庭園での出会い
初投稿です。
よろしくお願いします
私は王城へ仕事に向かうお父様に付いて来ていた。
今日は少し顔を出して書類を直接渡すだけということですぐに帰る予定らしい。
王城といえば煌びやかな場所!他の令嬢の例に漏れず私も憧れていた場所だ。
最近読んでもらっている絵本にもお城が出てくる。
私に甘いお父様にねだれば大人しくしている事を条件にすんなり王城行きが決まった。
門を馬車で通り抜け城壁内に入る。
お父様の仕事の間は応接間でお茶を飲んでいて良いらしい。
帰りに少し城内を見せてくれる約束だった。
お城の中はどこを見てもきらきらして見えた。
私はお城の庭も見に行くことにした。
可愛い私が衛兵に手を振れば彼らも振り返してくれる。
私は素晴らしい庭園にすっかり夢中になり気付けば奥に入り込んでしまっていた。
「おとうさま!すばらしいおはなですわね」
笑顔で振り返った先にお父様はいなかった。
「おとうさま・・・?」
返事は無い。
そこで私は思った
(おとうさまったら、まいごになるなんて!)
そう、可愛い私を1人置いてお父様は迷子になってしまったのだ。
お父様を探さなければと思った私は自分の勘を頼りにどんどん進んで行った。
しかしお父様どころかお城の人もいない。
どうすれば良いのか途方に暮れ始めた頃
「妖精?」
ふと高い子供の声が聞こえた。声のした方を振り向くと私よりいくつか歳上だろう、シャツにクラバット、ズボンを履いたとても綺麗な男の子が数人の大人と共にこちらを見ていた。
金色の髪は太陽に照らされきらきらと輝き、青い瞳はまるで宝石のようだった。
私の銀の髪とアメジストの瞳も自慢だけれどこんなに綺麗な男の子は初めて見た。女の子みたい。でも初めて見たはずなのにどこかで会ったことがあるような既視感がある。
ぼーっと見ていると男の子は首を傾げ
「君は誰かな?」と問い掛けて来た。
私はハッとして淑女の挨拶をする。
スカートを持ち上げちょこんとお辞儀をした。
「ベルゲン家がちょうじょルイーズともうします」
よし、完璧なはずだ。
「ベルゲン家・・・ベルゲン公爵の娘だね。こんなところで何を?」
「おとうさまが迷子になってしまったので探していたのです!」
「ん?君が迷子ではなくて?」
「私ではなくおとうさまが迷子なのですわ」
完璧な私が迷子になんてなるはずがない!
腰に手を当て胸をそらし、ふんすと鼻息荒く言い切ると男の子は目を丸くした後くすくすと笑い始めた。
「そう、では私と共に迷子のお父様を探しに行こうか」
「あなたは?」
「ああ、挨拶が遅くなってしまったね。レイと呼んでくれるかい」
男の子がそう言った途端男の子の背後にいた大人達がざわついた。
「殿・・「いいんだ。」」
よくわからないが男の子はレイというらしい。
「うん!よろしくね!レイ」
私は満面の笑みをレイに向けた。
するとまたレイは一瞬目を丸くしたあと美しい笑顔で手を差し出してくれた。