14 vs災龍《ディザスター・ドラゴン》① 生産系魔術の真の力
「全崩壊」
其のバケモノは、圧倒的な体躯を誇っていた。
全長30mに至るまでの図体。
両翼を併せると、50mは越すだろう。
其の方向は地を揺らし、空を揺らし、そして、俺の身体をも揺らしてくる。
両脚に全力を込めて踏ん張ったとしても、耐える事なくあえなく吹き飛ばされてしまいそうだ。
しかし、俺が今、使っているのは、全崩壊だ。
体重の比が普段と比較にもならないほどの重さを誇っている。
この体は簡単には操れないいだろう。
しかし、今出せる全力を持って奴の首を落とさねばならないのだ。
「勇血属性:魔法:破魔ノ一撃」
両腕に魔力と力を込めて、振り下ろす。
其の一撃を災龍の首に叩き込む。
「チッ、びくともしねえ」
余りの硬さに嫌気が差す。
ゴブリンロード位にやわやわだったら良い物を。
オークロードも、速攻踏み潰されてたしな。
「なあ、俺が全力で戦ってやるんだ、感謝しろよ?」
その瞬間、魔力が今までと比べ物にならないほど流れ出す。
「聖の刻印、風の刻印、炎の刻印、土の刻印、水の刻印、重の刻印、闇の刻印、勇の刻印、練の刻印、生の刻印」
ぶつぶつと呟く。
何をしているのか奴はわかっていないのか、首を少しもたげている。
ざ〜んねん。
君は今から死ぬ。
「勇血属性:魔法:破魔ノ一撃」
さっきのとは比べてはならない。
いや、比べ物にならない程の一撃が迸る。
そんな攻撃に、屁でもないと、鼻を鳴らす、災龍の姿があった。
「な!?嘘だろ……!?」
今度は此方から行くぞという風に風を浴びせてくる。
その翼で煽られた風の威力は台風の何倍もの脅威を誇っている。
地に翼に跡が残る。
俺が小賢しく逃げるのに怒ったのかはわからないが、地団駄を踏む。
まるで地震!
「空虚!」
そう叫んだ瞬間、俺の身体は空虚の方へ飛んで行く。
そう、効果を発動させたのだ、重力の。
もうここでするしか無い、存在進化を。
さっきはわざと、ピンチに陥ったフリをしたが、フリだけじゃダメなんだ。
試練が足りない。
修行が足りない。
「召喚・空神」
そろそろ、あいつらも片付いてなきゃ困るってもんだ。
「主人よ、御呼びでしょうか?」
「ああ、蜥蜴の相手をしろ」
「奴からしたら、私は相当な役不足でしょうがな」
「くだらぬ冗談は求めぬ。さっさと行けよ」
「冗談じゃあ、ありませんのに」
それを言うと、空神は死地へと飛び出してゆく。
果てしない地獄へと飛び込んでいく様はまるで英雄の様だ。
「じゃあ、俺は俺でやらなきゃ何ねえことをしなくちゃあな」
援護射撃だ。
「風の刻印」
空神に風の刻印を刻む。
《主人よ、助かり申す》
《感謝など不要だ。俺の責務だからな》
俺の血を少量含んだ鋼土玉を飛ばす。
そこから、相手の体に少しめり込む。
少しでいい。少しでいい。
「干渉、変化」
チッ、直接じゃないと効果が薄い。
あいつが本気になったから二度と近づける気がしねえ。
空神は風を自由に操れる分まだマシだ。
しかも俺の攻撃のおかげで揺らいでいる。
なら……
躁血術
「血槍」
肩、腕、全てに魔力を込める。
そして、
「槍下し」
血槍は落ちてゆく……
◇◆◇◆◇◆
SIDE:残された空神
「鏖殺風」
何の感情もない我らと同じ妖どもと共に、けったいな賊ども殺してゆく。
所詮賊でしかない奴らは動きが単調であった。
何もしなくても阿久良王が勝手に倒して行くかも知れぬが、此方としては暇で暇でしようがない。
なので、暇つぶしに遊んでいたのだ。
それに、崩れゆく魂の最後に叫ぶ悲鳴は甘美なモノだからな。
『ぎゃあああああ!こんなあ、こんなあああ筈じゃああああ!』
『あいつ、あいつだけは!殺してやる!』
近頃は悲鳴を聞けていなかったから、皆、甘美な魂を喰らっている。
ただ少し……
「ぐっぎゃああ」
悪人殺しでも、苦戦する様な輩がいるとは思わなんだぞ?
我自ら手を下しに行こう。
「級長戸辺命の息」
草木が吹き飛ぶ様な風を起こす。
急な突風に煽られたせいで、奴の足場は不安定であるので、今の内に始末してしまうのが吉というモノだ。
天狗のうちわを縦に構える。
そして……
「風斬」
振り下ろす。
しかしその斬撃は……
「斬」
横断される。
真に不思議な事だ。
我の風を切れるものが唯人に居ようとは。
ただ……
「クックック、背伸びしようが、我の位置には届かぬわ」
我の体が揺らぐほど?
そんなのあり得るわけがないだろう。
世迷いごとを。
「天嵐」
黒々とした嵐が我の周囲を渦巻き、味方陣営は全員台風の目に押し込む。
そのほかの奴どもは、まるで全身が故障しているかの様な動き方し始める。
しかし、奴はまだ動けてる様で、我に向かい、大きく跳躍する。
風の威力を利用して、だ。
「クク、我を利用しようと言う魂胆か、面白い。ただその余裕がいつまで続くかな?」
そう言いながら片手で何かを握りしめる。
そしてその手をおもむろに振り上げる。
そして、その言霊を紡ぐ。
「嵐槍」
その槍は音を超す速度でそいつの頭に吸い込まれて行く。
そして……
“グシャッ”
消し飛ぶ。
クク、そろそろ主人様に呼ばれそうだ。
それでは行こうか。
主人様の元へ!
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