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これ以上ないくらい居心地の良い馬車の乗り心地を楽しもう、と思ったけれどシューさんの質問攻めが始まった。
「アリーシャは食べ物なら何が好き?」
「おかみさんのシチューが一番かな。」
「なるほど、あそこの食事はどれも絶品だからな。好きなお茶は?」
「お茶なんてどれも一緒じゃないの?」
「そうか、葉の種類なんかは無いのか。」
こういう会話では相手が金持ちなんだと感じる。
「お茶の葉か雑草かの違いくらいしか庶民に選べるものはないよ。どっかの国のお茶、とかあるのだとしても違いなんてわからないだろうね。」
「そういうものか。今度一緒に飲み比べでもしてみよう。そうだ、好きな花は何?」
庶民の感覚を話すと、知らなかったって顔に書くくらいに反応するんだから、やっぱりシューさんは貴族なのかも。
「名前は知らないけど黄色いちっちゃい花が一杯ついてる春の花が好きだな。」
「ミモザかな?アリーシャに似合いそうだ。」
「ミモザっていうんだ。へぇ…」
花の名前なんて気にしたことなかった。
いつものあの花が咲いてるなー、なんてこと思うくらいしか暇も余裕もないんだから。
質問に答える時間を過ごすだけで、馬車が停まった。
「ついたね。さぁ、行こうか。」
手慣れているシューさんは馬車のドアが開かれるまで待って、乗る時とは反対に先に降りて手を差し出してくれる。
きらきらと太陽に光る髪は黄色よりずっと薄い。
色白な肌も相まって全体が光を返すみたいだ。
「ありがと。」
素直に手を借りて降りると、広い庭のような場所だった。
大きい城が嫌でも目に入る。
「ここ……何?」
空をみても明るさ的に、すっごく遠くに来たわけでは無さそう。
でもこんな大きいお城なんて国の王様が住む城くらいしか無いと思う。
ということはここはお城?
それとも穴場の城?
穴場の城って何?
「ここ?王宮の庭だけど。」
ゆっくり隣のシューさんを見ると、いつもと変わらない笑顔でこっちを見ている。
シューさんと出会って何度も思ったけれど、今までで一番、意味がわからない。
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