12 襲撃
俺の世界で読んでいた小説ではお決まりの展開というものがあった。
例えば、盗賊に襲われている馬車は王族の馬車か商人の馬車。
そして、何故か弱すぎる護衛。
それを助ける主人公ズ。
確かにお決まりの展開だ。
しかーし!
こっちが襲われるのは聞いてないってぇええええ!?
いやまあね!
王族だって居るよ!?
護衛も弱々だよっ!?
でもさー……
「もう少しマシな護衛っていない?」
「銀級で充分だと思った」
いや、マジで、言い訳になってねええ!
俺が入れば充分って言ったけどね……
「ローランド様は大人しくなさっていて下さい」
って言われちゃったら形無しなんだよな……
しかも、相手はSランク級の魔物だそうだ。
俺って出るべきだよね……
俺は一応それ以上のZランク級の魔物の討伐っていうか、ついでの討伐っていうかをしたこともあるわけだしね?
そうなって来ると、俺が出るべきなのでは無いかと勘繰っちゃうわけ!
「はあ、私の魔法じゃ消費が激し過ぎてそんなに高頻度に使えないから羨ましいわ」
憂いている様な溜息を吐く。
俺とかがするとただ、はぁぁぁぁ〜ってなるだけだけど、美人がやると美化されるんだな。
「俺さ、そのロッドよりもいいもの作れる自信あるぜ?」
「へ?」
「こっそりくすねといたんだよ……これ!」
そう言い、光輝金剛石の圧縮した小粒を取り出す。
そして……
「膨張」
そう言うと、俺レベルの大きさの光輝金剛石に変化する。
「へ?いやいやいや、う……あ?ちょ、ちょっと待った。今、古代の遺物をくすねてきたって言った?ねえ、嘘って言って!?」
「余ってたの勿体無いなって思っちゃってな……」
「あんまりふざけてると地獄門炎禍で燃やし尽くすわよ?」
「ヒェ……」
や、やばい、言ってることが野蛮人になってる。
俺の嫁が野蛮人になってる!
「でも、私の為に使ってくれるんでしょ?『うん』それだったら嬉しいのよ?私は」
確かにただのプレゼントだと考えればいいんだよな?
それだったら嬉しいはずだよな?
なあ、そうだと言ってくれよ……
「いや、まあね、あなたからのプレゼントは嬉しいに決まってるけど、流石にこれほど高価なものは……」
「石ころとそれ、どっちが良い?」
「これに決まってるじゃ無い」
「そう言う事」
まあ、拾った物と国宝を比べるのもおかしな話だけどね?
じゃあ、作るか。
「断熱」
そう言うと光輝金剛石に対して魔力の残滓が纏わりつく。
こうなると熱は通さなくなるな。
「灼熱」
これは温度だけを変化させる魔法。
これを当てる方法は至近距離に行くしかないが、それをすると完全に跳ねっ返りが飛んでくる。
同時詠唱で断熱と灼熱を同時詠唱で発動すればできるが、そんなことするより、攻撃力が高い魔法を連射する攻撃魔法の方が優秀だ。
そんなことを考えていると光輝金剛石が溶けてくる。
ここからは俺の独壇場だ。
まあ、さっきまでも独壇場だったけどな。
杖には魔銀を使う。
そして、先端部分に光輝金剛石を接着する。
透明度を上昇させる為の魔法として、“クリア”を使う。
すると更にも増して光沢が艶めく。
それは世界に一つだけの宝玉だった。
そこに付与の魔法を込める。
魔力使用量半減。
魔力撃倍化・炎
「くっふうううう」
「大丈夫?」
不安気な表情で俺に聞く。
その表情には、えもいわれぬの様な感覚を纏っていた。
そのロッドは異常な程に強い。
作った俺も確信できるほどだ。
言霊や手を介して魔法を撃つよりも3倍は高くなる。
「行ってくるわ!地獄門炎禍」
“どっっっっっごおおおおおおおおお”
耳を劈く音が聞こえる。
まるで鼓膜を破りに来たかの様な音だ。
頭痛に眩暈がする。
……頭痛が痛い……
違う違う違う、そうじゃ、そうじゃなーい!
うっそでしょ!?
あんなのZでさえ吹き飛ばしちゃいそう!?
いや、流石にそこまではないにしても、Sランク級の魔物は灰燼に帰させることだって出来るレベルだよ!
ただ……
「精度が終わってるな、これ」
爆烈したのは盗賊どもの上だ。
被害を被った奴らもいるにはいたがそこまで多くはない。
しゃあねえか……
「俺が出る……か?空神で良くね?」
てかやっぱり、空神ってカッコいいよな。
「召喚・空神」
“コオオオオ”
周囲の風が集まる。
その場所が婉曲している様にも見えるほどに歪んでいた。
その場所は歪みというそうだ。
「よう、空神、あいつら潰せ」
「了解しました、級長戸辺命ノ怒髪天」
味方陣営は皆台風の目の中にいる様だ。
何が起こっているのかもわかっていない様だがな。
普通はこれを見た瞬間に、圧倒的な実力差を感じ諦めるしかないと悟る物だが、理解できない阿呆とは気の軽い事だな。
てゆーか、空神って大人しくなったもんだ。
前まではあんなにふざけた態度とってたのによ。
少なくとも、相手は金の実力がある様だ。
「ちっ!てめーらいくぞっ!生命ノ燃焼!」
唐突に周囲の力と魔力の大きさが10倍になった感覚に陥る。
これはマズイ。
「召喚・阿久良王 召喚・百鬼夜行」
ずあゝゝゝゝゝゝゝゝ
耳障りな音と共に妖共が現れる。
『何なりと御命令を』
「グア」
「目が血走っている人共を殺せ」
『は』
「あ」
そう語った瞬間には、皆が散り散りになる。
「さて、俺も行くとするか」
厨二病心溢れる、鬼の仮面を着ける。
これは魔道具だ。
魔力を多分に含んでいる為、何らかの効果がある。
元来は隠蔽の効果を付与する予定だったが隠密になってしまった。
まあ、別に大差はないのでいいのだが。
「絶剣」
鴉の翼を引き抜き、一閃する。
黒輝して、煌めいている大剣を一閃した結果に3人程の死体が転がっていた。
正直言って、殺した感覚が分からない。
「抜剣」
光輝金剛石の刀だ。
手に目一杯力を込める。
振動が伝わった様で、光輝金剛石製の刀が煌化する。
目に毒を入れるのかと疑問に思うほどの光に思わず目を背ける。
しかし、それは悪手だ。
「天滅」
その刀を振り下ろした瞬間、
“爆ぜた”
「かっは!?」
そいつは酷く驚き憔悴した様子で聴いてくる。
「お前は効かない!?」
「何が?」
本当に知らんぞ?
「くっそ、逃げるしかねえ!」
そう言いながら、全力で逃げ始める。
全力で追いかけようとすると、邪魔が入る。
盗賊の一人が殴ってきたのだ。
そいつの手を掴み、握り潰す。
グシャッ、と鈍い音が響く。
「すまねえ、お前にと遊んでる時間はねえんだ」
そう言うと同時に俺は地をかけて行くのだった。
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