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虚崇世界  作者: 塵埃
2/12

ページ1「シナバ」

これはとある街の片隅にあった古い仕立て屋の話


彼は他の友人達が外で遊んでいるとき、いつも家の中で病気がちの母親の事を手伝っていた

それで母親が裁縫を教えて…すぐに上達していった

あの時代では男性が家の事をするのは珍しくてね、父親も最初は変に思ったでしょうけど…

彼の両親は、心から彼の幸福を願っていた

だから、彼がどれだけ他のこども達と違うことをしても否定しなかった

彼が17の時、母親が急逝し愛用していた裁縫道具一式を彼に譲った

そして、彼は大人になり仕立て屋を立ち上げた

当時貴族しか着れなかったドレスを貧しい人でも着れるようにしたいと…

もちろん最初は挫折した

苦しい時期もあった

それでも頑張って、死に物狂いで働いて働いて…


その日は随分冷え込んだ冬の日だった

大きな地震が町を襲った

それだけなら問題なかった、地震なら昔からよく起こるモノだったから

でもあの時は、大きな火事が起きたの町全体を覆うような、火事が

火元が何処なのかは分からない

ただ…悲惨な状況だった、ていうのはわかった


でもすぐに復興していったわ

数年後にはもう殆ど元にもどっていた

…燃えてしまった道具は地下に仕舞われてしまったけれど

~~~

ココは何処?

とても暗くて寂しい…

周りには淡い水色や橙色に光る小さな玉が浮かんでいた

―――遠くで誰かが泣いている声が聞こえた

心配になりその子の傍まで行こうとする

そこで気づいた

『どうして自由に動けているの?』

確かに、ワタシは鋏で、動けなかったはずなのに

視線を泳がせ自らの体の変化に驚きを隠せないでいた

考えれば考えるほど分からなくなっていく


疑問が頭を埋め尽くしそうになったとき

先程聞こえた誰かの泣き声で正気に戻った

きっと、ワタシと同じように連れてこられた子がいるんだ…

その子の元へと急ぐ

声だけが頼りで何度も躓いて転んだ


声の主は小さなこどもだった

どうしたの? 優しく声をかける

返ってくるのは泣き声だけ

けれど、何かを必死に伝えようとしていて

ワタシはその子の手を握りながら聴いていた


暫くして落ち着いてきた

「ありがとう」

とても澄んだ綺麗な声でその子は言った

話を聞くとこの子も気がつくとココにいたらしく

自分が何なのかもわからず途方に暮れて泣いていたらしい

もしかしたらこの子以外にも泣いている子がいるかもしれない…

そう思うと在るはずのない心が痛くなった気がした

「だいじょうぶ、ですか?」

怖い顔をしていたらしく心配されてしまった

駄目ね、辛気臭いのは止め!!

「ありがとう大丈夫よ。

 他にも貴方のように困っている子がいるかもしれないから、むかいに行きましょう?」

その子は困惑した顔で頷いた

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