。
この技術はこの国の錬金機関にしか存在せず、何処にあるかも王家以外知らない。
たとえ公爵家であっても、だ。
なので俺が初めてフロスに説明された時は合点が言った。
錬金術は高位の物となると、何十人かが協力して作る錬金台・極がないと作ることができない。
一応、何十人かが協力すればできるが、錬金台・極自体も高位の物ということだ。
このレシピを開発した希代の天才錬金術師、ブッソン=ステイマンだ。
この人は王家の人間でもある。
なので世間一般では秘匿されているが、王家への忠義が高い者には信頼の証としてこの情報が譲られるのだ。
長々と与太話をしたが、戦闘に戻るとするか。
「天剣」
剣が煌めく。
光が反射する。
その速度は音にも劣らない速度だ。
流石、全てを越す者という所か。
王の名は伊達ではないな。
その速度を保ったまま、災龍の片腕に肉薄する。
そしてそのまま……
「斬」
切り落とす。
その斬ってる最中に思考加速を使う。
これも全てを越す者の権能だ。
一秒を五秒に感じることができる。
限界突破と違い負担も無い。
限界突破は全てを越す者と違って、完全任意では無い。
限界突破は己の身体状況にもよりけりな、引き出し方なのだ。
全てを越す者は限界突破と違って、完全任意だ。
なので、普段使いには全てを越す者の思考加速が優秀だ。
全てを越す者の思考加速と限界突破は重ね掛けが可能だ。
よって、まあ、どちらにも優秀な点がある。
それは置いておいて、だ。
え?その話は俺が始めたことだって?
細かいこと言うと女に嫌われるぞ。
「変容」
変容を使用する。
心無しか、変容の効果が通りやすくなった気がしなくも無い。
これも全てを越す者の権能のお陰か。
災龍の腕を魔力が通らない物体に変化させる。
そうするとあら不思議。
再生の魔力が通らなくなるんだよ。
「ぐ、ぎゃ?」
己の腕が再生しない事に違和感を感じ、再生に込める魔力を増やす。
しかし、災龍はどれだけ経っても回復しない腕に違和感を持つ。
そしてそしてそして……
「ガヤガッやギャガやギャガやギャアアアアァァァァァァァアアアアアアァァァ」
発狂する。
片腕が切り落とされたのだ。
発狂する気持ちもわからなくは無い。
だが、災龍の発狂はここまでなのか?
あ、でも、これまで痛みを感じたことがなく初めての痛みは腕が斬られたと言うのなら、まあ、妥当ではあるかな?
じゃあ、消えて貰うか。
「大剣撃、爆暴風、全崩壊」
鴉丸は吸い込まれる様に災龍の喉笛を切り、顎を割り、そして、首を切り落とす。
“ドオオオオン”
巨大な落下音が辺りに響いた後、この戦いは終わったのだった。




